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Entrance for Studies in Finance

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ベス・コブリナー『「お金の天才」の育て方』日経BP社, 2018

2018-03-24 10:41:52 | Area Studies

最近の本の傾向だが副題が長い。「一生おカネに困らないために、親が子供に伝えるべき「おカネの話」」

おカネについての入門の本は多いが子育てに絡めた本は珍しい。内容はおカネの話ではあるけれどまた子育ての本でもあるけれど、2つを組み合わせるとそれだけでないことがわかる。原著は Beth Koblinger, Make Your Kid  a Money Genius,  2017

 よくあるおカネの知識入門本と少し違うのは 子育ての知識が入っているところ。それも最近の学術的研究を踏まえていて説得力がある。

子育てとの親の関わり方への注意が沢山入っている。その注意がありがたいのが、教育に関するさまざまな「研究」をかなり幅広くカバーして根拠付けていること。他方、著者自身の経験も随所に入っていることが著者の人柄を感じさせる。

 子供に何もかも教えなくていい。親の所得の具体的な金額は教えなくていい。世間の所得との比較でどのあたりかは教えればよい。両親のどちらがより稼いでいるかも教えなくていい(上下とみてしまうので)。おカネの問題で両親は一致した態度を示すべき。私たちはチームだと。退職年金口座の額も教える必要はない。子供はそれが長い間取り崩すものだということが理解できない。親戚に関する悪口、おカネに関するゴタゴタを子供の耳に入れてはいけない。ベビーシッターや家庭教師にいくら支払っているか、子供はそれを上下関係(支払っている自分が偉い)と誤解するもの。プレゼントにいくら使ったかも教えなくていいー贈り物の喜びが失われるから。学費の不安―空手形はいけないが だからといって学費の不安を言って将来への不安をあおるべきではない しかし子供の未来のために貯金するのは親の喜びだと伝えるべき。pp.27-33

貯金について

 ここでマシュマロテスト(マシュマロ実験)の話が出てくる。2個目を我慢できた子は 大人になって成功する子が多い。我慢強い子はどうしたらできるか。p.34

   なお貯金の一部を学費にあてさせると 勉学に励む可能性が高くなる p.70

   そしてこの本で一番大事なアドバイス。おカネがたまるまで高価なものを買ってはだめだ。p.74

努力には見返りがある。

 ペンシルバニア大学のダックワース教授のやり抜く力 グリット education grit 。やり抜く力のある人は学校の成績がいいだけでなく 収入 生涯貯蓄額 人生全般の満足度も高い 忍耐強く何かに取り組みことを教えること pp.79-80 一度決めたら最後までやり通すこと p.96 グリットとは

   ミネソタ大学の研究では 学位をとる 仕事に就くこと 幼いころ 家事を手伝ったかが要因になる。p.81 家のお手伝いは家族の一員として当然のこと p.87  子供を家事の達人にすることが目的ではない 自立した子供を育てることが目的だ 子供は生活スキルを身につけるべきなのだ p.94 k高校生になったら家事から解放させるべき 子供たちのプレッシャーは多い pp.103-104

   仕事が楽しい時はそれを伝える 少なくとも仕事があるのは素敵なことだと伝える 仕事とは誇りをもてるものだと伝えることは大切 p.83

   子供の能力をほめると 勤勉さが育たない 少しの困難ですぐあきらめてしまう 子供の努力に対して 褒めたほうがいい。 p.84

   幼い子供は自分働き物の誰かだと思い込むと 一つのことに根気よく取り組める Batman effect   p.85

アルバイトについて

  (高校生)子供たちへ週15時間以上働くべきではない 調査によると退学する可能性が高まり学位を取れる可能性がさがるから p.104

 (高校生)本に没頭する時間の長い子ほど成績は良くなる。それならなぜ働かせる必要があるのか。お勧めは放課後のアルバイトはやめて夏休みに集中して稼ぐこと。pp.99-100

  (大学生) 週20時間以内ならキャンパス内の仕事は参加意識を高める。また学費を自ら負担することは、自分の教育に投資している意識にさせる。p.106

就職活動について

 アルバイトの職場の上司に推薦状を頼んでみよう  p.106

   つてを探してみよう。プロの多くははその分野に興味のある若者にはアドバイスを惜しまない p.110

   自分が楽しめる仕事を選ぶことは重要 p.89

   名簿をくって手紙を出して、何人かに合い インターンの仕事をえた p.111

   面接によばれたら必ず行きなさい 新たな気付きがあるはず p.112

 仕事についたからといって 縛られる必要はない p.114

   最初の給与を交渉するべきではないか 聞かれたらこの程度という数値を用意するべき そのためには業界の給与水準について調査しておくこと p.116

   平均的な起業家は学位を取得 業界でしばらく働いた人で 大学中退者ではない p.118

   どんな仕事も見下さず 職場になくてはならない存在になるように p.118

おカネは大事、そのことを教えるのだが、それがすべてではない。大事なのはそのバランスなのだ。どうすれば人生に成功できるか。成功する子供を育てるにはどうすればいいか。義務とか責任とか。最後までやり通す力とか。

   子供におカネばかり与えているとおカネのスキルは身につかない p.21

何を教えて何を教えるべきではないか。親はお手本を示すべきだと書かれている。子供の活動にどこまでかかわるべきか。子供が自分で発見して学ぶべきだと書かれている。一つ一つは言い古されてきたことだが、これだけ緻密に書かれているとガイドブックとして役立ちそうだ。特徴は、子供の成長段階に応じて書き分けていること。

投資についても見ておこう。

 流行している株式投資ゲームの問題点は投資期間が短かすぎて、リスクの高い株に投資した者が手早く勝てる結果になることだとしている。本来学ぶべき分散投資の学習には不向きだとしている。pp.258-259  株式投資ゲームが非現実的なのはそのとおりだ。しかしでは、3年間とかある程度期間を長くすればいいかというと、そうでもないように思える。日々変動する相場の中で、過去に蓄積された知的遺産ではない。その相場は日々動いてゆくもの。学校では、過去の知的遺産の習得に励むべき場所で、日々移ろってゆく相場に付き合う場所ではないのではないか?

   分散投資効果のあるインデックスファンドでの投資が繰り返し推奨されている。pp.259-260, 275-276

 高校生の段階では個人退職口座の開設が、社会人になってからは確定拠出年金への参加が推奨されている。pp.262-265,  273-274 


証券市場論(前期) 証券市場論(後期) 株式投資入門
財務管理論(前期) 財務管理論(後期) 

 

 


仮想通貨問題と金融庁の犯罪

2018-03-21 10:33:07 | Financial System

仮想通貨問題の本質:犯罪を誘発する金融庁の甘い姿勢

「モバイル決済」そして「仮想通貨」が金融イノベーションあるいはフィンテックとして注目される。モバイル決済のように便利なものは導入すればよいが、仮想通貨取引のようなものはなぜ必要なのだろうか?不思議なのは、金融庁が事件の多発にも拘わらず、業者任せの姿勢を続けていることだ。まるで金融イノベーションの守護者気取りである。仮想通貨は、通貨といいながら現実の取引の決済通貨となるのは一部であるため(通貨としてよりは取引対象となっているため)、その取引相場の変動幅は大きくなっている。

 まずモバイル決済(スマホ決済)の拡大で 現金決済を一気に縮小させようと議論がある。中国で発達した方法は、スマホによるQRコード読み取りというもの(QRコード決済)。店舗側に決済用の端末購入などの初期費用(初期投資は10万程度 数万~数十万 月々リース料)が不要であるため、導入しやすい。中国で発達したqrペイと同じ この方式が日本でも普及するかに注目が集まっている。

   Lineペイがローソンでqrペイに対応 2017年1月から

 楽天ペイがqrペイを導入 2017年10月から  手数料は3%程度(大手カードは4~6%)

 origami qrペイの導入 2017年10月から 手数料は決済額の3.25%

 中国ではウィチャットペイ微信支付(テンセント 利用者7億)そしてアリペイ支付宝(4億)。中国のスマホ決済額が前年比で3倍以上に急増している。インドではPaytm(2億3000万)とモビクイック。こうしたqrペイ方式のスマホ決済の導入の動きは、タイやフィリッピンのほか東南アジア各国でもきかれる。ポイントは導入コストが安い点である。

