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値下がりをどう処理するか 負債と「のれん」の評価

2014-03-21 19:21:59 | Financial Management
売買目的のものの時価評価は異論はない。
その他有価証券の時価評価
 下落率50%未満:評価損を損益計算書を通さず自己資本に反映する(自己資本 ー評価損+評価損×税率=ー評価損×(1-税率))が簿価は変えない。つまり評価損だけ損失が生じたことを自己資本にだけ反映させる。
 下落率50%以上:評価損を損益計算書に反映し(減損処理をし)、かつ簿価も変更する。投資有価証券の時価が帳簿価格の半値を下回るとその差額を原則として評価損に計上しなければならない。

持ち合い株式の扱い
 2009年秋に公表された国際基準IFRS案では持ち合い株式の時価変動を純利益に影響させない例外処理が盛り込まれた
 原則は時価変動を純利益に計上。持ち合い株式については包括損益への計上も選択できる
 貸付金は償却原価で計上
 ⇔時価会計厳しすぎると危機を助長する
 また将来の損失を見越して前倒し処理する新ルール案 ⇔ 損失認識の遅れ 含み損の不透明さに反省
                                    
米財務会計基準審議会案FASB(2010年5月下旬)
 時価評価の原理主義 決算の透明性重視する投資家に配慮
 持ち合い株を純利益に反映させずに済む例外措置がない すべて純利益に計上
 預金や貸付債権など国際基準では対象としていないものも時価評価
 原則は時価変動を包括損益に計上
 →米国内では機関投資家など投資家は透明性を支持。しかし銀行団体は毎期の収益のブレが、貸し渋りにつながると批判

満期まで保有する金融商品の扱い
 米財務会計基準審議会FASBは2010年5月に時価会計の全面適用を打ち出したが、貸し渋りにつながるなどの批判を受けて、2011年1月、満期まで保有する場合は、償却原価での処理を認めるように方針を変更した。
 時価会計が自己資本比率を悪化させ貸し渋りにつながるプロシクリカリティ(景気循環増幅効果)
 金融機関や米国議会の強い反発 満期保有の債券や貸付金 償却原価での処理を認めるようにFASBは軌道修正(2011年1月)

負債の評価益の計上問題
 国際会計基準審議会が先行して決定。米国では2007年11月から認められている。日本では認めていない。資産の評価損の計上の逆の問題。
 買い戻したと想定する。評価損益。問題は売買が成立しない証券化商品にどのように適用するか。
CDSが上昇する状況。発行している債券価格が下落したとする。
 安値での買い戻しをしたと考えて、元本との差額を利益と認識する。
 時価会計のもとでは資産として保有する債券の値下がりを損失に計上することに対応している。
金融機関が出す債券の評価が問題になった。
 証券化商品のように市場が存在しないもの(レベル3)の扱いはどうするかには問題残る。
 国際会計基準審議会が金融機関の負債の評価益を認めない決定 2010年10月28日 

負ののれん
 買収価格が企業価値(企業価値の時価評価)より高い分をのれんといい、日本基準では20年以内に均等償却するとして費用計上する。
米欧基準ではこの償却の必要がないが、そのために利益が押し上げられやすい。しかし収益力が低下したとき(著しく企業価値が下がったと判断されたとき)減損損失を計上する。そのため不況時には、費用負担が過大になる。
 他方買収額が純資産額より小さい場合は「負ののれん」として計上。純利益の押し上げ要因になる。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
originally appeared in December 15, 2011



M&A会計 のれん代の償却見直しが課題

2014-03-21 19:06:33 | Financial Management
のれんの償却について:
 日本の現在の会計ルールではのれん(企業の買収価値と、時価価値との差額)を償却させている。これは のれんが表しているのは、収益力でそれが時間の経過とともに低下することを反映している。これに対して国際会計基準では償却させていないことが知られている。
IFRSでの のれんの償却 ifrs-in-english cocolog-nifty.com, 2010/02
IFRSを適用する会社では償却が廃止され利益が押し上げられること、負ののれんについては特別利益として一括計上されることになり利益の押し上げ効果が働くことなどを指摘している。
 のれんの償却は利益の減少要因であるので、IFRS基準に従って、のれんの償却を止めることは、日本企業の利益の押し上げにつながると考えられている。同様に企業買収時の「負ののれん」も利益押し上げ効果が指摘されている。このようにM&Aが、企業の利益に影響を与えることが知られている。
 言い換えると企業買収によって経費や利益は変動することがある。加えてその数値は会計処理方法によって変ってくる。そこで会計基準の変更が、企業買収の盛衰に影響することも十分想定できる。また企業買収が、会計操作(利益操作)を目的に行われることも排除できない。

 もともと国際会計基準は欧州発祥の会計ルール。2005年に欧州連合が域内に上場企業に強制適用。豪州、ブラジルなどが追随。しかし米国で移行のコストを中心に慎重姿勢が高まり日本の姿勢は変化。産業界で懐疑論が高まる中での東日本大震災は導入積極論の導入ありきの虚構を流し去った。ふ
まず日本企業に国際会計基準導入を義務付けすることに対し、相当の準備期間が必要として当面延期する方針が2011年6月に担当大臣から示され(当時の自見庄三郎金融担当相)、さらに2012年7月には米証券取引委員会が米国企業への国際会計基準適用の判断を先送りしたことで、日本にあった国際会計基準を絶対視する主張は事実上吹き飛んだ。2013年5月までに金融庁でも上場企業に対する国際会計基準強制適用の方針の見送りを固めた。
 しかし大変興味深いことは強制適用の話が吹くとんだあと、自発的に国際会計基準に移行する企業が、この前後から増えてきたことである。とくに企業買収ののれんの扱いは、日本の会計基準を採用する企業にとり、企業の利益の押し下げ要因になっている。そこで大型の企業買収を展開する企業のなかかから、国際会計基準に移行する企業が目立つようになった。(先行して住友商事、日本たばこ産業 2014年3月期からソフトバンク 武田薬品工業 アステラス製薬 2015年3月期から電通 富士通 など)。
    
