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キリンとサントリーが統合を断念した(2010年2月8日)

2010-02-15 08:26:07 | Economics
Hiroshi Fukumitsu

expecting merger of Kirin and Suntory
キリンとサントリーの統合交渉が明るみにでてから(09年7月13日)半年で破談が公表された(2010年2月8日)
2008年12月期に過去最高利益を出した勝ち組同士が、経営統合の交渉を進めていることが2009年7月13日に明らかになった。実現すれば年間売上高3兆8200億円(キリンは国内食品最大手で2兆3035億円 サントリー1兆5129億円)。世界最大級の酒類・飲料メーカーに。食品メーカーとしても世界第5位になるものだった。大変微妙なのは、大きな話なのだが、この話にどうも誰も喜んでいなかったことだ。それはなぜなのだろうか。
一般に関心が強いのは、両社の商品が統合後どうなるかだが、ともにブランド力は強いので、販売機会を失うことになるブランドの統廃合はしないのではないかと指摘されている。しかし反面では、新商品を減らして開発費・販促費減らすという選択もあるとも指摘を受けている。どうなるかは実際、誰にもわからないというところだろう。
 両者の統合の目的については色々な指摘がある。教科書的にいえば、コスト削減と経営の効率化が指摘されよう。たとえば資材・原材料調達の一本化(すでに資材調達でも提携)。物流の共通化(すでに一部地域で清涼飲料の共同配送を始めている)。自動販売機のメリット(管理コスト圧縮 相互販売可能になる)。また将来的には工場の統廃合を見込むとも。
 しかし私自身は両社は勝ち組であり、コスト削減や取引条件改善に切迫性があるとは思わない。むしろシェア向上により市場支配力を高めてグローバル企業としての生き残りを図るという点に目的を感じている。サントリーはシンガポールのセレボス・パシフィックを傘下。08年10月にはニュージーランド飲料2位のフルコアをフランスのダノンから買収を決めた(2009年9月」にはフランス飲料大手オレンジーナを買収)。またキリンは豪州のナショナルフーズや、フィリッピンのサンミゲルビールを傘下にしている(事業好調の医薬品事業の協和発酵キリンの分離をサントリーが望んだとも伝えられる)。両社が、国際展開を一層強化する上で、国内市場の寡占化(国内の激しい競争からの脱却)はおそらく役に立つだろうが、しかしそれは日本の消費者にとってはどうなのだろうか。
 最終的に合併比率と、サントリー創業家の扱いで両社の話し合いがまとまらず、統合交渉の断念が2010年2月8日に公表された(対等を要求するサントリーの姿勢が強かった。双方が相手の企業価値を低評価。サントリー創業家の扱いも争点)。しかしこの統合にはもともとさまざまな疑問があった。

消費者・独占禁止法からみて問題はなかったのか
まず統合すると
ビールで49.6%(2008) 2008年首位のアサヒ37.8%を圧倒
 2009年 キリン37.3 アサヒ35.5 サントリー14.2。サッポロ12.0%
ワインで38.7%(2007)
清涼飲料31.4%(2008) 首位のコカコーラ29.4%を抜く
という状況になるのだが、これをどう考えるか。国内ビール事業は縮小(安い第三のビールが伸びる 家庭用市場ですでに4割)。販売管理費の圧縮。海外事業を展開。

グローバルには、ビールでキリンが1.3% サントリーが0.8% 合わせて2.1%。清涼飲料ではさらにシェアは低い。グローバルな世界シェア(2008)でみれば問題はないとされるが、現実の国内シェアをみたときそう言い切れるだろうか。圧倒的な国内シェアを背景に、高い利益率を実現するというのは、企業にとっては好ましいかもしれないが、消費者にとってよいことだろうか。

