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証券市場・証券規制に関する文献集

2010-08-31 06:49:28 | Economics
日本証券市場年譜(2008-2009)
中国証券市場年譜(1976-2009)

大崎貞和 株式市場間競争と日本市場の課題 金融庁 2009年7月22日
市本博康 取引所取引の現状について 金融庁 2009年7月22日
福光寛 BNPパリバによる不正行為 Entrance for studies in finance Dec.10, 2008(appeared in first)
金融庁 BNPパリバ証券東京支店に対する行政処分について 2008年11月28日
斉藤惇 2008年11月25日記者会見 東京証券取引所
福光寛 「すべての経済はバブルに通ずる」(2008)を読む Entrance for studies in finance, Nov.13, 2008(appeared in first).
福光寛 空売り規制 Entrance for studies in finance Nov.5, 2008(appeared in first)
金融庁 空売り規制の強化について 2008年10月27日
斉藤惇 著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて 東京証券取引所 2008年10月22日
福光寛 投資信託における不正とその批判 Entrance for studies in finance Aug.30, 2008(appeared in first) 
福光寛 金融取引における消費者保護 Entrance for studies in finance Aug.28, 2008(appeared in first)
藤戸則弘 株式「空売り規制」の効果と限界 三菱UFJ証券 2008年7月22日
安岡彰 サブプライムローン問題後のウオール街 知的資産創造(野村総合研究所)2008年6月
東京証券取引所 2008年度上場整備の対応について 2008年5月27日
福光寛 空港外資規制について Entrance for studies in finance May 22, 2008(appeared in first)
福光寛 インサイダー取引の禁止Entrance for studies in finance Mar.22, 2008(appeared in first)
福光寛 迅速な情報開示と虚偽記載の禁止 Entrance for studies in finance Feb.23, 2008(appeared in first)
金融庁 テラメント株式会社に対する大量保有報告書の訂正命令について 2008年1月27日
大崎貞和 米国証券市場における自主規制機関の再編 資本市場クオータリー(野村)2007年冬号
福光寛 証券化の功罪:サブプライム問題を振り返る成城大学経済研究所研究報告No.47, Oct.2007, 1-16.
河野秀喜 MSCB等の発行及び開示並びに第三者割当増資等の開示に関する実務上の留意事項 東京証券取引所 2007年6月25日
東京証券取引所 上場制度総合整備プログラム2007 東京証券取引所 2007年4月24日
東証上場制度整備懇談会 上場制度整備懇談会中間報告 東京証券取引所 2007年3月27日
飛山康雄 東京証券取引所外国株市場について 東京証券取引所 金融審議会(部会名未特定) 2007年3月1日
福光寛 学校債と医療法人債 擬似債券の理論・歴史・現状成城大学経済研究173号, Dec.2006, 1-51.
東京証券取引所 上場制度総合整備プログラム 東京証券取引所 2006年6月22日
安岡彰 変貌したアメリカのリテール証券市場(下)知的資産創造(野村総研)2005年12月
安岡彰 変貌したアメリカのリテール証券市場(上)知的資産創造(野村総研)2005年11月
三菱UFJ証券 証券会社の自己資本比率規制 三菱UFJ証券HPより(2005年9月末現在)
福光寛 アメリカの住宅金融をめぐる新たな視点 証券化の進展の中でのサブプライム層に対する略奪的貸付成城大学経済研究170号, Sep.2005, 57-88.
福光寛 債券投資におけるマーケット・リスク管理成城大学経済研究169号, June 2005, 89-116.
吉川満 投資サービス法の狙いと金融機関の対応 大和総合研究所2004年12月10日
福光寛 エクイティ・ファイナンスをめぐって成城大学経済研究166号, Nov.2004, 95-132.
福光寛 コーポレート・ガバナンス:いかに機能させるか成城大学経済研究165号, June 2004, 89-129.
西出勝正 証券取引における売買形態についてニッセイ基礎研レポート 2004年6月
大崎貞和「レギュレーションNMSについて」資本市場クオータリー(野村)Spr.2004
吉野貞雄 証券取引所の自主規制について 金融審議会第一部会 2003年11月21日
福光寛 市場と規制 証拠金規制をめぐって成城大学経済研究161号, June 2003, 113-146.
西村尚剛 米国の証券市場規制について PRI Discussion Paper Series No.03A-08 2003年5月
福光寛 空売り規制について成城大学経済研究158号, Nov.2002, 285-323.
大崎貞和・平松那須加 米国のMMFとその批判 資本市場クオータリー(野村)2002年冬号
福光寛 公社債投資信託の元本割れをめぐって成城大学経済研究所研究報告No.31, Mar.2002, 1-30.
福光寛 金融排除を超えてー金融機関と倫理成城大学経済研究153号, July 2001, 153-184.
福光寛 Corporate Governance of Japan in Transition成城大学経済研究151/152合併号, Mar.2001, 191-208.
福光寛 M&Aについて成城大学経済研究149号, July 2000, 97-122.
重頭ユカリ ビッグバンと金融サービス法 季刊組合金融2000年春号
福光寛 プリンストン債事件について成城大学経済研究148号, Mar.2000, 83-118.
福光寛 変貌するコーポレートガバナンス成城大学経済研究147号, Dec.1999, 65-119.
橋本基美 日米の空売り規制 資本市場クオータリー(野村)1999年秋号
福光寛 新たな段階に入った日本の資産証券化成城大学経済研究145号, July 1999, 103-142.
福光寛 資産担保証券の財務的意義について成城大学経済研究所研究報告No.21, Mar1999, 1-24.
淵田康之 取引所新時代 資本市場クオータリー(野村) 1998年夏号
福光寛 1997年10月の金融パニックについて立命館経済学46-4, Oct.1997, 64-70.
福光寛 外人投資と日本の株式市場立命館経済学46-2, June 1997, 142-166.
山地秀俊 アメリカの証券市場規制と会計情報公開 国民経済雑誌(神戸大学)168巻1号 1993年7月 
福光寛 金融の証券化と銀行の将来像-コアバンク論について-立命館経済学41-4, Oct.1992, 1-13.
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金融仲介論と証券化

2010-08-30 09:55:48 | Financial Management
金融仲介機関と証券化intermediaries and securitization
はじめにintroduction
 今日は金融仲介financial intermedariesについてです。金融とはお金の足らないところ(赤字単位)にお金の余っているところ(黒字単位)からお金を融通する仕組みだと考えられます。この仕組みを専門用語では金融仲介というのです。
従来、赤字単位としては企業を、また黒字単位として家計を想定してきました。個々の家計、企業には赤字のものも黒字のものもあるけれど、それを集計した、家計部門全体、企業部門全体では家計は黒字で、企業は赤字と想定されてきました。しかし実は近年、企業部門がおかしいのです。黒字基調なのです。だとすると、企業金融とは資金調達の議論だと言えるほど、企業金融論は資金調達の仕方に従来比重があったのですが、その議論の枠組みを考え直す必要があるのではないか(積極的に問題を提起するなら、企業金融、企業財務の役割は資金調達の必要ということを含めて、リスクの管理にあるのではないか)を、この講義のところでします。
 しかし結論にたどり着くために、まず順を追って企業金融のお話をしたいと思います。
 少し実務的な流れを話しましょうか。手形・小切手・当座預金・当座貸越・手形割引・証書貸付・内部資金・外部資金・直接金融・間接金融・社債・少人数私募債などを説明しましょうか。まず企業間での商取引では信用取引(掛け取引)が見られます。品物の受け渡しが先で現金の支払いが後払いになるというケースですね。このときに約束手形promisory notesで支払うということが起こります。この手形は満期まで手元に置いてもいいのですが、満期以前に現金化の必要があるときは金融機関で割り引いてもらい現金化します。企業活動に必要な新たな資金を企業は、まずは内部資金でまかなおうとします。内部資金の源泉になるのは内部留保利益と原価償却です。内部資金ではなお必要資金に不足するときが外部資金の出番です。外部資金の源泉には、企業間信用に加え銀行の融資(当座貸越 割引手形 手形貸付 証書貸付)、社債発行、増資があります。
預金の種類 当座預金 小切手と手形 当座貸越 割引手形 手形貸付 手形の更新 証書貸付 支払承諾 銀行融資 社債の発行 少人数私募債 中小企業の資金調達

 金融の仕組みを、専門用語で金融仲介と呼んでいます。実は高等学校の政治経済の教科書でも、金融仲介は紹介されていまして、赤字単位・黒字単位と呼ばれる2つの経済単位の間で、直接お金が融通されるケースを直接金融direct finance。間に金融仲介機関financial intermediariesが入るものを間接金融indirect financeと呼んでいます。直接お金が融通されるのは、黒字単位が赤字単位を信用できることを示します。それは赤字単位が誰でも知っている大企業などのケース。金融仲介機関が間に入るのは、黒字単位が赤字単位を信用できない、しかし金融仲介機関であれば信用できたことを示します。この金融仲介機関と赤字単位の間の信用力の差異は、それぞれが支払う金利の大きさに反映します。そしてこの利ざやが金融仲介機関の収入になるわけです。

 金融仲介論ではこの金融仲介機関の機能を詳しく説明しています。この機能はむつかしい言い方では、信用代替といいます。金融仲介機関は自分より信用力の劣る赤字単位に信用の面で代替しているということです。その結果、黒字単位から赤字単位に金融仲介機関を介して資金が融通されます。もう一つの機能は、資産変換機能です。小口・短期のお金を大口・長期のお金に性質を変化させているということですね。これは逆に見ると、大口・短期で運用しながら小口・短期のお金に変化させることです。
 間接金融は、銀行が金融仲介機関の中心であることから銀行型間接金融bank-based indirect financeと呼ばれることがあります。銀行業務bankingは、relationship bankingとも呼ばれるいわゆる長期的融資業務と、transaction bankingとも呼ばれる、現金管理cash management、貿易金融trade creditなどの取引を中心とする為替決済業務(商取引に関わる業務)とに分けることがあります。相対型か市場型かという区分は、この2つの銀行業務のうちrelationship bankingのあり方を議論していたように思います。この長期的融資業務には、相対型取引の側面があるからです。融資業務をcredit scoring方式でtransaction型にできないかという議論があります。しかしミドルリスクの分野は、与信、債権の保全・回収に手間が必要で、省力化がむつかしいとされています。
 ここで相対型取引といいましたが、商取引の形態には、売り手と買い手が1対1の相対型、売り手も買い手もたくさんいる市場型、どちらかが一人でその反対側は多数いる「せりauction型」の3つがあり、それぞれ特徴があります(表1-1)。

表1-1 取引の区分type of transactions
相対型取引negotiated transaction取引条件は弾力的tailor made 取引への外部者参加に閉鎖的closed 個々の取引は異質heterogeneous
市場型取引market transaction取引条件には多くの決まりごとready made 取引への外部者参加に開放的open 個々の取引は同質的homogeneous


 金融のタイプについて池尾和人『銀行はなぜ変われないか』(2003)は、経済がダイナミックに変動するときは、資本市場中心の金融システム(企業買収によって事業会社が再編されている社会をイメージしてください)が有効だとしています(表1-2)。(このような評価は池尾さんに限られたものではありません。2つのタイプの金融システムを比較として、新技術産業の発展に市場中心の経済システムが仲介機関中心の経済システムより成功したとの評価は、たとえば以下に紹介されています。Franklin Allen and Douglas Gale, Comparing Financial Systems, MIT Press, 2000, pp.403-437, esp., 434-435.この2つのシステムの対比を、資本市場中心のシステムと、銀行中心のシステムと表現することが正しくないことは今日では共通の理解になっています。銀行というものを短期信用中心に捉えず設備投資資金の貸付もする存在としてとらえているからです。Bradley D.Nashは、資産や利益に対する持ち分を表わす有価証券により調達される、固定設備の建設資金を仲介する機能を投資銀行業と呼んでいますが、近年の日本の大手銀行はこのような投資銀行業、つまり資本市場との関係を深めているといえます。Bradley D.Nash, Investment Banking in England, McGrawhill, 1924, pp.3, 47.)