M&A会計ルールの異同
 合併・買収などの会計処理方法として、買収した企業をどう帳簿に残すかについては、国際会計基準や米国基準で用いられてきたパーチェス法に日本でも一本化された。この方法では被買収企業の資産や負債を時価評価して、時価純資産額を計上。買収金額と時価純資産額の差額を、無形固定資産の「のれん」として資産に計上する。この「のれん」はブランド価値ともいえるものであり、一般にはプラスの大きさとして現れ資産に計上される。
のれん = 買収金額 - 時価純資産額
 2006年4月に導入された企業結合会計基準では、「のれん代」の20年以内の均等償却が導入されたが、これは「のれん代」の償却は行わない国際基準や米国基準とは違っている(償却期間などが恣意的になることが批判された 2002年に定期償却をアメリカは廃止した。その代わりに毎期、市場価値が低下していないか点検して、下がっていれば減損処理求められる このリスクに対して海外では自己資本を厚くもつ必要がある。買収が成功して利益が伸び、市場価値が上昇していれば費用計上は迫られない 日本の場合、償却するのは買収の経済効果が時間の減少とともに減少すると考えているのではないか)。
 直近ではソフトバンクによるスプリントネクステル買収(2013年7月)3000億円 20年で償還として1年に150億円。
 日本ルールのもとにある日本企業は利益が少なくみえる(企業の競争力が低く見られるリスクがある)。国際基準に移行すれば、利益水準は少し高くなるとの指摘がある。とくに大型買収になるほどこのことは企業収益に大きく影響する。一部の日本企業はこのことを嫌って、米国基準あるいはIFRS採用に踏み切るようになった(2014年3月期から日本たばこ産業 ソフトバンク 武田薬品工業 アステラス製薬 2015年3月期から電通)。
 国際基準では、固定資産の減価償却で定額法が多いがこのことも利益改善につながる。
 日本処理を支持する考え方) 
 超過収益は時間の経過とともに減少する可能性が高い。したがって償却した方がいい。
 のれんの大きさの測定が経営者にゆだねられているのは問題。
 将来価値がなくなり損失処理する可能性は残る。
 国際基準を支持する考え方)
 企業を比較するうえでは基準がそろっている方が比較しやすい。
 償却すると償却期間により利益がぶれる。
 
 (アメリカではパーチェス法のもとにある企業は40年償却をおこなっていたようだ。ところが国内で持ち分法の企業もあるなか、パーチェスに統合したときに、影響の大きさから償却そのものを止める判断をしたとのこと。)そのことが日本企業の企業買収を抑えているとの指摘がある。また利益が増えれば法人税収を増やすことにもなる。
 企業買収の扱い方を、米欧型にすると確かに企業買収直後の利益は高くなる。そのため企業の税負担が上昇する。ところが市場環境が悪化して、買収企業の価値が大きく下落した場合には、損失が急拡大するリスクがある。

 なお日本では対等合併のケース(統合後の議決権割合が45%から55%の範囲の場合)に限り、持ち分プーリング法を例外的に認めた(2006年4月時点)。この場合は、相手企業の資産・負債や純資産を簿価でひきつぐ。これは企業の継続を想定しているからとの説明を読んだ。この持分法でも「のれん」に相当する大きさがある。しかし、投資金額に「のれん」が含まれた形でしか、認識されない。買収対価を発生させないで
 
パーチェス法に一本化へ 大和総研 2007/12/27 ASBJの論点整理 2007/12/27 についての解説
2008年12月に企業結合基準が改定され、2010年4月以降、持ち分プーリング法の適用は禁止された。
2008/12/26公表の企業会計基準等(ASBJ)について
 この「のれんの償却」を含み損処理に悪用したのが2011年10月に発覚したオリンパスの不正経理だった。最初は含み損のある金融商品を簿価のまま売却する「とばし」という手法でファンドにつけかえたものの損失を回復できず損失はむしろ拡大。結局、企業買収に絡んで巨額ののれんを計上、これを償却することで、含み損を処理したとみられる。当初、オリンパスは問題を指摘した英国人社長を解任して、ことを会社ぐるみでごまかそうとした。事件発覚後も、英国人社長の解任に賛成し、また問題の企業買収に役員会で賛成票を投じた人物が社長を続けた。監査法人に対する責任問題、東京証券取引所での上場維持問題が絡んでいる。
 参照 「オリンパス含み損処理の全容」『エコノミスト』2011年12月13日号, pp.15-16.
    「オリンパスの調査報告書」『金融財政事情』2011年12月19日号, p.9. 

