彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

ようこそ

 このブログの管理人、彷徨人です。名前の通り、あちこちのサイトをさ迷っています。ネット小説に限れば『Arcadia』と『小説家になろう』がメインになります。
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超鈴音の敗北

2014-04-22 18:00:00 | 魔法先生ネギま!

原作名:魔法先生ネギま!
作者:スィートマト
最終更新日:完結済
評価:B
サイト:サラダデイズの名残り
    http://thankgoditsfriday.blog.fc2.com/blog-category-3.html

[あらすじ]
 ネギに告白し、恋仲になった千雨。しかしネギは魔物となり不老不死の身体。自分が老齢で死んだ後、眠りから覚めた明日菜の一人勝ちになるのは明白。
 そんなのは認められるかと、エヴァの協力を得て吸血鬼『デライトウォーカー』になったのにも関わらず、ネギは73歳で死亡。
 二重の意味でこんな結末を認められるか、と世界樹に祈れば、身長だけ中学生、吸血鬼の身体や記憶その他は未来のまま、2002年に逆行していた。
 愛する旦那は後にも先にも死んだネギだけ。この時代のネギ、姿形は似ているけど別人。でも、自分達と同じ轍を踏ませまい。
 これは純愛か、はたまた偏愛か狂愛か。
『デライトウォーカー』チサメ・スプリングフィールドが過去改変に挑む物語。

[文章]
 三人称。……のはずなのに、全体を俯瞰している第三者のメタ発言があるので、苦手な人は注意。脱字は数える程度。ただし『私』を『わたくし』と読ませるために『私くし』、『デイライトウォーカー(Daylight Walker)』を『デライトウォーカー(Delight Walker)』と書く意図的な誤用あり。他の文章が良いため、この単語を用いている箇所は違和感が強い。

[総評]
 エヴァンジェリンの眷属となった長谷川千雨の魔改造逆行物。種族的な理由から、魔法使いアンチ傾向。元の時間軸は原作と異なり、超が逆行してこなかった世界。どのような世界になっていたのかは、作中に挿話で説明されている他、終盤でも明かされている。そして原作通り、本編では超が健在。
 一言で言えば、千雨の愛が重い、重すぎる。これだけの愛情を向けられたら、「ごめん、無理」と断って逃げ出すレベル。逃げ切れるかどうかはさて置き。それを受け入れていたネギ(故人)は、間違いなく英雄。
 かと言って、作中のネギに対してヤンデレ化している訳ではない。愛するネギは故人で、目の前にいるネギとは別人と本人は割り切っている。その上で好かれたいと思ってアプローチをかけているし、元の時間では壊してしまった3-Aとの関係を取り返したいとの願いも。その願いが報われるかどうかは、読んでのお楽しみ。
 7月頭にブログを閉鎖するとのことなので、それまでに一読を勧めておきたい作品。


二人の鬼

2014-03-31 18:00:00 | 魔法先生ネギま!
原作名:魔法先生ネギま!
作者:子藤貝
最終更新日:2014年3月28日
評価:B
サイト:ハーメルン
    http://novel.syosetu.org/5283/

[あらすじ]
 両親を殺され、仇には死に逃げされ、父の残した刀と伝えられた剣術以外には何も残されず、鬼道に堕ちた少女。誰かに殺されるために生き、生きるために殺し続けてきた果てに出会ったのは、もう一人の鬼、吸血鬼エヴァンジェリン。
 時は折しも1980年代に入ったばかり。魔法世界では、メガロメセンブリア連合とヘラス帝国間の緊張が高まっている最中。
 自分達を打倒できる英雄を求め、二人の鬼の暗躍が始まる。