表1-2 2つの金融システム(池尾和人)
銀行中心の金融システム大口債権者大株主がvoice型のガバナンス産業の発展の方向がわかっている場合は有効
資本市場中心の金融システムexit型のガバナンス企業支配権の市場が存在産業構造の組み換え 産業部門を越えたダイナミックな資本移動といった課題に有効
池尾(2003)p.90-92

 ところでもともとは相対型だった銀行の長期融資業務が、近年、市場型の要素を加えつつあるようです。このように現実を考えるときは、対象とする事実を歴史的に変化しつつあるものとして捉えることが重要です。
 銀行の長期融資について、日本では、土地(不動産)担保主義。あるいは遡及権付き(with recourse)貸付が行われてきたという言い方がよくなされます(注)。遡及権とは、担保資産を処分して債権を一部回収しても未回収債権が残る限りは返済を債務者に請求できる債権者の権利を意味しています。この側面でも、銀行が融資するときの判断の基準が、借り入れる側の不動産担保real estate based lendingからその収益力cash flowに変化しつつあるとされています(表1-3)。背景には遡及権を付けないノンリコースローンの普及があります。
 (注)これに対して1960年代から1980年代にかけて三和銀行の業務(支店や本店審査部など)の一線にいた寺田さんは日本の銀行で花とされてきたのは手形割引を中心とした短期金融とそのノウハウ(経営者の人物や融通手形を見抜いたり、融資先の実態を現場での見聞・決算書の分析から観察すること)だがそれは信用貸しのノウハウである。不動産担保付き融資の伝統もノウハウも日本の銀行にはなかった。それが信託銀行との競争や、より高い金利を取りたいという意識から不動産担保付き長期融資に走ってしまった、と指摘しています。寺田欣司『銀行員という職業』近代セールス社, 2008年, pp.175-182, 214-216.
 貸付債権の譲渡において、遡及権が付いた債権は譲渡後の権利関係が複雑になること。あるいは債権が不良化したときに、遡及権が付いたままだと回収が不能の判断が遅れやすいこと。などリコース付きローンの問題がわかってきました。そこでノンリコースローンの導入が始まりました。その結果、原則は担保を取りますし(加えて保証人を求めます)ので、あくまでも相対的な問題ですが、融資判断(開始 継続 条件変更など)において、財務数値に表れるような定量的情報の比重があがったとされています。
 このような一連の変化と、近年、スコアリングモデルによる貸付(無担保貸付を含む)、シンジケートローン、証券化、企業買収時の融資などに銀行が取り組むようになったこととは密接な関係があります。(もともと商業銀行は為替決済業務を担うことで、つまりサービスを提供することで資金調達コストを下げています。また多数の投融資を行うことでリスクの分散を実現しています。このほか長期にわたる債務者との取引経験、信用保証人制度など。金融リスクに対処する担保以外のこれらの多くの方法を思い起こすことは無意味ではないでしょう。J.R.ヒックス 新保博/渡辺文夫訳『経済史の理論(1969)』講談社学術文庫, 1995, 第5章参照。)

表1-3 貸付融資の判断区分
real estate based lending:REBL不動産など担保中心主義 遡及権付with recouse
cash-flow based lending:CFBLキャッシュフロー中心主義 ノンリコースnon-recourse→ シンジケートローンsyndicated loan 証券化securitization 企業買収時の融資
asset based lending:ABL売掛金 在庫 機械設備など動産担保などの資産をさらに担保をとることでCFBLの限界を超えたリスク融資をすること

ABLを私はこの表のREBLの意味で使っていたが、動産担保融資を考える上でABLにおける資産を不動産に限定した議論が狭いと思われること。さらに米国型ABLとの区別をつけにくいので、ABLをこの表にあるような米国型ABLの意味に今後使うことにする。 米国型ABLの入門書である以下を参照。G.F.ユーデル著 高木新二郎・堀池篤共訳『アセット・ベースト・ファイナンス入門』金融財政事情研究会, 2007.

 この変化(相対型から市場型 担保中心から収益力重視へ)という問題は、企業の側からみて、マイナスとばかりはいえません。金融取引を、金融機関から企業に対して外から与えられる外生的なものから、企業自らの創意と工夫によって、たとえば保有資産を証券化によって現金に換えるといったように、内生的(かつ内製的)なものに変化させるチャンスになっています。それを企業のリスク管理の進化とみることもできます

(1) 市場型間接金融market-based indirect finance
日本では間接金融と直接金融との中間に市場型間接金融market-based indirect financeと呼ぶべき金融分野が存在することが近年注目されるようになりました。それは金融仲介機関から資金が流れている点で明らかに間接金融なのですが、間接金融の特徴とされてきた相対型金融(取引条件の決定が相対の交渉によるものであり、取引への参加は交渉当事者を想定している その両者の関係は継続的取引関係がベースになっている)ではなく、取引への参加が交渉当事者以外のものにもオープン(あるいはオープンになりうるもの)であり、取引条件の決定で競争など市場メカニズムが利用されている点では市場型金融といいうる特徴をもっています。
 このような市場型間接金融の典型とされるのはシンジケートローンです。
 シンジケートローンでは幹事銀行(arranger)が、その企業の財務内容をベースに取引条件を決定します(入札auction方式がとられることもあります。大事なポイントは他の金融機関が参加できる透明性が求められるので、その企業の市場での評価が条件を決めるということです)。決定された条件で参加する金融機関(lenders)が広く募集されることがあります(open deal)。なお内輪のグループで引き受けるのはclub dealといいます。証券の発行において引受証券と企業が発行条件について話し合い、その後、引受証券が応募者を募集するケースに大変似た経緯ですね。証券の発行の場合も、相手方は市場ですから、発行条件はその企業の市場からみた評価が基準になります。
 シンジケートローンは金融機関にとっても様々な利点があります。まずとりまとめをする金融機関(arranger)や契約締結後、ローンの決済・事務管理を行う金融機関(agent)は手数料が得られます。シンジケートローン(協調融資)方式は、個々の金融機関にとっては融資額を抑えることにつながります。すでに見たように貸付条件は借入企業の信用力に見合ったものになります。従来型の相対型金融で金融機関は、しばしば融資をめぐる競争から企業の信用力に見合った金利を取リ損ねてきたのです。
 他方、企業にとって、単独融資ではむつかしかった大きな金額の長期融資を実現できるメリットがあります。
 シンジケートローンには、融資枠契約(コミットメントライン)型もあります。コミラインが、シンジケートローン普及を推し進めたともされています。
 それまで企業は、金融機関との長年の取引関係に頼っていました。融資の継続を信じていたのですが、1990年代に金融機関の体力が落ちて金融機関の貸し渋りを経験します。また長期にわたる不況の中で、不要の借入の整理を迫られます。
 コミラインでは、企業は、手数料を払って借入の選択権を得ます。この方式ですと借入は権利ですから、従来の暗黙に借入を期待する状態よりも、企業にとっては安心できます。また、コミライン契約を結ぶことで企業は借入を節約できます。
 シンジケートローンという形態は実は以前からありました。シンジケートローンが注目されるようになったのは、特定融資枠契約に関する法律が1999年3月に制定されて、融資枠契約における手数料が、利息制限法や出資法の規制にかからないことが明確になったことが大きいとされています。そして金融機関にとっては、手数料が稼げますし、貸出リスクは抑えられます。融資枠契約は、企業側・金融機関側双方のニーズに合っていたので急速に普及しました。
 融資枠契約が企業にとって将来の資金面でのリスク管理に役立つことも理解できますね。
なお黒木さんはシンジケートローンは事業再生の出口(exit finance)として悪用された面があったと指摘しています。この場合、幹事金融機関はその立場を利用して手数料を儲けながら、自らの融資残高を減少させたというのです。黒木正人『わかりやすい融資実務マニュアル』商事法務, 2007年, pp.58-62, 158-160.
 確かに事業再生金融が議論された時期とシンジケートローン活発化の時期は重なります。最終的に当該企業が破たんしたとすると、これはリスク分散の名を借りた不良債権の押しつけになりかえねません。シンジケートローンでは参加金融機関はアレンジャーを信用して企業の実態把握がおろそかになりがちだとされていますので、十分な注意が必要です。

(2)資産証券化asset securitization
 つぎに証券化についてお話しましょう。これはここまでの直接金融・間接金融という言葉からすると直接金融です。ですから証券化は間接金融の役割の低下financial disintermediationにつながるとみられていました。少なくとも伝統的な金融仲介機関の後退につながると見られていました。
一般に仲介機関外しの動きをdisintermediationといいます。その典型はインターネットを通じたさまざまな取引で、メーカーが顧客とダイレクトにつながる動きに見られます。このようなインターネット取引が普及すると、さまざまな仲介業者が取引から外され、メーカーと顧客がダイレクトにつながることになると議論されています。同じことが金融機関についても議論されたわけです。
 しかしfinancial disintermediationは杞憂だった、心配が過ぎていたように思います。むしろ金融仲介機関は証券化のプロセスに自分自身が入っていったと思います。自らの資産を流動化する方法として、また自らの資金の運用対象として。
 証券化についてのもう一つの論点は、証券化を通じて企業そして金融機関の資産が、証券化されたということについてです。
 これを資産証券化asset securitizationといいます。企業そして金融機関の資産は、資産証券化というプロセスにより、外部の投資家の投資対象に変化した。企業や金融機関は自分の資産を新たな資金源として活用できるようになった。保有資産というのはリスクを抱えた存在でもあります。証券化は、その資産を資金調達の手段に変えたのですが(これを内製化bring in houseということがあります)、リスク資産の大きさをコントロールする手段になっています。
証券化についてはいろいろな側面があります。リスク管理の手段としてみるべきではないかというのがここでの主張になります。(資金調達手段の多様化である、資金コストを引き下げる手段である、資産を圧縮することで資産効率の改善につながる、など様々な見方があります。しかし資産には収益を生む側面もありますので、それを売却するのはその資産保有のリスクが、企業や金融機関が許容できる保有リスク量を超えているからだと考えるわけです。)
 証券化については、実質的にオリジネーターの取引なのに、その簿外取引になるという批判があります。ただ証券化という行為そのものが、オリジネーターと切り離すことで成立しますので、こうした批判を受け入れてよいのか疑問も残ります。 証券化の進展により、近年では、既存資産(過去の投資資金の回収)だけでなくfuture assetつまりfuture cash flowが証券化の対象になったこと(新規事業資金の調達)が注目されています。
 証券化についてさらに学びたい人には次の本を薦めます。
Frank J.Fabozzi and Vinod Kothari, Introduction to Securitization, Wiley:2008


Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Mar.31, 2009.
Corrected and reposted in August 30, 2010.

