和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・8(完結)

2010-10-25 20:15:22 | ゲーム
世界樹の迷宮のヒットは痛烈だった。

世界樹の迷宮とウィザードリィ:
「世界樹の迷宮」は当時アトラスに在籍していた新納一哉氏の個人的な嗜好が強く反映された作品だと考えられている。主にpodcastでの発言を参考にするとそういう印象。実際のところはどうなのか知らないが、新納氏が抜けた2以降もその作風は受け継がれている。
感じるのはウィザードリィ、それもファミコン版の息吹。あえてオートマップを排してマッピングそのものを楽しませる設計、拠点となる街、訓練場でのキャラクターメイキング、シビアなダンジョン、理不尽ですらある仕掛けの数々。ついでにボーパルバニー。

実際に発売された「世界樹」は、思ったほどウィザードリィではない。アイテム集めやクエストの概念はどちらかというと近年のRPGに近く、戦闘システムは強度のドラクエ型。それもドラクエ6の過酷さを持っていた。
だが確実にウィザードリィの楽しい部分を受け継いでいた。各地に潜伏していたファミコン版ウィザードリィを愛する人たちがこぞって買っていって、その完成度の高さに息をまいた。
で、売れた。少なくとも和製ウィザードリィよりは売れた。
既にウィザードリィは死んでいた時勢に、ウィザードリィを強く意識した、ほとんど無名の3DダンジョンRPGが売れてしまった。
新納氏は退社したが、その後も精力的に作品を発表し、紛れも無く人気クリエイターとなっていた。もともと潜在的に人気があるクリエイターだったというべきか。

ウィザードリィのタイトルに価値など無かった。
かつてはあったのかもしれないが、今となっては価値の無いものになっていた。

ちょうどウィザードリィの版権関係が厳しくなり始めた時期である。
国内の、いや世界中見てもウィザードリィの新作は無かった。そんなものは最初から日本にしか無かった(……嘘です。奇しくも同じアトラスのBUSINは国外展開していたらしい)
翌年にエンパイアの直系である「エルミナージュ」、そしてエクスの隠れ移植である「剣と魔法と学園モノ。」が登場するのは決して版権の問題ばかりではない。
というのも、どうやら「剣と~」は取ろうと思えば版権を取れたようだからである。版権元と会社が繋がってるから取ろうという案もあったとかなんとか。だが取らなかった。
むしろウィザードリィを冠さないほうが売れるのではないかと制作側も思い始めたようである。
既に前例もあった。携帯アプリのネザードメインという作品は、実はGBの外伝の直系作品だった。面倒な権利を取るくらいなら別タイトルにする。
エルミナージュもなかなか評判はいいようで、たぶん世界樹から入ったユーザーも取り込んでるんじゃないだろうか。

ウィザードリィルネサンスが成功するのかどうかはわからない。また数年内にウィザードリィは消滅するかもしれないし、FC版がVC配信されるなどの展開が無いとも言い切れない。
この記事はつまりそれらを応援するものでも拒絶するものでもなく、ただウィザードリィから離れていった人間の戯言であると受け取ってもらいたい。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・7

2010-10-24 22:01:07 | ゲーム
RPGのバグは付き物。大作だろうとシンプルだろうと関係ない。
それを踏まえて。
サマナーとか初代エンパイアとかのバグはひどすぎる。これは制作期間が足りないとか開発環境が苛酷とかいうんじゃなく、単純に技術不足なんじゃないか?
エンパイアはバグが無ければまだ遊べるらしいが、サマナーはバランスが崩壊しているにも関わらず簡単らしい……なんじゃそりゃ。

ウィザードリィの開発者、ロバート・ウッドヘッドは偉大な人物だった。
ウィザードリィはD&Dをトレースしただけのゲームではない。TRPGから必要な部分だけを抽出し、ついでにサムライやニンジャやクイジナートなどの趣味を叩き込む。何よりバランスが見事だったからこそ、コンピューターRPGという一大ジャンルを築き上げることができた。

