原作名:鋼殻のレギオス
作者:へびひこ
最終更新日:2013年1月29日
評価:C
サイト:ハーメルン
http://syosetu.org/Novel/536/
[あらすじ]
キャロル・ブロウニングは、故郷で英雄と呼ばれる少女。武芸の実力だけでなく、隔絶した剄量もあって、老生体の首すら一撃で切り落とす。
その反面、幼少から戦いに明け暮れた生活のため、同年代の友達がいない。それを心配した両親に促され、ツェルニへ留学することに。
そこで出会ったのは、良くも悪くも癖のある人物たち。自分以上の実力者、レイフォン・アルセイフ。目立ちたくない目立ちたくないと言いつつ、なぜか目立つ行動ばかり。銀髪でにこやかながら、腹に一物を抱える生徒会長、カリアン・ロス。ツェルニを守るためなら、恫喝・八百長・懐柔なんでもござれ。
他にも色々と癖のある面々に囲まれ、ツェルニに留学した凄腕武芸者の送る学園青春物。
[文章]
三人称。誤字脱字は少ない。読点「、」が少なく、ひらがな表記が多いので、少々読みにくい印象。「~た。」「~だ。」「~ない。」で終わる短い文章が連続するのも、読みにくさの一因。ただし文章自体は簡潔なので、目が慣れさえすれば問題はないと思われる。
[総評]
準最強系女オリ主。設定はレギオスだけど、ストーリーはかなり改変されている。
「青春しているなあ。ラブコメしているなぁ」
と、むず痒さを感じながらニヤニヤして読める点では、なかなかに貴重な作品だと思う。主人公の所々天然なところも可愛い。
原作の幼生体襲撃はないけれど、ラブコメ路線で行くなら、小隊戦より血生臭い戦闘シーンは無粋と言うもの。個人の戦力ではツェルニでワン・ツーを飾れる実力者を従え、それでも小隊戦では勝てずに苦悩する新米小隊長。三角関係の未練を断ち切れず、それでいて主人公に心が揺らぎ始める先輩。自己を全否定され故郷を追われ、傷ついていた心を癒してくれた主人公に、友人以上恋愛未満な感情を持ち始める原作主人公。そして主人公をうまく使い、来たる都市戦に勝利しようと目論み、そのためなら裏で八百長の手引きすら厭わない生徒会長。ほら、役者は揃っている。汚染獣なんかお呼びじゃない。
原作キャラ勢の物分りが良い……良すぎるのと、いわゆる『愛され系主人公』で誰からも悪意を持たれていない事から、キャラ同士のぶつかり合いがなく、全体の起伏が乏しいのが残念と言えば残念。
この2点を踏まえて読めば、スポーツに恋にと青春物として読める新しいレギオス作品。
原作名:鋼殻のレギオス
作者:天地
最終更新日:2012年5月12日 完結済
評価:B
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=32355&n
[あらすじ]
グレンダンを遠ざかる放浪バスの車内、レイフォン・アルセイフの気分はどん底にあった。闇の賭け試合出場の発覚、天剣のはく奪、孤児院の家族からの刺々しい態度、そしてグレンダンからの追放。
こんな境遇になる前に、もっと何か手立てはなかったのだろうか。もっと上手い方法があったのではなかろうか。自責なのか後悔なのか、鬱々と慣れない思考に沈んでいるうちに、耳に届く衣擦れの音。出所は自分の荷物。しかも何やらもぞもぞ動いている。
嫌な予感に駆られつつ、恐る恐る荷物を開け……出てきたのは小さな女の子。リーフェイス・エクステ、愛称リーフィ。