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日本のヤフーと米グーグルの提携(2010年7月27日)

2010-08-24 10:20:12 | Financial Management
 日本ヤフー(ソフトバンクが4割 米ヤフーが3割出資)と米グーグルが2010年7月27日提携を発表した(日本での2010年4月現在検索シェアは53.2%、37.3%とされる)。これは少しおどろきだった。アメリカでは2008年に表面化した米ヤフー、グーグル間の提携にマイクロソフトが激しく反発して破談になった記憶がある。そのうえで米マイクロソフトは、2009年7月に米ヤフーと提携。
 だから日本のヤフーは米グーグルと組まないと勝手に思っていた。しかし日本のヤフーはマイクロソフトの検索技術の日本語対応が不十分と判断。米ヤフーから米グーグルに検索エンジンシステムと検索連動型広告システムを乗り換えると判断をしたとされる。
(以下の渡辺さんの記事によればヤフーの現行検索システムには検索結果の表示のされかた、スピードなどに多くの問題があったようだ。米ヤフーの供与していた技術が多くの問題を抱えていたこと、またマイクロソフトとグーグルの検索技術を十分比較したうえでグーグルに軍配をあげたものといえる。それだけにマイクロソフトとすれば立つ瀬がない、敗北感漂う話である。
 渡辺隆弘, ヤフーがGoogleの検索技術を採用, Ascii Web Professional, July 27, 2010

 なお提携といっても表示結果の違いがのこり、広告営業も別々と説明している。そして2010年春の相談開始から3ケ月ほどで公正取引委員会が容認の判断を示したことを受けて提携を公表した。しかし公正取引委員会の判断に対して、独禁法関係の学者には疑問を示すものが少なくないようだ。その後 公正取引委員会は独占禁止法上の問題はないとの報告書を2010年12月2日に発表。とはいえ検索シェアが9割になっても問題がないという判断は常識では理解しにくいところだ。(欧州では欧州連合が2010年11月 グーグルが独占的な地位を利用して集客をはかっている疑いで調査を開始。2011年6月には米連邦取引委員会が同様の調査を開始した。その後2011年3月末にMSが欧州委員会にグーグルを支配的地位の乱用で調査要求。)

 日本のヤフーは中国のネット通販最大手の淘宝(タオパオ)(アリババグループ)との提携を実現している(2010年5月10日正式発表 2010年6月1日開始)。
 日本のヤフーは2009年2月にソフトバンクIDCソリューションズ(データセンター子会社)を450億円かかけて買収している。日本のヤフーにおけるクラウドサービスの強化と説明されたが、同じソフトバンクグループの中での買収は、ヤフーの資金をソフトバンクに移すためととられかねないリスクはある。(2010年6月30日付けロイターニュースによれば、ヤフーはこの件で東京国税局から約540億円の申告漏れの指摘を受けたとのこと。IDCには約220億円の繰越欠損があり、買収によりヤフーの所得を圧縮する効果が生じたことも背景にあるようだ。他方、ヤフーは指摘を不当として争う方針だとされる。
 2010年6月30日ロイターニュース
 日本のヤフーは2006年9月29日にジャパンネット銀行(三井住友銀行系)に対して第三者引受方式で258億円、40%の出資(258億円中、212億円は取得条項付き無議決権株、残りは普通株式)を行い業務提携している。
 ヤフー 三井住友銀行 ジャパンネット銀行の記者発表文2006年6月29日

 ソフトバンクはすでにみたように米ヤフーとともに日本のヤフーに共同出資。他方でかつては米ヤフーに出資してきた(1996年のピークには37%)。ところが2000年頃から米ヤフー株を順次売却。2004年には出資比率が4%にまで低下。このほとんどをソフトバンクは2011年8月米シテイに譲渡した(これは2004年の借入の返済代わりで当初の契約によるとの説明)。ソフトバンクは、中国のアリババグループに出資するなどアジアに目を向けているようだ。そのアリババは、米ヤフーの買収に向けて交渉中であることを隠していない(2011年10月から11月)。

 他方、マイクロソフトは富士通(ほかには米デル、米イーベイ、米HP)との間でクラウドコンピューテイング事業で共同展開を発表した(2010年7月10日日本経済新聞朝刊および朝日新聞朝刊 7月12日記者発表 データセンターの共同利用など)
富士通の記者発表文 2010年7月13日付け
 この2ケ月前にはソニーとグーグルの提携が報道されている(2010年5月21日日経朝刊 なお同日正式に発表)。テレビのネット化が一気に進むとも。グーグルの基本ソフト、アンドロイド、クロームを採用したインターネットテレビを2010年秋にも実現する。スマートフォンなどにもグーグルソフトの搭載を進める。

 2010年後半に入ってパソコン販売が減速したときに、多機能情報端末の製造販売やクラウドコンピューテングにかかわるメーカーが高収益を維持した。マイクロソフトのようにパソコンソフトの販売で成長してきたメーカーにとっては危機である。マイクロソフトでもクラウドへの対応(オフィスをクラウド経由で提供するなど 日本ではNTTコミュニケーションズと提携)、ウインドウズセブン搭載の多機能携帯端末の市場投入(これもデータ保存などクラウドサービスを利用できる)を急いだ。クラウドでは複雑な情報処理は、データセンター内の高性能コンピューターが処理。ソフトもネット経由で利用可能。そのソフトの販売でまさに成長してきたMSはビジネスモデルの転換を進めざるを得ない。MSは2009年10月にウインドウズセブンを発売。2012年に投入予定のウインドウズエイト(仮称)は、タブレット(多機能情報端末)を強く意識したものとのこと。

 なおクラウドサービスは東日本大震災を契機に、サーバーを複数持つ効果(データの分割保存)という安全性でも評価されるようになったとのこと。

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UAE政府がblack berry禁止を通告(2010年8月)

2010-08-21 07:43:00 | Economics
 カナダRIM(Research in Motion)社製のBlack Berry携帯と同社の各国政府への対応が問題になっている。現在問題にしているのは、トルコ、サウジアラビア、UAE、インドなど。
 問題になっているのは、この携帯を通じた通信が国外のサーバーで管理されていること(カナダにある自社サーバーで管理していることが問題視されている)。また使われている暗号化技術が高度で治安上の懸念があること。だそうだ。
 つまり治安維持の観点から各国政府がRIM社に求める点が2つある。一つはサーバーを当該国にも設置して、サーバーの情報への各国治安当局のアクセス(モニター監視)を認めること。そしてもう一つは暗号解読技術の供与である。

 これらの国でRIM社と長年交渉したが何もえられなかったとして、RIMの携帯の一部の機能停止を求める動きがでている。最初に禁止をうちだしたのは8月1日のUAE当局者発言。これは10月からの使用禁止というもの。続いてサウジが交渉期限の8月6日までにRIM社が妥協姿勢をみせないことから態度を硬化させて8月7日から使用禁止にするとした。これに対してRIM社は急きょ妥協を図ったとされる。同様にインド政府も8月一杯と期限をきってRIM社に圧力をかけている。私が不思議に思うのは、ここまで問題が国際化するまで、事態を放置し続けたRIM社の姿勢である。サウジとの妥協は読めていたはずなのになぜこういう結果になったのか。
 RIM社は、今回の問題での同社の立場についてコメントしているが、その内容はサーバー情報へのアクセスについて政府をとくに優遇することを否定するものだ(まずこのあたりから同社の国際企業としての感覚の異常さが伺える。政府からの要求にpriorityがないというのだ。また同社はそもそも各国政府と交渉中の問題について完全なノーコメントを貫くべきだった)。ところが実際には同社は強く求める国とは裏取引に応じて、サーバーを問題の国に設置したり(対サウジ政府)、メール情報へのアクセスをその治安当局に認めている(対インド政府)、など裏の話が表面化してしまっている。これでは、各国政府としてもRIM社への圧力を強めざるを得ないだろうしRIM社への信頼(政府からの干渉監視を受けたくないとする人々からの)も台無しだろう。
 では問題はどこにあるのだろうか。たとえばであるが、UAEとの交渉は2007年から続いていたとされる。結局、UAE政府はこの交渉でRIM社から譲歩を引き出せなかったということである。その隣国のサウジも同様に交渉を重ねていた。両国とも政権の性格は親米的であり、それだけに反米的テロを警戒している。米国政府としても、この目的であれば協力を考えざるを得ない。そう考えればRIM社の側に選択の余地があるはずがない。ただしその決定は、あくまでRIM社は自社の利益に沿ったものとして出す必要がある。と結論を考えると、問題をわざわざ国際的な騒動にまで拡大させてしまったRIM社経営陣の判断ミスは極めて大きい(妥協して暗黙に収束させるチャンスは何度もあったはずだ)。
 RIM社ではこの騒動の渦中の8月3日にBlackBerry 6の記者発表を行っている。しかし新製品発表の効果は、国際的騒動によってたちまち霧散してしまった。治安を重視するのは実はイスラム国家だけではない。RIM社は企業がしないでいい言論の自由のための戦争を勝手に始めてしまったのではないか。この騒動は全体が愚かしいが、一つはっきりしたことはRIM社自身に情報管理能力や国際感覚が欠如していることだ。

 なおblack berry携帯を通じて、国家機密が英米に流れるという問題を、かつてフランス政府が問題にして話題になったことがあります。(フランス政府が経済閣僚にブラックベリー携帯の使用を禁止 FT July 19, 2007)。背景には米国における愛国者法(US Patriot Act of 2001)制定の問題があります。2001年9月の同時多発テロ後、短期間に審議制定された同法により米国政府(米連邦捜査局)は、同国におけるメールや通信を令状なしに合法的に検閲することが可能です。ブラックベリー携帯は、米国のサーバーを経由しているため(システムの詳細をRIM社は公開していませんが)、ブラックベリー携帯を使用することは、米国政府に情報を公開しているのと同じだという指摘があります。参照 各国で高まるインターネット規制 2009年6月23日)。つまりこのブラックベリーの問題は米国政府だけが情報をもち、各国政府は確実な情報をもたない、という問題ともつながります。この状態は米国にとっては有利ですから、米国政府は本音では改善するつもりが全くないかもしれません。

