原作名:魔法先生ネギま!
作者:桂樹緑
最終更新日:完結済み
評価:B
サイト:桂樹通信
http://keijyu.blog.ocn.ne.jp/ktu/2015/01/ss_a6d4.html
[あらすじ]
獣となって人に追われ、狩られて殺される悪夢で飛び起きた長谷川千雨。
悪い夢の汗を流そうとシャワーを浴び、ふと鏡を見て絶句。鏡に映るのは、先端の黒い三角形の獣耳。本来の場所に耳は感じられず。半分腰を抜かして座り込めば、尻の下に感じるのはタイルではなくて二本の尻尾。
これは夢なんだと自分に言い聞かせ気絶するも、現実はそう甘くもなく。耳と尻尾は隠せても、実際に生えているものは否定のしようもない。迫ってくるのは、自身が人外と言うどうしようもない事実。
人外になって初めて気づく麻帆良の現状。幽霊に吸血鬼にロボットに魔法使いに、人外の匂いを漂わせるクラスメートがちらほら。「てめえら、あたしの常識を返せ」と叫んでも、自身が非常識の代表では虚しいばかり。
自称常識人な千雨が、ある日突然人外の自身に覚醒し、ネギ関連のあれやこれやに巻き込まれたり、首を突っ込んだりする話。
[文章]
三人称。気がついた誤字脱字はない。文章力は高く、読ませる丁寧な書き方をしている。距離や速度の表現に誇張すぎな感のあるのが気になる程度。
[総評]
千雨魔改造、ほぼ最強物。これまで常識人だと思っていたのに、ある日突然、非常識の塊な狐の妖怪になっていた。始めのうちこそ戸惑いや困惑や将来の心配に頭を悩ませていたものの、「そんなものか」とかなり早いうちに開き直り(諦観?)。
次の問題が、妖怪として覚醒した事による強烈な飢え。それに耐えられなくなり、ついつい通りすがりの魔法使いにちょっかいをかけ、精気(魔力)をつまみ食い。その傍ら、麻帆良が異常者の集まりであると学んでいく。
妖怪とくれば、刹那との衝突は免れず。あっさりとモラトリアム終了の千雨と、延々モラトリアム続行中の刹那との対比は、読んでいて面白い。
後は魔法使いを襲った事でネギが、共に人外の絡みでエヴァが絡んで来るかと思いきや、意外な人物が間に立ち塞がり。事態はややこしい方向に転がっていく。
ネギま千雨魔改造物はそれなりに読んできたけれど、この作品の組み合わせ方は初見。
本編は修学旅行で完結。東方シリーズに絡んだ続編が、数話公開されている。本編だけでも満足のいく出来な作品である。
原作名:鋼殻のレギオス
作者:天地
最終更新日:2012年5月12日 完結済
評価:B
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=32355&n
[あらすじ]
グレンダンを遠ざかる放浪バスの車内、レイフォン・アルセイフの気分はどん底にあった。闇の賭け試合出場の発覚、天剣のはく奪、孤児院の家族からの刺々しい態度、そしてグレンダンからの追放。
こんな境遇になる前に、もっと何か手立てはなかったのだろうか。もっと上手い方法があったのではなかろうか。自責なのか後悔なのか、鬱々と慣れない思考に沈んでいるうちに、耳に届く衣擦れの音。出所は自分の荷物。しかも何やらもぞもぞ動いている。
嫌な予感に駆られつつ、恐る恐る荷物を開け……出てきたのは小さな女の子。リーフェイス・エクステ、愛称リーフィ。
今さらグレンダンに戻る訳に行かず、小さな女の子を一人で送り返す訳に行かず、やむなくツェルニに連れていく羽目に。
あっちで人攫い、こっちで人攫いと騒がれ、神経性の胃痛と戦いながら、新生活を始めるために奔走する子連れ狼レイフォンの奮闘記。
[文章]
三人称。誤字少々。「~だが」の疑惑法で文章を終える時が多く、少々鼻についた。作者氏の癖なのだろうけれど、この用法を控えればずっとテンポが良くなると感じる。
[総評]
お前はどこのキョンだ、と突っ込んでしまった意外すぎるレイフォンの子連れ入学。勿論実子ではなく、同じ孤児院の仲間で剄持ち。
原作通りの入学式での乱闘の後、カリアンの呼び出し。武芸科への転科条件に、付け加えた条件がリーフェイスの滞在許可。なし崩し的に第十七小隊に編入されるのも原作同様の流れ。
