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史上最低のIPO? フェイスブック(2012年5月18日)

史上最低のIPO The worst IPO in the history: Facebook of 2012
2012年2月1日 FACEBOOKはSECに対して新規株式公開IPO申請するための必要書類を提出した。 
創業者マーク・ザッカーバーグ 創業2004年
(2010年には米国のインターネットサイト訪問者数シェアでグーグルを抜いた。2位がグーグル 3位がヤフーメール)
上場主幹事はモルガンスタンレー、JPモルガン、ゴールドマンサックスの3社。

(通常は7%程度の引き受け手数料が1%程度との推測あり)
8億人以上とされる利用者が「財産」(2010年7月利用者5億人突破 2010年秋 グーグルはあフェイスブックへの情報提供中止
2010年11月 マイスペースはフェイスブックとの提携を発表
2011年12月末の利用者が8億4500万人 投稿写真は1日2億5000万枚とされた)。
2011年5月のビジネス向けSNS(交流サイト)のリンクトイン、
12月のソーシャル(オンライン
)ゲーム最大手のジンガの上場に次ぐもの。
ジンガは利用者2億3200万人。創業者マーク・ピンカス。
2012年4月に写真共有アプリのインスタグラムを10億ドルで買収決定
4月23日 MSマイクロソフト(フェイスブックは2007年にMSから2億4000万ドルの
出資受けている)から650件の特許を5億5000万ドルで買い取ると発表。 

2012年4月23日 フェイスブックFACEBOOKは収益減少の予想を提出した
4月23日 2012年3月末利用者9億人突破と発表 昨年同期比比33%増 携帯電話経由4億8800万人
投稿写真は1日3億枚。利用者の投稿と「いいね」ボタンのクリックとの合計が1日32億回とされた。
スマートフォンへの対応の遅れが広告収入に悪影響を与える可能性があるとする追加資料をSECに提出した。
(フェイスブックはスマホ経由のサービス利用の拡大が収益に悪影響を与える可能性を投資家にも再三警告したとも)
スマホは広告スペースが小さい。スマホの拡大は広告事業の採算悪化につながるとされている。
12月期の売上37億ドルの85%が広告 さらにほとんどはパソコン経由。これに対しスマホ経由の利用が
急増すでにパソコン経由を上回ったともされる(3月段階)。

同じ問題はその後も指摘される。6月末の利用者は9億5500万人(前年比29%増)。
うちモバイル機器を通じる利用者が5億4300万人(67%増)。

利用の急増は収益への不安とともに コンピュータの処理能力を高める投資を必要とすることへの不安も高めている。
モバイル利用者への対応も急ぐ点が多い。専用アプリの開発の加速などが議論されている。

種類株を利用して上場後も支配権を維持する方針には反発があった
創業者が種類株を活用して上場後の議決権5割以上握ったことへの反発も強い(通常の株式の10倍の議決権のある
種類株を発行して取得する。また一部の既存株主との間で議決権の代理行使の契約を結ぶなど。ファンドを含む現経営側が56.9%を握った。)
(なおこのような支配手法を短期的収益を求めがちな市場に左右されにくくなるとして評価する意見もある。たとえば
長期的観点からの投資が可能になるなど。)

同様の方法は2004年上場のグーグルでもみられ、グーグルは2人の創業者と当時のCEOに通常の株式の10倍の議決権をもつ種類株を
発行して議決権37.6%を維持した。また2012年4月にグーグルは議決権のない無議決権の種類株を既存株主に交付、
またこの種類株を上場。今後はストックオプションやM&Aに無議決権種類株を活用する方針。
2011年上場のグルーポンは創業者らに通常の株式の150倍の議決権がある種類株を発行。
2011年上場のジンガの場合は創業者には通常の70倍、上場前の株主には7倍の議決権がある種類株を発行。
創業者のジンガは37.4%の議決権を維持した。

