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自己資本比率規制とメガバンクの増資決定

2009-02-13 16:52:39 | Economics
 メガバンクが資本増強に走っている。背景には銀行の自己資本に含まれる保有株式の評価益が、急速な株価下落で減少し、自己資本比率が落ちていることがある。09年3月末で自己資本比率10%を確保することが課題となっている。
 このままでは、銀行は有価証券などの資産売却、貸出の削減をせざるを得ない。そこで増資を迫られている。とくに三菱UFJや三井住友が切迫していることは以下の自己資本比率の表から明らかであろう。
 通常、国際的に業務を行う銀行に課せられている自己資本比率(現行はリスク資産に対する自己資本の比率 自己資本は中核的自己資本tier 1と補完的自己資本tier 2とからなる tier 1≧tier2 という規制がある 有価証券含み益はその45%までをtier 2に計上できる 含み損はその60%をtier 1から控除する必要がある リスク資産の現行の定義は本項の最下段にまとめておく)は8%以上と言われるが、実際には10%以上が求められる水準となっている。
 そのことを念頭に以下の表をみると、三井住友はすでにギリギリであり、三菱UFJも余裕はない。増資に対する批判があるとしても、そうした批判を招くことは諦めて決断せざるをえない状況にある。 

name07/0908/0308/09
三菱UFJ12.95%11.19%10.55%
みずほ12.1911.7011.45
三井住友11.4610.5610.25


 三菱UFJFGは約1兆余りの増資計画を明らかにしている。
 2008年11月18日に発行したのは優先株3900億円。日本生命、明治安田生命保険、T&DHLなど三菱UFJと親密な大手生損保が引受。18日にはこのほか6000億円の公募普通株増資を内外で実施することを発表した。
 この増資について生損保の引き受けについては実質持合いとの批判があり、普通株増資については株価を押し下げるとの批判がでている。
 三菱UFJは、米地銀ユニオンバンカルコーポの完全子会社化、消費者金融アコムの連結子会社化、モルガンスタンレーへの90億ドルの出資など1兆数千億円の投資をまとめたばかりであり資金ニーズが高いことは理解される。しかしその負担を市場にさや寄せして、普通株増資を行うことは、現在の市場環境からは犯罪的といえる。市場に対する背信であるとともに、三菱UFJの株主に対する背信行為である。それは確実に株式の希薄化になり、株価を押し下げるからである。
 他行が優先出資証券の発行で株式市場への影響を最小化しているのに比べて、市場の反応に強気であることが感じられるとともに、傲慢な感じさえ受ける。
 なぜ三菱UFJ銀行がこうした判断をできるのかはまったく理解できないところだ。

 みずほFGはサブプライム関連の損失が響いている。08年03月期で4470億円の巨額損失。旧興銀系のみずほ証券ロンドンが出した損失とされる。興銀の投資銀行体質が、巨額損失の原因になっている。
2008年11月13日の発表では年内にも円建て優先証券を発行する(最大3000億円とされる)。
 この優先出資証券には普通株への転換権がない。これは普通株の希薄化を避ける措置。
 発行相手は親密保険会社など。他方で自社株買いはしばらく休むようだ。4000億円の購入枠を設定して1500億円は実施済み。
 そもそも自社株買いは2003年春に発行した9430億円の優先株が7月から普通株に転換可能になったことをにらんだ措置だったが、幸い転換価格が2008年4月から5月にかけての株価で決定されたので、おそらく割高。転換はしばらく進まないとみているのではないか。
 なお優先株のまま保有すれば1株につき2万円の配当。非上場証券なので時価評価の必要もない。

 三井住友FGでは過去に発行した優先出資証券が償還を迎える。09年1月に2800億円。09年06月には3400億円。それを考慮すると資本力の強化を急がざるをえない。
 そこで2008年11月18日の発表では最大で4000億円の優先出資証券発行に踏み切るとのことである。
 すでに08年7月18日払い込みで13億5000万ドルのドル建て優先出資証券を発行したが、その配当率が9.5%という高額レートであったことが話題になった。これは三井住友に対する国際的な評価を示したレートであるがショッキングな高さであった。