 中国におけるスマホ決済の普及 2017.05.07

 フェリカ型との比較で、ソニーは通信チップの搭載されると利用料に応じてライセンス料を取る。しかしアジア圏ではQR決済が広がる。一見してQR決済にメリットがありそうだが、決済用端末が低コスト化すれば、フェリカ型も決済スピードの面で優位なところがある。いずれにせよモバイル決済は普及させればいい。

 なお日本でカード化による現金の置き換えに進展はあったが限界もあった。現金決済をなくすれば、店員の現金管理の手間が簡略になる。レジ閉めの労力を軽減できる。またデータを優良顧客の選別にデータ使え、金融機関としては融資データに利用できる。また現金決済の維持は銀行にコストになっている。ATMの共有化は銀行の通帳の仕様がバラバラのためできない、しかし銀行にとってATMの維持には大きなコストがかかっている。全国のATMは金融機関のもの13万7000台(2016年9月末 価格が1台300万 維持費は月30万) コンビニ型5万5000台 ざっと20万台もある。現金決済をなくすことによる効率化が盛んに指摘されている。

 ここまでの議論はわかる。

 問題は仮想通貨。そしてその取引である。そして仮想通貨を使ったICOである。これをなぜ金融庁は放置しているのか?

 仮想通貨(=電子的に記録移転でき、法定通貨でないが第三者への支払いに使えるもの)取引(4月に改正資金決済法を改正し取引所に登録制 監査の義務付けた 2018年1月時点で登録は16社。ほかに改正法施行前から取引所を運営していた「みなし業者」が16社ある。)が日本では認められた。業者の存在を認知する法的な手当てがされたが、これは取引者保護の問題を置いたまま(どのような保護が必要かの議論を置いたまま)、世界に先駆けて規制を緩めた。ところが問題が次々に発覚してから、金融庁は登録制によって、業者の監督体制ができたかに主張している。

 仮想通貨導入は、銀行に代わるお金の保管 送金の仕組みが可能になる。しかし海外への不正な資金の移動など犯罪に絡む恐れが指摘されている。そこで世界全体でこの問題の対応が厳しくなている。
 現在指摘されている利用者保護の追加的な議論のなかでは、業者の倒産の影響が及ばないように、預かり資産を信託口に移すことは最初の一歩だろう。仮想通貨の議論についても、たしかに通貨以外のもの(たとえばポイント)での支払いがすでに現実には存在する。したがって仮想通貨を認めることは一方で必要かもしれない。仮想通貨の取引所を認めることは話が少し違う。

 現実の通貨の取引が実需との関係で相場の変動には制約があるのに、取引される仮想通貨は実需との関係が希薄で希少性が価値を支えている、そのため相場の上昇幅は現在のところ極端である。現状は、この上昇幅の大きさが投資家を市場に誘っている。こんなものが金融イノベーションなのかどうか?

 ビットコインの相場の変動の大きさをみてみよう。

 ビットコイン(最大の仮想通貨 時価総額は2800億ドル=32兆円にまで拡大:2017年12月) 仮想通貨にはこのほかイーサリアムなど 米国 中国 日本 韓国など 7月分裂騒動で一時2000ドル割れ 2017年8月2日ビットコインキャッシュBCCが誕生(ビットコイン保有者に新通貨が付与) 8月13日4000ドル超え 9月2日5000ドル台のせ 9月8日中国が仮想通貨取引所を当面閉鎖するとの報道で下がる 9月10日4000ドル割れ 10月20日6000ドル台のせ 11月1日6500ドル超え(背景 ビットコインゴールドの分裂準備進む 9月2日に5013ドルの高値。10月24日に香港企業が中心のビットコインゴールドBTGが分裂を始め11月24日ビットコインゴールドが誕生した。ビットコイン保有者は同数のBTGを得られたとのこと。) 11月28日ビットコイン初の1万ドル台 12月5日シカゴオプション取引所CBOEが先物取引開始 12月17日1万9800ドルの高値のあと下落 12月18日シカゴマーカンタイル取引所CMEで先物取引開始 同日CMEで相場下落でサーキットブレーカー作動 19日韓国の仮想通貨取引所ユービットが破たん(北朝鮮によるハッキングとされる 韓国の仮想通貨取引所はいずれもセキュリティが脆弱であることが判明 しかし日本もマウントゴックスやコインチェックの問題を見ていると褒められた情況ではない) 12月22日1日の下落率29%1万1000ドル割れ 相場の急変を抑える仕組み未整備 取引所によっては 一定幅以上動くと取引が停止するサーキットブレーカー 1日の上下値幅制限いずれもなし 証拠金の25倍の取引を許す取引所もある(→時価が購入価格の4%を下回ると追証なければ強制売却・・・売却の加速)

 つまりビットコインは2017年年初来でみると20倍を超える高騰。売買は実需とは無関係で投機的というのが現状。なぜこのようなクズを決済手段に混ぜる必要があるのだろうか。

 2018年に入って中国、韓国の規制に動きが伝えられると、ビットコイン(2017年12月現在 1300種類ある仮想通貨の中で時価総額2800億ドル 仮想通貨全体の6割占める)は1月7日に1万7100ドルの年初来高値のあと、17日には1万1000ドル近くまで急落した(一時1万ドル割れも 日本円で110万割れ)。2月7日には株安に加えて中国政府が仮想通貨取引規制を強化すると伝わり、1ビットコインは一時6000㌦割れを喫した。

 警視庁と仮想通貨取引所が連携

 なお取引所は国内だけで20社ほど 最大手がビットフライヤー(東京都・港区)。色色な企業の参入が伝えられる。

 名前を拾うと GMOインターナショナル(2017年9月マイニングをてがけることを表明) リミックス(子会社が仮想通貨取引所ビットポイントジャパンを運営) フィスコ マネパG SBI(中国の取引所Houbiと資本提携で合意)

 そして18年1月26日になって コインチェック(東京都・渋谷区  2012年設立 2017年7月現在 従業員数71名)で仮想通貨NEMが約580億円流出した問題が表面化した(2014年のマウントゴックスでのビットコイン消失額480億円を上回る。コインチェックはみなし業者。登録業者になれないのは、コインの送り手・受け手が匿名の匿名コインをあつかっていることが指摘されている。マネーロンダーリングに加担するリスクを軽視する会社だったのだ。コインチェックの経営陣をみるとトップは東工大理学部。COOは早稲田大学院卒で専攻は理論物理だ。この二人を文系の顧問やアドバイザーが補佐する形。しかしこのトップやCOOはともに金融機関での業務経験もなければ, 金融業務を学んだ気配もない。この二人が主導する会社は、顧客の資産を扱う重大性をどこまで理解していたのだろうか。)。金融庁はようやく体制強化の改善命令を出した(2018年1月29日)が、この対応は遅すぎた。なぜ問題がこのように問題が深刻になるまで金融庁は業者を放置し続けたのだろうか? 金融庁では2月2日に立ち入り検査を始めた。問題が起きて動くというこの動きはどうなのか?
 