関連して統合の目的として取引条件の改善が指摘され、統合が進んだスーパーなどに対して優位な取引条件を引き出すことが指摘されている。しかしその目的を消費者の立場からどうみるかは問題として残る。現在でもたとえば缶業界に対しては強い立場の飲料メーカーだが、寡占度があがると歯止めがきかなくなるのではないか。
 また両社は企業体質に大きな違いがあり、とくにサントリーのユニークな体質が統合により失われる懸念は大きいのではないか。

サントリー企業風土の喪失と技術的困難
 同族経営(非上場 創業家の資産管理会社である壽不動産が89.3%の株式を保有)であるものの、財務体質は良好。遊び心があり自由闊達で短期的収益(参入以来45年にして黒字化したビール事業や、多年の苦心の末にヒット商品伊右衛門の開発に至った日本茶事業などが例にあがる)に左右されないサントリー流。ブランドを維持してもこうした企業風土まで残せるだろうか。
 また創業家一族の合意が得られたとしても、サントリー株価の算定や統合会社への創業家の出資比率をどうするかなどの難問が控えていた。

 規模拡大が必ずしも成果につながっていない、セブン&アイやイオンなど流通業界の状況から<規模拡大が果たして本当に問題の解決になるかは疑問だ>という「エコノミスト」(2009/08/04, p.29)の指摘もうなずける。
 食品他社の動向は、さまざまだが、味の素のようなスタイルもある。

味の素の非中核事業切捨て路線
 食品の中で非中核を切り捨てる路線が明確だったのは味の素(子会社にクノール食品 味の素冷凍食品 味の素メディカ グループ会社に味の素ゼネラルフーズ 香辛料のギャバン{03出資06完全子会社化} 削り節・めんつゆ大手のヤマキ{07出資}など)である。
味の素は資本出資をした1990年以来、カルピスをグループの飲料事業部門として育成。2001年に増資後、2007年6月には完全子会社とした。
 しかしワインについては2006年12月に傘下のメルシャンワインをキリンのTOBに応募して大半の株を手放している。また翌2007年1月にはエヴィアンブランドをもつフランスダノンとの提携会社カルピス味の素ダノンの味の素とカルピスの保有株をともにダノンに譲渡して提携を解消している。

清涼飲料で健闘するアサヒ
アサヒビールは子会社のアサヒ飲料を通じて清涼飲料分野を強化している。2010年5月にはハウス食品から「六甲のおいしい水」事業を買収した。2010年12月にはカゴメから「六条麦茶」ブランドの製造・販売を買収を発表した(麦茶飲料で伊藤園に次ぐ2位に浮上)。また同じく2010年12月に缶コーヒーの生産能力を引き上げるために明石工場の設備更新を発表した。増産が可能になるのはいわゆる「ワンダシリーズ」。
 伊藤園は、緑茶で「おーいお茶」という看板があり、麦茶でも「天然ミネラルむぎ茶」というNo.1ブランドがある。タリーズのコーヒーシリーズは販売好調である。

サッポロが明治・ポッカと提携へ
キリン・サントリーの経営統合が表面化してちょうど1ケ月後の8月12日。今度はビール業界4位のサッポロが動き出した。サッポロはこの間、投資ファンドスティールパートナーズへの対応に時間を取られていた(もたつく間に高級ビール首位の座をサッポロのエビスがザプレミアムモルツに奪われた)(アサヒは2009年4月中国青島ビールに出資約20%、デンマークのカールスバーグと海外販売提携。さらに2009年4月に豪飲料のシュウエップスを買収。中国の飲料合弁の康師傳飲品:カンシーフ飲品が好調)。
 発表されたのは、明治HD(明治乳業と2008年1月にポッカと資本業務提携を結んだ明治製菓が2009年春に経営統合)が出資するポッカと資本業務提携をすることであった。これにより2009年夏、サッポロは、ポッカを間にはさんで3社連合を形成した。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in July 26, 2009.
Corrected and reposted in Aug.18, 2009.
Corrected and reposted in Feb.15, 2010.