[文章]
 三人称。誤字脱字の類は少な目。各話も文章量が多く読み応えあり。

[総評]
 エヴァンジェリン悪堕ち系。
 緩い言い方をすれば「私達を倒せる英雄を捜しに行く」な話なのだけれど、原作の温い展開はない。英雄になり得る候補がいれば見逃し、悪の素養を持つ者がいれば育つのを待つ。英雄だろうと悪だろうと、自分達に比肩できる実力を持った時に刈り取る。正統か邪道かはさて置き、ラスボスの貫録が溢れていてカッコイイ。
 原作時期に入ってからやや失速した感があるのだけれど、これは仕方ない。原作開始前の大戦時に、終盤レベルの勇者と魔王の戦いをやってしまっては、レベル一桁(推定)のネギの行動が物足りなくなるのは必定。ネギの成長に期待。
 しかしエヴァらの魔法世界の大戦時からの介入により、タカミチやクルトの心境に変化あり? ネギの生い立ちや木乃香の立場も微妙に変化。刹那の過去にも思わぬ落とし穴……。ネギパーティーそのものにも獅子身中の虫が紛れ込み、前途多難なのは確定。
 エヴァの悪役ぶりが光る作品。

魔法探偵夕映 R《リターン》

2014-02-13 18:00:00 | 魔法先生ネギま!
原作名:魔法先生ネギま!
作者:遁甲法
最終更新日:2014年2月8日
評価:D
サイト:ハーメルン
    http://novel.syosetu.org/16760/

[あらすじ]
 元『白き翼』の一員だった綾瀬夕映も、今はしがない(?)魔法探偵。
 仕事の依頼もなく、午睡を楽しもうとしたところに送られてきた、差出人不明の小包。
 開けてみれば、出てきたのはどこか見覚えのある懐中時計。
 はてと首を傾げ、詳しく調べようとした矢先、懐中時計は突然発光し、そのままバラバラに。
 そしてほとんど間を置かずに現れた訪問者、タカミチ・T・高畑。知己の間柄であるにも関わらず、なぜか初対面の相手に接するような、どこか警戒しているような元担任。
 『今』が2011年ではなく、2003年だと知るまで、あと少し。
 過去の麻帆良に飛ばされた夕映の、短いようで長いような休暇が始まる。

[文章]
 三人称。目立つ誤字誤脱はない。たまに誤用を見かける程度。文章全体は書き慣れてこなれた感はあるのだけれど、各話毎の文字数に対して効率良くまとめられずにいる印象。そのため、話全体の進みがかなり遅い。

[総評]
 魔法探偵として自立していた2011年の綾瀬夕映が、何者かから送られたカシオペアにより、2003年1月に逆行。
 犯人は誰か? 目的は? そして夕映は元の時間に帰れるのか? 帰還の手段と答えを求め、夕映が奮闘する物語。
 ……な展開を期待すると、壮絶な肩透かしを食らう。未来に帰らなければ犯人捜しなど無理な相談だし、カシオペアの修理は完全に超任せ。することがない。
 では、ネギ達に干渉して過去を変える?
 ……いや。過去を改変すれば、元いた未来がどうなってしまうか分からない。だからできない。
 ではでは、過去世界での生活基盤を築くために頑張る?
 ……いやいや。物分りの良い学園長とタカミチらのお陰で、その心配もなくなりました。
 これは、主人公の夕映すらどこへ進もうかの指針を持たず、カシオペアの修理が終わって帰る日まで、過去の自分や当時のクラスメート達の姿を肴に、ゲテモノジュースを飲みながらダラダラ日々を過ごす物語。スリルやサスペンスの類とは無縁で、のんびりした日常を求める読者にお勧め。

ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた

2014-01-27 18:00:00 | 魔法先生ネギま!

原作名:魔法先生ネギま!
作者:おーり
最終更新日:2014年1月23日 完結済
評価:C
サイト:ハーメルン
    http://novel.syosetu.org/4911/

[あらすじ]
 苦学生の主人公は、今日も朝から新聞配達。並走するのは小学生の頃からの腐れ縁の神楽坂明日菜。
 新聞配達の後は、サッカー部の早朝練習。部活に励んだり、先輩と和泉亜子との仲を取り持ったりと、怠惰だった前世と決別するため、青春を謳歌する真っ只中。そう、彼はテンプレ的な神様転生原作知識持ちチートオリ主。
 しかしここは麻帆良。ネギまに似た世界観を持つ世界。厄介事の足音は確実に近づいている。原作キャラ達と付き合いのある関係上、嫌だ嫌だと言っても巻き込まれるのは必定。でも覚悟はあまりない。
 案の定、ネギの来日と共に、原作にはなかったスタンド使いの影がちらほらと。
 さわやかな青少年を演じているつもりでも、前世から引き継いだ人格の腐臭を漂わせる主人公が、マイナスとか過負荷とか言われながら、マイペースに『主人公』をやろうとする物語。