 金融庁におけるフィンテックに対する取組み 金融庁 2016-11  金融庁はこの問題で旗振りをしたかったようだ それは行政の正しい在り方だろうか?  マネロンと分別管理の問題は指摘されている。しかし最大の問題である仮想通貨についての過大な投機については言及されていない。
 フィンテックに関する現状と金融庁による取組み 金融庁 2017-02 環境整備に積極的に取り組むと明言。米英に比して規制がゆるいことを肯定的に記述。ここでも問題は分別管理とマネロンの問題だけ。この金融庁の放任主義が、あやしげな業者の跋扈を招いたと考えられる。
 資金決済法 金融庁 仮想通貨取引で信託銀行の信託制度を使うことを認めたが、おどろくべきことに業界の自主的な対応を待つとのこと。つまり義務化はしていない。
 
 金融庁 業者を批判 ロイター 2018-01-29 金融庁は仮想通貨の旗振りをした自身の責任を認めず業者に責任を転嫁した
 
 取引所といいながら マーケットメイク方式 つまり顧客に対して取引所自身が自己勘定で売りあるいは買いを入れる方式(取引所が仲介者に徹するものをオークション方式という マーケットメイク方式は債券や外国為替証拠金FX取引でもとられており、違法とはいえない。しかし取引所で提示される相場には取引所の利益が含まれており、透明性に問題がある。業者は大きくリスクを取れば利益を大きくとれる)。価格は取引所の利ザヤ込みで透明性に欠ける。また常時ネットに接続するホットウオレットであったために流出につながった。

 このコインチェックの事態を受けて、一部の企業は仮想通貨を使った決済への参入を見直す方針を打ち出した。企業経営者は詐欺に加担することをすぐに辞めるべきだ。

  最後にICO(initial coin offering) 資金調達したい側がホワイトペーパーを購入したうえで トークンを発行 事業に賛同して人が購入 発行した仮想通貨は取引所で価格が変動 2017年9月4日 中国がICOによる資金調達を全面禁止(なお韓国も全面禁止。9月29日金融委員会は全面禁止の方針を示した。) 企業の側は手軽にトークンという形で資金を集める。投資家はビットコイン イーサリアムなど流動性の高い仮想通貨でトークンを購入 トークンで実現するサービス製品を購入できる。企業の側にはIPOにおけるようなさまざまな情報開示義務はなく、トークンに配当を支払う仕組みや議決権にあたるものはない。投資家はトークンを仮想通貨取引所などで換金できる。事業実態と無関係にトークンの価格上昇を信じた投資家が資金を投入しているもので完全に詐欺だが、金融庁がこれは投資で自己責任だとしている。金融庁は金融イノベーションの芽を摘まないことを、規制に乗り出さない理由に挙げる。しかし、金融庁は自らの監督責任を放棄したのではないか? 

 金融庁という役所はそもそも不要ではないか

 2018-03-21更新(2018-01-30)


王岐山副主席就任(3月17日)で習王体制が明確に

2018-03-20 18:17:51 | Area Studies

2016年1月  アジアインフラ銀行開業

2016年 石炭と鉄鋼で大規模は設備廃棄に踏み込む

2016年10月 人民元がIMFのSDRの5番目の構成通貨に加わる

       核心となった習近平(2016年10月)

2016年11月 トランプ次期大統領決まり ドル先高

2016年11月末 原則として500万ドル以上の大口両替 海外送金 海外M&Aは当局の事前審査を必要とする 銀行の外貨両替や元の海外送金制限 などの政策を開始。

2016年12月 8年ぶりの元安水準 金融政策を引き締め気味に転換

2016年12月   中国保有の米国債急減明らかに 背景:人民元買い支え

2017年1月 個人(両替は年5万ドルまでに制限)が銀行で外貨を買うときに 目的を書いた申請書提出義務付け

2017年1月 外貨準備3兆ドル割れ(為替介入を反映)

2017年3月 全国人民代表大会で今年の実質経済成長の目標を6.5%前後(3年連続での目標引き下げ)

     国家発展改革委員会 構造改革(生産能力削減など)の対象を石炭・鉄鋼から火力発電 建材 非鉄に拡大する方針示す 

2017年4月 保険監督管理委員会の項俊波主席が事実上失脚(保険業界の規制緩和進める業界と癒着)

2017年4月 米中首脳会談。

2017年6月 インターネット安全法施行

2017年9月末 外貨準備3.1兆ドル

第19期中央政治局常務委員会 新たな顔ぶれ(2017年10月)

 習近平 李克強 栗戦書 汪洋 王滬寧 趙楽際  韓正

2017年11月 地方政府の財政悪化を懸念 地方でインフラ事業の中断が続いている

2018年3月1日 トランプによる関税引き上げ宣言

2018年3月5日 全国人民代表大会開幕

2018年3月13日 全人代でさまざまな提案

・銀行と保険の監督当局統合案示される 銀行保険監督管理委員会

・あらゆる公職者を対象にした新たな汚職摘発機関 国家監察委員会の権限を定めた監察法案示される

2018年3月17日 国家主席など 全国人民代表大会全体会議で選出

習近平 国家主席 再選

    国家中央軍事委員会主席 再選

王岐山 国家副主席 前政治局常務委員 朱鎔基の薫陶を受け中国人民銀行副総裁 中国人民建設銀行(現在の中国建設銀行)頭取を歴任 98年広東省副省長 広東国際信託公司CITIC破綻処理を指揮 2003年SARSを受けて北京市長に転じSARS鎮圧 消防隊長のあだ名 2008年リーマンショックに際して金融担当副首相として大胆な利下げで中国経済急回復導く 米国債買い増しを実施 ドル急落を防ぐ 2012年秋には中央規律委員会書記に就任 半腐敗闘争を旗印に習の権力固めに貢献

王岐山の国家副主席就任について 胡平 2018-03-19 習李体制から名実ともに習王体制の始まり。ただ李克強がここまではっきりと抑え込まれるのはなぜだろうか。

 習近平と李克強との間で 経済問題(ゾンビ企業の扱いなど)路線対立が起きている 2016-06-22

 習主席によるライバル派閥抑え込み 2016-10-06ロイター

 国連演説などを外交で抑えられてきた李克強の復権への動きとみることもできる 2016-10-09

 東北特殊鋼の経営破たんは李克強への報復との説がある 2016-10-14

 次期首相候補孫政才の失脚   反腐敗運動と政敵の失脚 2017-07-18BJ

 李克強首相 手足もがれ2期目スタート 2018-03-18

栗戦書(党中央弁公庁主任) 全人代委員長 政治局常務委員

3月11日に採択した憲法改正(憲法改正は14年ぶり)で 国家主席と副主席について2期10年までとしていた上限を撤廃

3月19日の全体会議で 李克強 首相 再選

    副首相に 韓正 孫春蘭 胡春華 劉鶴

    国務委員(副首相級)に 魏鳳和(国防相) 王勇 王毅(外相)肖捷(国務院秘書長) 趙克志(公安相)

    劉昆 が財政相

    人民銀総裁に易綱(2007年以来副総裁だった、改革開放後渡米 イリノイ大学で教壇 南巡講話を契機に1994年帰国 北京大学を経て1997年人民銀行に参加。2007年副総裁。習近平の経済ブレーンである劉鶴と親交)を選出 Bloomberg 2018-03-18

    なお同様に人民銀総裁候補とされた郭樹清(山東省長)は2017年2月に銀行業監督管理委員会主席に就任。

           前任 周小川 2002年12月から 全国政治協商会議副主席の2018年3月任期切れにあわせ退任

    国家監察委員会主任に楊暁渡

    最高人民検察院検察長に張軍

    最高人民法院院長に周強

   Area Studies

 

 


MBOとPIPESの比較について

2018-03-18 14:17:23 | Area Studies


MBO(management buyout)は上場を廃止することによって 経営の自由度を高めることを目的にしている。手法としては経営陣と組んだファンドが主導する形でTOBが実施される。経営陣が買収側となるため、買収価格を決める過程で利益相反が起こりやすいとされる。非上場により、意志決定の自由度やスピードが改善される。利益を一時減らすなど思い切った投資を展開しやすい。

上場していると 短期的収益の悪化 株価の下落 などを避け 配当を維持しようとして 思い切った経営改革しにくい。

PIPES(private investment in public equities)方式は、買い手である(また一時の持ち手である)ファンドと話を詰めて、私募増資や第三者割引などの手法で市場価格より下値での取得するもの。ファンド側は下値での株式取得となる。ファンド側は株式を安く取得でき経営にもある程度関与できる。公募増資に比べて迅速に資金調達できるのは大きなメリット。ファンドの資金や経営力を借りることができる。また企業側(経営者側)は上場を維持できることもプラス。問題点としては、上場を続けていることで、大胆な経営改革はしにくいこと。