今さらグレンダンに戻る訳に行かず、小さな女の子を一人で送り返す訳に行かず、やむなくツェルニに連れていく羽目に。
あっちで人攫い、こっちで人攫いと騒がれ、神経性の胃痛と戦いながら、新生活を始めるために奔走する子連れ狼レイフォンの奮闘記。
[文章]
三人称。誤字少々。「~だが」の疑惑法で文章を終える時が多く、少々鼻についた。作者氏の癖なのだろうけれど、この用法を控えればずっとテンポが良くなると感じる。
[総評]
お前はどこのキョンだ、と突っ込んでしまった意外すぎるレイフォンの子連れ入学。勿論実子ではなく、同じ孤児院の仲間で剄持ち。
原作通りの入学式での乱闘の後、カリアンの呼び出し。武芸科への転科条件に、付け加えた条件がリーフェイスの滞在許可。なし崩し的に第十七小隊に編入されるのも原作同様の流れ。
しかしリーフィの影響は小さくなく、メイシェンとフェリの人格がかなり愉快な事に。特にフェリは、リーフィの親権を本気で狙うとか、何やっているのやら……。シャンテはシャンテで、精神年齢の近いのが現れたせいかテンションが上がり気味。
反面、レイフォンのダウナー思考は原作の比ではない。小隊戦のグラウンドに出るのにすら、カリアンの恫喝があってどうにか、という具合。このまま鬱々した流れでいくかと思いきや、ここはやっぱり主人公、立ち上がるべき場では立ち上がってくれる。
守るものがあるから強くなれる。支えてくれる人がいるから立ち直れる。父親を目指すレイフォンの活躍に期待する作品。
原作名:鋼殻のレギオス
作者:嘘吐き
最終更新日:2011年11月15日 2012年7月4日
評価:B
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=23719&n
[あらすじ]
学園都市ツェルニの入学式もつつがなく終わり、新入生たちがめいめい解散し始めた時に、騒動は起こった。
対立する都市出身者同士の喧嘩。
一般教養科の女生徒が巻き込まれかけ、喧嘩していた二人を颯爽とのした武芸者。レイフォン・アルセイフ。
お礼と称してレイフォンを生徒会議室に呼び出し、ヴォルフテュテインの銘を持ち出すカリアン。武芸科に転科し、天剣の実力を持って、今年の武芸大会に参加してもらえないか、と。
しばしの逡巡の後、レイフォンの出した回答は。
「お断りします」
ドライに物事を判断できるレイフォンが、自分の目的を見つけ、そのために東奔西走する物語。
[文章]
三人称。一話毎の文量はそれなりにあり、会話文と情景描写の配分も丁度良い感じ。読み応えがある。文章の締めが画一的で、少々テンポの悪い気がする。
たまに見つかる誤字脱字が珠に瑕。
[総評]
レイフォン再構成物。原作のように何事にも拒絶のできない優柔不断な性格ではなく、自分で判断し、納得できなければ「ノー」と言えるドライな性格となっている。対人こと異性関係においては優柔不断なところが残るものの、この辺りは十代半ばとしては当然か。
「戦場に出たからにはその武芸者の生き死には自己責任。戦場では弱い武芸者から死ぬのが常。弱い武芸者に価値はない」
こう言い切れるレイフォンは素晴らしい。
傲慢? 傲慢で結構。文句があるなら実力で諫めてみろ。性格がちょっとサヴァリス化しているかな?