評判がよくなかった2006年4月の企業結合会計基準
 2006年4月に導入された企業結合会計基準では、対等合併以外の買収と認定されるケースについては、資産の時価評価が求められることになった。その点で日本のM&A会計ルールは国際ルールに近くなった。しかし「のれん」の償却という日本ルールは残され、かつ、従来、日本の企業の多くが行っていた、のれん代の一括償却を原則禁止した。原則として、実際の買収価格から純資産額を引いた額である「のれん代」を<20年以内に均等割り償却処理するもの>とした。
 また長期間の均等償却は、長期間にわたり企業収益の減益(営業外費用)となる点で、企業経営者が好まないやりかただった。
 国際基準などで償却しない背景には買収により取得されたブランド価値について、日本では時間とともに減少する(時間とともに劣化する)と考えるのに、国際基準(米国基準)ではブランド価値は変わらないとしているという考え方の違いがある。だから英米では大幅に価値が減ったときだけ減損処理をすればよいと考える。このような減損処理の考え方は、日本も同じである。
 2006年の企業結合会計基準が示した「のれん代」均等償却論は、正の「のれん」の償却をそもそも想定していない国際基準とは食い違っている。また一括償却が禁止されて、のれん代の償却の影響が長期化する点では、日本の企業経営者に不満を残す内容でもあった。 
 なお買収金額が被買収企業の純資産を下回る場合は「負ののれん」を負債計上する。その償却額は営業外収益の利益となる。これも最大20年かけて均等償却、つまり長期間にわたる増益要因とする。
 まとめると国際会計基準や米国会計基準では、のれん代を償却処理しない。しかしのれん代の価値を定期的に評価しなおし大幅に下落したら減損処理する点は日本と同じである。

日本のM&A会計ルールは国際会計基準にどこまで近寄るか
 このようなM&A会計ルールの違いは、日本の企業会計基準が海外の基準と違う残された大きな論点になっている。それが日本企業の企業買収を阻害しているとの指摘も行われている。もともと国際基準は、企業買収に積極的な国際企業の意向を受けて作成されたとされる。日本ルールは、時価会計の部分をつまみぐいする一方で、償却についての日本ルールを残すものとなっている。
 会計ルールの統一をコンバージェンスというが、日本の会計ルールが孤立することは結果として、企業活動に負担が多く好ましいことではない。妥協を求める声も強まり、2007年8月に日本の企業会計基準委員会(ASBJ)は、国際会計基準理事会(IASB)との間で2011年6月末までに基準を共通化することで合意した。2008年中に、ASBJは、持ち分プーリング法については廃止して、時価会計の原則を広げる方針を固めるとみられる。これは簿価会計方式を廃止して時価会計方式に一本化することを意味している。
 そして償却処理のうち「負ののれん」については、買収時に一括して利益計上するとの変更が確認されている。
 最後に残る問題は「正ののれん」の償却という日本ルールを廃止するかどうかである。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
originally appeared in December 15, 2011
reposted Mar.21, 2014



鉄鋼と造船の過剰生産能力

2014-03-19 21:07:23 | Economics
鉄鋼業と造船業
 世界的な過剰生産能力。稼働率を維持するため、採算割れでの受注の横行過剰在庫、頻発する値崩れ

鉄鋼業
 中国の鉄鋼業の膨張が止まらない。2012年末の中国の粗鋼生産能力9億トン。うち2億トンが過剰:世界の鉄鋼需要の1割。地方政府と鉄鋼メーカーの蜜月関係。地方政府傘下の鉄鋼メーカー(地方自治体が後押しする中小メーカー)。地元自治体(雇用を懸念)=鉄鋼メーカー=地元金融機関。800社 350万人が働く。過剰生産の原点は2008年の4兆元(65兆円)の景気対策。
 2011秋 日本では採算改善のため大手が値上げの動き すると中小規模の高炉が増産 在庫増加 2012春値崩れ。世界の鋼材需要は年15億トン 能力過剰は5億トン(25%) 中国の過剰能力は3億トンに増加(2013年半ば)。中国の中小メーカーが増産 輸出に走っている(日本からみると輸入鋼材)。
 中国政府は製鉄施設統廃合を掲げているが進まない。加えて中国鋼材需要減速(国内の建設投資が2015年にpeak out)する。 中国は輸出に拍車をかける。
 中国の景気減速・米国の景気回復(鉄鋼価格上昇 価格差縮小で輸送コスト考慮しても流入へ) 米国などに流入(中国の為替操作批判)
 日本国内では震災復興需要+自動車向け鋼板需要で国内需要は堅調(2014年2月)だが、それが輸入を引き寄せる。円安で輸入鈍る効果。需要は堅調続き鋼板価格は上昇が2013年9月から2014年2月続いた。しかし2013年末頃から鋼材の在庫が急増。鋼材価格は踊り場(2014年2月)。
 なおビルの解体などにより鉄スクラップが増えたことでスクラップ価格(電炉メーカーへ 粗鋼生産の2割をしめるが電機料金引き上げで経営が苦しい)はおさえられ 中国の減速をうけて 鉄や石炭価格は下がり気味。国内需要は自動車、建設がなお堅調。

造船業
 ここではばら積み船では中国だけでなく韓国との争いがある(低賃金を武器とする両国で世界の建造量の7割 日本ノシェアは2割 稼働率維持に向け低価格で受注に動く傾向 世界の船の建造能力1億総トンに対し船の需要は5000万総トン 過剰生産能力は同数の5000万総トン50%)。受注競争で船価は下がり気味。建造のむつかしいLNG船(LNGの輸送や、シェールガス革命で大量に必要)は収益性高いが、主として韓国と競争(韓国のシェアが圧倒的 8割くらい)。円安効果で採算が改善、輸出船受注が2013年は大幅に増えた。日本に船は燃費性能が高い(低燃費船:エコシップ 韓国と互角で受注競争中)。洋上プラントなど海洋開発用浮体構造物。海洋開発船。次世代(大型風力船 環境負荷の小さな船舶の開発)

