FLAT-SK フラット商会

バイク屋おやじの日々
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もう一つの<赤鼻>

2009-03-04 | レストア(赤鼻)
去年レストアした<夢の赤鼻>の様子を、
このブログでご覧いただいていた、別のオーナーから依頼があり、
もう一台、<赤鼻>をレストアさせていただくことになった。









また一つ、夢を再生させることができて、バイク屋としては最高にうれしい。
ぜひよい相棒となりますように!

夢の<赤鼻> ~ 完成&納車 ~

2009-02-01 | レストア(赤鼻)
<夢の赤鼻>が完成したので、写真を一気に。





















今回の<赤鼻>のレストアは、オリジナルに忠実にというよりも、
自分の記憶の中にある<赤鼻>と、オーナーの願いを盛り込んで、
この世でたった一台の<赤鼻>に仕上がったと思う。

そして、いよいよ納車。
バイク専門の業者によって、ていねいに運ばれていく。
見送る時は、さすがに切ない。



レストアをしたからといって新車になるわけではないが、
古いパーツはリセットされ、新車に近い状態となる。

オーナーにとっては、ここからが自分の<赤鼻>にしていく時間が始まる。
オーナー自らが慣らし、育てていくことになるからだ。
人生のよい相棒となることを、
そして豊かなバイクライフがスタートすることを祈りながら見送った。

よい仕事をいただき、ありがとうございました。


夢の<赤鼻> ~ 走行テスト ~

2009-01-31 | レストア(赤鼻)


外装も組み付け、いよいよ走行テストだ。



高速道路のパーキングで休憩。↑
一般道を含め、50キロほど走行テストをする。

その後、エンジンの最終調整をする。
ヘッドの増し締め、タペット調整等、最終チェックをし、エンジンは終了。





再度、走行テストをし、キャブのセッティングを調整して完成!
トータルで、200キロほど走行テストを行い、
走りの感覚は最高。
自分が当時、新車に乗った時と同じような感覚だ。

バイクはレストアすれば、新車同然になり、一生つきあえる相棒となる。
しかしこちらは、すっかりくたびれていくばかりだが、
この新しくした車に乗ることで、
もう一度、あの日の感覚だけは取り戻すことができる。

つまり、バイクをレストアすると同時に、オーナーのこころもレストアされる。
それがレストアすることの本当の意味だと自分は思っている。

<夢の赤鼻>に再び乗っていただき、
オーナーにとっての、遠いあの日を再生することができたら本望だ。

夢の<赤鼻> ~ エンジンの始動 ~

2009-01-23 | レストア(赤鼻)
いよいよ、エンジンの始動に取りかかる。
かける前に準備運動をする。
エンジンを空回しし、オイルがエンジンの隅々に行き渡るのを確認する。

さっそくエンジンに火を入れるため、点滴の準備。
エンジンの始動は、何度やっても緊張の瞬間だ。

チョークをいっぱいに引き、セルボタンを恐る恐る押す。
エンジンを何回か回すと、シリンダーに火が入り、
エンジンがかかった瞬間、素早くエンジンを切る。
この作業を何回か繰り返し、徐々にコンディションを上げていく。

