鬼女台を後にして、しばらく緑の中を走っていく。
早朝なので、誰もいない。
春先よりも空気が澄んでいるので、雑音もなく、本当に気持ちがいい。
道の向こうに、何か黒いものがポツンと見える。
野生の鹿だっ!
もうウン十年、この道を走り続けているが、
鹿に出会ったのは初めてのこと。
エンジンを切り、静かに近づき、しばらく互いに見つめあった。
オス同士だから、にらみ合いか?
鹿がゆったりと、森の中へ消えていき、
奇跡のような時間も終わる。
同じ道を何度走ろうと、そのつど新しい体験や発見があるのが、
ツーリングの醍醐味だ。
特に、この大山ルートは、道もいい。
そろそろ、大山もはっきり見えてきた。