 今治造船 川崎重工業 三井造船 日立造船
 三菱重工業 住友重工業     

 海運業界も船舶供給過剰 船賃は2012年に市場最悪 

円安でも改善しない貿易収支赤字

2014-03-19 18:04:31 | Economics

歴史的円高から円安への展開 米経済指標の改善がドル買いを支える(2014年3月)
米金融緩和の縮小 米金利上昇 日米金利差拡大 円安追加緩和への期待エネルギー関連企業の円売りドル買い 1ドル107円を目指す円安(2014年2月)日本に輸出した海外企業(海外のスマホメーカーなど)の円売り貿易赤字(エネルギー関連企業の円売り 燃料輸入の増加 国際競争力の低下 海外生産移転 輸出数量の減少 輸入増)我が国の経常収支(1980年代から黒字を保っていた) 
2013年秋に赤字転落 月を追って赤字幅拡大(円安による輸入金額増加)
2013年経常収支黒字大幅縮小 3兆3061億円の黒字 前年比31.5%減 燃料輸入の増加 製造業の海外移転による輸出減少 海外移転のため円安になっても輸出がそれほど増えない 輸出回復が遅れている(円安で輸出が伸びるJカーブ効果は限定的⇒貿易赤字の拡大続く)電機産業など競争力の低下(テレビパソコン通信機器など得意分野失われるという構造変化が起きている) ブランド力の低さを指摘する声もある 海外景気のもたつき 産業によっては供給過剰 輸出でアジア向け比重増加(半分以上はアジア向け) 円建てが多いため円安効果小さい2013年暦年の貿易収支赤字(赤字は3年連続)はの前年比4兆8258億円拡大 10兆6399億円サービス収支1兆5950億円の赤字 前年比で赤字は縮小所得収支16兆5318億円の黒字(前年比15.8%増加 海外からの配当金増加)2013年の貿易赤字(通関ベース)は11兆4745億円の赤字 昨年は6兆9410億円の赤字を65.3%上回る2013年12月 6386億円の経常収支赤字(単月で過去最大の赤字 赤字は3ケ月連続)2014年1月 1兆5890億円の経常収支赤字(単月で1985年以降で過去最大)2014年1月 貿易収支2兆7899億円の赤字(単月で1979年以降で過去最大 貿易赤字は19け月連続)新興国の資金流出やリスク回避傾向は 円高要因(通貨への信頼あればこそ 経常収支赤字化 日銀による国債ファイナンスなどが懸念)経常赤字 国債消化懸念から 金利上昇シナリオ(国債市場動揺)

 
なお2013年度では13兆7488億円の貿易収支赤字。赤字はやはり3年連続。統計で比較できる1979年以降で最大最長。輸入で原油 液化天然ガスが増えたほか、円安で輸入原材料価格が上がったことで増え84兆6052億円。17.3%増。輸出は70兆8564億円。10.8%増。前年度より増えたのは3年ぶり。自動車や航空機エンジン部品などが好調。生産の空洞化が進み(部品の輸出の減少 製品の輸入の増加 自動車 太陽電池 スマホなど通信機器 日本企業の海外子会社からだけでなく海外企業が生産するものが増えている)貿易赤字拡大。
 
円安のあと 輸入が膨らみ その後次第に輸出が伸びるJカーブ効果が、構造変化のため現れず、貿易赤字が常態化。
経常収支黒字2007年25兆円 2010年18兆円 2013年4兆円 背景は貿易黒字縮小 工場の海外移転 エネルギーや製品輸入の増加 経常収支赤字化懸念 基軸通貨国でない日本は外資流入が保証されない 金利上昇リスク GDPの2倍以上の政府債務(2013年末で1017兆円) 必要なものは財政再建の努力とイノベーションによる輸出伸長 世界最大300兆円の対外純資産 所得収支の黒字は厚いが 海外移転した企業 部品の現地化 企業の輸出競争力の低下 実質金利押し下げ 長期金利水準押し下げ+期待インフレ率上昇=実質金利押し下げ 内外実質金利格差拡大 円安 国債の大量購入による金融緩和がもたらした円安により物価改善効果が生まれた(2013年11月 1.2%上昇 うち0.7%は円安によるエネルギー価格上昇効果⇒物価上昇率が2013年8月からプラスに転じたことで実質金利がマイナス化 物価上昇率>長期金利 となるため → 理論的には設備投資を増やす効果があるが企業が中期的な経済成長期待を抱くことがが条件 なお理屈上は予想物価上昇率を使うべきだが便宜的に実際の物価上昇率が使われる)。2013年11月の実質金利はマイナス0.6%。また実質金利の下落は金融資産価格を刺激する効果(株価上昇)がある。米国やドイツ、イギリスでは実質金利は2012年から2013年にかけて上昇している。日本では2013年夏から年末にかけて急落。実質金利での日米金利格差は拡大している。これは円安圧力になると考えられている。 ドルと円 ドルは基軸通貨なので投資しやすい 金利差が拡大するとキャリートレード 円売り 日本でインフレが起きればそれも円売りにつながる 新興国への不安 安全資産ドルへ 米国金利下がり日米金利差縮小。 逆に新興国への不安が後退すると 日本へ資金は流れる 金利差拡大 他方でもう一つの狙いである、金融機関のバランスシートの組み替え、ポートフォリオリバランス効果は十分ではないとされる(12月の銀行貸出平均残高は前年同月比2.6%上昇 ただしその内容は国内投資の増加よりは電力向けや海外M&A向けが中心)。 この国債消化懸念を抑えているのが日銀による異次元量的緩和による日銀の国債大量購入(国債利回りの押し下げ)。問題はこの政策の出口。日銀が出口を探し始めた段階でまず長期金利の上昇が懸念される。合わせて為替が円高に振れる可能性が高い。金利の上昇は政府債務残高の急増につながるとされ財政健全化に逆行する。国債価格に急落、名目金利の高騰が懸念される。