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新生とあおぞらが合併を断念した(2010年2月13日)

2010-02-15 08:02:13 | Economics
Hiroshi Fukumitsu

2010年夏に直接合併のはずだった
2009年6月25日 新生銀行(旧日本長期信用銀行)とあおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)が合併で合意したとの報道が流れた。実現すれば総資産18兆円。中央三井トラスト・ホールデイングを抜いて国内6位の大手行(連結総資産18.5兆円2008/12)の誕生だった。
 当初は2010年夏に共同持ち株会社設立。1年後程度後に合併という案が検討されたが、統合の経済効果を早く出すために、2010年夏に両行が直接合併する道が選択された。合併は2009年7月1日に正式に発表された。
 合併論の背景には、2008年秋のリーマンショックのあと、地方銀行を相手にした金融債の発行が困難になり、高金利の定期預金に頼る状況に陥ったこと(金融庁の後押し 2010年にも精査結果)がある。また新生銀行は、サブプライムでもリーマンショックでも、メガバンクに比べ相対的に大きな損失を抱えた。新生のリテール、ノンバンク業務(子会社にレイク)、あおぞらの地方銀行とのパイプ、証券化業務。どちらを強化してゆくのか。路線選択が注目された。

合併断念へ(2010年2月)
2010年に入ると合併にむけての協議の難航が伝えられ、2月に入って正式に合併断念が報道された。路線が違い過ぎて補完効果を発揮しにくい。緊急避難として政府の公的資金に期待したが、政権交代で実現しなかったとされる。つまり市場主義をかかげるひとたちに税金をばらまく自民党政治(小泉―竹中路線)を終わらせた副次的効果はここにもあったわけだ。ビジネスモデルの主導権争い、システム統合での協議もまとまらなかったとみられる。

2008年12月末現在の日本の銀行の資産規模ランキングは以下のとおり。

三菱UFJ 198.8兆円
みずほ 157.1
りそな 116.1
住友信託 39.2
中央三井 22.7
新生 12.2
あおぞら 6.3     2008/12末 連結総資産

 この問題についての日本政府の対応が注目された。それは日本政府は一方では、両行の大株主であり、出資金の回収の機会をねらっているからである。両行の破綻は使った公的資金(国民負担)のことを考えれば選択肢にはない。
 しかしだからといって、この外資によって食い物にされている銀行に、さらに公的資金を投下することが、国民の納得を得られる話とも思えない。
というのもこの2つの銀行については1998年の破綻時に、債務超過分を穴埋めする金銭贈与分が多額にある。また、資産の勘定が2割以上目減りしたときに国が買取りを約束した瑕疵担保条項による資産買取に伴う損失もある。これらの損失は別にして、1998年以降、優先株を買い取るなどして公的資金を注入して資本増強したもの回収が議論されているにすぎない。それなのにさらに追加的に公的資金を出すのは甘すぎるのではないか。

ファンドビジネス批判
 両銀行の再破綻には共通の背景が指摘されている。「地域金融機関向けの金融債の発行をおもな資金調達手段にしてきた」こと。また個人預金を集める場合も「高金利でかき集めていること」。(「新生=あおぞら銀行、合併新銀行の困難と希望」『金融財政事情』2009.7.13, pp.6-7)。このような短期の高利調達が恒常化したことで、高リスクの有価証券投資に傾斜せざるをえなかったこと。(森岡英樹「負の遺産を引きずった新生=あおぞら銀行合併」『エコノミスト』2009.7.28, pp.80-83)このようなありようは、銀行ではなくファンドビジネスだと批判されていた。
市場調達の依存度の高さから、資金調達の安定性がリクスにさらされやすい。こうした中で、収益基盤の拡大を目指した。ノンバンクビジネス、不動産事業向け融資、証券化、内外の証券化関連商品・ファンドなど投資銀行業務を伸ばした。それがサブプライムローン金融危機で裏目に出て巨額損失につながったとされる(前掲『エコノミスト』誌による)。