ところで一般にTOBでは市場価格より高い価格が提示されるが、日本では市場価格より低い価格で取引される「ディスカウントTOB」が時に行われる(英国では禁止 米国では事実上難しい)。あらかじめ相対で価格を交渉し、スピードを速く特定の買い手に株券をゆずるためとされる。事業再編や持合い解消を速やかに進めるためとされるが(価格について説明責任が残るという指摘があるほか)、ここにもPIPESが登場する余地がある。

MBO方式(非上場) 上場廃止への抵抗感があるが 経営の自由度上 意志決定早くなる 借金するなどリスクを取り込んだ投資しやすくなる。ファンドにとっては(経営陣を統制できるので)短期的資金回収には都合がよい。

 2017年3月のTASAKI ファンドはMBKパートナーズなど 

   2016年10月のアデランス 投資ファンドはインテグラル

  財務管理論(後期)  


金融システム論

2018-03-18 11:52:56 | Economics

金融システム論 financial system
独禁法を無視して統合に前のめりの金融庁 地域金融機関の統合と独禁法
グローバル化進める三菱UFJ銀行MUFG
商工中金の不正融資事件(2017)

銀行の投融資におけるモラルダウン(アパートローン カードローン 外債投資)
異次元金融緩和政策の経緯と大規模な金融緩和の副作用(2018年7月)
米金利上昇と株価暴落(2018年2月)
仮想通貨問題と金融庁の犯罪
白昼の詐欺としての仮想通貨と金融庁の責任
シムズ理論、ヘリマネ論
公的資金による買い支え
非伝統的金融政策について
金融抑圧financial suppression)
2017年度一般会計予算決定(2016年12月)
イタリア モンテパスキ銀行救済(2016年11月-12月)
トランプ円安(2016年11月-12月)
生保 手数料と構造変化への対応
ロボアドとファンドラップ
損保 市場の構造変化と対応
social finance,social business, ESG投資
アジアインフラ銀行
QE3終了までの米国の金融政策
マクロプルーデンス政策
第一生命による米中堅生保買収(2014)
GPIFの資金運用問題
新しい株価指数
積立型NISAと個人型確定拠出年金iDeCo
Research on Big Data
Researchon on  PFI private finance intiative
Research: マイナスの金利 長短金利の逆転
Research: バーゼル規制3
AIJ投資顧問事件(2012年2月)MRIインター資産消失事件(2013年4月)ドイツ証券収賄事件(2013年12月)

Research: ベイルイン ベイルアウト
Research: 円安でも改善しない貿易赤字
Research: Return to Postal Savings in America
Research: Shadow Banking 影の銀行
政府は日本郵政をどうしたいのか(2012年12月26日)
ICEによるNYSEユーロネクスト買収発表(2012年12月20日)
追い詰められた白川日銀(2012年12月16日)
欧州首脳会議 銀行監督一元化で合意(2012年10月18日~19日)
円安と安倍相場の背景(2012年10月後半以降)
JPモルガンチェースが巨額損失を公表(2012年8月10日)
増資インサイダー事件と野村証券に対する行政処分(2012年8月3日)
米証券仲介ナイトがシステム障害(2012年8月1日)
金融機関からみのインサイダー取引事件摘発続く(2012)
東日本大震災と地震保険制度(2012)
ロンドン市場への信頼を低下させたLIBOR不正事件(2012年6月27日)
ポートフォリオ・インシュランスとダイナミック・ヘッジング
金融機関報酬規制で国際合意(2009年9月24日25日)
金融規制強化を目指すオバマ演説(2010年1月21日)
VaR信仰への反省(金融機関のリスクマネジメント)
米国の包括的金融規制改革案(2009年6月17日)
メインバンク制度の崩壊と事業再生ADR
資金調達戦略と企業のライフサイクル
キャリー取引と外国為替証拠金取引
リスクヘッジと金融派生商品取引
第二の財布としての電子マネー
貸金業規制と経済学の在り方
金融立国アイスランドの破たん
メジャーバンクかメガバンクか
金融証券化の目的について
市場原理主義批判について
多くの課題があるCDS取引
金融仲介論から証券化へ
ハイブリッド・ファイナンス
不確実性と合成の誤謬
エイクティ・ファイナンス
保険と正規分布
企業金融論
リスク管理論
財務管理論教材 サブプライム問題 証券市場論教材 英語教材 東京案内


統合に前のめりの金融庁 地銀合併と独禁政策

2018-03-18 07:26:50 | Area Studies

 
 地銀合併に公正取引委員会がストップをかけるケースが増えている。地域金融機関が抱えている経営問題。これと独禁法とが明らかに対立し始めている。問題は監督官庁である金融庁が金融再編を主導して、つまり金融機関再編を進めていることとの関係だ。公正取引委員会が杓子定規なのかどうか? 疑問になるのは金融庁は地域金融機関の経営問題を地域住民の視点でも検証しているのかどうか? 金融庁の姿勢は、消費者や企業側からみた視点を欠いており中立性を失しているように思える。なぜ金融庁は行政機関として性格がゆがんだ状態(民間のことを民間に任せずリーダーシップをやたらと取る状態)に陥っているのだろうか? 

 2017年12月15日時事 公正取引委員会 第四と北越の経営統合計画を承認   

 2017年12月6日ロイター東洋経済 山田総長会見報道 長崎 新潟 ふくおか銀行+十八銀行 第四銀行+北越銀行

 2017年7月28日サンケイBiz ふくおか銀行 十八銀行 地域の預金・貸出の6-7割 地域寡占形成が問題視されている

 2017年7月26日bizj 金融庁主導の金融再編と公正取引委員会

 2017年7月26日ロイター東洋経済 ふくおか銀行と十八銀行 合併阻む公正取引委員会 金利低下・人口減

 2017年4月5日ロイター東洋経済 第四と北越が経営統合で基本合意

 2017年3月8日サンケイ 金融庁西田審議官 長崎県の地域金融機関の経営統合で積極姿勢

 2014年10月7日ダイヤモンドオンライン 金融庁主導の地域金融機関経営統合は正しいか?

 2014年2月7日bizj 異例の金融庁主導の地域金融機関再編 和製ファンドの利益が狙いか 金融庁という役所は誰のために行政をしているのか?

 

  金融システム  


グローバル化進める三菱東京UFJ銀行

2018-03-17 23:42:25 | Area Studies

三菱UFJ銀行は、国際化に舵を切ったように見える。 

2012/11/24ロイター 傘下のユニオンバンク 買収で全米10位以内入り目指す

2012/12/27日経 国営大手銀行ヴィエテンバンクに20% 631億円出資へ

2013/07/02  タイで第5位の商業銀行アユタヤ銀行を買収へ 最大5600億円   で子会社化

2016/01/18東洋経済   フィリピン セキュリティバンクに950億円出資

2017/08/09ブルームバーグ グローバル化目指すMUFG 米英で採用の15人が日本で研修 

2017/10/13プレジデント  利益の4割が海外 株主も4割が海外になった

2017/11/26  インドネシア時価総額で5位 ダナモン銀行買収へ(今後最大で7000億円)まずシンガポールテマセクHDから取得 


どうなる 韓国GM

2018-03-17 16:47:53 | Area Studies

 

2017年3月7日 GMはオペルをプジョーに売却 この結果 韓国GMの対欧州輸出は激減することになった 

2017年4月17日 GM本社は2013年に欧州 続いて2015年ロシアから シボレーブランドの撤退を決定 シボレー車を輸出していた韓国GMは結果として 対欧州 ロシアへの輸出を激減させた。韓国GMは対欧州・ロシアの生産基地としての機能を低下させた。

2017年7月17日 韓国GM 労組がスト入り 

2017年9月22日 韓国GMの撤退あおる労組のストライキ

2017年11月22日 撤退説のなかで 韓国GM 労働組合内部で労労対立 非正規が波状スト 

2018年2月13日 韓国GM 群山工場の2018年5月閉鎖を発表

2018年2月23日 韓国GM没落の原因は貴族労組にある 生産性が低いのに高い賃金を要求

2018年2月27日 Newsweek    22日発表された世論調査で国民の多くが韓国GMへの無限定な公的支援に反対 背景 高い失業率 外資系企業への不信

2018年2月27日 ロイター 東洋経済 国民の多くは公的支援に反対 背景:恵まれた条件を維持しようとする労働組合への批判+高い失業率 他方で韓国産業銀行は韓国GMの17%の株を所有している。