7月26日 UAE政府がBlack Berry携帯が政府の規制外にあることを問題にしていることが報道された(Tom Gala, "The security is central to Black Berry regulation" in The Nation(UAE), July 26, 2010)。このTom Galaの記事は、UAEだけで50万以上のBalck Berry利用者がいること、解決の一つの方法はUAEにRIMがoperating centerをおくことであること、この問題が通信事業にはつきまとう問題であることなどの論点を示している。
7月29日 Zack Whittaker, "Black Berry encryption 'too secure': National security vs. consumer privacy"in ZDNet, July 29, 2010
"UAE says BlackBerry ban will affect visitors too" in MSNBC COM, Aug.2, 2010
"BlackBerry service to be suspended by UAE"in Tech World, Aug.2, 2010
8月4日 Rim社は、BlackBerryの顧客はデータが盗み見られないようにデータ交換に際して安全装置をかけることができるが、つまりそれを暗号化できるが、同社をそれを解除できるマスターキーをもっているわけではないと主張している。他方でインド政府は、政府機関によって視聴できない通信は同国の許可の基準に達せす、そのサービスは継続できないと主張している。サウジアラビア政府も同様の主張である。Tammy Josselyn, "India, Saudi Arabia want more regulation on BlackBerry Data exchange"in Finance News, Aug.4, 2010
8月5日 サウジアラビア政府はRIM社が暗号化されたメッセージのモニターを拒否していることから8月7日からBlack Berry携帯の機能の一部を禁止する方針。David George-Cosh, "Saudi to block BlackBerry service" in The Nation(UAE), August 5, 2010こちらのDavid George-Coshの記事はサウジアラビア政府はRIM社に対応を求めるため3ケ月という期限を切った期限が8月6日で切れることから、8月7日からBlackBerry携帯の規制を始めるとのサウジ政府の8月4日付け発言を伝えている。他方UAE政府は同様の期限を10月11日から禁止を最終決定だとしているとのこと。
8月5日 Hilary Clinton米国務長官は、BlackBerry問題について、米国とUAEの専門家が協議をすることになるとした。記者会見でClintonはUAEの懸念に理解を示すとともに問題はとても複雑だとした。"US, UAE to hold expert talks on Blackberry: Clinton"in Islam Tribune Com, Aug.5, 2010.
8月6日 KONUREはこの時点の各国利用規制の動向と規制理由を分析している。BlackBerry Infrastructureがカナダ、アメリカ、イギリスにしかないことが理由の一つであり、RIM社は妥協点を探っているとしている。BlackBerry 利用規制とその理由 KONURE, Aug.6, 2010
8月7日 サウジ当局者はRIM社との間で交渉の進展があったことを認める発言をしている。"Saudi says agreement close on BlackBerry services"in The Economic Times, Aug.7, 2010.
8月9日 FTcomから引用記事(by Paul Taylor)はつぎのような論点を示す。RIMの暗号化技術は、言論の自由なアメリカやカナダで競争的な技術としては問題はなかった。しかし今やblack berryは国際化している。アメリカ政府を含め、ロシア、中国政府は暗号解読技術をもっているのでこの問題を除くことができる。しかし中小国ではそうではない。UAE政府は問題が表面化するまで3年間も協議したが、RIM社から妥協をひきだせなかった。レバノン政府、インドネシア政府も同様に懸念をいだいている。他方でRIM社は、中国への進出にあたっては、中国政府の国防上の懸念を払しょくする努力を払ってから進出している。Globe Investor, August 9, 2010 from FT.com  
8月10日 サウジアラビア政府はRIMとの妥協で、BlackBerryのmessenger service停止を回避したと報道された(Ben Woods, "Saudis grants RIM a BlackBerry reprieve"in ZDNet, Aug.10, 2010)。ここでRIM社はサウジアラビア政府に譲歩を行った。その内容は非公開ながら、データ通信にあたりサウジ国内のRIMのサーバーを経由させることを含むとのこと。問い合わせに対して、BlackBerry(ロンドン)は、RIM社の対応はどの政府に対しても同じものだという過去のコメントを再び示すにとどまった。
Mike Luttrell, "Saudi Arabia lifts ban on Blackberry, details uncertain"in TGDaily, Aug.10, 2010
8月11日 ライターの末岡洋子さんは趣旨としてつぎのように分析している。BlackBerry携帯はデータ通信がすべて暗号化されることが利点だが、それが各国の懸念をもたらしている。伝えられるサウジアラビアでの妥協がその他の国との妥協のモデルになるのではないか。末岡洋子「中東でのBlackBerry禁止の動き」Ascii.jp×デジタル.jp, Aug.11, 2010
8月13日 インド政府が8月31日のdeadlineをRIM社に伝えたことが報道された。他方、RIM社はいかなる政府とも個別取引を拒否するとしている。BBC, Aug.13, 2010
8月16日 インド政府関係者がインド政府が8月31日までBlackBerryのメールに対する限定的アクセスをRIM社から与えらていること、RIM社は9月1日までにインド政府に対して完全なアクセスを与えることを求められていることを明らかにした。Fox Business, Aug.16, 2010
8月19日 同日付けDJは、以下を伝えた。トルコ政府情報通信技術局(BTK)の責任者は8月6日に現地紙でのインタビューでBlackBerryへの調査が開始されていることを明らかにしていたが、8月19日、調査を継続中で規制を検討していると語った。アルジェリアの通信大臣も国の安全性に懸念がある場合はBlackBerryの通信中断を躊躇しないと発言している。なおRIMと情報アクセス協議が進展しなかったため、UAE政府は10月11日からBlackBerry携帯の機能を一部停止する。8月初めにRIM社は声明を発表し、RIM社は企業から過度に暗号化されたデータに接しているわけではない(it doesn't have access to heaviy encrypted data from corporations)、また合法的な通信の視聴要請には応じるとしている。Joe Parkinson and Yeliz Candemieri, "Turkish regulator still mulling BlackBerry regulation" in Total Telecom, August 19, 2010 original from Dow Jones

参照 enemy of the state (1998)

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有事モードの企業財務

2010-08-16 12:25:19 | Financial Management
 有事モードの企業財務とは、資金調達環境の急激な悪化に対応して、手元資金厚めをとくに優先する事態を指す。その内容は①長期資金調達環境の悪化(起債環境の悪化)さらには②銀行借入の困難といった事態を含む。
 しかし有事モードの企業財務には、経済環境の急激な悪化という意味もしばしば含まれている。このような急激な経済環境の悪化は、消費マインドの落ち込みによる売上の急減(→生産・投資の急減)を伴う。手元金が不足するのは、過去に予定した支出(投資CF)が続くなか、売上(営業CF)が急減するからである。営業CFは在庫の増加によっても減少する。その結果、純現金収支(=営業CF-投資CF)急減や赤字化も生じる。企業は売り上げの急減に関わらず利益を上げるため、固定費・変動費などの圧縮に努める。有事モードの企業財務は、財務内容のリストラの議論につながる。

1) 手元資金の確保を中心とする議論
 運転資金の確保が最優先でともかく現預金を積み増して守りの財務に徹する。
 運転資金とは 運転資金=(在庫+売上債権)ー買掛債務

 そのためには短期借入増やすケースもある。これは(イ)短期借入がまだ可能であること、(ロ)借入金利というコストを払っても手元資金を積み増すことが優先されていることを示している。
 現預金の積み増し、守りの財務とされる特徴は、資金の流出をともかく避けようとする企業行動に現れる。生産能力増強など設備投資、研究開発投資は控えられる。経費の節減が図られる。そして配当、自社株買いなどの資金流出も抑制される。 
 手元資金対策優先
 自社株買い控える
 配当控える(配当据え置きから減配)
  配当を業績連動型にした企業が増えたことも影響
 注意したいのはこうした決定は経営者が自ら決定することで確定するということだ。交渉が必要なことでなく、確実に実行できる。
  
 CPや短期借入の増加 2007年後半から2009年前半まで
 とくに顕著なのは2008年9月リーマンショック以降年末まで
 2007年後半から2009年前半までの企業財務

 長期資金調達が行われないあるいは控えられるのは、イ)長期資金調達が困難状況がある(金利が高騰している 審査が厳格化している 投資家が安全志向に陥っているなど)、ロ)、ロ)設備投資、研究開発投資などが抑制されることで、長期資金のニーズが減少していることも示している。これは当面の資金繰りcash managementが企業の最大の関心事にということだが。

2)財務リストラを中心とする議論
 背景には、企業環境(経済環境)について、短期的に今後の見通し困難が生じていることが関係する。また売上が急減するなか過去に予定した支払いが実行され、手元資金の急減が生じていることを繁栄している。
 そのことが新規設備投資や研究開発費を抑制につながる。配当などの資金流出も抑制され、手元の現預金の積み増し現金を積み上げることが優先される(公にはM&Aへの備えなど)。
 しかし単に先行きが不透明であるだけでなく、中期的にみても売上の急減が回復しない、設備投資や雇用の過剰があらわに重なっているケースもある。
 そのときには、設備と雇用の過剰の解消が課題のためにも、不要不急の設備投資を急がないこと、場合により先送りすること。新規のものは慎重にすること。などがより強い命題になる。
 2段階にわけて考える。①設備投資抑制すると減価償却費を増やさないかあるいは減らす効果が働く(逓減法の場合など経費節減効果)。②借入返済が予定通り進行していれば、新規借り入れがないだけで有利子負債削減効果が生じる。
 ここで一般論として企業は不採算事業からの撤退で積極的に有形固定資産が減少させる(逆にいえば採算事業に企業の資産をシフトさせる)。過剰な生産設備の削減。スリム化。

資産リストラのより具体的内容
不採算事業からの撤退
 工場閉鎖 生産・販売拠点の統廃合
 工場・生産設備 売却
生産設備の減損処理
 設備投資・研究開発費の抑制で手元資金確保
 リース契約見直し
 減損処理:将来の予想収益から算出した価格または売却可能価格
 設備の価値を引き下げ償却費を減少させる 
 生産設備の減損リストラ
のれん代の償却
 M&Aにともなう「のれん代」の償却 要するに膨らんだ資産を減らすこと。

 固定費を引き下げる 他社との提携余地を増やす狙いもみえる
 (最先端設備は帳簿価格高い=減損リスクも高い 減損処理をすることで簿価を引き下げ減損リスクを解消する)

人件費の削減
 賃金抑制 役員報酬カット 従業員給与のカット
 人員リストラ 人員削減 人件費は固定費化しているとよく指摘される。常用雇用の従業員の人件費は確かに固定費である。

 棚卸資産(在庫)の圧縮(手法としては在庫管理の強化 見込で在庫を増やさず在庫回転率を引き上げる 設備投資の抑制とともに営業CFの回復に効果あり)過剰在庫は在庫評価減など収益下押し要因 かつ現金収支改善につながる
 工場レベルでも仕掛品の圧縮が重要。在庫ゼロの迅速な供給体制が目標(完全受注生産は在庫リスクが低いので目標 顧客ニーズとのバランス)。

販売管理費抑制
 日常経費も抑制
 広告宣伝費も抑制

原材料費 原材料の種類を減らす
設計生産方法の見直し 生産を絞り込む
販売促進費
物流費
拠点統廃合(都心物件割安化による本社移転含む 顧客利便性 本社機能の集約)

営業方針の見直し 例:条件の悪い案件を受けない
 建設会社の場合 代金立替案件の受注抑える
         他方で立替案件の代金回収を進めることは債務圧縮につながる

 借入を抑制。必要な資金は手元の余裕資金(グループ内資金)を振り向ける。棚卸資産の圧縮や売掛債権の早期回収など資金効率の改善によりそもそも運転資金需要を減らす。
 短期借入で済ませる。市場が混乱しているときは一時的に上乗せ金利が上昇することも。そうした混乱時の借入を避けるという面も。企業は1990年代後半に銀行の貸し渋り(与信管理の強化)に苦しんだことで銀行に頼ることのリスクを経験済み。
 日本の市場が混乱しているときはアメリカで。あるいは逆にアメリカの市場が混乱しているときは日本でというように、混乱している市場を避けることも方法。

有事の企業財務の目標は高い手元現金水準の確保にある
 リスク投資を抑制する。現預金、債券など元本保証商品への投資に徹する。資金は信用力の高い金融機関に退避させる。 
 潤沢な手元資金を確保することは、銀行の融資姿勢厳格化に備えて手元資金を厚くもつことで運転資金を確保し雇用の安定を維持することにつながるという言い方もある。厚い手元資金は、顧客企業の信頼。信用取引の基礎となる。
 需要増を当て込んだ増産も避ける。これは需要の見落としに不確実性が高いこと、あるいはそもそも中期的にみても設備は過剰で、その解消が課題だという判断などが重なっている。

2009年3月決算
 資産効率の悪化 資産の圧縮より利益の低下のスピードが早い
 自己資本比率の低下 内部留保の低下
 このほか市場要因も影響する
 商品価格の低下   棚卸資産
 株価の低下     持ち合い株の期末時価評価
 投資外国為替の下落 投資有価証券
 最終赤字
 債務超過

 まずは資産の圧縮 棚卸資産 受取手形・売掛金圧縮
    手元現預金厚く 現預金 短期有価証券 増やす
 自己資本対策 第3者割当増資 など

3)企業再生再建手法としてのDESなど財務リストラ
 この財務リストラの手法に一つにdebt equity swapやdebt debt swapなどがある。
 以下はこのブログのequity financingからの説明文引用であるが、これらはゆき詰まった企業の再建手法として別途理解した方がよいと判断している。

 たとえば、企業を再建するために、債務と株式の交換に債権者が応じるdebt equity swap:DESをご存知ですか。この場合、債務比率は一挙に小さくなる(自己資本比率が一挙に上昇する)という劇的な効果が生じます。債権者は、企業の再建再生に協力することで、貸したお金が将来、株式が上場されて、あるいはファンドに買取られて、現金として回収されることにかけるわけです(なおここではもう一つ仕掛けがあり、普通株ではなく優先株を発行させて債権者は割増配当をしっかり要求するわけです)。これは財務の構造という点では大きな変化ですよね。債務漬けだった企業が財務の数値上は優良企業に変わるわけです。
ほぼ同じものですがdebt-debt-swap:DDSがあります。これは債務を株式ではなく劣後債務(劣後債 劣後ローンなど)に切り替えることに債務者が応じるというものです。貸し手の金融機関にとっては、貸付金を債権として保有を続けたいという債権者の意向を生かしたものといえます(債務者の側だって株をもたれることには抵抗があるかもしれません)。金融監督機関の側が、この劣後債務の資本性を認めれば、DDSでも債務者の財務比率の改善効果が生じます。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.

