原作名:オリジナル
作者:Ceez
最終更新日:2012年2月19日 2013年2月14日
評価:D
サイト:小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n7778p/
[あらすじ]
世界の意思により、一部の人間に『称号』と付随する能力が与えられる世界。
登校中、なぜか『魔王』の称号を得てしまった少年。
その直後のドタバタはともかく数年が経過し、自称『勇者』からの襲撃を受ける以外は到って平凡(?)な生活を送る高校生の、某学園都市ばりに科学技術の発達した街での日常生活の物語。
[文章]
三人称。句点「。」の後の一文字空けがなぜか気になった。文章のテンポがやや悪いのと、たまに誤字誤用があるのを除けば、文章の質は『小説家になろう』の中では高い方だと思う。
[総評]
世界の意志により『魔王』の称号と能力を得た少年。「俺は平穏に生きたいんだ~」と言いつつ、色々と巻き込まれる最強主人公なテンプレ作品。
一話平均7千文字強と満足のいく文章量。1話で一つのエピソードを完結させている。この2点に好感を持てた。その話で出たキャラが、次の話に端役として絡んでくるのも、読んでいて楽しい。各話のあちこちに伏線らしい設定や世界情勢が散りばめられていて、それも次話を楽しみに待つ理由になっている。
舞台となる街が、『とある魔術~』『とある科学~』の学園都市を彷彿とさせる。技術面は科学で補い、能力関係は魔術系で賄っている感じ。学園都市の裏のドロドロを抜いているので、無味無臭あるいは無味乾燥な印象になっているのが残念。
匂い、あるいは個性がないのは、登場人物についても同様。一通り読んでも、キャラの名前と個性が記憶に残らない。『聖女』が腹黒、という程度の認識。一話毎に新キャラが出てくるため、印象に残らないと言うのもあるかも。各話でもう少し起伏をつけるか、1キャラ出したら2、3話その関連エピソードで掘り下げるかすれば良かったのではなかろうか。
出張れば大抵のドタバタをすぐに解決してしまう主人公。そんな無双物な作品。
原作名:HUNTER×HUNTER
作者:hiro
最終更新日:2012年2月15日 2012年4月4日
評価:C
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=30474&n
[あらすじ]
大学四年生となり、周囲では就職なり院への進学なりが決まっていく中、進路が定まらない主人公。
見かねた教授に呼び出され、希望する進路を問われて答えた一言。
「ハンターになります」
そして一年半後の1999年1月、従兄弟と共に向かうハンター試験。
一介の大学生が、就活のためにハンターライセンスの取得を目指す話。
[文章]
主人公視点の一人称。たまに誤字。
主人公の考察がメインで、行動描写・人物描写は薄い傾向。風景描写やちょっとしたうんちくは丁寧。場面描写の説明が難解な時があり、でたまに首を捻らされる。
[総評]
神様転生、チートオリ主、原作知識、ハーレム、最強などは無い。独自解釈・独自設定あり。ゴンとハンター協会にややアンチ要素。ただしゴンは年齢故にハンターになるのに反対し、ハンター協会は清濁併せ飲む形で許容しているので、ありがちな難癖をつけたアンチ物ではない。
現代日本の感性で「まとも」な人間が、クジラ島の住人しか思いつかないH×Hだけれど、この作品の主人公は至ってまともな人物。母方の血筋がまともでないのを除けば、普通に中高を卒業し、大学に通う大学生。血で血を洗うマフィアや賞金首や、それこそハンターなどという荒事な職種とは無縁の生活を送る一般人。勿論、犯罪とは無縁で犯罪歴なし。
そんな主人公がふと思い立ち、受験することにしたハンター試験。
淡々と語る主人公のモノローグと考察が主のため、主人公の目の届かない場所での出来事は書かれていない。そのため、原作を読んでいても少々流れの分かり辛い感がある。ハンター試験時はともかく、ヨークシンの旅団関係は、原作知識がないと置いてけぼりを食ってしまう。