エンジンが落ち着いたところで、アイドリング調整をして、
とりあえず始動は完了。

エンジン絶好調。
また一つ大仕事を終えた安堵で、緊張感が一気にほぐれる。



この後、カウル等を組み付け、いよいよ走行テストに入る。

夢の<赤鼻> ~ 組立 ~

2009-01-22 | レストア(赤鼻)
準備がすべて整い、組立に取りかかる。↓



一週間ほどかかって、ここまで組上がる。↓



エンジン、シリンダー部に取りかかる。↓
コンロッドメタルは、必ず交換。



そしてヘッドを組み付ける。↓
組み込む前に気をつけておきたいのは、
バルブスプリングのチェックと交換。



なぜなら30年も使いこむとスプリングもへたり、
縮んでいるものが大半だからだ。
新品のものと古い物を比べてみると、一目瞭然。↓



エンジンも完成したので、
リフトから下ろして、始動に取りかかる。↓


夢の<赤鼻> ~ エンジン編.2 ~

2009-01-13 | レストア(赤鼻)
続いて、各部のチェック。
この車両は、ピストンピンが、手で触ると段つきがある。
オイルの管理が悪かったせいか。



オイルパンも分解して、エンジンの中の状態をチェック&清掃。



その他にも、忘れてならないのが以下のチェック。
この車両については、ダイナモブラシの一つが極端に減っているので交換。



セルモーターも分解して、グリス等を塗ってオーバーホール。



キャブレターは当然のことながら、オーバーホールしてレストア。


夢の<赤鼻> ~ エンジン編.1 ~

2009-01-09 | レストア(赤鼻)
次に、エンジンのオーバーホールに取りかかる。
まずは、エンジンを分解。



パーツごとに分け、エンジン本体から各部をチェックし、清掃する。





写真の通り、よくあるのは以前に分解した跡が見られること。
組み付ける際、たっぷりと液体パッキンを付けたのだろう。

ご存知のようにBMWは、シリンダーの付け根からよくオイルのにじみがあるため、
このような処置をされるのだろう。
しかしBMWは、スタッドの付け根よりロッカーアームへオイルラインがあり、
液体パッキンをつけ過ぎると、この穴を塞いでしまい、
オイルの供給量を少なくさせる原因となる。
したがって、一度これを完全に除去しておかなければならない。

もしご自分でやられる場合は、つけ過ぎないように注意してほしい。
パッキンがなかなかはがれず、これを完全に除去するには、
かなりの時間がかかるので、くれぐれもつけ過ぎには気をつけてほしい。



以上で、エンジン本体のチェックとシリンダーの清掃が終わり、
最後にオイルラインをチェックする。

足回りのオーバーホール

2008-12-29 | レストア(赤鼻)
他の仕事に集中していたため、赤鼻のブログへのアップが遅れてしまった。
塗装を仕上げたところまでアップしたので、
次は、足回りについて。

まずオーナーからの依頼で、段差を超える時に突き上げるようなショックがあり、
ショップで修理されたのだが、まだ違和感があるとのことだった。

レストアするにあたり、分解する前に走行テストをしたところ、
オーナーが感じていた足回りの異常(サス上下稼働に違和感とショック)は、
確かに感じたので、フロントサスペンションの異常ということで、
再度オーバーホールした。



ホイールの前後をブラストし、再ペイントも施し、
新品のようにきれいになった。


夢の<赤鼻> ~ 塗装 5 ~

2008-11-12 | レストア(赤鼻)
色を吹いたばかりのラインには、角があり、見た目も悪く、美しくない。
なので、さらにラインを美しく仕上げるために、
ラインの角をペーパーで削り落とす作業をする。
それによってラインに丸みをもたせ、同時に、ラインの柔らかさを引き出すことができる。

ペイントには、自分がビーマーとしての、そしてレストアを長年やってきた立場から、
どうしてもゆずれないこだわりがある。
BMWのラインは、本来手書きで描かれていることは、
ビーマーの方なら、皆さんご存知と思うが、
唯一、赤鼻だけは、ラインテープで吹かれている。
しかしオリジナルがどうだろうと、どの車種に対しても、
自分なりのラインに対するこだわりで、ラインを仕上げることにしている。

この作業は、細心の注意をしながら、ゆっくり進めていく。
サンドペーパーでこすっては、指でなぞってその感触を確かめる。
ほんのわずかでも削りすぎたら、一番最初の行程からのやり直しとなるので、
全神経を集中させて、作業を進める。↓



サンドペーパーをかけた後、超微粒子のペーパーで、
さらに磨きをかける。↓



最終的に、バフがけをして仕上げる。↓



そして完成。
これで、塗装は終了となる。↓


夢の<赤鼻> ~ 塗装 4 ~

2008-11-11 | レストア(赤鼻)
さて、ここからが塗装の中でも、最も大変な作業工程だ。
2本目のラインを吹くためには、赤ラインが完全に乾くのを待たないといけない。
あわてて失敗したら、また最初の行程からやり直しになるので、
自分は、一日、間を空けるようにしている。



前日吹いた赤ラインの上に、マスキングテープを貼る。
ここは、細心の注意を払うところだ。
失敗したら、ラインの合せが台無しになり、またやり直しになってしまう!



