原作名:鋼殻のレギオス
作者:天地
最終更新日:2012年5月12日 完結済
評価:B
サイト:Arcadia
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[あらすじ]
グレンダンを遠ざかる放浪バスの車内、レイフォン・アルセイフの気分はどん底にあった。闇の賭け試合出場の発覚、天剣のはく奪、孤児院の家族からの刺々しい態度、そしてグレンダンからの追放。
こんな境遇になる前に、もっと何か手立てはなかったのだろうか。もっと上手い方法があったのではなかろうか。自責なのか後悔なのか、鬱々と慣れない思考に沈んでいるうちに、耳に届く衣擦れの音。出所は自分の荷物。しかも何やらもぞもぞ動いている。
嫌な予感に駆られつつ、恐る恐る荷物を開け……出てきたのは小さな女の子。リーフェイス・エクステ、愛称リーフィ。
今さらグレンダンに戻る訳に行かず、小さな女の子を一人で送り返す訳に行かず、やむなくツェルニに連れていく羽目に。
あっちで人攫い、こっちで人攫いと騒がれ、神経性の胃痛と戦いながら、新生活を始めるために奔走する子連れ狼レイフォンの奮闘記。
[文章]
三人称。誤字少々。「~だが」の疑惑法で文章を終える時が多く、少々鼻についた。作者氏の癖なのだろうけれど、この用法を控えればずっとテンポが良くなると感じる。
[総評]
お前はどこのキョンだ、と突っ込んでしまった意外すぎるレイフォンの子連れ入学。勿論実子ではなく、同じ孤児院の仲間で剄持ち。
原作通りの入学式での乱闘の後、カリアンの呼び出し。武芸科への転科条件に、付け加えた条件がリーフェイスの滞在許可。なし崩し的に第十七小隊に編入されるのも原作同様の流れ。
しかしリーフィの影響は小さくなく、メイシェンとフェリの人格がかなり愉快な事に。特にフェリは、リーフィの親権を本気で狙うとか、何やっているのやら……。シャンテはシャンテで、精神年齢の近いのが現れたせいかテンションが上がり気味。
反面、レイフォンのダウナー思考は原作の比ではない。小隊戦のグラウンドに出るのにすら、カリアンの恫喝があってどうにか、という具合。このまま鬱々した流れでいくかと思いきや、ここはやっぱり主人公、立ち上がるべき場では立ち上がってくれる。
守るものがあるから強くなれる。支えてくれる人がいるから立ち直れる。父親を目指すレイフォンの活躍に期待する作品。