ゴンやキルアの主役キャラと絡まない反面、H×H世界で一番の謎設定、各国に巨大な影響力を持つハンター協会に絡んでいくのが面白い。巨大組織なだけに後ろ暗い部分も当然ある訳で、それを許容する度量を持つ主人公は年齢の割に達観しすぎの感も。
原作補完的な意味では王道だろう二次小説。
原作名:オリジナル
作者:もんかる
最終更新日:完結済
評価:C
サイト:小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n3072h/
[あらすじ]
わしは猫である。名前はまだない。
ただ、いつの間にか見慣れぬ衣装を着た男女に取り囲まれ、「勇者様、どうか我々を魔王の手よりお救い下さい」と頭を下げられたのは覚えている。
いや、知らんよ。わし猫だし。
……こんな感じで異世界に召喚され、勇者となった三毛猫(♂)が、異郷の地でも慌てず騒がずマイペースに、ゴミ箱を漁って餌を探したり、時に浚われて売られたり、ギルドでお尋ね者になったりしながら旅をする話。
[文章]
主人公視点の一人称。主人公と離れ離れになったヒロイン(?)視点の話が7話程。
全82話、9万2千文字。一話平均1千2百字未満と、各話が非常に短い。情景や行動の描写は薄く、会話が多い。誤字少々。
[総評]
異世界召喚物。ただし主人公は野良の三毛猫。人語は解しても人化はなし。毎度の『冒険者ギルド』は存在するが、主人公の属種的に登録する事はないので気にはならない。
人化しない、完結している、の2点で、文章の薄さや各話の短さに関係なく高評価を付けたくなった。
人物の描写が薄いのは、主人公が猫だから、で妥協できる……かな? 召喚され、逃げ出し、捕まり、売られ、また逃げ出し、また捕まり、そして戦ってと、呑気に野良猫ライフを満喫しているのが、読んでいて楽しい。
しかし勇者として召喚されたからには、嫌がおうにも魔王との戦いに引き込まれていくのは避けられず……。
道すがら出会う人物達も、別れても運命のように再会し、魔王との最終決戦に絡んでくる展開は正に王道。ナルシストで守銭奴な弓使い、事の元凶の召喚した僧侶、実力はあっても色々と残念な人間の勇者、そして助けられたお礼に同行してきた妖精などの個性が、最後には主人公のために集結し、魔王配下の四天王と魔王本人との戦いに参加する。
……もう少し描写を厚く、上手く書けていれば熱かったのにと残念。
勇者となった三毛猫が仲間を率い、苦難を乗り越えて魔王を倒すまでの冒険活劇……にならないゆるゆるな珍道中? 多少長い設定語りでも、相手が猫なら許せてしまう? そんな作品。
どうにも良い作品が見つからないので、『小説家になろう』の日間上位の短評をば。
作品名:俺、竜! 君に届くは竜の声
http://ncode.syosetu.com/n1658bb/
作者:月野安積
最終更新日:2012年2月4日 2013年2月5日
評価:保留
[短評]
異世界転生・憑依物。主人公の一人称。出だしのテンションに抵抗感。文章はまとも。
社会人が穴に落ちて、気がつけばドラゴンになっていた。腹が減ったので翼を使って穴を出、食べ物を探しているうちに遭難者を発見。いつの間にか人化する術を。その姿で人里に入り、普通の生活を始める。
折角の人外設定が、第三話の人化で台無しにされた印象。この世界の竜は戦争利用されるのが常らしく、正体の知られるのを恐れる主人公がどう動くのかに期待。
再レビュー先はこちら
作品名:黒き加護の白術師
http://ncode.syosetu.com/n2924bb/
作者:月下部 桜馬
最終更新日:2012年2月4日 2012年6月10日
評価:保留
[短評]
異世界迷い込み物。主人公の一人称。読める文章。『至上最強迷子』の改訂版だそうで、投稿されているのは一話のみ。
会社の入り口ゲートで落ちてきたタライに頭を強打、気絶。気がつけばどこかの国の王様の寝室のベッドの中。当然大騒ぎになり……な流れ。
どうも主人公、勝手に暴走して自爆した挙げ句に自滅する性格のよう。勢いとノリの出だしは悪くないので、評価は保留にして様子を見る事にする。
作品名:チートじゃないよ?努力だよ?
