原作名:魔法少女リリカルなのは
作者:GAHI!?
最終更新日:2011年11月26日 2012年11月10日
評価:B
サイト:Arcadia
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[あらすじ]
気がついたに見知らぬ部屋の白い天井。一見、どこかの病室。起き上がり鏡を見れば、幼い頃の自分の姿。
混乱しているところで入室したのは、行き倒れていた自分を保護し、病院に運んでくれた恩人、高町士郎。
色々と会話を重ねるうちに判明したのは、自分が今いるのは、いわゆる平行世界。元の世界のように、殺伐としていない平和を享受する世界。
高町氏に名前を問われ、返した答えは「ソル・バッドガイ」
なぜか若返り、海鳴市に漂着したソルが高町家に居候し、なのはの子育てをする話?
[文章]
シリーズ開始時は、キャラの視点移動による一人称。最近はキャラが増えた事もあり、三人称による記述が増えている。個人的には最近の書き方の方に好感が持てる。
一人称だった頃は心情描写が多かったけれど、最近の話は会話文が多く、情景描写が少ない感じ。誤字脱字は少なめ。
[総評]
『ギルティギア』と『リリカルなのは』のクロス物。良くも悪くも全キャラの性格が改変されているので、名前と設定を借りたオリジナルとして読むのが無難。
主人公最強、原作キャラ魔改造、ハーレム要素あり。ただし女性陣の執拗なアプローチを実力込みで撃退しているので、ハーレムとするのは厳しいかも。
主人公のソルの性格は傲岸不遜でぶっきらぼう。知識と知能はずば抜けているけれど、気に入らなければ力ずくでぶっ飛ばし、照れ隠しでもぶっ飛ばす暴力主義者。おまけに口も汚い。でもなぜかヒロイン勢には惚れられている謎仕様。こう書くと、凡百の神様転生チートオリ主とそう変わらない。
上記3点を受け入れられるなら、話数と文章量はかなりになるので読み応えはある。
敬遠する要素を並べてしまったが、読み始めると妙な味わいがあり、つい次々と読み進めてしまう。若い頃に散々悪さをしてきた不良が、子供の出来た途端に真人間になり、定職に就き、子育ても真面目に取り組む。その奮闘記を読んでいる感じが手頃か。事実、StS編の子供達相手には「お父さん」をしている訳で。
殺伐とした性格の主人公で戦闘シーンは多い。魔法や法力の理論の説明もそれなりに濃く読みでがある。それでも、子育てで右往左往するエピソードの方が面白い。そんな作品。
原作名:魔法少女リリカルなのは
作者:埴輪
最終更新日:2011年11月26日 完結済
評価:C
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=18616&n
[あらすじ]
バイトで遺跡発掘の最中に転落。気がつけば見知らぬ土地で、携帯は圏外。二十歳だった青年は、何の因果か小学生程度の年齢に若返り。
訳の分からない事ばかりで混乱しつつも街中に出、空腹もあり飛んでいたカラスを仕留めようとしたところへ、謎の砲撃の直撃。これまた訳の分からないまま気絶。
次に気がつけばどこかの家の布団の中。高町家。
なし崩し的に高町家にご厄介になり、戸籍のねつ造や学校の手配などもしてもらい、とんとん拍子に聖祥学園小等部に編入。ついでに、なのはがジュエルシードを探すのを手伝う羽目にもなり。
魔力はないけれど、体術と気功法という特殊技術を持った主人公。なのはとフェイトを鍛えたり、ミッドチルダの常識外の思考で管理局を煙に巻いたりと、原作知識なしに色々と引っかき回す話。
[文章]
三人称。会話文の多いエピソードがあれば、心情描写の多いエピソードもあり。平均して会話文が多い印象。もう少し情景描写がほしいところ。
時々見かける誤字脱字は、他のネット小説と較べても少ない方だろう。
[総評]
タグで『オリ主最強』とあるが、『ハーレム物(ヒロイン4枠)』と『男の娘(本人の容姿が美女・美少女、服装と性格はちゃんと男)』、『原作キャラ魔改造』も追加しておく。
再構成と銘打っていても、中身はオリジナルと思って読んだ方が良い。主人公介入で原作から乖離し、StS編に到っては良い意味で原作管理局の見る影なし。
面白いエピソードは面白い。脳髄三提督の退場話や、ティアナの凡人節からの立ち直り話は、つい笑ってしまった。聖王教会が筋肉フェチの集団設定は、何かの伏線か?