逆にインフレと低い名目金利の両立を図ることを急げば、日銀の国債購入額の際限ない増加と、インフレそのものの加速が懸念される。発行額の7割を日銀が購入することで、国債市場取引が縮小(市場機能の低下 特に100億円単位の大口取引に支障。)。国債購入の回避には流動性低下による保有リスク拡大という指摘もありそうだ。  ここでportfolio rebalance効果については、保険会社については2010年4月のソルベンシーマージン計算方法の改正により、リスクを高められた項目(株式 不動産)については相当に減額の意識が高まることと、どのように均衡するかが注目される(改正した方法での開示は2012年度から)。

このときリスク係数の対する信頼水準の引き上げ(90%から95%)とともに、各資産項目のリスク係数が見直された。国内株式10%→20% 国内不動産 5%→10% 邦貨建て債券1%→2%。外貨ものについては為替リスクが新たに10%.そのためか他方で外国株式は10%のまま 外貨建て債権(貸付と債券)は5%→1%に下げられた。この改正の影響は全体としては国内株式を減らして日本国債への流れを強めるものと考えられた。

日銀が動かないとしてもすでに米FRBが金融緩和(量的緩和)縮小にかじを切っている(2013年12月)。米経済の回復 米国の量的緩和の縮小は米国の長期金利の上昇につながり、金利差が開けば、ドル買い・円売りになる。しかし それに伴って日本の長期金利が上昇する懸念がある。金利上昇は国債の債務負担の上昇にもつながる。ただ市場は4月の消費税引き上げ後の景気下振れに対して、現在の量的緩和の継続だけでなく日銀が追加緩和に踏み切ることを期待している側面がある。その期待もあって長期金利は0.6-0.8%の間で振れると予測されている(2014年1月)。

 
半面 米国の経済指標の改善が弱いと米国の金利引き上げにストップがかかり 金利差は広がらない。米国はすでに緩和縮小にかじをとり2014年内にFRBによる資産買い入れ終了の見通し。他方 日本では日銀による大量の国債買い入れは続く見込み。構造的な貿易赤字で、輸入企業の基調にはドル買い(ドル資金の手当て)ニーズが円安基調を決めている。

「金融政策の運営は、今後とも2%の物価安定の目標を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する。その際、経済や物価情勢についてリスクを点検し、必要な調整を行う」(日銀総裁会見2014年4月30日)

なお為替相場については 理論的な整理も必要。外国為替相場の学説 キャリー取引 FX 
現在 円安の効果として 国内生産への回帰(輸入品の価格上昇 国内製品:鮮度、安全性) 輸出産業の収益改善(企業の想定レートは円高リスクを考慮してやや円高 そのため円安に振れると利益が出やすい) → 貿易赤字縮小が期待されている(新興国での生産過剰が輸出の壁になっているとも) 輸入物価の上昇 などが注目されている 


 2013年1月上旬には88円前後の水準。そこから円安さらに進む。円安は利益の押し上げ効果高い。企業の想定レートは対ドルで90-95円。平均93.3円。企業は保守的(円高にみている)。対ユーロで120-125円。平均121.8円。主要輸出企業30社。98円とした場合の利益押し上げ効果は30社合計で6283億円。ただし企業は為替の変動に収益が左右されることをリスクと考えている。対策として
①新興国や北米への生産移管を進める②部品のドル建て調達を増やす。
 製造小売り業では◎ 原材料価格 商品仕入れ価格の上昇 必ずしも価格転嫁できない。
◎ 機能や品質を上げた中価格帯にシフトする
◎ 海外売上高を上げることで為替リスクを分散する  新興国通貨安(新興国シフトを進めた企業ほど影響を受ける)
◎ 仕入れコストが上昇し現地事業の採算が悪化する(組み立て型の生産がおおいため)。
◎ 新興国で稼いだ利益の目減り。 委託生産による為替リスクの転嫁   海外調達比率の拡大(海外生産の場合は調達の現地化)   海外生産(現地生産:消費現地での生産)の拡大
   国内売上高比率の引き上げ
  製造コストの上昇   コスト削減努力(品目数の削減 経費節減)   部品の共通化 点数削減 原価低減策   部品の海外からの調達   付加価値の高い製品への移行   値上げ交渉
   販売価格引き上げ  外貨での借り入れ  取引の円建て化  金融商品での対策   為替予約    為替先物 輸出企業によるドル売り・円買い   為替オプション 輸出企業による円買い権利購入ニーズ(円高警戒時)
 生産の場合は外貨建ての調達
 投資の場合は外貨建ての借入