公的資金はもう出すべきではない
 もうひとつの注目がさらなる公的資金の是非だ。
政府が過去の公的資金注入による資本注入により、新生銀行については普通株(約2200億円)、あおぞら銀行については優先株(簿価で約1800億円)を保有。両行合わせて約4000億円の公的資金抱える。
かつて両行が経営破たんした折に、政府は高い数値目標(注入時の価格つまり簿価に利益を上乗せすることを返済の条件として、)を設定しまっている。新生銀行が745円。あおぞら銀行が478円。これが回収のルールとされる。
ところが両行の株価が2009年4月24日現在で、新生銀が」124円、あおぞら銀が118円という状況であるので、公的資金回収のめどは立たない(もしも株価水準が回復していれば、両行は市場で株を売って返済資金をつくることもできる)。

悩ましい公的資金回収の道
では逆に両行を単純に破たんさせればいいのか。実は悩ましい。国民目線でいえば、そもそも外資ファンドの手中にある両行に公的資金を追加投入して救済する理由はない。政府保有の株券が多いことを考えると、しかし両行の株券を急いで紙屑にすることがベストの選択とも言い切れない。

 新生銀行とあおぞら銀行の近況を以下にまとめた。

新生銀行
新生銀行は1952年設立の旧日本長期信用銀行が前身。1998年に破綻して一時国有化された。その後、2000年に米投資ファンド、リップルウッド(現RHJインターナショナル)が買収して新生銀行に名称を変更した。日本政府が20%強の発行済み普通株を持つ。2009年春現在はJCフラワーズが議決権ベースで33%保有。2004年再上場。
2007年から2008年にかけて、優先株で2200億円の公的資金を受けている新生銀行は、優先株が普通株に転換される時期を迎え、政府が最大株主となる事態の乗り切りに躍起となった。
まず2007年8月に1200億円分がさらに2008年4月には残りが優先株から普通株に転換され、政府の出資比率が24%となる異例の事態が懸念された。まず2007年夏の時点で政府は12%保有の最大の株主となった。
そこで新生銀行は当時、約6%保有(出資)のJCフラワーズに対して、増資などを要請した。この要請を受けJCフラワーズは新生銀行に対し22.7%を上限とするTOBを2007年12月から2008年1月にかけて実施。さらに総額500億円の第三者割り当て増資を引き受けることになった。これによりJCフラワーズの出資比率は32.6%に上昇。政府の株主としての突出を抑えることが可能になった。新生側は公的資金の返済の道も探ったが、返済には株価が750円以上になることが条件とされこれはむつかしかった。私たちは、新生銀行をリップルウッドを連想するが、新生銀行の筆頭株主の地位は、2007年夏からは、日本政府とJCフラワーズとが、競り合う構図となった。

背景にあった問題は業績の悪化から、株価が低迷したことにあった。
まず2007年3月期決算では2004年9月に買収したアプラスについての「のれん代」が貸金業法改正成立の影響もあり大きく目減りしたとして、減損処理を行ったことが響き609億円の連結最終赤字となった。この大幅な収益のブレにより、新生銀行は金融庁から業務改善命令を受けた。
ノンバンクへの投資は高収益を得られるとされたが、業法改正成立の影響もあり銀行の業績の足を引っ張る要因になる可能性も少なくない。
2008年3月期決算では、ノンバンクの収益は回復したものの、得意としてきた個人向けで、仕組み預金(デリバティブを活用して高めの金利を可能にした商品)の収益が激減、投信の売れ行きが伸び悩み、赤字幅が拡大した。サブプライム関連の損失291億円もあった。最終利益601億円は本店ビルの売却益617億円でかさ上げされたものだった。
2008年11月 2000年に新生銀発足時に社長兼会長に就任、05年に社長をまた06年に会長を退任した八城政基氏が2008年6月に会長にさらに11月には社長にも復帰することになった。
しかし八城氏が登場したから業績が急回復とはさすがにならない。2009年3月期決算で新生は1430億円の赤字をだし2000年の開業後初めて無配に転落した。債務担保証券CLOで507億円の減損処理、欧州の資産担保証券ABSで279億円の損失計上、不動産関連融資で189億円の貸倒引当金計上などが響いた。