ブロードコムによるクアルコム買収提案(2017年11月発表)の波紋

2018-03-17 13:24:02 | Area Studies

ブロードコム(本社 シンガポール 2017年11月2日社長のタン氏は トランプ大統領と共に記者会見して米国に戻すことを発表 このときは米税制改革の成果のように報道されたが、その4日後の6日早朝 ブロードコムはクアルコム買収を発表。本社を米国に戻すというのが見せかけで、狙いがクアルコムにあることを示した。つまりシンガポールに本社がある、中国系企業では米企業を買収しにくいことからまずは米国の企業に戻ると発表。そしてクアルコム買収に進んだ。米国でこれを安全保障上の脅威と見る見方が台頭するに時間はかからなかった。もともとは米HPが設立したアバコテクノロジーズが母体 2015年に旧ブロードコムを370億ドルで買収で新発足 大容量通信 WiFi向け半導体に強い M&Aとリストラで企業価値を高めてきた。「のれん」が巨額化しているが親中国系企業とされている。)による米半導体大手クアルコム(スマホ携帯電話のチップで圧倒的世界的シェア だが200億ドルの売り上げの9割を携帯に依存 一本脚打法に株価低迷 創業のポール・ジェイコブ氏が会長)買収 の発表から収束までの顛末は以下のとおり。

他方、クアルコムの事業モデル テクノロジーイネ(イ)ブラーtechnology enablerと呼ばれるもので 通信モデムなど携帯電話向け半導体をつくるとともに 端末造りに必要な基本技術の特許を取得 端末メーカー育てながら 両輪(チップと特許料)で稼ぐというもの。⇔ 携帯の普及とともにクアルコムの収入も増加 ⇔ 各国の競争法が優越的地位の乱用を指摘 ライセンス料の支払いで顧客であるアップルなどともめていることが17年に入り表面化 また スマホ市場も成長鈍化 クアルコムの株価は2016年末の60ドル超をピークに低下。2017年11月初旬 55ドル前後をさまようまでに。クアルコムの上位株主には投資助言会社やファンドが並ぶ(バンガードGが7% フィデリティマネジメントオ&リサーチが5% など)。このような株主構成はクアルコム買収が成立しやすいことを意味している。

 2013年1月13日ダイヤモンドオンライン クアルコムが進めるイネ(イ)ブラーenablerビジネス

2017年11月6日早朝 ブロードコム(ホックタンCEO) 同月2日の株価に28%上乗せ1株70ドル総額1030億ドル(12兆円)買収提案発表 両社の株価が上昇 クアルコムは一時65ドル上回る

          ブロードコム クアルコム買収で巨額資金調達か(11月7日) 

    11月8日  クアルコム データセンター用チップ参入を発表

    11月13日  クアルコム 過少評価としてブロードコムの買収提案を拒否

         中国のスマホメーカー クアルコムの混乱を予測して発注控える(11月20日)

    12月4日 ブロードコムはクアルコムの経営陣交代を要求 敵対的買収に踏み出す 3月の総会に向けて委任状争奪戦へ(背景には顧客の側の半導体内製化の動きがあるとされる アップル アマゾンドットコム グーグルなどはそれぞれ自社開発の動き 背景 データセンターの急増と受託製造会社の成長 必要となる資金力・先端分野への知見)

         スマホメーカ― 脱クアルコムの動き 2015年7月28日 

         スマホ向け半導体における内製化 2015年

         車載半導体における内製化 2015年

    12月5日 クアルコム 台湾エイス―スと組んでPC向け半導体に参入を発表(同日 同分野でAMDと組むことも発表)

         ブロードコム クアルコム買収に成功するとどうなるか(12月7日)

         中国の大手スマホメーカー2社が合併に反対を表明(2018年1月11日)

2018年1月16日 クアルコム 10億ドルのコスト削減などで1株当たり利益引き上げる成長戦略発表

    1月31日 クアルコム サムソン電子との提携強化を発表(サムソンへの技術供与で長期契約)

    2月5日 ブロードコム 17%引き上げ1株82ドル 負債引受除き総額1210億ドル(13兆円)を提案

    2月8日 クアルコム 再提案拒否を発表

         買収は株主に短期的にプラス 業界に長期的にマイナス(2018年2月16日) ブロードコムは買収を繰り返し 収益管理を徹底 低い部門は売却を繰り返してきた 長い目で見て買収は業界にとりマイナス。他方 クアルコムは高いロイヤルティ料をとり顧客と対立するモデルから抜け出せないでいる。

    2月14日 両社が首脳会談するも クアルコムは買収拒否を発表(16日)

         クアルコム ブロードコムの買収提案を拒否(2月17日)

    2月20日 クアルコム 買収手続中のNXPの買収額引き上げを発表

        ブロードコム 買収金額を1株79㌦に引き下げ

         共和党幹部 安全保障面の審査必要と明言(2月28日)

    3月4日 対米外国投資委員会CFIUS 安全保障上の懸念がある(ブロードコムはなおシンガポールの企業というクアルコムの申し立て 次世代通信規格5Gに向けた技術開発が滞らないかという懸念)として3月6日の総会の1ケ月延期を要請 ⇔ 4月5日に延期

         米財務省 クアルコム買収で懸念を表明(2018年3月5日)

         クアルコム 株主総会を30日間延期(2018年3月6日)

    3月9日 インテル(もともとパソコン向け 超小型演算処理装置MPU 中央演算処理装置CPU などの  半導体で圧倒的シェア モバイルへの対応を急いでいる) ブロードコム買収を検討

         インテルがブロードコム買収を検討(2018年3月12日)

    トランプ ブロードコムによる買収を国家レベルの脅威として禁止を命令(米国時間2018年3月12日)

    ブロードコム 買収断念を発表(2108年3月14日)

0riginal 2018-03-12

Revised  2018-03-14  

     


浅野幸弘と安達智彦の株価尺度論(1996-1997)

2018-03-15 18:03:30 | Area Studies

浅野幸弘『投資家から見た株式市場』中央公論社、1996
安達智彦『株価の読み方』ちくま書房, 1997
浅野さんはPERの高さを保障するのは、投資機会=フランチャイズファクターだといっている。わが国のような成熟経済でフランチャイズファクタ-が広範に存在するはずはないとしている。PERではなくPCFRでみるべきだという議論については、PCFRに切り替えても米国に比べて大きな数値になることは変わらない。減価償却が大きく余計にコストをかけていることは資本にとって利益が低いことを意味するとしている。株式持合いの慣行はPERを押し上げている可能性がある。また株価をみるとき、株主が受け取るのはあくまで配当であるので配当割引モデルから出発するべきだとしている。(浅野さんの本 第3章)

安達さんの本では 投資尺度の変遷のところ(第2章)がおもしろい。まず配当利回りは配当狙いの投資家がいるので指標として一定の有効性がある。つぎにPERは成長性の指標として使える(割引率が変化しなければPERは成長率に依存するとしている)。つぎにROEは企業評価のグローバルスタンダードなどといわれるが(いろいろ問題がある)。ROEには①株主の期待する収益率という意味での資本コストが反映されていない。②株価がまったく考慮されていない。株価の割高割安の判断ができない。③株主が負担するリスクの大きさに応じて変化するリスクプレミアムが反映されていないので、リスクの異なる企業間の比較に使えない。④ROEの水準は資本構成、会計上の自己資本比率の大きさによって変わる。そこで資本構成が等しくない限りROEによる株式銘柄間比較は意味をなさない。・・・実証研究においても、ROEの水準とその後の株価変化率の関連性は薄いとされている。これに対してEVAはROEに比べてはるかに優れた尺度である(資本コストを計算するとき時価評価した投下資本×加重平均コスト そしてEVA=税引き後営業利益ー資本コスト)。(安達さんの本 第2章)。

証券市場論(前期) 証券市場論(後期) 株式投資入門
財務管理論(前期) 財務管理論(後期)