自己資本比率規制におけるリスクウエイト(%)
銀行に対する自己資本比率規制(バーゼル規制あるいはBIS規制)は、リスク資産に対して一定比率以上の自己資本保有を義務付けるもの。分母のリスク資産の計算は信用リスクアセット+市場リスク×12.5倍(:国際基準8%の場合)。
表の中で100というのはそのリスク資産を算定する掛目が100%つまりそのままの金額がリスク資産になるということである。表に見られるように最近07/03期から、その数値が変更されている(国際基準で8%、国内基準で4%という現行BIS規制:バーゼルⅠは1988年の中央銀行総裁会議で合意され、日本では1992/03期から本格実施されている。1996年からは市場リスク規制が考慮されるようになった。その後BIS規制見直しの議論が進められ、2005年に最終案:バーゼルⅡが公表され、07/03期から本格実施されている)。つまり数字は監督当局からみたリスクの大きさを示している。
 逆にいえばこの数値の小ささは監督当局が資金の流れを期待しているところだといえる。
 これまでは同じ区分の与信先には同じリスクウエイトが採用されていた。証券化など新たな取引に対応できていない。金融機関のリスク管理の実態とかい離している。対応しているリスクが信用リスクとマーケットリスクに限られている。
 信用リスクのとらえ方を精緻化。
 オペレーショナルリスクにも対応(分母に市場リスクにオペレーショナルリスクを加える)。
 標準的手法のほか内部格付手法(内部格付手法は、デフォルト確率だけを銀行が推計するものと、デフォルト時損失率等も銀行が推計するものとに別れる)を認める。
 関連情報の開示で市場規律が働くようにする。
BIS規制見直しの方向性
 リスク計測の精緻化(第一の柱)
 銀行自身による自己資本戦略の策定と監督当局によるレビュー(第二の柱)
 開示の充実と市場規律(第三の柱)

標準的手法におけるリスクウエイト 
項目06/03期まで07/03期より
証券化商品100%BB+以下350% or B+以下と無格付け 自己資本から控除
一般事業債 株式100%100%
住宅ローン50%35%
金融機関向け債権(OECD加盟国)20%20%
公団・事業団の債券、政府系金融機関債券(OECD加盟国)10%10%
国債 地方債 政府保証債(OECD加盟国)0%0%
貸出100%100% or 格付けにより20-150%*


標準的手法の精緻化
B格以下90日以上延滞先150%
BBBプラス-BBマイナス 格付けなし100%
中小企業(残高1億円未満) 75%
Aプラス‐Aマイナス50%
AAA-AAマイナス20%


サブプライムローン問題とBIS規制
 以上のようにバーゼルⅠからバーゼルⅡへの移行によって大きな変化が生じている。ところでこうした規制の存在、資産によるリスクウエイトの違いが、米国の銀行をして、住宅ローンの売却に進ませたという指摘がある。
すなわちAAA格の証券化資産に対するリスクウエイトが20%と、住宅ローンに対するリスクウエイトである50%(現在はバーゼルⅡで35%に引き下げ)より低かったことが、ローンを売却して自らは住宅ローン債券MBSの投資家に、アメリカの銀行となった理由だと、小林・大類(2008)は述べている(これはバ-ゼルⅠとバーゼルⅡの議論が一緒になっている。アメリカではAAA格の証券化資産に対して20%の軽減リスクウエイトが先行して採用されていたのか、議論がわかりにくい。おそらく軽減リスクウエイトが採用されていたということであろう)。「逆の言い方をすると、ローンのままだと[自己資本比率規制4%の国内銀行の場合、リスクウエイトが50%なら]50倍のレバレッジしかかけられないが、[AAA格の]MBSであれば125倍のレバレッジをかけられることになる。」(小林正宏・大類雄司『世界金融危機はなぜ起こったか』2008, 104-105)。
 そしてこの議論が成立するもう一つの根拠は、住宅ローン債権の劣後部分から銀行が距離を保てたからである。それはローンのオリジネータが銀行ではなく、モーゲージバンクだという形をとれたからでではないか(参考同前掲書)。オリジネータが銀行である限り、証券化しても劣後部分が本体に残り、実態的にリスクから銀行は解放されなかった。
 江川は無格付けの劣後部分は自己資本から対応額を自己資本比率の計算をするときに控除することになるので(これはバーゼルⅡの規定)、証券化に伴って劣後債を保有していると、銀行の自己資本比率が低下する矛盾があると指摘している(江川由紀雄「サブプライム問題の教訓」2007, 208-212)。
 つまり少し過去について以上の議論の妥当性を見る場合には、バーゼルⅡの内容が、どの程度先行して銀行に採用されているかを検討する必要がある。
 なお自己資本比率規制によって、景気の振幅が大きくなる効果(pro-cyclicality)も最近の話題の一つである。