あおぞら銀行
あおぞら銀行は1957年設立の日本所不動産銀行(1977年に日本債券信用銀行に改称)が前身。1958年に破綻し一時国有化された。2000年にオリックス、ソフトバンク、東京海上などの企業連合が国から株式を買い取り再民営化、あおぞら銀行に改称。2003年にソフトバンクは米投資ファンド、サーベラスに株式を売却した(サーベラスは株式の6割強を掌握)。2006年6月能見公一氏を幹部に招く。
2006年11月に8年ぶりに再上場するも株価が売り出し価格570円(2006年最大の総額3800億円の売り出し 売ったのは国、サーベラス、東京海上日動火災がそれぞれの保有株の3分の1を売却 サーベラスは1000億円前後の上場益を得た)を一度も上回らず下がり続ける事態になる。久しぶりの大型上場だが明らかに失敗。この上場を認めた東京証券取引所にも責任があるのではないか。
あおぞらでは経営の混乱もあった。農林中金にいた能見公一氏が請われて2007年2月会長兼CEOに就任するも、短期の投資回収を目指すサーベラス側と対立。2008年2月に突如CEOを解任され(後任はサーベラスに近いとされるフェデリコ・サカサ社長)、5月には会長をも退任という展開があった。
サーベラスファンドは2008年3月から4月にかけ、430億円を投じてTOBを実施して出資比率を37.5%から45.5%に引き上げた(議決権ベースで50%強 これに対して東京海上はTOBに応じ役員も引き上げた)。つまりサーベラスが人事にも意向を強め、出資もして支配をつよめたのだが、これでは有力な人材が去り同行は孤立無援にもみえる。
2008年3月期決算では220億円強(前期624億円の黒字)の経常赤字ながら最終損益は黒字50億円(単体で35億円)を確保した(サブプライム関連損失が453億円 2006年12月に行ったGMACに対する投資580億円についての引当金は148億円 なお、直近の予想利益は265億円だった)。
しかし公的資金の投入を受けている同行は、金融庁に提出した経営健全化計画における予想数値(単体で760億円の黒字)との乖離を批判されることになる。これは予想数値より3割以上少ない利益にとどまった公的資金注入行を行政処分対象行にするというもの。これにより2008年7月にあおぞらは金融庁から業務改善命令を受ける。この3割ルールに2回抵触すると、トップの交代が求められる。
しかし2009年2月、あおぞらは2009年3月期2000億円弱の連結最終赤字計上見込みとなり、トップの交代は不可避となった(上場ETFやヘッジファンド取引でそれぞれ数百億円の損失を計上 これは損失処理による財務体質にお強化をすすめるためともされる)を前に役員を入れ替え、経営責任を明確化した。社長代行にブライアン・プリンス氏。会長に白川祐司氏。国際投資業務を縮小、国内の法人、個人業務に集中する方針。


参考 優先株で受け入れた公的資金の返済方法
2005年度のみずほFGの優先株方式の公的資金返済(04年8月に約2400億円、また05年3月に約2500億円を買入れ消却)。2005年度末の三菱UFJFGの未返済分3165億円の処理方法(日本生命、農林中金など機関投資家に国が優先株を譲渡する肩代わり=第三者への転売方式)。2006年度の三菱UFJFGの未返済分3000億円の処理方法(国が決められた価格で普通株に転換した上で市場で売却 機関投資家でなく個人投資家中心であることに特徴 06年5月-6月)。2006年度の三井住友FGの未返済分6950億円の処理方法(国が決められた価格で普通株に転換したものを自己株式として買入れ返済)。

さらなる公的資金をもとめる市場主義者たち
ところで合併により再生の青写真が描かれるなら、公的資金の追加という道も考えられると報道されているが、これは国民感情からすれば両行に甘すぎる話だろう。本当に採算が合う話なら民間から調達できるはずで、公的資金に頼るのは見通しに不確かな面があるからだ。いずれにせよ出資した外資ファンドは再上場時に十分儲けている。もうお引取りいただいていいのではないだろうか。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in June 27, 2009.
Corrected and reposted in July 22, 2009.
Recorreted and rposted in February 15, 2010.