しかしリーフィの影響は小さくなく、メイシェンとフェリの人格がかなり愉快な事に。特にフェリは、リーフィの親権を本気で狙うとか、何やっているのやら……。シャンテはシャンテで、精神年齢の近いのが現れたせいかテンションが上がり気味。
反面、レイフォンのダウナー思考は原作の比ではない。小隊戦のグラウンドに出るのにすら、カリアンの恫喝があってどうにか、という具合。このまま鬱々した流れでいくかと思いきや、ここはやっぱり主人公、立ち上がるべき場では立ち上がってくれる。
守るものがあるから強くなれる。支えてくれる人がいるから立ち直れる。父親を目指すレイフォンの活躍に期待する作品。
原作名:オリジナル
作者:雛
終更新日:2012年5月10日 2013年3月31日
評価:B
サイト:小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n7072bd/
[あらすじ]
父の残した多額の借金の返済に、家も保険金も僅かな貯蓄も全て失った主人公。人生どん底なところで目にしたのは、高級リゾートホテルのシェフの求人広告。
次の職も住み家も当てがないからと申し込み、行き着いた先は異世界だった。
この異世界のとある小国には、有史以前からの巨大迷宮が存在し、そこに潜む魔物目当ての冒険者が多く集う。ならばそれを観光事業として成り立たせようと、3年ごとに開くゲートを通じ、異世界(なぜか日本)から技術者を雇用していた次第。
3年周期とは言え確実に往復できる異世界の高級リゾートホテルで、料理人として腕を振るう主人公の奮闘記。
[文章]
三人称。たまに誤字。一話平均2千8百字程なので、物足りない感がある。描写の薄さが気にしなければ読める文章。
[総評]
異世界漂着物の料理物。漂着と言っても3年間の労働契約なので、契約が切れれば元の世界に帰れる設定。しかも国家事業として、国が異世界(日本)から技術者(料理人)を招致しているので、本人は気づいていないながら国賓待遇。警護体制も万全。そんな訳で、異世界に漂着したので、身元を得るために『冒険者ギルド』に入会、というありがちな流れはない。
タイトル通り、物語のメインは料理。食材は異世界の、それも地下迷宮で狩った魔物ばかりなので、異世界(日本)の料理人としては毎回試行錯誤の連続。やってきた当時は散々失敗作を作りまくったそうだけれど、渡来1年後の設定なので、そういう失敗は早々ない模様。失敗の話こそ読みたい心境。
肝心の食材調達はどうしているかと言えば……経営者の第三王子が視察ついでに狩ってきたものか、ギルドを通じての購入。ここでのギルド入会には、筆記と実技試験の他、紹介状が必要という事で、身元不明の異世界人が身元確保のため、などと簡単に入れる仕組みになっていないのが好印象。勿論、料理人の主人公が、食材を得るために迷宮に潜るなんてことは……ない。
グルメツアーは開催されるわ、住んでいた巨大な魔物が老衰で死ぬわ、そのせいで迷宮の生態系が狂うわ、何とも愉快な設定も楽しい。
厨房を自らの城とし、虫(型の魔物)であれば容赦なく叩き潰す料理人な主人公に期待。
原作名:オリジナル
作者:さくらちゃ
最終更新日:2012年5月2日 2014年1月27日
評価:C
サイト:小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n4172ba/
[あらすじ]
女子の出生率が原因不明の理由で著しく低下している世界。
絡んできたゴロツキを、独学の魔術で消し去った孤児のミュー。疲れたので昼寝でもしようと横になった所へ、声をかけてくる赤髪の偉丈夫。白鷹騎士団の団長様。
「騎士にならない?」
なぜか騎士団への勧誘。しかも、これまで同じ手口で小悪党を消してきたのを把握されており、逃げ道なし。
しかし騎士団に入るには貴族出でなくてはならず、孤児にそのような血縁関係のあるはずもなく。
「なら、うちの養子になれば良い」
あっさりと覆され、連行されるミュー。
元孤児の主人公が貴族の家に引き取られ、騒ぎに巻き込まれたり首を突っ込んだりして、頼もしく育っていく成長物語?
