バラバラのサイドカー その11 ＜完成＞

長い時間をかけてレストアしてきたこの車両も、
いよいよ最後の仕上げの段階にきた。
再度、分解・点検・調整を行い、
洗車後は、オーナーへ渡すのみ。









この仕事をやっていて一番嬉しいのは、
オーナーが喜び感動してくれる時である。
古いものに乗るというのは、時間もお金もかかり大変だと思うが、
その分、喜びも感動もそれに比例して大きいものだ。

レストアとは、車両が単にキレイになるだけでなく、
自身の気持ちも、車両のようによみがえることだ。

新車のようになった愛車に乗る自分は、
あの頃のように若くはないが、気持ちは若い頃にタイムスリップする。
経験を積み重ねた今の自分が、未熟だった若い頃の自分ともう一度出会う。
そこからまた、新しいバイクライフがスタートする。
そこにこそ、レストアをする意味があると思うのだ。

完成した翌日、オーナーが引き取りに来てくれた。
オーナーにも新しいバイクライフを、心の底から楽しんでほしい。