移植を行った遠藤雅伸もすごい人物だった。氏はウィザードリィとあまり関係ないところで国産RPGの始祖「ドルアーガの塔」を作った大人物である。インタビューで答えてたウィザードリィを移植の経緯(アスキーから話が来てウッドヘッドが「移植は不可能」とか言ってたとかいう話)はどこまで真実か疑わしいが、原作の尊重と同時に、優れたビジュアルと音楽、プレイしやすさを最大限に考えた移植はウッドヘッドからも絶賛された。
クリエイターの格が違った。一流のRPGを作れる人間が一流の原作を移植したのだから、そりゃ面白くて当然だった。

いや、たぶん徳永剛だってそんなに無能な人じゃないよ。
ただ自分の名前を出しちゃったのが彼の失敗点で、残念ながら氏はウィザードリィの世界を勝手に滅ぼす権利を持つほど人気のあるクリエイターではなかった。
遠藤雅伸がウボナサム・オドネ王(ひどい名前だ)とかいう名前で滅ぼすのならまだ多少は受け入れられる……わけでもないか。

アガン王のストーリー:
外伝3は新種族と新職業を追加し、さらに迷宮の外の世界を冒険する。ゲームボーイでよくここまでやったという意欲作である。
それだけの変化を起こすストーリー上の裏づけとして、旧シリーズより未来の物語となっている。リルガミンの街は滅び、守護龍も魔除けも力を失っている。それはさておき謎多き国王「アガン」の仮面を外すのが冒険者の当初の目的なのだが、その過程で滅びた街を探索することになる。
ちなみにリルガミンを滅ぼしたのはアガン王であった。
ネタバレ:ラスボスはアガン。


エンパイア(古の王女)だけはプレイした:
まあ、辛いゲームだった…
ひたすら単調で苦痛だった記憶しかない。迷宮がオートマップ前提なのか非常にいやらしい構造になっていて、魔法の種類がやたら多くて属性も多くて混乱する。
種族ごとに相性が設定されているが、どんな組み合わせでも大抵マイナスになるのでパーティは同じ種族で固めたほうがマシになる。ドワーフとエルフで仲悪いから共存できないというのは辛すぎる。で相性を何とかするためにハーフエルフというしょうもない種族を入れることになるが強い種族が増える後半はハーフエルフ前提みたいだ。
そして新職業の「狂戦士」。簡単に言うとカイエンの必殺剣みたいな技を使える。#6の新システムを否定した結果ファイナルファンタジーになったでござるよ。
もっともバグはそんなに致命的なのは無く、これでもまだ遊べるほうらしいのだが。
エンパイアはシリーズを重ねるごとに改善しているというが、もう一作だけで僕は無理だった。
これはただ古いシステムを使っただけのRPGじゃないか、と。

それにストーリーも、なんというか。
二次創作のために年表を作ってくれてる人がいたので参考にリンクするが。
「首都カシナート」という単語が出て来るだけで頭が痛くなる。さんざんフードプロセッサーだと言ってきたのに、この英語圏ではネタにしか見えないオメガ恥ずかしい名前を採用する理由とは、いやいやフードプロセッサーじゃなくて格好いい武器なんですよというアピールなんだろうが、別に街の名前でやる必要はないんじゃないか。
で、リルガという王女が出て来る。どうもこの王女の名前を取って将来は街の名前をリルガミンと改名してくださいという誘導的配慮のようだ。他にも何かギルガメッシュとか出てくるので、こいつらが将来の店の名前になるのが決定されているようだ。
断っておくが、このゲームはウィザードリィの版権を完全には取得していない。
……いいさ、どうせアガン王に滅ぼされるDESTINYだ。
未来を決めてしまったアガン王と、過去を勝手に決めたエンパイアとどっちが正しいという問題でもないだろう。