最新話では、レイフォンの人生に一大転機を醸した人物が語られ、これがこの作品のレイフォンの強さの根源なのかと納得。ただし人によっては地雷になる危険な設定。その分、理想しか見ていないニーナとの対立は、ほぼ決定的。
これからの展開に目の離せない作品。
原作名:鋼殻のレギオス
作者:武芸者
最終更新日:2011年10月23日 2013年11月8日
評価:C
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=15685&n
[あらすじ]
レイフォン・アルセイフは己の不幸を嘆いていた。
新しい門出になるはずだった学園都市ツェルニの入学式で、暴れる二人の武芸科新入生を一瞬で鎮圧。隠したい実力を第17小隊隊長のニーナに目を付けられ。生徒会長のカリアンにはヴォルフシュテインの名で脅迫され、無理矢理に武芸科へ。鎮圧した生徒はそのまま退学となるも、片方が乱暴者で有名な先輩の弟だった事で、その先輩に目の敵として追い回され。そんな不幸が山盛りの中で出会った上級生、フェリにそれとない好意を抱けば、彼女の兄は陰険眼鏡ことカリアン。
グレンダンでの生活を全てリセットし、新しい人生をやり直そうとしつつも、過去はミミズのように石の下から這い出て来る。
そんなレイフォンがわずかな幸福を求め足掻き、フェリと仲良くなっていく物語。
[文章]
三人称。文章は上手い。ただ物語全般の雰囲気から、好き嫌いが分かれると思われる。個人的には好感触。
誤字脱字は修正してもし切れておらず、たまに見かける。読ませる文章を書くだけに、このうっかりはとても残念。
[総評]
ヒロイン枠フェリ一択の原作再構成物。
出だしはやや鬱気味。レイフォンの逃げ場のない閉塞感が、暗めのトーンとなって上手く書かれている。この調子は原作1巻終了間際(第4話の後半)まで続くので、嫌いな人は途中で投げてしまうかも。
その後の雰囲気は上向くけれど、二人の甘々でイチャイチャな世界が見え始めるのは、第13話以降と遅め。その後も甘々シーンは控えめのシリアス多めなので、学園ラブコメとするには難しい。
ギャグ要員はフェリ親衛隊と、意外な事にサヴァリス。ただ、親衛隊やマイアスのオリキャラは不要だったなと、個人の嗜好として感じた。
暴走武芸者と化したレイフォンと、唯一止められるフェリの時にシリアス、時にギャグ、時に陰鬱な賑やかな学園生活の物語。
原作名:鋼殻のレギオス
作者:武芸者
最終更新日:2011年9月30日 完結済
評価:B
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=29266&n
[あらすじ]
クラリーベル・ロンスマイア。『槍殻都市グレンダン』の将来有望な武芸者。愛称クララ。
彼女の初陣の相手は雄性体一期。後見人は天剣授受者のレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフ。
あと一息の所で剄脈疲労を起こし、助けられる無様を晒した事から、クララは急速にレイフォンに関心を寄せていく。関心が恋愛感情に移行したのは、賭け試合の件でガハルドに脅迫されるレイフォンを目撃して。
ガハルドを再起不能にしてから、クララはレイフォンに告白。ここからクララの押しの一手が始まる。
クララが主人公で、レイフォンを落とすまでのラブコメ……でいいのかな?
[文章]
三人称。会話文と説明文(情景描写や心理描写)の配分も良く、物語の流れのテンポが軽快で楽しい。会話自体も面白い。
所々で誤字脱字が目に付いてしまうのが残念。
[総評]
微ギャク。ラブコメ要素多め。シリアスはスパイス程度。
セカンドとあるからには、ファーストか無印があるかと思われるかもしれない。実は原作1巻で終了した作品の続編を、そのまま後ろに付けて再開したものなので、第7話までがファーストに該当するストーリーになる。
クララのツェルニ留学にあたり、レイフォンも護衛役として天剣持参でツェルニに留学。
初陣では汚染獣相手に後れを取ったとは言え、それでも雄性体一期を単独で相手した実力者のクララ。ツェルニ最強を謳われる第一小隊が束になっても勝てるはずもなく。レイフォンは天剣を剥奪されず、モラトリアムも起こしておらず、クララ護衛の目的意識から、武芸者としての立ち位置にブレはない。
小隊戦? 幼生体の大軍? 老生体?
二人の敵ではありません。安心安全の都市生活をお送りします。
この物語は、積極的にアプローチをかけるクララに、へたれなレイフォンがなけなしの理性で耐え忍ぶ姿をニヤニヤして読むもの。
当然、ヒロイン枠はクララ一択。ニーナ含めた女性陣の影の薄さが気にならないのであれば、殺伐としたレギオス世界でのラブコメを求める人に推奨できる一作。