都留重人と岡崎次郎について

2018-03-15 09:04:55 | Area Studies

 都留重人と岡崎次郎について思い出したこと。

 都留重人が米国で 共産主義者に対する取り調べが厳しかったころ 米国議会に喚問されてその証言がノイマンの自殺につながったとされている事件がある。この件については、第二次大戦開戦時、都留重人とともにハーバードにいた靍見俊輔が、都留重人が米国の下宿に残した手紙を物証として示されたことで、都留が友人関係について言い逃れができなかったことを指摘している。
   Shigeto Tsuru 1912-1906   cited from History of Economic thought 
  1930年代の「黄金時代」にハーバードで訓練を受けた日本の新マルクス主義経済学者。として紹介されている。

wikipedia ノイマン

  都留重人の1957年3月 上院司法委員会での証言をめぐって

 このお話しは有名だが 当時 スタンフォード大学にいた宇沢弘文氏が 非米活動委員会公聴会(なぜか委員会の名称が違っている)での 一人の日本人経済学者の証言を記録して問題にしている。宇沢さんも確信をもって書かれているので、宇沢の書かれているように友人関係を示すこと自体が問題だったとついつい考えてしまう。以下を参照。

 宇沢弘文『ヴェブレン』岩波書店、2000年、91-93
 Hirofumi Uzawa 1928-2014 Cited from History of Economic Thought 

 いずれにせよ、どの委員会でどのような証言をしたかは、記録を見ればわかるはずだ。1957年4月4日の日本の衆議院文教委員会で、留学のため渡米中の都留重人氏が米国上院司法委員会国内治安小委員会で喚問されたことが、指摘されている。かつての留学時に下宿に残した書簡が問題になったこと、この召喚については、都留が日本の国家公務員でハーバードに留学中であったことから、上院から日本大使館に本来は連絡などが行われてしかるべきだが、上院はその手続きを行わなかったこと。都留の証言の結果、大規模な思想調査問題に発展しそうだとの記事が当時出回ったことなどが、この文教委員会の記事から読み取れる。

  別件。資本論翻訳者の岡崎次郎が80歳にして妻を伴って死出の旅に出て行方不明になったお話しは有名だ。

wikipedia 岡崎次郎 これによると岡崎と向坂逸郎が、資本論の翻訳をめぐり対立していたことなどが伺える。

 岡崎の死出の旅路の話は、佐藤優『いま生きる「資本論」』新潮社、2014年、139にでていたので昔この話を初めて聞いたときの鮮明な印象がよみがえった。

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井堀利宏『経済学部は理系である』オーム社, 2017

2018-03-10 09:16:12 | Area Studies

オーム社という理系の本屋さんが、経済学の本を出している。著者は東京大学名誉教授で政策研究大学院特別教授。ここでは拾い読みする。一つのメッセージは経済学部を理系に位置付けよという主張だ。これは理系の大学が、経済経営学部を設置する傾向をなぞっているように思える。自然現象と違って現実の経済では再現実験ができない、人々の行動は経済合理性でとらえきれない、といった社会科学特有の問題への言及は、それ自体興味深い。

正規分布のところは詳しく書かれていて、近年の経済物理学の議論がよく消化されている。pp.35~36

正規分布とは、ある標本集団のばらつきがその平均値を境として前後同じ程度にばらついている分布をいう。これを分布図で表すと、平均値を対象軸とした左右対称の釣鐘型のなだらかな曲線として描ける。・・・p.35

正規分布では、平均値と分散が決まると式やグラフも1つに決まる。・・・平均値と標準偏差がわかれば、ある値が全体の中でどこに位置するのかがほぼ正確にわかる。p.35

対数正規分布が想定されることもある。これは、ある変数xの対数をとったものが正規分布に従う分布である。この分布では、平均よりも大きな値がなだらかに減少していくとともに、極端に高い値をとる変数が出現する可能性がわずかだが存在する。所得や資産の分布は正規分布よりも対数正規分布で近似する方がより現実的である。p.36

近年の経済物理学では、経済現象の多くが正規分布ではなくベキ分布に従っていると想定する。べき分布とは、極端な値をとるサンプルの数が正規分布より多く、そのため大きな値の方向に向かって長くなだらかに裾野をのばしていく分布である。この点で、ベキ分布は対数正規分布と似た形状をしている。富の分布や株価などの資産価格の変化といった経済現象は、正規分布ではなくベキ分布に従うと考えられるようになった。p.36

ベキ分布は、確率分布の1つの定式化であり、正規分布では起こりえない極端な事象が実際にはある程度の確率で起こってしまう現象を扱う際に有効である。・・・対数正規分布やベキ分布に基づくと、こうしたまれに生じる大きなショックもモデルの中で十分に考慮できるという利点がある。p.36

この本は、概論であるので、金融に関しては詳しくない。たとえば利子率の導出のところ。投資が利子率の減少関数であることp.172  そこから利子率国民所得の間に負の相関が成り立つことp.172  貨幣需要も利子率の減少関数であることp.174  また貨幣需要は国民所得の増加関数であることp.175   他方、貨幣供給は政策関数で利子率とは独立に決まるp.174  こうしてIS-LM分析による国民所得と利子率の均衡が導かれている。pp.171~188

しかしこの説明では数値間の依存関係が説明されるだけで、利子とは何かが結局説明されていない。井堀さんの説明ではずされている、利子とは貨幣とは、といった説明が大事なのではないかというように感じる。

最後に株式市場のところをみると、株価の配当仮説が説明されている。

配当仮説は、無限の先までの予想配当流列を債券利子率で割り引いた現在価値で株価が決まることを意味する。p.247

しかし実際は乖離がおきる。この乖離の大きさがバブルの指標となる。pp.249~250

実際のデータで検証してみると、実現した配当から計算された理論値よりも、実際の株価の方が大きく変動している。これは、合理的期待仮説と配当仮説を前提とした株式市場の効率性に大きな疑問を投げかける。・・・実証結果はバブルの存在を示唆している。p.249

この記述からさまざまなことを言いうる。そもそも株式市場で投資家は、経済学者が想定するように市場で理論的に合理的行動をとっているわけではない。また結論として、株式市場が効率的な市場でないとすれば、その効率性を前提にした、様々な議論、たとえば、株式市場を通じたガバナンス(企業統治)のお話しは砂上の楼閣ではないか? といったこと。あるいは、なお市場というものに期待するとすれば、それはどのようなことを根拠にしているのであろうか?

私の考え方は、株価というものは、井堀さんのこの議論をみるまでもなく、不合理に日々変動するものであること。しかしその前の企業の業績であるとか、財務状態であるとか、そうした動かない数値をむしろ基準として、企業評価やガバナンスは考えられるべきではないかということである。つまり株式市場を極端に理想視して、株価をもって企業評価とみる議論はそもそも間違っているのではないかということである。以上のことは、株式市場がHFTやアルゴリズム取引に席巻されている今日、残念ながら認めざるを得ないということである。

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年金債務 年金積立金の運用 代替投資

2018-03-10 00:10:35 | Financial Management

年金債務 年金積立金の運用 代替投資

 年金には、すべての国民が加入する公的年金と、公的年金に上乗せする私的年金とがある。

 公的年金は20歳から60歳未満のすべての国民が加入している国民年金(基礎年金)がまずある。これに会社員が加入している厚生年金と、公務員が加入している共済年金を加えたものを公的年金と呼んでいる。これら公的年金を運用する組織としてGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)がある。

 GPIFの国内株式投資規模は30兆円とされ(2017年6月末 運用資産149兆1987億円 国内債券30.48%   国内株式24.41% 海外株式23.91%)、その動向は株式市場に大きな影響を与えている。企業年金の運用でも議論されるのは株式の場合の価格変動の大きさである。政治的イベントのたびに乱高下する株式は年金のための資金運用ではリスクとなる。そこで注目されるのは、不動産やインフラファンドなど、景気変動に価格が左右されにくい商品である(2017年6月末)。GPIFでは、156兆円の資産の5%を上限に、インフラ事業、PEとよばれる未上場株式、不動産などオルタナテブ(代替)投資(2014年2月に開始 2017年6月末で0.1%水準)をすることをすでに決めており、手法としてFOFという手法を採用する(これは投資信託を通じた代替投資しか認められていないため 2017年内にも投資組合をつくるLPSという仕組みが認められるとのこと)とのこと(2017年9月末 国内債券28.5%  国内株式24.4%  外国債券14.0%  外国株式24.0%   短期資産9.1% 短期資産が増えるのは日銀の異次元緩和による償還された国内債を再投資しづらいことが原因とされる)。GPIFでは2014年10月の運用改革の結果、株式運用比率が従来の2倍に増え、株価上昇による運用益が出やすくなるとともに、価格変動リスクも高まっている(15年度は5兆円の運用損 16年度はトランプ相場もあり7.9兆円の運用益など)。