PSのエンパイアはまだいいほうとしても、有象無象シリーズについてはアガンくらいなら越えられるんじゃね?って気持ちでウィザードリィ作っちゃったんじゃね?
だが間違いなくファミコン版ウィザードリィは「極めて優れたクリエイターが作った傑作」であって、ただの古いシステム、古いプログラム技術のRPGでは決してない。
そのことを理解できない人たちがウィザードリィを作ろうとして、やっぱり作れなかったから今の惨状がある。
09年の時点で、Wizardryのブランドは死んでいた。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・6

2010-10-24 17:13:00 | ゲーム
ファミコン版のプログラムは大変高度なものだが、致命的なバグがあった。参照するパラメータを間違えていて味方のACが無意味な数値になっている。
TAS氏(ロックマン2TASの解析などで知られるTaoTao氏)による詳しい解析が公開されたのは2008年の末のことで、FC版の発売から21年が経過していた。それまでも計算式が不自然であることに気付いているものはいたようだが、正確なところまで知っているものはいなかった。
『II』以降は修正されているので、知っている人は知っていたのかもしれないが。
このことによって、最高傑作だと思われていたファミコン版『I』の評価が急激に揺らいでいるらしい。困ったことに、ACが機能していないにも関わらず何故かバランスは取れているのである。味方のACの代わりに敵のACで判定しているため、敵が強くなれば味方も強くなるというシンプルなロジックがあるからだ。
逆に言うと2Fや3Fの毒モンスターはどれだけ装備を固めても強い。
これは知らないほうが幸せだった。

この手のミスはNASIRの専売特許だと思い込んでいたが、そうではなかったようだ。かなり最近のゲームでも計算式のミスは見られる。

ゲーム進行に支障をきたすタイプとは違う、計算式関連のバグについて、知ってる例をいくつか。

FF1:ストライなど、いくつかの魔法に効果が無い。味方が使うデスペルには何の効果も無いが敵が使うデスペルは機能している。「知性」に何の効果も無い。敵の打撃属性に「敵本人の弱点属性」が参照されているため、炎に弱いゾンビ系のマヒ攻撃は炎属性になっており、アイスアーマーで防げる。他にも不可解な点が多数ある。

FF2:やはりバリアやデスペルの魔法などが機能していない。
あとABキャンセル。

FF3:戦闘中に装備変更などをすると強化系魔法の効果が消える「ウインドウイレース」と呼ばれる現象が知られている。3のプロテスとヘイストは非常に(異常なレベルで)強力なのだが、このバグのおかげで活用しにくい。

FF5:「ちからのくすり」はゴブリンパンチの攻撃力しか上がらない。

FF6:魔法回避率が物理攻撃の回避率を兼ねてしまっている。魔法回避の高い装備をそろえれば物理相手にも無敵になる。物理回避率のほうは一切機能していない。
有名なバニシュデスは実は仕様であるという解釈がある。バニシュ状態だと全ての魔法が効くのは「仕様」であり、ミスなのはボスにバニシュが効く設定のほうなんだと。

FF7:防具に設定されている魔法防御が機能していない。

WIZ外伝1:武器のダメージの設定にミスがあり、固定部分が参照されていない。たとえば7~13ダメージの設定(2~8+5)は実際には2~8になっている。このミスにより、事実上の最強武器は中盤で手に入るファウストハルバード。
また敵のヒーリングの効果が異常。HPが回復するはずが、ターンごとにレベルが上がる設定になっている。これは外伝3まで共通なんだと。

世界樹2:いくつかのスキルの効果がおかしい。レンジャーのフォーススキルがマイナス効果。あと敵にも耐性を付与してしまうダークハンターバグ。

TOD2:称号バグ。成長値のボーナスがオーバーフローしてレベルアップ時の成長がマイナスになる可能性がある。

TOD(PS2):術防バグ。相手の術防御が味方の術防御で決まるので、術防御を低く保ったほうが大ダメージを狙える。DC版で修正。
ところでPS版の空気王が初期レベルで加入するのはバグみたいなもんだと思う。