http://ncode.syosetu.com/n2018bb/
作者:茶古
最終更新日:2012年2月4日
評価:F
[短評]
神による異世界転移。主人公の一人称。ステータス画面と、レベルとスキルのアップに伴うアナウンスあり。主人公のテンションが終始高く、読んでいくのが苦痛。
神の創造した世界のバグ取りに異世界に転移したはずが、実は主人公がバグでした、のオチ。ゲーム世界ならカンストのレベル340万、ところがその世界では上限がなくて見境なしにレベルアップが継続。姉のせいで世界が崩壊の危機。
妹への異常な愛情とバグでおバカな姉と、比較的まともな妹、そして創造神なのに無力な神のバカ話としてなら、受け入れられる人は笑えるだろう。残念ながらパス。
作品名:異世界に出戻りしました?
http://ncode.syosetu.com/n0928bb/
作者:のしぶくろ
最終更新日:2012年2月2日 2012年6月1日
評価:F
[短評]
現実に転生、後に異世界漂着物。主人公の一人称。
出だしの自分語りとおかしな擬音に、第6話の頭で脱落した。第5話までに語るストーリー性はないので、異世界に落ちた主人公がどうなったのかは不明。
作品名:ゴブリンの王国
http://ncode.syosetu.com/n8034ba/
作者:春野隠者
最終更新日:2012年2月5日 2013年2月5日
評価:D
[短評]
異世界転生物。転生先はファンタジーでは最下層のモブ、ゴブリン。主人公の一人称。
目が覚めたらなぜかゴブリンになっていた主人公。生きるために得物を狩っていたら、一晩でかなり大きく成長。さらに気に入らないゴブリンの王を殺したら、王の体躯を持つ身体に進化。これを利用して、自らと家臣たちを強化、王国を築いていく話。
出だしが短文と空改行の連続で抵抗感があったが、徐々に文章は長くなり、作品に集中できるようになった。しかし第7話から、冒頭に各キャラのステータスが表示されるようになり、一気に萎えた。
原作名:オリジナル
作者:あさ
最終更新日:2012年1月28日 完結済
評価:C
サイト:小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n5248s/
[あらすじ]
眠っている所を謎の声で起こされた主人公。この世界に異世界人が漂着した。そのため世界間のバランスが崩れたので、トレードオフで誰かを異世界に送らなくてはならない。その送られる事になったのが、厳選なる抽選により、主人公。
送られた先はどこかの山小屋。外は雷雨。着の身着のままの普段着と、バッテリー満タンのノートパソコンとその周辺器具が相棒。
取り敢えず落ち着きを取り戻し、今後の身の振り方を考えようとしたところに響く崖崩れの音。不幸にも巻き込まれて商人が死亡。生き残ったのは奴隷に売りに出される予定の少女と馬車と荷物。
身の振り方を考えるまでもなく、商人としての活動を余儀なくされた主人公が、奴隷の少女とラブコメしながら、各地を商売して歩く話。
[文章]
三人称。会話文になると意味の通じない時があり、何度か前後を読み直す羽目に。日常会話はともかく、交渉時の会話になると一度では頭に入って来なくなる。一部表現のおかしなところを除けば、丁寧語は違和感のないレベル。たまに誤字。
[総評]
異世界漂着物。
性欲と下心丸出しのハーレムを築くため、奴隷購入の資金集めに商売をする話かと警戒したのだけれど、その心配は今のところ杞憂。主人公は女性陣の好意を気付かない朴念仁どころか、誘われても手を出さないへたれ具合。これを善しと悪しとするかは読み手次第。
何となく『狼と香辛料』を連想した。原作は読んでいないし、アニメも第一期中盤で切ってしまったので、あくまで印象として。銀貨が発行する地方の違いで三種類あり、商売人同士の交渉に関係してくる設定が似ているかな? という程度。
ただ『生き馬の目を抜く商売人の交渉』術が基幹にあるにしては、主人公ではなく作者氏の力量を越えている感があり、肝心の交渉シーンが白熱しないのは残念。話数を重ねて上達はしているので、楽しめるようになるのはまだ先か。
異世界に飛ばされる時のおかしなテンションと、やや設定語りな出だしの悪さを乗り越えられれば、物語として読めるレベル。交渉の部分はともかく、日常的なやり取りや、人間関係の機微の表現などは上手い方だろう。
あちこちの伏線と上手く絡まっているようなので期待している。