コミュニティカレッジ2009講義録
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大学経営に関するリンク

2010-02-07 19:08:37 | Higher Education
早稲田大学の資金運用 大学年金ニュース72号 2010年4月
大学経営からの撤退に関する実務上のポイント 日本総研 2010年2月3日
生き残る大学 ブランド上位30校 2009年12月11日
文部科学省 大学における社会人の受け入れの推進について(検討試案) 中教審大学分科会大学規模・大学経営部会第5回 2009年12月1日
文部科学省 社会人の受け入れ推進についてのほか 2009年12月1日配布資料一覧 中教審大学分科会大学規模・大学経営部会第5回 
小藤康夫 私立大学の資産運用と仕組み債専修商学論集89巻4号 2009年7月
文部科学省 学校法人の情報公開について ほか 2009年8月24日配布資料一覧 中教審大学分科会大学規模・大学経営部会第4回
中教審大学文科会大学規模・大学経営部会配布資料一覧 第一回(2009-04-23) 第二回(2009-05-26) 第三回(2009-08-06) 第四回(2009-08-24) 第五回(2009-12-01)
黒田壽二 私立大学の健全な発展に向けて 中教審大学分科会 2008年12月16日
澤田裕 私立大学の経営状況について 中教審大学分科会 2008年12月16日
愛知大学が資金運用で損失(2008年12月16日)
南山大学が資金運用で損失(2008年12月6日)
立正大学が資金運用で損失(2008年11月21日)
駒澤大学が資金運用で損失(2008年11月19日)
文部科学省 大学教育のグローバル化に関する参考資料 中教審 2008年9月下旬(配布分科会 配布日時未特定)
稲見和典 コストインフレに対応する大学経営 奨学金戦略/インフレ超過を目指す基金運用戦略 日興コーデイアル証券 21世紀大学経営協会 2007年10月1日
福光寛 経済・経営教育と中国語成城大学経済研究177/178合併号, Oct.2007, 183-209.
日本私立学校振興共済事業団 私立学校の経営革新と経営困難への対応 2007年8月1日
小藤康夫 私立大学と国立大学の経営比較 会計情報のパラドックス 専修大学商学研究所報39巻1号 2007年6月
平井昌夫 環境変化への対応を迫られる大学 信金中央金庫産業企業情報18-17 2007年3月7日
福光寛 私立大学の財務と経営について成城大学経済研究175/176合併号, Mar.2007,1-37.
福光寛 学校債と医療法人債 擬似債券の理論・歴史・現状成城大学経済研究173号, Dec.2006, 1-51.
若林洋夫 私立大学の経営と財務 国立大学財務・経営センター大学財務経営研究3号 2006年8月
稲見和典 資産運用における新たなリスク管理 米国大学基金の運用実態をふまえて 日興コーデイアル証券 21世紀大学経営協会 2006年5月30日
日戸浩之 少子化時代の教育ビジネスと大学経営 知的資産創造(野村総研)2006年3月
森川有理 逆風の私立大学経営環境と生き残リシナリオ UFJ Institute Vol.8 No.2 2003年3月
無署名 米国年金基金によるリスク管理の現状 年金ストラテジー(ニッセイ基礎研)39号 1999年9月
臼見好生 少子化の進展で抜本的改革を迫られる大学 知的資産創造 1999年8月
福光寛 1993年米学生ローン改革法について立命館経済学44-2, June 1995, 96-106.

リンク
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