2008年11月には自己資本比率規制の緩和措置=弾力化措置(国内基準行に対して株式等の評価損をTier1から60%控除するべきところ
反映させないことを2012年3月期決算までの期限をきって認めるなど)がとられ、合わせて中小企業金融対策がとられている。
信用保証協会の緊急保証制度
BIS自己資本比率規制の歴史


Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Corrected and Reposted in Feb.13, 2009.

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CMS(cash management system)

2009-02-11 05:41:14 | Financial Management


 CMSの導入普及が一般化してきたが、そのcash management systemとは何か。CMSとは、グループ企業がグループ内の企業や事業所ごとに分散している資金を親会社あるいは金融子会社に開設した専用の口座に集約し一元管理して、資金管理の効率を高めることを指すが、pooling、netting、支払受取代行という3つの要素から構成されている。以下その内容をみてゆこう。
 ①プーリング(pooling service) poolingとは余剰資金を1ケ所に集めること、具体的には親会社あるいは金融子会社に集めることである。そうすることでグループ内で資金の過不足の調整ができ、グループ外からの借り入れを節約することができる。これは資産証券化とともに資金調達の内製化といわれる動きになる。
 また実際に資金が必要になったときは、グループ企業(あるいは親会社または金融子会社)として資金を調達する。調達資金規模が大きくなれば、資金調達における交渉力が大きくなる。あるいは親会社あるいは金融子会社の財務格付けが高ければ、グループ企業が個別に借り入れるより有利な資金調達が可能になる。それは利払い負担の圧縮になる。また余剰資金を集めることで運用の効率化につなげることもできる。
 ②ネッティング(netting) nettingとはグループ内企業間の債権債務関係を相殺することである。より具体的にはグループ内での支払を相殺することで、支払額(送金額)を圧縮して支払に伴う手数料を相殺することを指している。
 ③支払受取代行 支払受取代行とは、グループ内企業のグループ外との支払・受取を代行し、入金・出金の管理を行うことを指している。この機能は専門性が高いため、人員配置で独立性が高く、また適切な人材が得られないこともある。グループ内の個別企業の立場からすればこのような機能をアウトソース(outsource外部資源)に頼ることができれば、人材を本業に集中でき業務を効率化できる。
 他方、グループ企業全体としてはこの機能を集約することで、規模の利益(scale merit;economy of scale)を得やすい。なおこのように複数の組織で共通して行われている業務を、それぞれの組織から切り離して、別会社として独立させることで、業務の効率化・コストの削減を図ることを一般にシェアードサービス(shared services)ともいう。

 以上の問題は、小さな会社でも本社と支店・事業所の間で起こることであるので、CMSは大企業やグループ企業に限った問題ではない。そしてCMSは金融機関の側からは顧客を囲い込む手段として意識される。というのはCMS導入のプロセスで、グループ内企業で様々な金融機関に取引が分散していることをいかに整理するかは当然課題になるからである。CMSのメリットを受けるためには、できるだけ取引金融機関の数を整理すること。メインの金融機関を確定してそことCMSの契約を結ぶことが不可欠になる。