しかし途中のエピソードで挫けかける時がままある。無印編で主人公が鬱状態になった時はともかく、A’s編で主人公が専用デバイスを入手したエピソードでは、後の数話が読めなくなるダメージを受けた。
現在、救助したヴィヴィオがなのは達に懐いてしばらくしての日常話。デバイス達はデバイス達で、新規加入のアギト相手に何やかや。前話で新しい敵キャラも登場し、これから苛烈な戦いになる予感がひしひしと迫る中でのまったり。
途中でこちらの気合を折られないよう希望しつつ、週末の更新を待ち構える一作。
原作名:オリジナル
作者:うりぼう → 日向夏
最終更新日:2011年11月27日 完結済
評価:B
サイト:小説家になろう
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[あらすじ]
花街、要するに下半身産業の活発な地区で薬屋の手伝いをしている主人公は、薬草を摘みに行った時に人攫いに捕まり、後宮へ売られてしまった。後宮と言えば、皇帝の側室とその侍女の住む別天地であり、最下層近くの出身の主人公など、その気になればあっさり首が飛んでしまう。物理的な意味で。
そんな訳で、身を低くし、目立たないように奉公の期限が切れるのを待っていたのだけれど、不幸な事に持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、ついつい出しゃばってしまう。
結果、上級妃らお偉いさんに目を付けられてしまい。
薬学と毒物学の知識がこの時代にしては破格な主人公が、後宮で無理難題を押し付けられたり解決したりするお話。
[文章]
三人称。改行の間隔も良いと思う。誤字脱字も、全話を通して数える程度。段落を変えた時の始まりは一文字下げてほしいと思うのだが、ネット小説でこれをしている作者が非常に少ないのを見ると、期待しすぎかもしれない。
言い換えれば、それだけ文章としての完成度は高いという事。
[総評]
あらすじで興味を持ちつつ、タイトルで何となく敬遠していた。読んでみたらきっちり好みだった。
舞台が後宮とあり、ドロドロの人間関係や、知識と知能を認められての出世、権謀術数蠢く野望等、畳めない風呂敷を広げるのかと警戒したのだけれど、その手の泥臭さは薄い。恋愛要素に到っては皆無。ジャンルが推理とあるので当然か。
商業の『仁-JIN-』で既出のおしろいの鉛中毒や、炎色反応を用いての信号、乳幼児にはちみつを食べさせない等、現代なら当たり前のように知られているネタを、さりげなく小説仕立てにしているのが読んでいて実に楽しい。少々ご都合主義な所もあるが、それはフィクションだから、で流してしまおう。
猫猫(マオマオ)を取り巻くキャラもなかなか愉快。後宮付きの医師の割に能力に疑問のあるじいさん、超絶美形でやり手の壬氏(ジンシ)、その部下でなぜか主人公の心の癒しの高順(カオシュン)。
各話の文章量を少なく感じたものの、ランキングに上がったにも納得の力量。更新も早いので、次の話が楽しみになる作品。
原作名:魔法先生ネギま!