 企業については、公的年金とは別に会社が年金を支給する制度があり、これを企業年金と呼んでおり、私的年金の代表的な存在になっている。その給付の仕方には、給付水準を確定させる確定給付型と、拠出水準を確定させる確定給付型とがある。近年、リタイア世代の増加、運用利回りの低下などにより、確定給付型の維持が困難になる傾向がある。年金と退職金とを合わせたものを退職給付債務といい、企業はこの債務に必要な金額を積み立てる必要がある。退職給付債務は、割引率(年金債務の割引率 東ガスでは15年物の国債利回り使う...17年3月期0.389% この債務を小さくしたい企業は割引率を高い数値にしていることがある)が下がると大きくなる。2014年3月期から積立不足額を負債に計上することが必要になった。それは自己資本の不足や、格付けに低下に直結する。その増加は企業を清朝にさせ、減少は企業を積極的にする。なお運用の内容では、世界的な低金利 政治イベントによる株の乱高下 伝統的な株・債券から代替投資への流れがある。不動産やインフラファンドなど景気変動に価格が左右されにくい資産が好まれるようになった。

 この年金債務の問題は、日本企業が内部留保を増やす一つの背景であり、企業収益の圧迫要因になっている。企業がR&D投資 設備投資 M&Aなどにおいて企業がリスクテイクに慎重になる一因になっていると指摘される。これをよく示すのが、マイナス金利政策により、企業の年金債務を計算する際の割引率が低下して、年金債務が積み上がり未積立の企業年金が膨らむという関係である。この結果として、日本の企業はリスクテイクに慎重になっているとされる。ただこの点に関しては、それなら企業は確定拠出年金制度に早く移行するべきだ、ということも言えそうだ。

 確定給付年金defined benefit plan 確定拠出年金defined contribution plan

個人退職勘定IRA 税制優遇で個人年金を奨励するもの 個人型確定拠出年金iDeCo:2017年から制度を現役世代すべて(約6700万人)に対象を拡大 2016年末までは勤務先に企業年金がない人や自営業者に限られていた 2016年末の加入者は約30万人 2017年5月末加入者50万突破

 積立不足とは 将来支払い額(退職給付引当債務)>現在の年金資産+退職給与引当金
         年金債務>現在の年金資産

 2014年10月31日 運用改革を決定 国債に頼った運営から国内外株式に 自前運用(手数料削減 運用の自由度高まる) 体制の整備 議決権行使どうするか(株の自主運用については社会保障審議会で反対意見多かった 経団連・連合出身委員など)ダブルバズーカ
 新たな資産構成の目安
  60±8 12±6 11±5 12±5 5 → 35±10 25±9 15±4 25±8
先例 ノルウェー政府年金基金100兆円程の資産の6割を株式で運用する
     今の年金制度は1.7%野利回りが前提だが10年国債利回りは0.3%前後にすぎない(2015年4月段階)
 2014年度は15兆円の利益
 2015年12月末の運用比率 国内債券37.76%  国内株式23.35 外国債券13.50 外国株式22.82 短期資産2.57
 2015年度運用孫5兆3098億円 年度末運用資産134兆7000億円 運用利回り3.81%のマイナス 国内外株式の割合は2倍の50%に拡大(正確には年度末で44%) 7兆円の評価損 債券で2兆円の評価益 損失は運用資産の4%弱・・・・この大きさをどうみるか
 2016年3月末 国内債券38% 国内株式22 外国債券13 外国株式22 短期資産5

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corrected 2018-03-10


少額投資非課税制度NISAと個人型確定拠出年金制度iDeCo

2018-03-09 21:07:48 | Securities Markets

少額投資非課税制度NISA(Nippon Individual Savings Account 20歳以上の国内居住者なら利用できる)は2014年1月スタート(投資上限までの投資に対して非課税)。その後2016年4月にジュニアNISA(年間投資上限80万)が始まり(高齢者の資産を若年世代に移し、若年世代の消費の活性化に期待した)、2018年1月さらに「つみたてNISA」が始まった。年間投資上限額の範囲であれば分配金 運用益を20年間非課税とするもの。つまり非課税期間の延長である。

一般NISA(少額投資非課税制度) 年間の投資上限120万円(2014年スタート時は100万 2016年から120万に引き上げ ただし2016年から顧客は証券会社にマイナンバー通知義務) 非課税期間5年間 投資対象 投信 ETF 株式など(実際の運用は投資信託が65%  上場株式が約30%) 新規投資期限 2023年まで2016年6月末で開設口座数1030 2016年12月末までの買付累計額は9兆4756億円 開設口座数は1069万(口座開設の6割は60歳以上)。2017年3月末で累計額は10兆円に到達したとされる。これを活発とみるかは意見の分かれるところ。買付の半分以上は60歳代以上の高年齢層が占めた。専用口座の稼働率は5どまり。ジュニアNISAの買付額は16年末で289億円。口座数は19万。未成年者が対象だが必要な書類がネックになっているとの見方がある。

NISAの枠は使い残しがあっても繰り越しできす、一般NISAと、あらたなつみたてNISAは併用できない。株式を対象というには金額が小さすぎ、また制度が有期だというのは大きな問題だ。考えるに、NISAつまりその裏にいる金融庁は制度の利用者の立場に立って制度設計をしていないのではないか。

2018年からはじまる「つみたてNISA」。NISAが非課税期間が短く、長期投資に使いにくいとの批判に対応、長期の資産形成に力点。これによって積立投資が普及する可能性がある。中長期には積立型に一本化するとされる。

つみたてNISA 年間の投資上限40万円 非課税期間20年間(金融庁は60万⒛年間を主張 20年間はとおったが金額は40万に値切られた) 投資対象 金融機関が承認した低コスト投信(設計が複雑なもの 手数料が高いもの 信託期間が短いもの 毎月分配型のもの などが除外された 契約期間は20年以上または無期限。毎月分配型でないもの。口座管理手数料・購入・解約の手数料がゼロまたは低めの公募株式投信とETF。信託報酬でインデックス型で0.5%以下 アクテブ型で1%以下(ETFで0.25%以下 公募株式投信で1.5%以下 業界の期待は5400本あるとされる公募株式投信の1割程度の水準。しかし金融庁は投信全体の1割50本前後の水準に絞ったので業界は強く反発した)が求められた・・・この金融庁の指導あるいは対象投信の条件に対して 成績の良い優良な投信がかえって排除される 手数料競争になり収益を圧迫するなど業界の評判はよくない 他方で日本の証券業界が投信の手数料問題を放置し続けてきたことにも問題がある。) ETF(2017年10月2日段階で103本 うちインデックス型が90本と多数を占めた 10月13日現在114本) 新規投資期限 投資は2018年から2037年まで

現行NISAに比べて非課税枠小さくなる 現行に比べ非課税期間が長い 加入企業にとりインサイダー取引の懸念もない メリット 収益の低いインデックス投信中心、また制度が有期であることは不安材料。

このほか 厚生省が所管する個人型確定拠出年金制度iDeCo(個人型DC individual-type defined contribution pension plan)がある。これは掛け金が所得控除となり(課税対象所得から外され)、運用益も非課税となるというもの。非課税となるのは企業年金に加入していない会社員の場合、最大で月2万3000円まで(年27万6000円まで)。非課税は59歳まで。加入対象は20歳から59歳。引出は原則60歳以上。2017年1月から加入対象はこれまで企業年金のない会社員と自営業者などから、公務員、主婦、企業年金のある会社員に広げられた。対象者は約4000万人から約6700万人に拡大。ほぼすべての現役世代に拡大。金融機関はここに大きな市場があると一斉に走った。iDeCoの年間27.6万は無視できないおおきさではあるが(27.6万が20年で552万 拠出限度額は自営業者から企業年金のある会社員までその人の立場に応じて年81.6万から14.4万までさまざまなある)