 CMSの効果 ⇒ 銀行手数料利子などのの削減 事務的効率化 リスクの量内容の把握・リスク削減を促す

CMSの背景
グループ内資金の有効活用を図ることで、新規借り入れを抑制する。格付けの高い本社(あるいは金融子会社)が資金調達を担うことで資金調達コストを抑制すると述べたが、資金管理の効率化に対する全体的な姿勢は依然として重要である。すなわちこれまでと同じく、棚卸資産の圧縮、売掛債権の早期回収に取り組む。運転資金の管理、設備投資資金の管理に取り組むなど。
 一元的運用で利息収入も増やすという面もある。導入の前提として経理業務の統一、標準化が必要になる。
 なお資金管理だけが問題などではない。CMSの問題は、たとえば発注面での調達一元化や在庫の適切な配置によるコスト削減などの問題とも対応している。
 グローバル化した企業ではグローバルに見た資金の一括管理(資金を一括管理することで集中管理、ネッティング、支払代行でグローバルな為替取引リスクを軽減)。そして繰り返しになるが、資金管理業務を切り離すことで、各子会社の事務負担を軽減する側面もある。 
 背景にある問題として、金融環境の変化のなかで資金調達環境の悪化に備えて資金を自力調達するという課題も見える。企業は、銀行の融資姿勢が変化した経験(さらには銀行自身の信用力が低下した経験)から手元資金を厚めにもつようになったといえる。その時に、CMSによる資金の一括管理は、企業内の「埋蔵金」発掘、「見える化」につながるとされる(「企業の埋蔵金発掘」『日本経済新聞』2009年2月4日)。つまり企業は資金を自力で生み出す姿勢を強めている。さまざまな経費を節減して、投資資金をひねり出そうとしている。
  
CMSとメインバンク制
このようなCMSは既存の金融機関と企業との関係を解体する一方では、銀行と企業の一体化を進める側面もある。自社で資金管理システムを構築する国際企業の場合にはそれだけで済まない側面がある。山田有人氏は、カルロス・ゴーンとともに日産自動車に乗り込んだティエリー・ムロンゲによる改革をつぎのように描いている。
 「ムロンゲは、財務部の機能の集中化を敢行した。まず、世界を日本、米国、欧州の3つのエリアに分け、それぞれの地域にある金融子会社1社に資金管理を集中させた。その上で、この3つの金融子会社の資金管理を、さらにワールド・ヘッド・クオーターに一元化した。ワールド・ヘッド・クオーターが取引する金融機関はどことは決めず、その時その時で最も有利な条件を出してくれる相手と付き合うことにした。この改革は日本のメーン・バンク制度に対する挑戦でもあった。」(同著「最強の経営参謀」2008, 88)
 ムロンゲはこう言っているが、CMSは金融機関の商品という側面もある。企業がどこまで金融機関から自立して、金融機関を選ぶ側に回れるのか。CMSによって特定の金融機関との関係が深まるという理解が多い。

CMS進展の背景
 日本ではCMSは2000年前後から導入が加速した。これは金融機関がCMSの普及に積極的に動いたということもあるが、企業側の事情もある。
 とくに1999年度から連結決算に移行したことは大きかった。連結会計制度に移行したことで、グループ内企業の一体的な運営は不可欠になった。財務セクションを分けておく理由がなくなったのである。すでに1997年には、改正独占禁止法により純粋持ち株会社が解禁されており、グループ企業を持ち株会社の下にぶら下げることも可能になっていた。
 実務的には1999年に特定融資枠に関する法律が施行されたことも大きかった。この法律によって、融資枠契約の形でいざというときの資金調達方法が確保できるようになったことがCMSの普及の一助になったと指摘されている。(CMSが手元の資金の有効な活用を促すとすれば、同様に融資枠も不要な借入の返済、手元資金の活用につながる。また契約により融資を確保するという考え方は、金融機関による貸し渋りを経験した企業にとって、自らのリスク管理上も当然の判断だったのではないか)。