簡単なミスもあれば「うっかりじゃ済まんぞ」的なものもある。場合によっては余計な知識を手に入れたばかりにゲームの攻略方針そのものが揺らぐことになる。
RPGのダメージ計算式などは詳しく画面に表示されないので、デバッグ過程で発見しにくいのだと考えられる。
こう考えるとドラクエは安定してる。ヒャダインの習得レベルくらいだ。

ということで、ウィザードリィが悪いわけではない。RPGがみんな悪いんじゃ。
そのことを踏まえて次の記事に続く。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・5

2010-10-23 19:29:55 | ゲーム
ファミコン版ウィザードリィIに計算式の不備があるのは前に書いた。
ともすればゲームが破綻するようなレベルのミスである。だがプレイするとバランスが取れている(ように感じてしまう)。テストプレイはした結果なのだ。

ところで他にもけっこう悲惨な歴史があるようだ。

・外伝IV ジルフェバグ
ジルフェの呪文を使うとデータが消える。超シンプルかつ重大なバグ。
回収などは行われなかったがバグが起きないカセットへの交換が行われたという情報もある。自分が交換したのはバグが起きない版だったのかどうか、売り払った今では確かめる術もない。

・DIMGUIL
細かいバグがいくつかあるらしい。そんなに深刻ではなさそうだが、カードバトルでフリーズするとか。修正版が出ていて、交換もしていたようだ。>参考リンク

・エンパイア初代
レベルが勝手に上がったりデータが消えたりするヒーリングで即死したりするバグがあるらしい。
あんまりひどいので修正版と交換してたようだ。>参考リンク

・サマナー
全てが何もかもバグってるという話。
>参考リンク
・敵のお金と経験値が入れ替わっているとしか思えないバランス。
・エナジードレインの魔法が当たると億単位の異常な量の経験値が手に入る。
・エナジードレインを味方が受けても億単位の異常な量の経験値が手に入る。
・条件を満たすと敵のレベルが1000台に固定される。初期化しても戻せない。
・アイテムが全て外伝2のパクリ。

……よく発売できたな、と。
修正版が比較的早く出たらしい。初回版しか出回っていないうちに買っておくべきだったかもしれぬと、少し思う。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・4

2010-10-23 19:04:19 | ゲーム
和製ウィザードリィの概念・その2:
簡単に言えば旧システムを使っていることが定義に近い。つまりウィザードリィ外伝シリーズと同じ。
訓練場でキャラクターを作って、酒場でパーティを組んで、キャラクターには善悪があって……
「魔術師は2レベルおきに魔法を習得し、レベル13で全部の魔法を習得できる」とか、そんな細部の仕様まで旧システムに依存する。
異常である。
ドラクエでヒャドとかメラミとかの魔法を習得するレベルが全作で一定だったらどう思うか。それはおかしい。
確かに若干は魔法体系も変わってはいるらしいのだが、でもレベル13で最強攻撃魔法とワープ魔法と願いを叶える魔法を習得というのは揺るがないらしい。
ダメージの計算式や転職の条件、特性値の初期値等も多くが旧シリーズ依存。さらにファミコン版特有の要素もちらほらと獲得している。

もうひとつ。これらは旧ウィザードリィではない。言ってることが意味不明のようだが、そうなのである。
版権としてはウィザードリィのタイトルのみ使用を許可されているということのようだ。一説によると#6の版権で旧システムを使っているという。
つまり、ウィザードリィってタイトルは使ってもいいけど同じゲームは作れない、ということになるのか?
そこらへんは不明なのだが、事実として呪文名が変更されている。これは版権の許諾が降りないのか、版権料が高いだけからケチっただけなのかは定かでない。

例として
*エンパイア(初代)
ハリト(単体火)→フレイムアロー
マハリト(グループ火)→ファイアボール
ティルトウェイト(核撃)→ニュークリアブラスト
マロール(ワープ)→テレポート

効果こそ旧作と同等だが、独特な呪文名が一般の英単語に置き換わっている。いくつかは#6の魔法と全く同じなので#6の版権という説は矛盾していないように思える。

*エンパイア(PSシリーズ)
ハリト(単体火)→リト
カティノ(眠り)→カティドレイ
リトフェイト(浮遊)→レビフェイト
マロール(ワープ)→マハロール
マハマン(願い)→マハンマハン

このパチモノ臭は何だ。なんだマハンマハンって。
オリジナルの呪文名を使うのはアウツでパチ魔法は可らしい。どういう基準?