この制度のもう一つのメリットは、退職金のない人の場合、受給時に退職所得控除をうけられること。そこで今回加入対象になった専業主婦が利用すれば、退職金のように一括受取することにもつながる。また老齢給付金としてうけとると公的年金との合計額で65歳までに70万まで65歳以上は120万まで非課税となる。年金受取にすると、課税対象所得になり所得税・住民税がかかり、健康保険料や介護保険料が高くなる問題が知られている。


トランプによる「関税引き上げ」宣言と全人代開幕

2018-03-06 21:20:35 | Area Studies

トランプ大統領は3月1日(木)。安全保障を理由にした輸入制限を認めている通商拡大法第232条に基づき、米国の安全保障を理由として 鉄鋼25%とアルミニウム10%の関税を引き上げ輸入制限を課すと明言。大きな国際的反響を呼び起こした。これはもともと米商務省が、2018年2月、鉄鋼とアルミの輸入増で国内産業が弱り、安全保障上の脅威になっているとするレポートを公表。3つの対策を示したことに端を発している。興味深いのは、鉄鋼、アルミのメーカーや労働組合が、トランプの方針を支持したこと。逆に共和党内から報復関税や、物価上昇による消費者の負担増を懸念する声が上がったことだ。トランプ政権側は、ただちにコストへの跳ね返りはわずかにすぎないと反論している。なおこのほか 高品質の鋼材を輸入に頼っている自動車メーカーの価格競争力を落とす可能性も指摘されている。

ただ統計の中で、最大の標的 中国の影は意外に希薄である。2017年の輸入シェアで鉄鋼はカナダ16.6% EU14.3%  ブラジル13.5% 韓国9.8% キシコ9.3%  ロシア8.3% トルコ5.7%  日本5.0%  台湾3.3% 中国2.2%(すでに中国には反ダンピング関税が課せられている) インド2.0%  

他方アルミでは カナダ42.3%  ロシア10.6%  UAE9.4% 中国9.1% EU4.2%・・・となっている。

安全保障上の理由であれば安全保障上の同盟国は対象ではないのではと思いつつ、各国は心穏やかではない。トランプの頭にあるのは11月の中間選挙のことだけという言い方もあるが 翌日のアジアの株式市場では 鉄鋼・自動車株を中心に全面安となった。もともと中国は政治局員二人を渡米させて、米中経済対話の再開をはかろうとしていたが、関税引き上げに向かう米政府の姿勢は頑なだった。

米国による一方的な引き上げ宣言に対して、各国が、WTOへの提訴だけでなく、報復関税(中国は米国から大豆を大量に輸入している)などに進み貿易戦争に陥る懸念がある。

こうしたなか 13期全国人民代表大会(全人代 代表は2980人)の第1回会議が3月5日に北京の人民大会堂で始まった。会期中で国家主席の任期撤廃を柱とする憲法改正案(現行憲法では45歳以上の中国国民で有権者が条件 連続3選を認めていない)の採決が見込まれており、これは習近平(2013年から国家主席 前任は胡錦濤 2017年10月の党大会で2期入り)への権力集中を加速するものとみられている。2020年までに小康社会を実現する。経済成長率目標は昨年と同じ6.5%前後。GDP対比の財政赤字を2017年の3%から2.6%に引き下げる。国防支出は8.1%増(2017年は7.0% 2017年1兆元超える)。1兆1069億元(約18兆4500億円)。これには最新兵器の研究開発費は含まれていない。日本の2018年度予算案における防衛関係費は5兆1911億円。

共産党19回大会では、習近平体制が確認されたが、政治局常務委員会の構成ではこれまでのような、若手を引き上げるメカニズムが働いていない。常務委員は60歳から67歳の7人。そのうち習近平氏が64歳 李克強氏が62歳。で要するに同世代の人々で構成されてしまった。

共産党19回大会では一帯一路構想(習近平が2013年に提唱 2015年アジアインフラ投資銀行AIIB設立 2015年11月IMFのSDR構成通貨に人民元採用される 2018年1月には「北極政策白書」を発表)の重要性の強調。

2017年の実質経済成長率6.9% 政府目標の6.5% 2016年実績の6.'7%をうわまわる。名目では11%増の82兆7132億元(80兆円の大台超え 約1430兆円)で米国に次ぐ世界第二位(三位の日本の2.6倍)。インフラ投資が大きく伸びた(インフラ比率22%は過去最高 成長の官依存 民間投資は60% 企業や個人の債務依存は変わらず 金融を除く総債務のGDP比率は255%    2008年の141%から上昇)。2016年時点で中国の名目GDPは米国の60%(2014年に米国のGDPは世界の23%にまで低下。2000年頭には30%超えていた 当時日本は10%超え。)。今後の米国の成長率4% 中国の成長率7%とすると2035年までに世界最大の経済大国に。この成長を実現するうえで、外需は大事であり、中国としては、米国との貿易戦争は、困った事態だといえる。

ここで一帯一路が、対米依存を下げる道として 中国にとり重要であることが分かる。

2016年ふたりっ子政策開始(2015年秋に決定 2016年から認める)で出生数大幅に増える 2016年は前年比131万増の1786万人。しかし2017年前年より63万減少1723万人 幼稚園の不足 都市部で進む晩婚化・非婚化 60歳以上の高齢者は2017年に前年より1000万人多い2億4090万人 人口比は前年より0.6ポイント高い17.3% 生産年齢人口は減少 社会保障財政は悪化へ 90後 親は文化革命混乱期に生まれた70後は貧しさの記憶抱える 00後

2012年の党大会で2020年の国内総生産を2010年比で2倍にする目標掲げたが、2017年の党大会では2020年以降の長期目標を見送った。

2013-2020年の第13字5ケ年計画では最低でも6.5%の成長率維持が示されている。他方で資本流出を防ぎ人民元の急落防ぐために 海外送金などの規制強めている。

2015年11月国際通貨危機なSDRの構成通貨に元を加えると決めた・・・満足したかのように習指導部による元の国際化への取り組みは鈍った。

中国政府は米利上げに伴う急激な元安や資金流出を防ごう(背景 国内の経済成長率減速するなか 人民元を外貨に換えて資金を海外に動かす動きが加速 人民元の下落進む)と、2016年半ばから資本規制の強化に動き 500万ドルを超す海外M&Aなどに事実上 待ったをかけた(2016年11月から 500万ドル超の海外M&A 海外送金 両替は当局の事前審査を義務付け 以前は5000万ドル超だった。また不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどで非理性的投資がみられるとし、高い技術を持つ製造業以外の買収を事実上規制。2017年6月 不動産大手の大連万達集団、投資の海航集団など5グループの海外買収向け融資の点検を、銀行監督当局が銀行に要請したことが判明。もともとこれらの企業は党幹部の親族の関与が指摘されており、海外買収を装った資産の海外移転だったともされる。中国からの対外投資は激減し、」2017年上期は中国は対外直接投資より対内直接投資が多い、資本純輸入国に逆転した。この結果マネーが国内にあふれた。不動産、シャドーバンク P2P金融。企業が銀行を通じて余剰資金を貸し出す委託融資。理財商品。国有企業等企業債務。

2017-2018年 北京・上海など大都市で人口抑制 違法建築の取り壊し 撤去などを進めている。

2017-2018年 北京で大気汚染対策進む。北風による拡散効果も働く。重点地域で基準超えの工場は閉鎖又は生産停止。熱源の石炭から天然ガスへの切り替え。

2017年12月 電力業界に排出量取引を全国レベルで導入 今後 他の業種にも拡大を予定

2017年6月 インターネット安全法 顧客情報の国内保存義務 日本に持ち出すには当局の許可必要