 なお金融機関のペイオフ問題(完全実施は2005年4月)が繰り返し議論されたことが、取引金融機関の選別につながったという指摘もある。
 2007年7月に日本経済新聞が時価総額1000億円以上の東証一部上場会社582社を対象に行った調査によれば(回答283社)、製造業で72%、非製造業で59%がCMSを導入。導入企業の3割は海外資金も含めた資金管理体制。ソニー、ニコン、松下電器など。導入企業では取引先金融機関の数が減る状況(67%)。
参考 CMS(あずさ監査法人KPMG 2002-02)

 CMSについては、生産や流通におけるSCM(supply chain management)と比較する議論がある。SCMによって日々のあるいは業種によっては時間単位の在庫や生産の状況が細かく把握されることで、在庫や生産の最適化(効率的で無駄がない状態)や正確な近未来予測(シミュレーション)が可能になった。CMSで実現されるのは、まさに日々の資金の過不足の把握であり、近未来予測に他ならないというのである。またグループ内企業のリスク管理、つまり内部統制に役立つともいわれる。
 ではCMSが完結したシステムかといわれるとそうではない。CMSは現代の企業にとって不可欠のシステムの一つだが、それは数多くのシステムの一部にすぎない。企業の中にはすでに、社内の財務システムが稼働している。企業側からみればCMSはこの財務システムの中に組み込まれている。
 CMSの発想に決定的に欠けているのは、企業側からみたリスク管理の問題である。そこで企業では、社内の財務システムとCMSを統合し、それにリスクモニタリングのシステムを加えて、その会社の財務管理システム(TMS:treasuy management system)を構築している。
 企業活動の国際化とともに、企業は通貨の違いから主要な海外拠点ごとに金融子会社を設立するようになった。内外の資金や、グローバル化した資金をどのように統合管理するのかという課題に、多くの国際企業は今取り組んでいる。そこで問題になるのはグローバルなCMSの導入である。
導入による不要な為替取引の圧縮などの効果は、国内の場合と同様である。各地の本部にどの程度の裁量を与えるかは、企業によって異なっている。しかし本社がリアルタイムで各地域の資金の動きを把握する必要については異論がない。税制の負担が軽く資金移動が自由な国に金融子会社が設立される例がますます増えている。
 グローバル企業(例 ホンダ2006年9月中間期 海外売上高比率84% 製造業の海外売上高比率43%強)では、内外資金の一元管理、4時間体制で全グループの資金取引の一括管理を避けて通れない。為替リスクをいかに減らすか、現地での資材・資金調達をいかに増やすかといった課題がある(現地での資金調達がむつかしい場合は、現地子会社に対して本体からの資金融通を可能にする意味もある)。為替リスクについては円建て比率を増やすといった、昔からの課題もある。
 国際的なCMSに取り組む企業も増えている。ソニーは資金決済などを統括する統括会社をロンドンに設立。松下電器産業(現パナソニック)も2006年9月にオランダに設立した金融会社が一元管理。内外グループ約600社の資金の一元管理(三井住友銀行がシステム・サービス提供)。グループの決済金額は2006年で22億ドル。なお松下は2007年2月、中国上海に財務管理子会社設立。これは中国当局が外資の金融子会社の認可を認めた初めてのケースになった。海外の売上高比率が5割の旭硝子は、日本のほか米国、ベルギー、シンガポールに金融会社を設立しているほか、資金管理の拠点をオランダ、シンガポールなどに置く。税制上の負担少なく、国際的な資金移動が自由といった観点だが、このような動向からも、グローバル企業では、内外一体のCMSが問題であることが伺える。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Aug.13, 2008.
Correcred and reposted in Aug.24, 2009.

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