有事モードから平時モードへの転換
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有事モードから平時モードへの転換

2010-08-16 12:25:03 | Financial Management
 有事モードの企業財務とは、手元資金厚めを優先する財務戦略を指す。短期借入増やすケースもある。長期資金調達環境の悪化あるいは悪化の可能性が問題で、資金流出を避けてともかく現預金を積み増し 守りの財務に徹することを意味する。
 守りの財務の方法は、財務リストラと呼ばれる一連の経営手法にある。その中心にあるのが資産リストラであり、その重要な手法にアウトソースがある。
 有事モードの場合、企業はやむをえず、手元資金を高めて、内部資金でのやり繰りに務める。有事モードが解消されると、まずはこの手元資金の積み上げを解消する行動が現れる。前提になるのは資金調達環境の正常化である。

 手元資金の積み上げのつぎに期待されるのは、部分的に長期資金調達に移る企業が現れ始まることである。
 しかしどうも2008年9月の金融危機(リーマンショック)以降、企業は平時モードにもどっても無借金経営を依然として目標にしている(外部金融、つまりアウトソースに依存しない)との指摘がある。
 有事モードの典型とされるのは、起債環境の悪化のなかで、CP 短期借入の増加した2007年後半から2009年前半まで。とくに顕著なのは2008年9月リーマンショック以降2008年末までとされる。

 有事モードの収束は、手元資金の積み上げを最優先する事態の終わりを意味する。収束して平時モードに移行することで、企業は手元資金の資金繰り以外の問題に目配りを始める。
平時に移行するなかで、最初に考慮されるのは、利益の確保であり、財務の安定性確保である。
 おそらくはであるが、有事になるなかで売上が急減している。その状態で利益を確保し、将来の借入などに備えた安定した財務状態の確保が課題になる。具体的には有利子負債の削減、負債資本倍率引き下げ(例 1倍以下)、自己資本比率改善など。

 ところ平時に至っても、借り入れてまでは拡張しない。あるいは、借入は常に返済できる範囲にある企業(実質無借金企業)がどうも増えているようだ。

FCF仮説のとらえ方
 これはfree cash(=営業CF-投資CF)を多くもった経営者はそれを浪費しがちであるので、それは株主に還元されるべきだ(これは配当や自社株買いで余剰資金を減らすことを意味する)という、アメリカのファイナンスの仮説(free cash flow hypothesis)では説明できない事態だ。
 この仮説には、その発展形があり、それはfree cashが余っている状態よりも、レバレッジを高めて自己資本利益率(ROE)をできるだけ上げる状態がむしろ望ましいとするもの
 果たしてこのモデルが今後も続くかどうかは分からない。ただ確実であることはフリーキャッシュフロー仮説(自ら自由にできるFCFを得た経営者はそれを浪費しがちであるから、効率的に投資する先がないばあい、FCFは株主に還元されるべきだとの考え方)では、こうした無借金経営に走る企業行動を合理的なものとして説明できないことだ。
 (大村敬一さんはFCF仮説を経営者の立場と株主の立場とに分けて、それぞれの視点から2重に説明している。株主の方からいえば、FCを少なくするほどエージェンシーコストが節約されて企業価値が高まるし、外部ファイナンスを増加させれば、それだけ外部監視が強まり、経営者の勝手な行動の抑制につながり、企業価値は高まる。他方、経営者は、裁量権を高めるためだけでなく、情報の非対称性がある場合、本来採択されるべき投資プロジェクトが過小評価され実現しない(あるいは株式や社債の価格が過小評価され必要な資金が調達できない、あるいは調達コストが高くなる)といった問題を回避するためにも、利益還元を低めて内部留保を高く持つ傾向をもつと説明する。参照, 大村敬一『ファイナンス論』有斐閣, 2010年, pp.296-297.FCF仮説は、株主の立場、あるいは主張だけを説明するものだと思っていたが、このように経営者のFCFを増やそうとする行動の説明にも使うこともできる。)
 今から30年近く前になってしまったが、わたし自身の学生時代に、利益率の高い大企業は内部金融internal financeへの依存度を高めるという考え方があった(そしてさらに余剰となった資金が銀行の外にオープンマーケットを発展させると考えられた)。
 それから先ほど述べたようなfree cashを否定してレバレッジを重視する企業金融論の時代が長く続いた。
 それだけに実質無借金経営、手元のfree cashの厚みを重視する企業金融論の近年の傾向(そこではFCFを積み上げる経営者の行動が受け入れられる)は(企業の本音はもともとこちらだったと思えるが)、大変注目されるのである。

 移行期には利益確保も強く意識される。しかし結果として利益の減退が生じるのは、事業環境の変化に企業が対応する(リストラや事業転換など)には時間がかかる。つまり収益率(自己資本利益率 総資産利益率 売上高利益率)、資産効率(総資産利益率)の改善はやや遅れる。それもあって転換期には、利益率は減少、しかし自己資本比率の改善など財務比率の改善の数値まず並ぶ。

平時転換時の資産リストラ
 売上の減少に対して利益を確保する観点から、固定費の圧縮に取り組む。有事モードから継承されるものが多い。
 資産回転率低下 → 資産リストラ余地
 事業の選択と集中の継続 → 事業別に投資効率ROIを測定 採算管理・投資効率
 アウトソース 自前工場持たない一つの方法(自前主義)
 顧客の近くで生産 物流費圧縮
 自動溶接機 人員配置見直しなど生産合理化により 生産量増やす 残業なくす

平時モードへの転換時の経費抑制
 投資抑制 経費抑制続く

転換時には資金効率、財務比率などへの目配りの回復など財務面の特徴顕著
 平時モードへの移行期:財務内容改善を優先 財務安定化が最優先 
 コストをかけてまで手元資金を余分に持つ必要はない 手元資金を適正水準まで減らす
純現金収支のプラスで負債返済 2009年後半以降
 明確な特徴としては負債圧縮 → 資産効率改善への目配りが始まった段階を指す
 財務比率改善が改善している
 自己資本比率の改善している 公募増資や株価回復も関係
 DEレシオ(負債資本倍率)下がっている
 負債は長期化・安定化 短期資金の長期化 社債発行で短期負債比率下げる 長期資金調達環境の改善 普通社債 転換社債 公募増資の増加 CPの減少 なお2009年後半以降野調達環境改善を利用 長期金利上昇懸念もあり早めに起債。
 まとめると守りの姿勢は続くが、バランシシート改善に意識はシフト 負債構成の長期化 資金調達コスト抑制に目配り

転換期:コスト削減意識強い
  在庫管理 在庫削減には意外に生産調整の持続が効果あり
  設計開発の内製化で外注費節約
  ライン生産設計方法見直し
  日常経費もトップ決済
  残業抑制
  出張抑制
  アウトサービスの利用(オフィス、会議室、倉庫・物流センターなど物流施設、車)
 棚卸資産(在庫)減らす 在庫評価減や値引き販売抑える効果 

転換期:投資・支出の拡大に取り組む企業もある
 財務リストラの問題 人件費リストラ 従業員のモチベーション低下。有能な社員の離職。人件費を戻し従業員のやる気を引き出す企業も。
 逆張り投資
 財務リストラの問題 設備投資年齢上がる 投資を控える時間が長くなると設備投資年齢の高齢化が進む。投資が活発だと若返りが進む。2006年第2四半期から始まった若返リ2009年第二四半期ででとまり高齢化が始まったとされる(第一生命経済研究所が内閣府の民間企業資本ストック統計から試算)。

平時モード移行後:無借金企業が企業の財務戦略の目標に
 しかし平時モードで借入拡大に戻るかについて、戻らないで無借金経営が目標になるという考えかたが強くなっている。
 借金つまりレバレッジを利かした経営という米国流財務論が否定されている。
 金融市場の混乱時に格付け低下企業なかに、資金調達で苦境に立った経験から、増えた営業CFで有利子負債軽減へ向かい、さらに実質無借金経営(=手元資金>有利子負債 なお手元資金ー有利子負債=ネットキャッシュ)になるものが増えている。これは生産のところでのコスト優先から、自前主義の放棄、アウトソースへの依存へ進むのと対称的である。
 無借金経営ということはお金の面で外部に頼らない、財務基盤が強固であることを意味するからだ。
 ネットキャッシュの大きい企業に対しては、資本効率に問題がある可能性、がアメリカ流のテキストの受け売りから持ち出された(このような主張は証券会社のアナリストが出しているが、何か具体的な根拠があるわけはない)。他方で、配当や自社株買いの余力がある証拠(端的に借金の返済、有利子負債の減額にあていることもある)ともされた(市場はアナリストの意見は信用せず、こちらの見解をとった)。
 金融危機をへて、ネットキャッシュ企業への評価は、経営環境が悪化した状況でも、投資余力があるとして、肯定的評価が多くなっているのではないか。また時価総額に比べてネットキャッシュの比率が高い企業は、それだけ株価が割安だという肯定評価も出されている。

M&A資金としての手元資金
なお医薬品やIT企業では手元資金(現金 短期有価証券)を活用した企業買収、設備投資が実際頻発している。手元資金は投資余力、体力などともいわれる。手元資金の厚みがあれば、株価下落・円高を投資の機会として生かすこともできる。
 
 
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.