作者:ノクト
最終更新日:2011年11月25日(打ち切り)
評価:F
サイト:にじファン
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[あらすじ]
神、と言うか世界の管理者により殺され、特典を得てネギま世界に転生する事になった主人公。数多くの転生者がその世界に流れ込んでいるので、抑止力として彼らを除去するため。
生まれ落ちた先は、ネギ・スプリングフィールドの双子の弟。容姿は『とある魔術の禁書目録』の一方通行。
早速見つけた転生者は、妹のアリア・スプリングフィールド。しかし自分に懐いているので、排除はしない事に。
この世界では最強の武力と能力を持つ主人公が、自分勝手な正義論を振りかざして自己正当化し、自分勝手に気に入らない相手を蹂躙・殺戮していく物語。
[文章]
一人称と三人称の入り乱れ。ネットスラングが度々見受けられ、一場面一場面の描写も乏しい。作中の言葉で描写する能力の不足を感じた。
誤字脱字は比較的少なめかもしれないが、文章に目が追いついていなかっただけかもしれない。
[総評]
タイトルから、アーウェルンクスシリーズ二番目の話かと思ったら、違っていた。神(管理者)の力で特典をもらって転生し、他の転生者を血祭りに上げていたら神性を得、キリスト以来の『第二の神』になっていた、という意味らしい。
その割には、主人公の人格は薄っぺらで、行動は卑下する『立派な魔法使い』そのもののダブルスタンダード、ついでに言葉遣いは実に『下品』。容姿の元となった人物に引きずられているそうだが、神性を得た人物の容姿が物真似、言葉は上滑りな安っぽいコピー、思考はその場の思いつき、行動は行き当たりばったりでは、読んでいて不快感が強い。
【再構版】とあるから、一度行き詰った作品を再構成したのかと思ったら、違っていた。『麻帆良で生きた人』の文章を一部盗用し、運営から削除されてしまったので、盗用した部分だけ書き直しての掲載らしい。ただし盗用を認めず、感想欄で叩かれ、打ち切りに。
良い点を上げるとすれば、神性持ちの主人公ゆえ、戦闘面では敵なしの無双を誇れるところ。ただしそれも、主人公の圧倒的な強さと人格面の皮相浅薄さから、弱者蹂躙の後味の悪さが残ってしまい、爽快感は乏しい。それが好みの人には受けるだろう。
ネギま最強物の中でも、駄目な方に傾いている駄作。回避を推奨する。
原作名:魔法先生ネギま!
作者:竜華零
最終更新日:完結済
評価:D
サイト:にじファン ハーメルン
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[あらすじ]
麻帆良祭の騒動も収束した夏休み。
短期の臨時教員としてアリアドネーに招待され、教鞭を取っていたアリア一行。
メガロメセンブリーナ連合の手の届かない地での、のどかな生活を楽しむ一行の知らない場所では、色々と暗躍の手が跳梁跋扈していた。何者かによるゲート襲撃と、それに伴うネギと明日菜らの脱走。旧オスティア領の難民問題を抱える旧領主。アリアを次期女王に据えようと虎視眈々と機会を伺うクルト。忘れてはいけない魔法世界崩壊の危機。不安材料はたっぷり。
魔法世界の運命など知らぬ存ぜぬで過ごしたいアリアを、魔法世界の魑魅魍魎共が指を咥えて眺めているはずもなく。
望む望まざるに関わらず、事態の中心に放り込まれたアリアが、様々な思惑の荒波に揉まれながらも進んでいく物語、後編。
[文章]
各キャラ視点の一人称。舞台が国や魔法世界レベルに広がってからは、オリキャラが数多く登場し、彼ら視点での一人称の語りには、読んでいて苦痛を感じた。特に戦争に突入してからは、めまぐるしい場面転換に三人称を使ってほしいと願った程。
誤字脱字は修正しているので少なめ。
[総評]
『魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~』の続編。
アリアドネー入りから始まり、オスティア再建の独立戦争に魔法世界救済等々、原作は完全に無視したオリジナルストーリー。
前作同様、読者から色々とアイデアをもらい、それを作品に投入して仕上げていく手法を取っている。ただし今作では魔法具のアイデアではなく、登場キャラの名前や設定等を募集しての使用。
商業で昔『ドラゴンマガジン』がこの手法の作品を連載していたが、個人的にはどうも冷めてしまう。また、オリキャラの増加に伴う一人称視点の移動がきつく、結局、途中から読むのを止めてしまった。正確には、3-Aが一部を除き卒業したエピソードで切っている。
広げた風呂敷をきちんと畳み、物語を完結させた力量は感服物。飛ばし読みした限りでは伏線のほとんども回収している模様。
次回作がいつになるかは知らないが、今度は三人称で書かかれた物を読んでみたい。