新興国経済の混乱

2014-03-18 07:59:00 | Economics

 新興国経済の混乱。先進国が超低金利政策をとることで、新興国に資金が流入していた。 しかし米国が量的緩和Quantative Easing(量的緩和第三弾QE32012年9月開始)を縮小することで(米長期金利が上昇 2008年末の1.5%から2013年秋3%程度まで上昇した)、新興国通貨の下落(通貨安 新興国からの資金流出)が始まっている(縮小の背景には民主共和両党の財政合意と雇用情勢の改善があった。2013年11月の失業率は7.0% 10月は7.3%)。

 2013年12月19日のFOMC発表文は、量的緩和の縮小には来年後半までを要し、失業率が6.5%を下回っても十分な時間が経過するまでは、事実上のゼロ金利政策を維持するとした。2013年12月 米国債などの月間買い入れ額(850億ドル)を月100億ドルの減額した(1月から750億ドル)
 1)金利格差から新興国に流入していた資金の逆流 2)新興国経済の脆弱さ:経常収支赤字拡大、インフレ加速など 3)中国経済失速リスク  脆弱5ケ国:フラジャイル5(トルコ 南アフリカ インド インドネシア ブラジル)2013年12月の会合では失業率基準(6月にバーナンキは2014年半ばにも失業率は7%程度に低下して量的緩和は終了すると発言していた(そこで7%への低下は量的緩和の縮小を催促することになった) また2012年12月にFRBは失業率が6.5%を下回るまで利上げはしないと宣言していた)を6.5%から引き下げる案も出されたほか、物価上昇率が1.5%を下回る限り緩和を続ける案(上昇率に下限を設ける案)も出された(これらの数値は利上げの条件を示したガイダンスとみられる なおFRBのインフレ率長期目標は年2%程度に対して直近のインフレ率は1%程度)。これらは金融緩和の解除の観測が高まって金利がはね上がることを懸念した意見表明と考えられる。

forward guidanceに振り回される新興国  金融政策の先行きを明示する政策をforward guidanceと呼んでいる。今回の場合は、利上げの厳しい条件(たとえば失業率6.5%未満)を事前にしめすことで長期金利を安定させようとするもの。日本銀行が1999年にゼロ金利政策を導入したとき、ゼロ金利継続の条件を示し「時間軸政策」と呼ばれたが、これが先行例だという。低金利政策を行っているとその解除をめぐって憶測が広がる。そこで出てきたのがこの政策である。しかし政策の先々の方針を示すことで、強い緩和姿勢は示せるものの、政策の変化を自ら打ち消してしまう面がある。新興国の立場からはこのような先進国のご都合で自国経済が振り回される結果になっている。

米国の金融政策の変遷

2008年3月 ベアスターンズ実質破たん
 2008年11月 MBSなどの購入方針発表
   2008年12月 事実上のゼロ金利政策導入 1%→0-0.25%
2009年3月 QE1 2010年3月まで 長期国債の購入決定
 2009年10月 長期国債の購入終了
 2010年3月 MBSなどの購入終了(10年2月の失業率9.7% 10%は割り込む)
 2010年11月 QE3 2011年6月まで 長期国債を2011年6月までに6000億ドル購入
 2011年8月 2013年半ばまでの低金利政策継続方針発表
 2011年9月 ツイストオペ開始(短期の国債を売却 同額の長期国債を購入 総資産を増やさない方針 QE3への期待高まる)
 2012年9月 QE3
 金利上昇は債券 債券投資信託からの資金流出を招く。
 デフレを懸念する側は、バーナンキの量的緩和を支持。批判する側はバブル化を懸念。
 2013年12月 量的緩和縮小の決定
2014年1月 量的緩和縮小の継続 住宅ローン担保証券を350から300 長期国債を400から350に引き下げる) 1月29日(FOMC 20140128-0129 0131に退任するベン・バーナンキ議長の最後の仕事となった 後任はジャネット・イエレン副議長 バーナンキ在任中200602-201301に2008年のリーマンショックなどがあった) この減額措置の継続 2月からは650億ドルとする。イエレンはパートタイム労働者の増加など雇用の質を問題にしているとされるので、日本とも状況は似ている。
 イエレンは2月11日の下院での証言で「失業率が6.5%以上で物価上昇率が2.5%を下回る水準にとどまり、長期インフレ期待が引き続きよく抑えられているかぎり」現在の超低金利政策を維持するとしている。「インフレ率が2%を下回る水準を常態化させず2%に戻すとも」

FRB


 物価の安定と雇用の拡大はともにFRBの法律で定められた責務 イエレン氏はFRB在任10年以上 1977年に雇用もFRBの責務とされた。雇用重視からゼロ金利はなお長く維持(上昇は住宅金利上場を通じて国内景気の冷え込み 国際的には新興国からの資金流出)とみられる 資産バブルや金融市場のゆがみを懸念する意見あり すでに2012年に5月に1.6%だった長期金利は2014年1月上旬には3%まで上昇  対抗馬であったサマーズ元財務長官は金融緩和ハバブルを招きかねないとして財政出動を主張。共和党保守派は量的緩和の即時停止と財政再建の加速を求めた。  FRB内には 量的緩和を批判しFRBの使命を物価安定に限るべきとの議論もある(フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁など)。量的緩和は市場機能の喪失 財政赤字への市場の規律が働かない。マネタイゼーション(中央銀行のよる財政赤字穴埋め)との批判もある。  元議長ボルカーも雇用拡大への言及に慎重。インフレ退治の観点から言及を避けた。だがバーナンキは不況回復とデフレ回避が大きな目標とした。これに対して金融政策に裁量の余地はなく 金融政策にできることは少ないという考え方もある。