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PC・家電の電力消費量抑制について

2010-08-13 21:14:15 | Economics
コンピューターの消費電力問題
 電力消費全体の中でコンピューターなど情報処理にかかわるものが無視できない大きさになっている。2006年に電力消費量に占めるIT関係の消費量は5%に達したが2025年には20%にまで急増するとの予測がある。
 背景にはネットを通じた情報量の増加がある。とくに2005年前後から動画配信が増えた影響が指摘されている。
通信会社やネット接続会社におけるネットワーク接続機器の増加が、電力消費量を押し上げている。
 発熱は故障頻度の増加にもつながる。冷却ファン、さらには水冷システムで冷やすと電力が必要となる。発熱そのものを減らす工夫が大事になっている(このような空調の省エネは大きな課題。発熱を再利用することも始まっている。発熱を水で吸収して外気に放出あるいは補助熱源に利用。水は冷やして循環利用。)。
 LSI(高速大規模集積回路)のところでは、データ処理を分散させることで処理効率を上げ発熱を下げる試みがある。
 サーバーとルーターの発熱量が大きい。ここでは、配線を光配線にすることで電力消費を抑える研究が進んでいる。またデータ処理量に応じてサーバーの稼働率を自動制御して電力が必要以上に消費されることを抑える仕組みがある。

クラウドコンピューテイングに省エネの側面
 サーバーやソフトでレンタルで借りたり、インターネットを通じてサーバーやストレージを借りると、自前で購入するよりは割安になるという。いわゆるクラウドコンピューテイングであるが、これは個々の企業レベルの省エネや経費節減に役立っている。
 SaaSというのはインターネットを通てソフトウエア機能の提供をうけるもの。自社でシステム構築を行う場合の時間と経費を節約できる。
 またデータセンターにあるサーバーやストレージを利用することは、ITにおけるリスク管理(ウイルス感染 不正侵入の防止、情報の漏えい 改ざん システム障害)の面からも注目されている。

データセンターと省エネ 省電力
 またこうした施設は大量の電力を消費することから省エネをいかに実現するかもしばしば話題になっている(例 日立が省エネ型データセンター事業を米中でも展開へN2010/06/08。日立は2010年度中にもデータセンター専門の空調設備会社を英国化オランダに設立するとしているN10/04/17。従来より6割ほど消費エネルギーを下げるという。)。
 このほかNECがデータセンターむけに省エネ型サーバー(従来より最大で7割削減可能)を2010年5月に発表して注目されたN2010/05/08。このほかインターネットイニシアテイブでは外気冷却を用いた省エネの実験をしている(従来より4割削減)N09/11/26。

 このほか半導体ではさらなる回路線幅の微細化が有効だとされる。表示装置では発光効率の向上
 電力の直流・交流変換を半導体で行うこと。

パワー半導体
 なお半導体メーカーが進めているパワー半導体の増産も省電力で注目できる。家電、電気自動車、産業機器などでモーターの駆動制御、集積回路の動作に使用されている。電気の流れを交流を直流に変えたり、電圧を変えたりきめ細かく調整。電力損失を大きく減らせるとのこと。電気自動車、鉄道車両、発電システムなどでは大きな効果が期待されている。
 パワー半導体のうち高性能のIGBTは大電圧、大電流の制御に適しており、日欧のメーカーが手掛ける。世界最大手はドイツのインフィニオン・テクノロジー。日本のメーカーでは三菱電機とロームがチップの量産体制にある。東芝、富士電機でが炭化ケイ素を使った、また富士通セミコンダクター窒化ガリウムを使った新型チップの開発を急いでいるとされる。これらは次世代型といわれ従来のシリコン製より5割以上失われる電力は少なくなるとのことである。 

 そしてホットチップスからクールチップスへ。CPU(中央演算装置)へのマルチコア(中枢回路 複数のコアに情報処理を割り振り電力を最適制御する)技術導入がある。これは省エネと高速化の両立を可能にする。インテルやソニーが先端にあるがソニーSCEのPS3(8個のコア)はまさにこれを使った商品として知られる。

家庭電化製品、電気自動車ではパワー半導体に注目集まる
従来はシリコンが素材。高電圧に強い炭化ケイ素を使うことで、スイチング素子を高速で動かし、電力損失を大幅に減らすことが可能になる。携帯や家電用のものと、ハイブリッド自動車、鉄道車両などより高電圧の産業用のものの分野に分かれている。エアコンで3割程度消費電力を減らせるとのこと。日本では、東芝、三菱電機、富士電機、ロームなどのメーカーが開発を競っている。

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corrected and reposted in Aug.13, 2010

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データセンター saasとcloud

2010-08-13 13:55:44 | Economics
データセンターdata centerとクラウドcloud computing

 もともとコンピューターソフトの使用を時間貸しするというサービスsaasが出発点である。saasが実は、サーバーの時間貸しになることが理解されるのに時間はかからなかった。つまり顧客企業は、ソフトだけでなくサーバーを保有する負担からも免れることが可能だと次第に理解された。そこからサーバーをそのものを借りる、貸すという発想がうまれるようになった。
cloud computingとはsaasというサービスが意味している、このような中身が明らかになってから普及した名称であり、ソフトを資産として保有することから顧客企業を解放する(saas: software as a service)だけでなく、機器(サーバー)の保有から企業を解放する一連のサービスを広く指している。
 このcloud computingの基盤になるのがdata centerである。高性能サーバーが多数配備されている。
このサービスの登場と普及により、IT産業は、大型data centerの整備を急いでおり、労働集約産業から装置産業に急速に変貌しつつある。
software as a service overview InfoClipz
what is cloud computing

 ところでこれまで事務機についてはリースという形態があった。これまではサーバーを含めてリースの必要があった。cloudではここの切り分けが大きく変わってくる。
 機器のリース(機器を資産として持たない 基幹システムであるサーバーは月末などに合わせて能力を決めるため普段の稼働率は低い)
 クラウドコンピューティング(ソフトを資産として持たない ソフトを含めて月額課金を払えば資産として持たずに活用できる)。シンクライアント端末(記憶装置を持たないものは情報漏れのリスクがないとされる)という方法もあり。
 顧客側は、サーバー、ソフトを自前で確保する必要がなくなる(情報システムの負担が軽くなるというのがセールス文句だが)
 顧客の側では、端末に高機能ソフトを搭載することも不要になり、これがネットブックと呼ばれる低価格パソコンの普及にもつながった。

cloud computingとして、企業のデータを集中保管するデータセンター機能をネットを通じて、業務として提供することが見られるようになった。このサービスは、顧客のサーバーを預るhousing service(collocation service)と、顧客にサーバーを貸し出すhosting service(shared hosting service)とに分類される。collocationは価格競争が激しいが、hostingや、データセンター移管の設計構築業務などは急増するとみられる。トータルでは 2013年に世界の市場規模は1500億ドル(13兆5000億円)と予測されている(世界はガートナーの予測、なお日本の市場規模はその10分の1程度 IDCジャパンの予測)。システムの安定稼働、コスト削減、運用負担の軽減などからデータセンターに業務を委託する動きが強まるとみられるからである。

hpがデータセンターをアウトソーシングサービスとして提供するというのは前者のhousing service。センターをどこに置くかで郊外型と都心型の違いがあり郊外型は低価格のhousingが可能としている。同社は山梨に床面積9000平方メートルの、また渋谷にも8000平方メートル規模のセンターを保有しているようだ。
日本ibmによるパブリッククラウドサービスはこのうち後者のshared hostingにあたる。1台のサーバーを複数社が利用することでサーバーの利用効率を高めて費用の効率化を実現できるとしている。料金は従量制。2009年10月中旬から提供としている。
規模の経済が働くとされる。企業が単独でサーバーを維持する場合に比べてデータセンターのアウトソース化には、LANによる接続、高度のセキュリティ、24時間空調と電源を確保された環境を安価に確保できる利点があるとされている。
 インターネットを通じて無料ソフトが提供されることから差別化する必要のないシステムは社内でもたないことが増えている。例 メールシステムをアウトソース化する企業が増えている。アウトソース化により、運用管理コストの増加、メールボックスの大容量化、メールセキュリティなど、様々な問題の解決につなげようととしている。
 この場合、たとえばある企業がgoogleのgmailを利用することは、googleのデータセンターにあるサーバーを他社と共同で利用していることになる。
IT投資が厳しい中 効率的な情報システム強化 データセンターの設置場所として日本は電力の高さ 耐震基準の厳しさが響く

クラウドには多数の企業が使うパブリッククラウドpublic cloud同じ企業内で使うプライベートクラウドprivate cloud(社内クラウド)の区別もある。

HP 山梨データセンター 1998年7月 延べ床面積9000平方メートル
  渋谷データセンター 延べ床面積8000平方メートル
Hp世界85ケ所のデータセンターを北米6ケ所に集約。 
ソニーは2015年をめどに世界約60ケ所でのデータ管理をアジア(シンガポールに大規模センター)と欧米1つずつに機能統合へ。

データセンターは東京近郊に集中している(2009年で全体の7割)。緊急時にシステム管理者が急行する必要があるためとされる。
伊藤忠テクノソリューションズ すでに横浜市、神戸市など全国5ケ所約7万6000平方メートルでデータセンター運営。横浜のデータセンター敷地内に大規模データセンター新設へ。投資額70-100億円。延べ床面積約1万平方メートル。2012年4月に稼働予定。
新日鉄ソリューションズ同社として約1万平方メートルと最大規模のデータセンターを東京都西部に新設。2011年度中の稼働を目指すとのこと。用地取得費を含め投資額は約120億円。
日本IBM 千葉市(2008初め稼動)
KDDI ロンドンで2万6000㎡のデータセンターを保有し欧州では大手。2010年3月末1万9000㎡9階建のビルを新設稼働させる。1.7倍に。投資金額約8000万ポンド、110億円。 述べ床面積4万5000㎡ 4万台を超えるサーバーを収容する欧州最大級のデータセンターを整備。金融機関などの需要の伸びに対応。KDDIでは海外ビジネスの基盤をデータセンターとして積極的に投資。2009年には香港のシステム開発企業DMXテクノロジーを120億円で買収(第3者割当増資で52.56%取得)。
NTTコム シンガポール(5階建自社ビル 約2500台の設置面積 2012年春サービス開始)とベトナムホーチミン(3階建てビル 200-300台 2011夏開設)にデータセンター新設へ。
NTT西日本 2010年春までに70億円投資し大阪地域のデータセンターの総床面積を5割増しの1万4500平方メートルに拡張する(西日本ノエリア内に30ケ所以上のデータセンターを保有 建物はいずれも震度7に耐える)
日立 横浜市に新設備(2009.7稼動 500台 今後増強を予定 地上7階 1万平方メートル超)企業が購入したサーバーの運用を日立のデータセンターで運用することも想定
野村総合研究所 データセンター用に東京都多摩市に約二万平方メートルの土地を取得 2012年度完成で延べ床面積一万6000平方メートルの大型センター建設 総投資額200億円 野村としては⑤ケ所目
富士通 群馬県館林に新設備(2009秋 1000台稼動 床面積1万平方メートル以上 2010年10月からサーバー1台あたり1時間当たり31円から貸し出す) 手のひら静脈利用の厳重な入退室管理など高度のセキュリティ。顧客はネット経由で富士通が持つサーバーや外部記憶装置(ストレージ)を時間単位で利用する。2010年度中での英米独オーストラリアシンガポールにあるデータセンターの能力を増強(投資額は合計で500億円程度)。サーバーなどを時間あたりで貸し出すサービスに海外でも乗り出す。

米企業の例
MS アイルランドと米シカゴで2009年7月運用開始 合計9万3000平方メートル 将来は数十万台 利用企業例 リクルート、米グラソンスミスクライン
他方、マイクロソフトは富士通との間でクラウドコンピューテイング事業で共同展開を発表した(2010年7月10日日本経済新聞朝刊 7月13日記者発表 データセンターの共同利用など)
米セールスフォースドットコム 世界で7万7000社の顧客企業。日本でも経済産業省、損保ジャパンなど。2011年に東京にデータセンター設置。これまでは米国、シンガポールのデータセンターでサービス。現在の日本での売上高100億円弱を1000億円規模に引き上げる計画。
HP 08年までに世界85箇所のデータセンターを北米6ケ所に集約
米グーグル 2006^2009年に計7000億円を投資