「ウィザードリィを作れない版権」を使って、ウィザードリィっぽいものを作り上げたのがエンパイアをはじめとする和製ウィザードリィ群だ。
例外は「DIMGUIL」と「BUSIN」。
DIMGUILは事実上はアスキーの外伝V(外伝IVからキャラクターを引き継げる)なので呪文名も旧シリーズのものを使用している。
BUSINはウィザードリィのタイトルを使用してはいるが、別作品に等しい。おそらくはこれが本来あるべき「和製ウィザードリィ」ではないのだろうか。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・3

2010-10-22 22:05:48 | ゲーム
ちょっと自分でも混乱しそうなので年表を…
※全作品リストではない。一部網羅してない
赤字は移植ではない純粋な和製作品
Wiz以外も一部入れてみた(灰色)
参考にしたのは主にWikipediaなので間違ってたらWikipediaさんのせいです。

81年 Apple版 #1
82年 Apple版 #2
83年 Apple版 #3
   ファミリーコンピューター発売
85年 国産PC版 #1
86年 国産PC版 #2
   FC ドラゴンクエスト発売
   FC ディープダンジョン発売
87年 Apple版 #4
   国産PC版 #2
   FC 女神転生発売
   FC ファイナルファンタジー発売
   FC版『I』(FF1の4日後らしい)
88年 国産PC版 #4
   Apple版 #5
89年 FC版『II』
   ゲームボーイ発売
   GB 魔界塔士Sa・Ga発売
90年 国産PC版 #5
   PC版 #6
   FC版『III』
91年 GB ウィザードリィ外伝I
   SFC ファイナルファンタジーIV発売
92年 PCE版 #5
   SFC ドラゴンクエストV発売
   SFC版『V』
   GB ウィザードリィ外伝II
93年 PCE版#1 & #2
   GBウィザードリィ外伝III
94年 PCE版#3 & #4
   プレイステーション発売
95年 PS版 #7
   SFC版 #6
96年 サターン版 #6 & #7
   SFC ウィザードリィ外伝IV
97年 PS ファイナルファンタジーVII発売
98年 PS版 #1~#3
   ウィザードリィ・ネメシス発売
99年 NP版『I・II・III』
   GBC エンパイア(初代)
00年 プレイステーション2発売
   PS ウィザードリィ DIMGUIL
   GBC エンパイア『復活の杖』
   PS エンパイア『古の王女』 年末発売で復活の杖の6日後らしい。
01年 PC ウィザードリィ クロニクル
   PS版 #4 & #5
   GBC版I~III
   PS2 ファイナルファンタジーX発売
   PS2 BUSIN
   PC版 #8
   GBA ウィザードリィ サマナー
02年 PS エンパイアII『王女の遺産』
03年 PS2 エンパイアIII『覇王の系譜』
05年 携帯電話 ネザードメイン配信
   PS2 ウィザードリィ エクス
   PC ウィザードリィ外伝『戦闘の監獄』
   PS2 BUSIN 0
   DS ウィザードリィ アスタリスク
06年 ウィザードリィ外伝『5つの試練』
   PS2 ウィザードリィ エクス2
07年 DS 世界樹の迷宮 発売
08年 エルミナージュ発売
   剣と魔法と学園モノ。発売
そして09年 ウィザードリィルネサンスへ…

せっかくなのでネメシスも年表に入れてみた(これは和製作品ではない。正体はWizですらない)
なんとなく問題が見えてきた。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・2