米国の金融緩和政策は金利がほぼゼロに低下して政策金利の調整では金融政策の効果を上げられなくなったことから、資金供給量を増やすことで景気の下支え効果を担う政策として2008年に導入された。結果として実体経済の回復基調を導いた反面(失業率は金融危機前には5%前後 金融危機が深刻だった2009年半ばには10%台 これは26年ぶりの水準 2012年8月になお8%を超えていた失業率が13年11月には7%に低下)、FRB資産は膨張した。2008年の金融危機前が1兆ドルであった総資産は13年末には4兆ドルの水準にある。また金余りから株価が上昇(2008年の金融危機で10000ドル割れ もっとも悪化した2009年初めには7000ドル割れ 2012年8月に金融危機前の水準の13000ドル程度だったダウ平均は2013年12月上旬には16000ドル程度まで上昇)、余剰資金が新興国に流出して新興国は通貨高になり、新興国と先進国の利害対立が大きくなっている。   低い成長率(2012年実質GDP成長率2.2% 13年第三四半期 第四四半期 平均で年率3.5%超え)に比べて低い失業率(13年6月7.6% 11月7.0% 14年1月6.6%)  雇用の質が悪化している。結果として早すぎる金融緩解除観測を招いている。→ 雇用の脆弱性の強調 このような雇用への関心の深さは日本銀行との対比で注目できる(日銀は雇用について関心を払っているだろうか?)。
key words
フィリップス曲線
 オークンの法則 経済成長と失業率の負の相関
 テイラールール 
背景にある非正規雇用の増加。パートタイム雇用の増加(割安な労働者だけが増加) 企業は正社員の増加に慎重。労働者は労働参加慎重

量的緩和食傷と新興国の経済混乱
 アルゼンチンでペソの急落 タイでは政情不安 インラック政権 バーツ トルコ:エルドアン政権の汚職など政治スキャンダルなど リラは安値に 大幅な利上げ(2014年1月 2013年8月) 2001年ニリラ暴落 ハイパーインフレを経験 インドネシア:経常黒字定着せず 経常赤字でルピア安 ブラジル:連続金利引き上げ レアル安がインフレ圧力生む 南アフリカ:5年半ぶり利上げ 経常赤字 通貨安が背景 インド:貿易赤字縮小(2013年12月) ルピー買戻し 景気減速と物価高 韓国や中国:経常黒字の定着 → 通貨高進む

新興国
先進国の金融緩和縮小を受けて、新興国は金利を引き上げて通貨防衛を始めた。金利の引き上げには、通貨防衛と輸入物価上昇圧力への対抗との2面がある。もともとインフレの兆候(インド10% トルコ7%台 ブラジル6%近い)があり、それを自国通貨安が促す恐れがある。反面 利上げは新興国経済の成長率を押し下げる。もともと緩和マネーで資本輸入で赤字が拡大していた国(株式や不動産で過熱した国が危ない)。2014年1月 アルゼンチンペソの急落(20140123-24) インド トルコ 南アフリカなどが通貨防衛のため利上げ(20140128-29) 中國では影の銀行の懸念高まる。中國では公共投資拡大から信用拡大に経済政策が変化。その一翼を影の銀行が担う。中国の減速は新興国の輸出を直撃。経常収支を悪化させた。また商品価格がかつては上がり、つぎには下落。輸出の減少と同時に交易条件も悪化した。中國は影の銀行の規制に乗り出したがそのことが中国での金利上昇、さらには中国経済の押し下げにつながる懸念もある。
 新興国ではフィリッピン マレーシア メキシコ 2014年に入り資金流出止まる傾向。
 こうしたなかでアルゼンチンショック2014年1月23日 ペソの大幅下落1ドル6ペソ台後半から8ペソ前後に急落  IMFの要求インフレ率を従来より10%高く変更 それに伴う通貨調整 中国の景況の悪化でアルゼンチンの中国向け農作物輸出が伸び悩む観測 ペソ売りへ  そのほか輸出相手のブラジル 欧州諸国の景気停滞 主要輸出品の穀物価格低迷 通貨レアルの下落も背景

   タイ 経常収支の大幅な赤字中國などへの資源輸出の減速と堅調な内需の矛盾)の改善進まないインドネシア 2013年6月5回で計1.75%の利上げを実施(11月12日0.25%上げて7.5% 12月は据え置き)。2014年2月13日 政策金利据え置きを決定 2013年初めから13年末までで約2割のルピアの下落もあり8%近い物価上昇率を背景に 最低賃金が急騰 日本の進出企業にも大きな影響 ブラジル インドにくらべて インドネシアルピアはとくに弱い。

  インド 2010年10月 2会合連続の金利引き上げ決定(0.25%ずつ)で7.75% 12月も据え置き 現在の消費者物価の上昇率は10%近い(11月は11% 卸売物価の上昇率は7%台)。背景には経済成長率の低迷 2013年7-9月 4四半期連続で4%台 潜在成長率の7-8%を下回る 2014年1月28日政策金利を0.25%上げて 昨年9月以降だけで以降0.75%