2008年の世界のサーバー出荷台数シェア
米HP35% 米でDELL25% 米IBM14% 813万台 米IDC調べ 

データセンターと省エネ 省電力
 またこうした施設は大量の電力を消費することから省エネをいかに実現するかもしばしば話題になっている(例 日立が省エネ型データセンター事業を米中でも展開へN2010/06/08。日立は2010年度中にもデータセンター専門の空調設備会社を英国化オランダに設立するとしているN10/04/17。従来より6割ほど消費エネルギーを下げるという。)。
 このほかNECがデータセンターむけに省エネ型サーバー(従来より最大で7割削減可能)を2010年5月に発表して注目されたN2010/05/08。このほかインターネットイニシアテイブでは外気冷却を用いた省エネの実験をしている(従来より4割削減)N09/11/26。

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電磁波と時空間の移動

2010-08-12 18:22:51 | Cinema Reviews
 まず映画の中では、電磁波(electronic wave)について取り上げられることがある。
 たとえば、Eddie Murphy(1961-)主演の政治コメディDistinguished Gentleman(1992)の中で小児白血病(leukemia)との関係が指摘された。高圧送電線の下に住居があるようなケースがとくに問題になり、この問題は高圧送電線を敷設するときに現在でもしばしば論点になっている。ただ電磁波の健康被害については、十分な論証はないという批判もある。
 もう一つの電磁波の取り上げ方は強力な電磁場をつくることで人体や物体の時空を超えた移動が可能になるというもので、この趣旨の映画作品は極めて多数あるが、もっとも著名なのは第二次大戦中にアメリカ海軍が行った実験(強力な電磁波を使って軍艦を不可視化する実験=この実験の結果、問題の軍艦が時空を移動したとされる)を映画化したというPhiladelphia Experiment(1984)である。ネット上には、この実験そのものが存在しないフィクションとする指摘と、また反対に実験は実際にあったとする記述とが、同程度に溢れている。

 なお電磁波を使うかどうかは別にして時空間の移動time travelは映画がもっとも得意とする世界の一つである。私の記憶に残る古い作品は1960年代のtime tunnelと題したテレビドラマシリーズで、この話をするようでは私も年寄りの仲間入りだろう。
 ところで物理学の相対性原理によれば、光より早く移動できれば過去に遡れることができ、光と同程度に移動できれば、未来に移動できる。
 光速とは30万km/秒。音速340m/秒の88万倍である。現在人類が有人で達成している最速度はアポロ13号のマッハ33=秒速で1.12万kmとされる。しかし物理学的には加速すると質量が増えるので、理論的には単純に加速という方法で光速度を超えることは不可能。そこで早く移動するという方法以外になお残る有力なタイムトラベルの方法は二つ。映画の世界ではこれらがしばしば登場する。どちらの考え方かを取るかをとっているかは注目だ
 一つは宇宙空間の歪み(ワームホールworm hall)を利用してワープするもの。すなわちこのワームホールを人為的に作り出して移動するとする。近年の多くの映画はこの考え方である。突然物体がたとえば宇宙船が忽然と空間に姿を表すというのは、このワームホールの考えによる。たとえば最近のタイムスリップを使った脚本の日本映画として「戦国自衛隊1549」(2005)を挙げておくが、これはワームホールの考え方。ただワームホールは理論的には考えられるが、それを安定させることは現在のところは困難とされている。今一つは自然界には存在しない反粒子、反物質というものを人為的に作り出して、宇宙船を作ったり、そのエネルギーを利用するというもの。反粒子を利用することで、さきほど見た質量の限界を超えることができるとされている。

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柳田國男(1875-1962)について

2010-08-08 07:09:49 | Higher Education

柳田國男について

Hiroshi Fukumitsu


柳田國男(やなぎた くにお)(1875-1962)について 成城大学民俗学研究所HPより
柳田國男館 長野県飯田市美術館HPの中
柳田國男の世界 兵庫県福崎町のHP

柳田国男を旅する net museum 兵庫文学館(近藤雅樹監修)

池見哲司 ご先祖 妄言戯語2007年8月13日 柳田の「先祖の話」に寄せて
柳田國男「妖怪談義」を読む(ケノ)2006年7月16日 水木しげるの妖怪漫画や宮崎駿(もののけ姫)に影響を与えているとのこと
叶精二 日本の民話・伝承と宮崎駿監督作品 観光2005年10月号
日本近代史の中の柳田民俗学(萬遜樹)2005年2月20日
三浦佑之 柳田国男の目覚め 国文学38-8 1993年7月


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高等教育論


高垣寅次郎(1890-1965)について

2010-08-08 06:14:54 | Higher Education

高垣寅次郎について

Hiroshi Fukumitsu

尾道商業出身で尾道短大設立に貢献したという話あり尾道市で受けている扱いには注目の必要あり。

高垣寅次郎(1890-1985)について成城大学経済研究所HPより
拓殖大学第7代総長(1946-1952)拓殖大学HPより歴代総長の略歴

高垣寅次郎に関するpdfを集めています。
高垣寅次郎 適材選定の心理学的実験 東京商科大学商学研究1(1) 1921
高垣寅次郎 アダム・スミスの観たる貨幣理論 東京商科大学商学研究3(1) 1923
高垣寅次郎 現代労働の心理的特徴 日本経営学会経営学論集1 1927
高垣寅次郎 大学商業教育に対する我国社会の要望 日本経営学会経営学論集3 1929 

高垣寅次郎 中華民国幣制改革問題の経過 東京商科大学研究年報 商学年報1 1932

高垣寅次郎 フランスの対支経済新出の回顧 京都大学東亜経済論叢1(2)  1941

高垣寅次郎 紙幣条例 維新後金融史研究の一資料 成城大学経済研究(4)  1955
高垣寅次郎 福沢諭吉の三つの書簡 中村道太の事跡とその晩年 三田商学研究4-4 1961

高垣寅次郎 大隈文書について 日本学士院紀要25(2)  1967

三好 ボストン日本人学生会の記録 留学生として高垣の名前がある

瀧谷善一 高垣寅次郎博士編『商業経済辞典』国民経済雑誌65(1) 1938

佐野善作・高垣寅次郎『銀行論』(同文館 第15版 1926)に言及
南條隆・粕谷誠「銀行のポートフォリオ選択の効率性に関する一考察:戦前期日本における資産運用を事例として」(日本銀行 2006)

晩年の高垣の福沢諭吉や中村道太の研究に言及
斎藤壽彦「外国為替銀行の成立」(国連大学 1983)

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高等教育論


証券化の目的purpose of the securitization

2010-08-04 17:13:11 | Financial Management

証券化の目的

Hiroshi Fukumitsu


●sale and lease backとの類似性と違い
 保有資産を利用した資金調達は、証券化で初めて可能になったわけではなくsales and lease back(SALB)という古典的方法がすでに開発されている。では証券化とSALBはどこが違っているだろうか。
 わたしは投資家の範囲が、完全に企業外部の人にひろがった事を画期的だと考えている。
 またこのように外部の投資家を巻き込むために、以下にみるような証券化のスキームの開発が必要だったのだ。

●証券化の仕組みstructure of securitization
証券化で注目されたのは、もとになる債権のオリジネーターとは分離された証券の発行者special purpose vehicle(SPV)あるいは special purpose entity(SPE)が作られて、このSPVあるいはSPEが債権を購入して、それを組み替えて証券に仕立ててオリジネーターが発行する証券より高い信用格付けを得て、投資家からの資金調達が可能とする仕組み性です。
 倒産隔離bankruptcy remoteness、真正売買true sales、信用補完credit enhancement、階層化などの耳新しい言葉は人々の関心を集めました。
 倒産隔離と真正売買によりオリジネーターとは完全に分離されることで、新たに発行される証券の信用力は購入された債権(資産)が生み出すcash flowに厳密に依存することになりました。それは従来型の返済意思だとか、担保資産価値などとの組み合わせの上で返済能力をみる金融手法と基本的に異なる仕組みだといえます。
 もう少し具体的に見ましょうか。債権資産は選別の上、プールされpooled、組みなおされてrepackaged(tranching ;tranche)います。trancheの間には優先劣後構造が採用されます。そして証券に細分されます。
 信用補完 credit enhancementが加えられています。下の(1)(2)を内部信用補完internal enhancement。(3)は外部信用補完outside enhancementと呼ばれます。

1)originator-provided enhancement
excess spread
cash collateral or cash reserve
overcollateralization
2)structural credit enhancement
senior-subordinate structure
3)third-party credit enhancement
financial guarantee by the insurer
letter of credit issued by the bank
 このような信用補完は、もとの債権のリスクを修正し再分配することで可能になっているともいえます。つまり証券化では modify or redistribute the risk of the collateralという現象が起きています。

●金融の証券化の目的について、証券化についての近着の概説書から抜書きをします。ここで気が付いたのは証券化が、保有しているリスク資産量の調整に役立つという視点です。そしてそのことが金融機関にとっては、自己資本の量の調整にもなるということです。これに対して日本では、資金を内製するという側面が議論として加えられました。いずれも採用してよい論点だと思います。
資料:Frank J.Fabozzi and Vinod Kothari, Introduction to Securitization, Wiley, 2008, 3-27.

potential for reducing funding cost(資金調達コストの低下)
債券市場での債券発行する代わりに貸付債権を証券化して信用格付けの低い企業でも保有していた債権(資産)をSPVの資産に組みなおすことで高格付けの証券化商品が組成できる。前提は、法的に資産が分離されて証券発行の担保とされること。もとの本体との倒産隔離(bankruptcy-remote)がとられた上で信用補完(credit enhancement)が施される。
(証券化はある事業から生ずるキャッシュフローを優先的に証券化に充当することで本体では得られない格付け得る仕組みである。高い格付け取得による資金コストの軽減、長期資金の確保はメリット。⇒反面、証券化を実施したあと、キャッシュフローの使い方は強い制約を受け、さまざまな財務制限条項もつけられ事業運営の自由度が低下していることなど、証券化のために払っている犠牲にも注意が必要である。)

証券化によって、それまでは売却が困難だったものが換金され、現金化(refinance)される。債権(たとえば売掛債権)の場合は、現金化が早まったとみることもできる。証券化が進展すると、債権を保有するか売却するかは選択の問題。

diversifying funding source(資金調達手段の多様化)
資産担保証券市場でしばしば発行者として登場しかつ発行後の流動性を保てたあとのことだが、社債市場と資産担保証券市場とを、純粋に資金コストを比較して選択することができる。

managing corporate risk(リスク量を調整する)
リスク資産のの売却によりinterest rate risk (短期負債と長期債権というミスマッチ)そして限定はあるがcredit riskからも免れる

managing regulatory capital(規制上必要な資本の大きさを調整する)
リスク資産を売却することで規制上必要とされる資本を少なくすることができる。また貸付債権を直接保有するよりは貸付債権で裏付けられた高格付け証券を保有が
好まれる。

achieving off-balance-sheet financing(簿外の資金調達となる)
簿外の資金調達となり、帳簿上の債務を増やさないという側面は、こうした簿外取引を取り込んで企業を分析する傾向と対立している。

generating sevicing fee income
債権が売却されてオリジネーターの機能がサービサーに代わり、サービサーの手数料を稼ぐものに変わっている。リスク資産を増やさないで手数料を稼いでいる。

●つぎの抜書きは住宅ローン債権担保証券mortgage backed securitiesについてのものです。ここではMBSの発端・発展がGSEsによってもたらされたという側面が注意されます。このようなGSEs介入の目的は住宅ローン市場の円滑な発展にありました。購入するloanにprimeの規格を持ち込んだことからも、アメリカ流の住宅政策として理解できます。いわゆるsubprime loanは以下の議論でnon-conforming loanと呼ばれるものに含まれます。
資料:Chrales Austin Stone and Anne Zissu, The Securitization Markets Handbook, Bloomberg Presss, 2005, 1-17.

