彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

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 このブログの管理人、彷徨人です。名前の通り、あちこちのサイトをさ迷っています。ネット小説に限れば『Arcadia』と『小説家になろう』がメインになります。
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フレイム王国興亡記

2013-05-31 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:疎陀 陽
最終更新日:2013年5月19日
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n5870bn/

[あらすじ]
 自称『普通の人』な主人公。取り立てて目立つ能力がある訳でなく、全てが平均。人と違うところがあるとすれば、早々に自分の才能の限界に気づき、ひたすら努力の人であり続けたくらい?
 そんな平平凡凡な人生が狂ったのは、異世界のとある王国が起動した『勇者召喚の魔法陣』。そのせいで見知らぬ異世界に召喚され、しかも知的好奇心を満たすための実験だったため、帰る手立てもない。
 召喚した王国が当面の生活を保障してくれるけれど、いつまでも食客でいるのも気が引ける。自分で生計を立てる術はないかと思案し、出た答えは……。
 召喚された元銀行員vs.異世界な経済戦争。

[文章]
 基本は三人称。ただし主人公以外の視点での一人称で語る場面や、三人称と一人称が入り乱れる場面があるのと、会話文が始まると冗長する感がある。そのため、少し読みにくいと感じた。誤字はたまに見かける程度。

[総評]
 【興亡】「おこることとほろびること」(goo辞書より)。
 この意味から、異世界に召喚された主人公が、その世界で国を興し、滅亡するまでの物語。……を期待すると肩透かしを食らうので注意。
 フレイム王国と言われると、つい某呪われた島の砂漠の王国を連想してしまう人は、それなりにいると思いたい。勿論無関係。
 主な舞台となるのは砂漠ではなく、王都から馬車で三日の海沿いの街。塩害が酷く、塩害に強い作物を育てても収益が上がらず、借金の利息返済のために借金を重ねる赤字経営。
 主人公のもたらす起死回生の一発は、地球の知識をもって地場産業の強化か、新資源の開発か、はたまたトンデモ理論なトンデモ技術の開発か。
 いやいや、この主人公は一味違う。自力で新事業の開発ができないなら、よそから持って来れば良いじゃないか。……と、いきなりの税制変更に商業誘致。大規模な取引に、硬貨を何万枚も持ち運ぶのは不便でしょ? この証券で換金できますよ、と紙幣経済を持ち込み。
 剣劇の音も派手な魔法も炸裂しない。商談と言う言葉の刃を交わし、砲弾や魔法の代わりに虚実混ぜ合わせた資金が飛び交う。世界に経済戦争を仕掛けた元銀行員の奮闘劇。


一夏がついてくる

2013-05-15 18:00:00 | その他

原作名:IS インフィニット・ストラトス
作者: コモド
終更新日:2013年5月11日 完結済
評価:C
サイト:Arcadia
    http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=37185&n

[あらすじ]
 IS学園――女だけの全寮制の学園――に放り込まれた男子二人、一夏と主人公。
 周りが女だらけの環境の中、二人だけの男同士。気楽にいられる分、色々とつるむのは納得できるもの。
 しかし付き合いが長くなるにつれ、主人公の中に生まれる疑惑。
 箒、鈴音、セシリアの三人から好意を寄せられも気が付かない一夏。そのくせ、男に向けられた侮蔑には過敏なまでに反応し、簡単にキレる一夏。箒のブラを見ても、性的な意味で動揺しない一夏。それでいて、更衣室で主人公の身体を褒める一夏。仲良くしたいと歩み寄る三人を放り出し、主人公に寄り添ってくる一夏。
 ……ひょっとして、一夏って……ホモ?
 そんな疑惑を抱きつつも、二人っきりの男同士、無碍にしたくもない。
 ジレンマに悩んでいるうちに、主人公と一夏の仲は、学園内で半公認のカップルに。三人からは殺意混じりの嫉妬の視線が、他の女生徒達からは生暖かい視線が注がれ。
 普通にヘトロセクシャルな主人公にかけられたホモ疑惑、解けるのはいつだ。

[文章]
 主人公視点の一人称。誤字脱字少々。会話文が多く情景描写が少ないため、置いていかれる感がある。勢いとノリが読める人であれば、文章は受け入れやすい。

[総評]
 IS学園に一夏以外の男子操縦者がいたら、なifの物語。
 この手の設定だと一夏を落としてけなして、原作ヒロイン勢を取り上げてしまう作品を目にする機会が多いが、この点に関して心配は少ない。それでも一人、ヒロイン枠として取られてしまうので、それにも耐えられない人は避けるべきだろう。
 女子校の中に放り込まれた男二人の身の上、男同士の友情を求めるのはやむを得ないにしても、問題なのは一夏が過剰なまでに求めてくるスキンシップ。「パーソナルスペース? なにそれおいしの?」とばかり、着替えからトイレから風呂まで、べたべたべたべたべた貼りつきたがる一夏に、ヒロイン勢からは『最大の障害』に認識され、その他の生徒達からは半分公認のカップル扱い。
 そこへ三人目の男性操縦者シャルルが加われば、転がる先は三角関係か三つ巴か。
 無意識にヒロイン(?)に収まろうとする一夏と、一夏を巡り主人公と張り合おうとする真ヒロイン勢の攻防戦に、声を出して笑える学園コメディー。