  閣僚の汚職で政権が揺れているトルコ2013年12月中旬摘発 エルドアン政権のもと閣僚の息子らの汚職 検察警察の担当者は更迭 1月下旬1ドル2.39リラのリラ安 2013年10月 1ドル2リラ前後から リラ安進む。 こうした中1月28日1週間物リポ金利を4.5%から10%へ大幅利上げ リラ安に歯止めかける 2.18リラまで戻す(他の新興国の利上げもあり新興国不安後退) 輸入減少で経常赤字(2013年は650億ドルの経常赤字 輸出伸び悩み輸入依存 トルコの経常赤字は新興国のなかでも高い 8%近い 南アフリカが6%程度 ブラジル インドネシア インドは4%程度 共通した特徴は国際商品市況の影響大きい 通貨安が輸入物価を上昇させる 輸出産業少なく 通貨安の恩恵少ない)縮小か しかし景気後退 税収減 失業増加などの副作用が懸念される

 ブラジル2013年11月27日 ブラジル中央銀行は政策金利を0.5%上げて年10%にすると発表。6会合連続の引き上げ(2013年4月)以来の合計は2.75%。金利2ケタは2012年3月以来1年8ケ月ぶり。背景には物価の上昇(10月 前年同月比で5.84%) インフレけん制dが景気減速(13年)7-9月は前期比0.5%減 前年同期比2.2%増 の副作用も 消費の低迷(消費では輸入品の比率上昇) 税収の落ち込み 公共投資 社会保障費 公務員賃金を抑制 財政規律を維持 ワールドカップ開催を控えて 電力 水道などインフラに不安

欧州情勢
 欧州では2009年10月のギリシアの政権交代で巨額の債務隠しが発覚。高債務国に経済危機が広がった。2010年5月以降 欧州連合 国際通貨基金がギリシャに総額2400億ユーロの金融支援を行った。アイルランドヤポルトガルも支援を受けた。同時に金融システム不安がひろがり欧州中央銀行が2回の長期資金供給で約1億ユーロを供給。2012年9月には南欧国債の買い取り策などを導入した。
 2012年9月 スペインヤイタリアが債務不履行になるとの観測もあるなか、欧州中央銀行は国債を買い取って金融市場を安定させる政策(無制限買い取り宣言)に踏み切った。アウトライトマネタリートランザクションズOMTという。劇的に10年物国債金利が低下 株価 ユーロ相場も回復 ユーロ圏規模で 銀行監督 銀行破たん処理 預金保険機構 を一元化する 11月前にECBは主要128行の財務を総点検する計画。一部の金融機関が資本不足が判明する展開。金融機関は貸し出しに慎重になるとされる>  銀行同盟のうち預金保険や欧州共同債はドイツの反対で手つかず しかし銀行監督はユーロ圏での一元化を2014年秋に始動 銀行破たん処理についても2013年12月 加盟国間で一元化案で合意 破たん処理委員会と基金(550億ユーロ規模)を新設 2015年の導入開始を目指すことになった。ユーロ圏で破たん処理することで 問題銀行を適切ナタイミングで退場させる

 預金保険については域内で預金保険の適用範囲を10万ユーロ(約1400万)にする基準は統一 速やかな払い戻しでも合意。  2013年8月 ユーロ圏失業率は12% 依然として歴史的高水準(7月と同じという意味で下げ止まり) 景気は改善しつつあるが 景気回復傾向 金利も落ち着いているが雇用情勢は悪い。金融危機を経て南欧諸国 ギリシャ スペイン イタリアなどではととくに若年失業率がはね上がっている。

 平均の失業率が2008年の7%台が2013年には12%を超えるまで悪化。これに対して若年失業率は15%前後から2013年には24%水準に上昇。スペイン、ギリシャでは55-60%の水準に達している。  2013年11月欧州中央銀行は利下げ(過去最低の0.25%)(10月ユーロ圏の消費者物価上昇率は0.7%に低下 ・・・デフレ懸念) 低利・長期の資金供給オペ(LTRO)を少なくとも2015年7月まで継続し、資金を潤沢に供給するとした(資金供給を受けた銀行は早期に返済するスタンスがあり、ECBの資産規模の増加は大きくない。2011-12年の資金供給では早期に返済してきた)。

  その後欧州中銀ECBは追加利下げに否定的。2013年12月5日 ECBは政策金利の据え置きを決めた。2014年ノユーロ圏の成長率見通しは年1.1%。消費者物価上昇率も同じ(2013年実績見通しはマイナス0.4%と1.4%)

ユーロ高の背景はドイツ(13年12月大連立のメルキル政権)に主動されたユーロ圏の経常黒字の拡大にある。黒字幅は2013年上期でGDP比2.3%(反面 スペイン イタリアなど域内中小企業向け貸付の多い地方金融機関には不良債権 ユーロ高はドイツ以外には打撃 ドイツは輸出の半分がEU向け その輸出が回復2013年9月の貿易黒字は204億ユーロで過去最高 ドイツの経常収支の黒字はGDP比6%超える ただしドイツの輸出拡大はオランダなど周辺国を潤す側面がある)

  欧州正常化を試すかのように2013年7月クロアチアが欧州連合に加盟(加盟28ケ国目 域内5億人)2014年1月ラトビアガユーロを導入した(ユーロ導入は18ケ国目)。債務危機以降初めて実施される2014年5月の欧州議会選挙の結果が注目されている。

中国リスクについて
  円安への転回