 アメリカでは住宅ローン債権を使った証券化が、政府出資企業government sponsored enterprisesが、住宅ローン債権mortgagesの買取り、またそのための資金を住宅ローン債権を担保とする証券mortgage backed securities:MBSsを発行することでまずは進展した。GSEはagencyとも呼ばれる。それはGSEsの基準をみたすconforming loanをGSEsが買い取るというものだった(これはアメリカ流の住宅福祉政策なのだと理解されている)。このGSEsの役割は大きい。しかしこのconformin loanの市場には買い手として、GSEsのほか、やがて民間の業者private conduitsが加わるようになっている。
 その後、住宅ローン債権の証券化は、nonconforming loanに進んだ。そこではこの民間の業者が大きな役割を果たしている。このnoncorforming loanの市場はnon-agency marketとか、新たに開かれたという意味でnon-conventional market、あるいは民間の業者が主導しているという意味で private label marketとも呼ぶ。
 このようにして米国は、GSEsに民間の業者が加わり、住宅ローン債権の買取り、証券化が進み、他国に例がないほど、住宅ローン債権の売買、証券化が進んだ地域となりました。
 この結果、住宅ローンのオリジネーター(ローンを最初に実施する業者を指す)は住宅ローン債権を保有するか、売却するか(再調達refinanceするか)の選択が可能になりました。また住宅ローン市場は、オリジネーターの資金力に制約されずに発展できるようになりました。そして金融機関は自己資本規制によって受ける制約の中で、保有する住宅ローン債権とともに保有するMBSから生ずる損失を合わせて住宅ローン債権から受けるリスクを調整するようになりました。

用語
conforming loan: agency or conventional market
nonconforming loan: non-agency or non-conventional market
GSEs: Freddie Mac(FELMC), Fanniee Mae(FNMA), Government National Mortgage Association(GNMA)
注:政府保証された最初のGNMAのMBSは1970年に発行された。またFreddie Macが最初のCMOを発行したのは1983年のこと。民間の大手conduitsとしてはGMAC(General Motors Acceptance Corp)やGECC(General Electoinic Capital Corporation)などが知られる。そしてprivate label marketではnonconforming loanの売買、証券化がnonagency(private conduits)によって行われている。

●参考までに。以下の本はmortgage brokersになろうとする人への指南書。同書は、GSEsがmortgagesの二次市場(売買市場)で買い手として存在してmortgage lenderの資金源になっていると指摘しています。
Richard Giannamore with Barbara Bordow Osach, The High-Income Mortgage Originator, Wiley, 2008, pp.40-41.

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 Originally appeared in Aug.27, 2009.
Corrected and reposted in Aug.4, 2010.

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中国 国務院による住宅ローン規制強化(2010年4月15日)

2010-08-02 15:16:29 | Area Studies
2008年秋以降 不動産市況急速に落ち込む
2008年11月 4兆元の景気刺激策打ち出される
2009年春以降 不動産価格 急回復
2009年10月頃より 生産設備が過剰な業種への融資を抑えるよう指導

2010年
2010年1月11日 中国国務院は2軒目の住宅購入について頭金40%の義務付けと、金利を高めに設定することを促す通知を全国に出した。
2010年1月12日 中国人民銀行1月18日から預金準備率0.5%引き上げ発表 銀行融資増加抑制の姿勢示す
2010年1月13日 中国銀行業監督管理委員会の王副主席 銀行の融資増加額の2割前後が不動産開発や住宅ローン向け 2009年の人民元融資残高増加額は前年の2倍近い9兆5000億元(約130兆円)
2010年1月14日発表 12月の不動産販売価格 前年同月比7.8%上昇 7ケ月連続プラス 1年半ぶりの大きさ
2010年1月18日 中国人民銀行 預金準備率0.5%引き上げ
2010年1月20日 銀行業監督管理委員会が主要銀行に対して1月の新規融資を停止するよう指導(窓口指導など 1月17日頃より実施)背景には年初来融資の急増 1月第2週までで1兆元(政府の年間目標7兆5000億元の15% 2009年の政府目標は5兆元以上 実際には11月までで9兆2100億元)
2010年2月11日 国家統計局発表1月のCPI前年同月比1.5%上昇(12月の1.9%より鈍化 インフレ懸念緩和)
2010年2月25日 中国人民銀行 預金準備率0.5%引き上げ 
2010年3月 主要70都市の不動産価格前年同月比11.7%上がる 2005年7月以降で最大
2010年3月 CPI 前年同月比2.4%(1年物の定期預金の基準金利2.25%を上回る→資産投資を促す状況 この状況は2010年2月から)
2010年4月15日 中国国務院 2軒目購入時の頭金比率を40%から50%へ引き上げ 金利を通常より高めにすることを義務付け
2010年4月半ば 住宅ローン規制導入(頭金比率を最低50%に引き上げ) →大都市の不動産取引急減 不動産の販売面積減少に転ずる 投機的住宅購入に歯止め 価格頭打ちへ

2010年4月末 マネーサプライ前年同期比21.5%増
2010年5月 国家統計局発表 2010年4月のCPI 2.8%1年半ぶりの大きさ(1年物の定期預金の基準金利2.25%を上回る→資産投資を促す状況)
2010年5月6日 5月10日から中国人民銀行は預金準備率を0.5%引き上げると発表
2010年5月10日 中国人民銀行 預金準備率0.5%引き上げ
2010年6月9日 中国農業銀行の上場が承認
2010年6月17日 中国人民銀行が人民元相場の弾力化を発表
2010年7月1日 製造業購買担当者景気指数 前月比1.8ポイント下落52.1。2ケ月連続で低下 新規受注の低下 在庫の積み上がり
2010年7月10日 中国税関総署が6月の輸出額発表前年比49.3%増の1373億9000万ドル単月で過去最大 7ケ月連続で前年同月を上回る(6月下旬からの人民元上昇の影響は今後) 7月以降 欧州不安 人民元高 輸出税還付の撤廃でどうなるか不透明 輸出減速の恐れ 輸入は1173億7000万ドルで34.1%増 8ケ月連続の増加
2010年7月12日 中国国家統計局 6月の主要70都市の不動産販売価格11.4%上昇 伸び率は5月の12.4%より鈍化 前月比0.1%下落 全国の販売面積1-6月 15.4%増 1-5月に比べ7.1ポイントダウン。
2010年7月12日 中国共産党は党・政府幹部、その配偶者、子女に不動産や有価証券などの保有状況を党に報告することを義務付ける規定(7月11日公布)を新たに設けたと中国各紙が伝えた。
2010年7月13日 中国各紙 中国銀行業監督管理委員会などによる、住宅ローン規制を厳格に実施続けるとの声明伝える
2010年7月15日 中国国家統計局が発表した6月の消費者物価指数は前年同月比2.9%上昇 天候不順による農産物価格上昇が響いた 政府が掲げる年間の抑制目標3%を2ケ月ぶりにしたまわる
2010年7月20日 中国銀行業監督管理委員会の劉主席が「とくに地方政府系企業、不動産、生産過剰業種への融資のリスクを注視すべきである」と発言。これら業種への銀行融資への監視を強化する考えを強調した。


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中国農業銀行の上場(2010年7月15-16日)

2010-08-01 10:53:55 | Area Studies
 2010年7月 中国四大銀行のシンガリとして中国農業銀行が新規公開募集を行うとともに上場を果たした。資金調達額は、中国工商銀行とならび歴史的にみても過去最大級となった。またほかの3行では、自己資本の充実強化のための大型の資金調達計画を進めている。

中国農業銀行 2010年7月15日-16日上場 
 中国農業銀行の上場(上場承認2010年6月9日 上海市場の公募上下限度価格2.68元ー2.52元決定2010年6月29日 7月7日2.68元に決定)による資金調達額は新規公開として中国工商銀行とならび過去最高最大級(世界最大級のIPOという話題性)。上海と香港を含め221億ドル(1兆9300億円)の調達となれば、中国工商銀行の過去の記録219億米ドルを抜き過去最大のIPOによる資金調達となる可能性が高い。
 中国政府は2008年秋に同銀行に1300億元の資本を注入して不良債権を処理。上場に向けた準備はされていたものの、政策金融機関として位置付ける立場からの上場反対論が政府内にあるとされていた。
 中国農業銀行は中国の四大商業銀行の一つ(残りの3行、中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行は上場済み)。2010年7月15日に上海(上場初値2.74元)、7月16日に香港で株式を新規公開した。香港市場(2.88-3.48香港ドル)の公募価格3.2香港ドル(初値3.25香港ドル)。
 15日16日で192億香港ドル(1300億人民元)を調達(上海市場では595.9億人民元約7800億円)。
 日本でもPOWL(上場なき公募public offering without listing)という手法で公募売り出し 募集7月12日13日 主幹事 野村証券 大和証券キャピタルマーケッツ 調達見込額400億円―500億円(POWLとしても過去最大)
 7月29日に122億香港ドルの追加調達を香港で実施。
 上海と香港を含め221億ドル(1兆9300億円)の調達となれば、中国工商銀行の過去の記録219億米ドルを抜き過去最大のIPOによる資金調達となる可能性が高い。
 不良債権比率が高い(不良債権比率07年12月期23%→2009年末2.91% 2010年3月末2.46% 他の商業銀行大手は1%前後より高い 採算性低い地方政府向け貸付が総貸出の15% 収益力に不安 自己資本比率は2009年末に10.1% 政府の要請は11.5%より低い)など財務体質への不安を克服した展開。しかしなお不良債権処理、株式会社としての企業統治に課題。
 当初3元前後で300億米ドル前後の調達を想定。機関投資家の反発、不良債権比率の高さへの懸念から規模縮小。
 過去最大は中国工商銀行の219億米ドル(2006年)
 agricultural revolution Economist, July 8, 2010.

中国工商銀行 中国最大の商業銀行 2006年10月27日上場
 2010年3月25日 最大で250億元(約3350億円)の転換社債型新株予約権付社債発行を発表。急激な融資増加に対する自己資本比率引き上げ 不良債権処理能力高める
その後、2010年7月28日 上海と香港で最大450億元(約5800億元)の増資計画発表している 9月の株主総会で承認後1年以内に実施 香港で上場している子会社中国工商銀行(アジア)を非上場化する

中国銀行 中国の大手商業銀行 2006年6月上場
2010年7月2日夜 中国銀行が最大で600億元(約7800億円)の株主割当増資計画を発表した。
 上海市場で最大195億株、香港で最大83億株を発行して既存株主に割り当てる方針。2010年8月の株主総会で承認後、1年以内に実施。2009年末の自己資本比率は11.14%(2年前に比べ2ポイント強下落)
 このほか400億元のCB発行計画をたてている。

中国建設銀行 商業銀行大手 2005年10月上場
 最大750億元の増資計画をたてている。

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