こうして最低3日かけて、何とか3色吹きあげる。
ライン吹きの作業は、何度やっても大変で、本当にヘトヘトになるが、
実はこれで終わりではない。





夢の<赤鼻> ~ 塗装 3 ~

2008-11-10 | レストア(赤鼻)
ライン引きが終わったところで、3本ラインの色合せに取りかかる。
この3色のうち、2色は簡単に合せられたが、赤色が難しく、
イメージの赤がなかなか出せず、苦戦。
色見本を何度となく作り、カラーチャートに吹く。↓





イメージの色が出来上がったら、次にダミーカウルに実際に吹いてみる。↓



カラーチャートとカウルでは、色の出方が違うので、
再度色合せを微調整し、まず、赤色から吹きにかかる。


夢の<赤鼻>~ 塗装 2 ~

2008-11-07 | レストア(赤鼻)
次はカウルに移り、これまでと同様にラインを引いていく。



まず、基本ベースになるラインを引き、↑
それに沿って、本ラインを入れていく。↓



最終的に、仕上がったライン。↓



これですべてのライン引きが終わったので、
塗装するラインを残して、その他をすべてを隠す。





この後、いよいよ塗装へ。
ライン引きも大変だが、塗装はさらに神経をつかう作業となる。

夢の<赤鼻> ~ 塗装 1 ~

2008-11-06 | レストア(赤鼻)
塗装は、まずカウルその他のパーツを白に仕上げてから、ラインを引く作業へ移る。



このライン作業は、ペイントの中でも一番手がかかって大変な作業だが、
いい加減なラインを引いてしまうと、車両全体の出来上がりが台無しになる。
BMWにとってのラインは、仕上がりを決める上でとても重要な要素なので、
自分なりにこだわっている部分だし、一番神経もつかっている。

ラインは、まずFフェンダーから取りかかる。
きれいなラインを引くためには、正確なラインテープを貼ることが要求される。
これも、ちょっとした熟練作業だ。





タンクとシートのラインを引く前に、車両に取り付け、
実際にシートが閉まった状態で、
タンクとシートのラインがそろうよう目印をつけてから、テープを引く。



目印のテープを元に、タンクにラインを引いていく。
<赤鼻>は3本ラインなので、ライン幅をそろえて3本引くのは、大変な作業だ。
たとえば3ミリ幅で引くとしたら、特別なものさしなどないので、
すべては、長年の経験と勘だけを頼りに引いていく。

さらに、左右のタンクラインをそろえるには、
あらゆる感覚を総動員させて取り組むので、
神経もすり減っていくような気がする。
しかし、完成した時の美しい姿を想像しながら、息を詰めてラインを引いていく。






夢の<赤鼻> ~ フレーム ~

2008-11-04 | レストア(赤鼻)
フレームのブラストをする。↓



次に、錆止め処理を施す。↓
この年式のBMWは、鉄地肌に直接錆止めの黒が着色してあるだけなので、
すべての車両が、このように年数と共に錆びているはずだ。
レストアするにあたり、同じことをしたのでは、すぐ錆びるので、
必ず、錆止めと塗装の仕上げをよくするため、サフェーサーを吹く。
これにより、この後、錆びることはない。



そして、フレームの仕上げのペイント。↓
サフを吹いたことにより、ペイントの仕上がりは、
ボディーと同等の仕上がりとツヤになる。





これでフレームは、完成。↑
次は、カウルその他の塗装に移る。

夢の<赤鼻> ~ 分解-ブラスト~

2008-11-03 | レストア(赤鼻)
あれこれ忙しく、久しぶりの更新になりました。
一人ですべてをこなしているので、許してごしない。

さて<赤鼻>のレストアだが、まずは分解から。
エンジンもフレームも分解する。





次は、エンジンのブラスト。
これは、ブラスト前。↓



ブラスト後。↓
ブラストは、二度に分けて行う。
一度目は、アルミナを使って汚れを取り、
二度目に、ツヤ出しのためガラスビーズをかけて仕上げる。
この後、アルミは酸化して錆びるので、必ず防錆処理を行っている。