2010-10-22 20:12:04 | ゲーム
ウィザードリィ外伝は魔界塔士サガに対抗した作品なのだろうか?
ゲームボーイで#5的なゲームを作るという意欲作で、シナリオもアイテムもほぼ完全オリジナル。だが#5の移植よりも先に発売されている。
で、外伝II・IIIと続く。IIはIの延長だが、IIIはまた#6の要素を取り入れて、職業と種族を大胆に追加している。またIIIのもう一つの特徴は、クリア後にインフレダンジョンが登場することである。ラスボスを大幅に越える超級モンスターが徘徊する「ドラゴンの洞窟」だ。

実は今の和製ウィザードリィのほとんどはこの「外伝III」をベースにしている。
ベースにしているというよりパクリに近い性質のものである。何しろ大半の「和製」にはアガン王もゲームスタジオも関わっていないのだから。

原典じたいの変化:
ここで原作のPC版ウィザードリィの話に戻る。
#1~#3は基本的に同じシステムの作品であり、シナリオを入れ替えた以外の違いはほとんどない。
#5は魔法体系が変わるなど大幅な進化があったものの、おおむねは#1の正統進化に近い作品である。
なお#4は狂ったゲームなので考えないことにする。少なくともファミコンへの移植はされなかった。

#6の登場はウィザードリィ界における大きな変革だった。そこでは訓練場で冒険者を作ってパーティを組んでダンジョンに乗り込むという「いつもの過程」が無かった。パーティは最初に作ったメンバーで固定。城や街のような拠点は存在せず、ダンジョン内のNPC相手に商売する程度。宿屋も無いからダンジョン内で寝て体力を回復する。キャラクターは大量のスキルを所有していて、レベルアップの度に自由にスキルを選んで成長させていく。戦闘で役立つスキルもあれば、鍵開けや探索などダンジョン内で役立つスキルもある。
#6は複雑である。それゆえに面白い。だがそれはシンプルなウィザードリィではなかった。ファイナルファンタジーとかよりもシンプルで奥深いウィザードリィでは決してなかった。
これが90年の発売。まだSFC版「V」も発売していない頃のことだった。アニメーションなんかも取り入れていて、当時の標準レベルのPCでは快適に動作しなかったらしい。

つづく

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言

2010-10-22 20:10:36 | ゲーム
といっても断っておくが自分ではほとんどプレイしていない。だからこれはネット上からの情報の又聞きで書いた記事だ。
外伝IVの話じゃないよ。外伝IVの評判自体、ある程度僕がネット上に広めたとは思っているけど。

和製ウィザードリィという概念:
さかのぼるとオリジナル版を再現してるはずのファミコン版ウィザードリィが既に和製。
#1は単純な移植作品ではない。グラフィックとBGMの強化によって、ファミコンRPGとして高水準なものに仕上がっている。またラスボスのワードナが強化されているほか、地下7階~8階のマップは完全オリジナル。
プログラムもかなり高度なものであるらしい。動作はきわめて快適。冗談ではなく、ファイナルファンタジーと戦えるほどの傑作である。

ゲームスタジオは引き継ぎ前提の#2をすぐには移植しなかった。先に#3を「ウィザードリィII」として移植する。#3はPC版でもレベルを引き継げない設計で、新規キャラでもそれなりに戦えるのだが、そもそものゲームバランスが大味で雑であった。そこでIIではゲームバランスを調整してある。異常に少なかった経験値は修正され、若干理不尽だったリドルはアイテムの要求に変更。倒す必要の無かったポレや牙の教会の僧侶たちをシナリオ上無視できない存在にした(こいつらは元の#3では最強ランクの敵であり、隠しボス的な配置だったのかもしれない)

I・IIがそこそこヒットしたのを受け、ついに#2の移植が行われる。キャラクターの引き継ぎじたいはターボファイルという周辺機器を用いることで可能だったが、ゲームスタジオはターボファイルが必須になるようなゲームを作らなかった。それに、引き継ぎで育ちきったキャラクターを投入することはぶっちゃけつまらないのである。
ファミコン版「III」は、それほど原作に依存していない。嫌がらせのようなリドルは全部カットされ、1階からマロールが必要なマップは完全変更。コッズアイテムの配置に名残があるのみである。モンスターも(移植の目処が無かったと思われる)#4から多数追加し、魔法は#5のものを追加。そして完全なファミコン版独自要素として種族の特性値が最大値に影響するシステムを導入する。
IIIはIを越える傑作である。それは事実上、どこにも原作の存在しないウィザードリィに等しかった。
おそらくはそれが今の状況を生んだ原因である。

