みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

薄明かり包む調べ

2007年08月14日 19時18分15秒 | 光と空間
harp_000.jpg: ケルティックハープの演奏
D70s with SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC Macro thru Kenko Pro1D Protector (W), Manual exposure (F=2.8, SS=1/10s), ISO800, WB=Sunny (+0), f=17mm (35mm-equivalent: 25mm)

道を曲がると、音楽が聞こえてきました。薄明かりを頼りに奏でられていたのはハープ。演奏は岐阜県出身の澤田真弓さん。浴衣姿がりりしい。

左右の手が弦の上を滑ると、透き通った小さな音がはじき出され、ろうそくの炎のように転がり始めます。小さな音は薄明かりの中を漂い、やがてステージからあふれ出し、次第に勢いを増して部屋全体を飲み込んでいきます。

薄明かりが包む調べから、薄明かりを包む調べへ。

気がつくと、主役は光から音に交代していました。音はハープから出ているはずなのですが、曲はステージ全体から部屋を包み込むように響いてきます。

山奥の町で、行灯とろうそくの光の中、柔らかい調べに身を任せる夜。

奏者と聴衆の距離が近いコンサートっていいね。

演奏されている楽器はケルティックハープ。オーケストラで使われるグランドハープより小型のハープです。特徴的なのは、半音上げるために弦の張り具合を変える必要があること。半音の操作は演奏中でも可能ですが、頻繁に操作するには向いていないので、途中で転調しない曲を主に演奏するそうです。

本番の演奏中は、撮影を控えて曲を聞きます。胸を揺さぶる演奏を聞き流してファインダーなんかのぞいていられないから。奏者をただの被写体としか見なさないのは失礼だから。音楽を聞かずに撮影しても心のこもった写真にはならないと思うから。その場の雰囲気にどっぷりと浸って撮るのが私の撮影スタイルだから。

harp_001.jpg: ケルティックハープのステージ
D70s with SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC Macro thru Kenko Pro1D Protector (W), Manual exposure (F=2.8, SS=1/2.5s), ISO200, WB=Sunny (+0), f=17mm (35mm-equivalent: 25mm)

演奏後の、誰もいないステージ。部屋はとても暗いのですが、このくらいの明るさがあれば十分に弦が見えるんだそうです。澤田さんはステージから下りて休憩中。次の開演は30分後。

空になった客席に、また人がぽつりぽつりと人が入り始めました。五月雨 (さみだれ) のように人が来るのは、おそらくプログラムとして演奏時間が厳密に決まっているわけではないからでしょう。残念ですが、つい今しがた閉演したばかり。次の演奏は30分後です。

と、澤田さんがステージに上がり、数人のために1曲演奏してくださいました。まるでプライベートコンサート。1枚目の写真は、そのときに撮影したものです。このときはファンサービス的な性格の演奏でしたし、既にカメラも据えていたので、何回かシャッターを切ってきました。

それでも、演奏中のシャッター音は耳障りで、申し訳ない気分でした。D70sはシャッター音が割と大きく、シャッターを切ると、「パシャ」ではなく「ガシャッ」と派手な音を立ててくれます。演奏中でなければ、この大仰なシャッター音も撮影気分を盛り上げてくれて好きなのですが。



たんころりんの目次は → こちら