[文章]
 主に主人公視点の一人称。たまに他キャラの視点。誤字誤用あり。ただし指摘を受けた作者によれば、主人公は中二病なので作中の用法を選択しているとの事。

[総評]
 原作知識持ち神様転生チートオリ主物。ただしありがちな、プロローグで神様登場シーンはない。転生特典でもらったのは、神殿級の防護障壁にスタンド能力……のはずが、なぜか原作キャラの中にもスタンド使いが複数。「なんでこのキャラが?」と言う選択が面白い。
 原作通り事を運ぼうと言う意図は主人公には皆無。そのためマイペースに行動し、序盤から原作は崩壊気味。巻き込まれたネギは色々とキャラが崩壊。
 それでも修学旅行など、回避不可能なイベントはやってくるわけで。弱体化されたのか強化されたのか良く分からない敵勢力なども絡み、原作の緩い空気は一体どこへ。
 原作強制イベントを除けば、流れはかなりオリジナル。また、ネギま以外の作品のキャラやストーリーが紛れ込んでくるため、分からない人には意味不明で苦痛になる時がある。話が進むにつれ、女性キャラから達から好意を持たれるようになるので、苦手な人は注意が必要。
 これに耐えられる人なら、楽しく読めるだろう。


麻帆良に現れた聖杯の少女の物語

2013-07-31 18:00:00 | 魔法先生ネギま!
原作名:魔法先生ネギま!
作者:みゃあ4号&5号
最終更新日:2013年7月28日
評価:C
サイト:Arcadia
    http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=37381&n

[あらすじ]
 何の脈絡もなく、気が付けば夜闇の森の中。空には星が瞬き、人の気配はない。ついでに自分が何者かの記憶もなければ、下半身についているべきものもなくなっていた。
 呆然としつつも人の気配を求めて歩き出し、やがて見えてくる石造りの吊り橋と、そこで争う四人の男女――ネギ・明日菜ペアvs.エヴァ・茶々丸ペア。
「ネギまかよ……」
 驚くのまだ早い。
 背後から現れた後頭部の長い老人に連行され、自分の容姿を確認すれば、第五次聖杯戦争のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。それぞれの原作と魔術関連の知識はなぜか完備。
 イリヤスフィールとアインツベルンの魔術知識を持ち、TSした元二十代男が、ネギま世界に干渉していく話。

[文章]
 最初のうちはイリヤ視点の一人称と、その他キャラ視点の三人称。後に三人称で統一される。一話毎の文章量は長すぎず、短すぎずに手頃な感じ。修正は入れているようだけれど、『人工』が『人口』とされる同音異語の誤字が少々。

[総評]
 TSに加え、キャラの容姿と能力を持ったオリ主のクロス物と、出だしの地雷要素はかなり高め。ただし読み進めれば、TSしていたらしい理由が判明するので、アンチなしのクロス物になる安心設定。
 しかし今度はネギアンチにならないよう、無理矢理良い話にまとめようと、ネギま原作におもねっている印象が出てしまい、そこに不満を感じる人が出てくるかもしれない。この辺のバランスは読者の好き好きだろう。
 主人公(=イリヤ)はアインツベルの魔術の他、第五次聖杯戦争のライダーを除く各英霊の能力を降ろすカードも所持。これにより、世界でもトップクラスの技能を振るえるように。
 対する敵は、アーウェルンクス・シリーズを始めとした『完全なる世界』だけではない。第四次のキャスターやランサーが確認され、他のクラスも参加している可能性あり。
 イリヤの介入により、魔法に関わる危険をそれなりに理解したネギ達が、原作より危険になった『完全なる世界』にどう立ち向かっていくのか。期待は大きい。