公開前フェイスブック(主幹事 モルガンスタンレー)は収益減少の予想のなか公開価格 売出株数を公開直前に引き上げた
5月15日 フェイスブックは投資家の人気を根拠に公開価格を引き上げた 
5月16日 フェイスブックは上場時の売出株数を25%上積みした。⇒様子見につながる。
5月17日 フェイスブック 売出価格38㌦(仮条件の上限)に決定
フェイスブックは売上見通しが低下するなか、公開価格と売り出し株数を公開直前に引き上げた。
とくに売出売出株数の増加は極めて大幅だった。 ⇒ 主幹事 モルガンスタンレー そしてフェイスブック 経営陣には
重大な責任 この失策により機関投資家は投資を抑制。株安につながった。
この間、モルガンスタンレーのアナリストが機関投資家に対して売上高見通しの引き下げ情報を伝えたとされる。
⇒ 機関投資家に投資抑制を促す行為を引き受け証券のアナリストがおこなった。
フェイスブックには30社を超す引き受け証券がむらがった
売出株数はFACEBOOKが出す新株が1億8000万株。既存株主が売り出すものが2億4000万株で合計
3億2000万株。公開価格による調達額160億ドル。2004年のグーグル上場時の16億7400万ドルを
軽く上回る(ほぼ10倍)。公開時の時価総額1040億ドルは2004年のグーグル270億ドルの4倍。
なおグーグルは検索連動型広告で米国内4分の3シェア占める。11年10-12月期の売上が初めて
100億ドルを突破。

2012年5月18日(金) フェイスブックFACEBOOKはナスダックNASDAQに上場した。
5月18日(金)午前 システム障害で取引開始予定30分遅れる
取引開始予定午前11時5分 初値11時30分過ぎ 当初予定から30分ほど遅れた
その後も売買成立通知が数十分単位で遅れる(この取引障害で金融機関に多額の損失
:値段がかわらないため自動執行システムが買い注文を繰り返しだしてフェイスブック株を
多額に保有 その後の値下がりで損失 そのほか) ⇒ ナスダックにはシステム障害に関する重大な責任
⇒ スイスのUBSだけで損失は3億5000万ドル
ナスダック市場(全取引が電子取引)
初値42.05ドル
初値でみた時価総額1150億ドル
(売買注文の修正が初値がつく直前に大量に入る⇒初値算出遅れた)
引受証券が買い支え
この日 一時45ドルが最高値
売買成立を知るのに数時間かかった
上場直前に公開価格 売出株数上積み
終値38.23ドル 
終値でみた時価総額1046億ドル 米アマゾンコムの960億ドルを上回りグーグルの5割強

5月21日午前大幅続落 一時14%安の33ドル 時価総額は一時903億ドルまで下げる 失望売り
5月21日終値34.03ドル これまでで最悪(史上最低)のIPOとの声がでた。
5月22日終値31ドルちょうど 続落
FACEBOOKの終値32ドルは初値42ドルに対して10ドル安。集団訴訟(クラスアクション)が起こされた
モルガンスンタレーのアナリストが機関投資家に対してだけFacebookの今後の減収見通しを伝えた行動が問題になっている。
(確かにFACEBOOKの開示情報のなかにも減収の可能性も入っているが、モルガンスタンレーは引受主幹事の1社。このアナリストの
行動は常識的には理解できない不適切なものだ)
5月23日終値32ドルちょうど 
5月25日終値31.91ドル。

ついに30ドル割れに(5月29日)
5月29日 一時28.65ドル 終値28.84ドル 30ドル割れ 続落(幅広く売り込まれる)。

6月6日 ナスダックはフェイスブック上場時の混乱で生じた損失について金融機関などに4000万ドルを補償する
計画を発表した(その後7月に6200万ドルに引き上げ)。
6月6日 終値26.81ドル 前日比3.6%高 3日ぶりに反発

7月26日 4-6月期決算発表(上場企業として初めての決算発表) 売上高前年同期比32%増の11億8400万ドル 最終損益は1億5700万ドルの赤字。前年同期は2億4000万ドルの黒字。
7月31日 UBSがフェイスブック上場時の取引障害で生じた損失を3億5000万ドルと発表。
(ナイトキャピタルやシタデルの損失はそれぞれ3500万ドルとのこと)
31日 一時は21.61ドル 終値21.71ドル 前日比6.2%安
 
フェイスブック:2012年に投資家の信認を損なった史上最低のIPOを実行し投資家に多額の損害を与えた企業
との評価が確定しつつある

8月2日 一時20ドル割り込む(19.82ドル)
8月16日 初期に投資した株主などの保有株売却を一定期間制限するロックアップが終了(フェイスブック取締役でありペイパルの共同創業者でもあるピーター・ティールが保有株のほとんどを手放す)。一時19.69ドル
8月20日 一時18.75ドル
8月31日 一時18.03ドル 終値18.06ドル(公開価格38ドルの半分以下)株式時価総額は386億9000万ドル(公開時は1040億ドル)

10月以降 新たに売却制限期間を終える株式がさらなる押し下げ要因に。これを覆す成長戦略・見通しを出せるか。

originally appeared in June 1, 2012
corrected and reposted in Sept.8, 2012

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