[文章]
主人公の一人称。たまに別キャラの一人称が入ってくる。誤字脱字少なめ。文章に変な癖はなく、テンポも良い方なので読み易い。
[総評]
主人公、実は少女。加えて魔力もあるため、希少価値が高い。女の子姿だと色々と危険なので、性別を偽って路地裏生活をしていた次第。
クロイツ公爵家に目を付けられたのは高い魔力が理由でも、そこに女性とくれば、なおさらに興味を持たれるのは必然。血縁的に王家から疎遠になりつつあるクロイツ家復権のため、本人の知らぬところで王子に売り込むための算段がつけられ、令嬢教育開始。
貴族のドロドロ劇がメインかと思いきや、その気配はかなり希薄。クロイツ家のみならず、他の貴族や騎士達も基本お人好しばかり、良い意味で。主人公の三人の義兄もシスコン化し、『愛され系主人公』の雰囲気は漂っているものの、戦闘あり冒険ありなので気になる程でない。少なくとも主人公は自分で努力し、成果を出しての周囲の評価なので、好感が持てる。
主人公が首を突っ込んで救出した要人絡みの事件をきっかけに、そろそろ大きな捕り物が始まる模様。シスコン三兄弟も下準備に忙殺されていたようで、どんな獲物が網にかかるのか期待。王子? ロックオンされていますよ、勿論。
条件は前回とほぼ同じ。合計文字数の条件を変更。
・おそらくは物語の中盤になったであろう、4話以上で合計文字数が5万字以上の作品。
・本編が別にあり、外伝や異伝などのサイドストーリーはNG。
・一話平均3千文字未満はNG。一話が原稿用紙8枚もないのは、描写が薄い証拠。
・VRなりMMOなりの『仮想現実世界』が舞台の作品はNG。
・『冒険者ギルド』『レベル』『ランク制度』『ステータス画面』『スキル』のある描写もNG。
作品名:魔を喰らえ!!
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作者:aki
最終更新日:2012年4月28日
評価:スキル、レベル、ステータス表示あり。NG。
[短評]
テーブルの上に並べられたたくさんのご馳走。見た目おいしそうで、匂いもおいしそう。実際おいしく、みんなで談笑しながら食べました。ご馳走の描写が皆無。パンなのかスープなのか、果物の一つもあるのか、それすら描写がない。せめて一皿ぐらい品名を書いてほしかった。
スキルを発動。迷宮の魔力が食われていく。このスキルに驚いた周りの冒険者達の視線が痛い。スキルの描写や、魔力がどういうもので、どう食われたのか、描写が皆無。
情景描写がほとんどなく、誰が何をしているのか全く伝わってこない。理解しているのは一人称語りの主人公=作者だけ。何これ?
作品名:鍛冶師ですが何か!
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作者:泣き虫黒鬼
最終更新日:2012年4月30日 2013年5月4日
評価:状態確認のスキルと、それによるステータス表示。ギルドあり。NG。
[短評]
主人公の一人称。たまに別キャラの一人称に変わり、読みにくい時がある。漢字の誤用が多い。
高圧的で上から目線の主人公。「俺はこんな事知っているし、あんな事もできるんだぞ」「何だお前、そんな事も知らないのか」の自慢話(うんちく語り)が辛い。うんちく語りのモノローグで始まり、最新話に近づくにつれ、会話文だけで話の進むうんちく語りに変化。どこかで摘まんできた小ネタを知ったかぶりで書き連ねるのでなく、物語の情景に反映できれば、面白くなるかも。
作品名:転換の魔剣と抑止の聖剣
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作者:狛井菜緒
最終更新日:2012年4月27日 2012年11月24日
評価:F
[短評]
女冒険者で名を鳴らした主人公。剣の腕一つで、親の借金を完済しただけでなく、仕送りまでして家計を支えている。ある日ギルドを通じて入った依頼は、実家へ戻られたし、の伝言。家族に不幸が起きたかと帰ってみれば、結婚話だった。公爵家の令嬢が輿入れするので、その護衛として付いて行くようにとのお達し。そのためには既婚が前提で、断れば一家断絶。やむなく結婚を承諾し……。
出てくる連中が軒並み無能なので、読んでいて不快感を抱いた。両親健在に兄二人。男手が三人あっても借金返済の目処を立てられず、末っ子の12歳の娘が家を飛び出し、冒険者として5年間働いて完済しなければならなかった程に無能。その後も、娘の仕送りで生き長らえているとか、クズっぷりが半端ない。
そのくせ、国からの命令で娘を嫁に出せと言われて、娘に対して酷い仕打ちだと怒りを覚える辺り、あほ以外の何だと言う評価しか持てない。娘に嫁がれたら、誰が養ってくれるのかと憤っていた、の方がまだ好感が持てると思った。
12話5万2千字を使い、最新話でようやく結婚式と、話の進み具合はかなり遅い。
三人称。前書きや後書きに設定集。せめて本文中に書き表す努力ぐらいしてほしかった。本文中に書けない設定なら、後で変更できる余地があるのだから、外に出さずに死蔵させておくとか方法はあるのに、何で何でもかんでも外に出したがるのかね?
そのせいか、あらすじの最後の部分にすら到達していないのに、作者氏が色々と迷っている感が伺えてしまい、話が進むのかどうか不安がある。