つづく

漠然と見えているもの

2010-10-16 22:02:05 | 未解明
別マガのブログ 桜場コハル先生とのお仕事について
桜場コハルという人は異能の作家なのだろう。マイペースな人なのは作風からわかっていたが。
とゆーか単行本は来年春ッスか。

萌えの次のステージが見えたと思ったが「萌え」のターンが本当に来ていたのかどうかは怪しい。
萌えなんて言葉は由来からして不明である。ただ漠然と思うのはエロゲー的な文脈のキャラクター造形を一般メディアに移行する過程で萌えという言葉を使うようになってきたような気がする。広まり始めたのは00年ごろ? 記憶では確かにそのくらいだった気がする。

「あずまんが大王」が始まったのが99年だけどコミックス発売は00年くらい。
「萌え」文化の象徴があずまんが大王でいいのかどうかは知らない。いわゆる萌え漫画の類型があずまんがフォロワーであると思うだけのことで。
その、女子高生とかが出てきてゆるい日常が舞台で描きこみがゆるい4コマというイメージのアレのことで。内容は全年齢向きで。
そういった後追いはあずまんがなり他の何かなりの影響を多々感じるが、あずまんが大王じたいは何かの影響を受けているようには見えない。そこが革新的なところなんだろう。

あずまんが大王は断じて薄っぺらな作品ではない。4コマの中に必要な情報は全て詰まっており、かつ余計な情報は排除されている。「4コマあってそのうち2コマで何もしない」などという効率の悪いことはしていない。
きわめて圧縮率の高い、効率のいい漫画であるといえる。
残念ながらフォロワーにはそうでないものもある。情報が少ないほうが読みやすいこともあるんだとは思うが、果たしてそうなのか。
逆に背景を緻密に描き込んだりするのはどうなんだ。

次のステージ:
女子高生が出てきてどうのこうのいう「萌え」はもう定番となっているので次は「萌え」よりももっとわかりにくい『概念』が導入されることが予期される。
その概念がなんとなく「みなみけ」に見えた気がしたのだが言語化する方法が見当たらない。同じ傾向の作品が無いわけではなく、またみなみけより以前、たとえば「あずまんが大王」からもその『概念』は検出されると思うのだが、それが何なのか特定できない。

みなみけの画面は脅威的に白い。しかも一話8ページしかなく、その一話で下手すると4コマ二本ぶんくらいしか話が進展しない。これはおそらく「並大抵の萌え4コマ」では太刀打ちできないレベルと思われる。
だがこの表面的な密度の薄さから意外なまでにたくさんの情報が読み取れる。これは紙面に含まれている情報の量は少なくとも、各々の情報の重要性が高いからだという結論に達した。
情報の取捨選択、必要な情報だけを的確に伝える。たとえば女子高生の日常のうち必要なぶんだけの情報であるとかをだ。

みなみけの最大の特異性は中学生と小学生と高校生が同じ次元で仲良くしてることだと思う。

みなみけのクリアファイルが届く

2010-10-15 18:53:24 | 未解明
とりあえず満足
「みなみけ」が何なのかをうまく説明する言葉がいまだに見つからずにいるが、ひとむかし前に「萌え」という理解しがたい概念が出てきて萌え漫画と称する(かどうかは知らないが、ここではそう呼んでおく)漫画が現れて流行るようになった現状があり、しかしみなみけを萌えに分類することに著しい不都合を感じる。仮説だが「みなみけ」はその先のステージに進んだ漫画ではないか。萌えを理解しているつもりの人たちが「みなみけ」を理解できないのなら、つまりそういうことだ。……いや、あくまでも仮説なんだがな。