「おかわり」まとめ5

2011-12-23 22:18:02 | みなみけ おかわり
「みなみけ」の原作を読んだ一期スタッフは大変戸惑ったそうである。
この8ページの漫画はあっという間に読み終わってしまうので、普通の放送体制でそのままアニメ化するのは無理だ。
意外と情報量の多い漫画でもあるんで、ゆっくり映像にすれば5分くらいはもたせることができるのだが、それでも30分番組は作れない。
だから一期は3~4話ほどのショートエピソードを組み合わせた。オリジナルもショートエピソードとして混ぜ込む。無難。
「おかわり」は繋いで一本の話にした。それ自体はそんなに間違った選択ではないように見えるが、オリジナルを混入させて尺を稼ぐ必要がある。
あるいは、全部オリジナルにしちゃうか。
また使える原作も限られていた。これは推測だが3巻あたりまで完全に一期に任せて、「おかわり」はほとんど4巻だけで作るような分配を行ってるような。

仮説:使える原作がわからなかった?
ストーリーの分配で一期との連携が取れていないのは1話のトウマの性別の件で明らかである。
あと2話ではハルカの番長伝説についての説明があって、ヒロコとユウが一期でやった過去の番長伝説をわざわざ再確認するけど、カナは伝説の実態を知っているはずなのに間違った伝説を覚えている。一期を忘れてしまった人への配慮じゃなくて、一期で番長の話をしなかった想定で話を作ってないか。

「おかわり」は単独のアニメではない。前期で説明した設定を踏まえた作品だ。前期を見る、もしくは原作を読まないと設定が語られていない部分が多い。
登場人物のプロフィールを再度説明する必要がないから、マコトはなんで女装してるのか、トウマの性別はどういう設定なのか、保坂とか何者なのか、それらは全部説明なしで進行する。
だが、スタッフが違うから一期のアニメオリジナルの話の続きはできないし、一期で原作をどこまでやったかも製作段階では把握しきれてないと、1~2話あたりの描写から推測される。
原作と設定違うわけじゃないから読めばわかる。そういうアニメも間違ってはいないのだけど、しかしこのアニメが原作ファンに受けるタイプのアニメでもない。
「無印」と「おかわり」で連携が取れている部分としては保坂のキャラづけ。
どちらも原作と結構ちがうのだが、アニメ同士で比べるとそれなりに一致を見る。

特殊なアニメ企画が現場に与えた負担もあったと思うが、もちろん基本的な作風もまずかった。
万能だけど怠け者のハルカ、バカだけど頭脳派のカナ、傍若無人だけど優しいチアキ、そういったキャラクターの二面性がだいたい削ぎ落とされてる。キャラの性格設定が安直。
単純化してキャラの役割をはっきりさせたというより、単に安直。ただのパンツ漫画と舐めてたんじゃないかと思う。
他のキャラクターはそこまで多様性が無いから、そんなに違和感を生じていない。
(個人的に吉野が一番違うと思うが、難しいキャラなので仕方ない…)

「おかわり」の悪評を受けて、一年後に放送された「おかえり」は短編スタイルに戻り、原作のアレンジもほとんど行わないアニメ化だった。
だがそれなら原作読めばいいじゃんって話である。
今度のアニメ化、年内には情報が来そうにないが、あれから作風も変わってきた原作をどう料理するのかは楽しみにしている。

「おかわり」まとめ4

2011-12-23 20:55:51 | みなみけ おかわり
ちょっと気になる資料がある。

「(前略)あと、全体を通して一本の軸が見えるようなプラスアルファの仕掛けも用意していますが、秘密です。実は、原作の桜場先生からの提案なんですよ」
(Newtype 2008年1月号 62ページ、シリーズ構成の鈴木雅詞インタビューより抜粋)

原作者が何かを提案した?
同じページの記事の書き方(プラスαは絵コンテの写真に写り込むものらしい。形あるもの、人物?)を見ると、フユキのことのようにも思えるが、誰も説明しないんじゃしょうがない…

仮にフユキを作者が提案したとして「オリジナルキャラ出しちゃっていいですよ」程度の提案なのか、「弟みたいなオリジナルキャラを出しましょう」というレベルの具体的なプランなのか、もはや知る由もない。
一本の軸とは何のことだろう。フユキのことであるとするなら、2話から少しずつ引越しの荷物が増えてきて、やがてフユキが現れて、でもそのうち引っ越してしまうという一連のストーリーのことを言ってる、かもしれない。
あるいは、フユキではなく、2話から伏線があるハルカの留学の話のほうが「一本の軸」だろうか。
ハルカの留学とフユキの転校、この二つの事象をつなげて演出するつもりだったとしたら「一本の軸」という言い方になるかなと、なんか暗号解読レベルの解釈だが、このあたりの可能性が疑われる。
そういうの、桜場コハルが描くのだろうかというと、描ける気はする。

この記事がウソをついていないかというと、続報が無いことから考えても誰かが何かの解釈を間違えている可能性も十分あるが、それを考えると話が進まないので、額面どおりに受け止めて考えた。

記事が誤りではなく、桜場コハルが何か提案したと信じられるところ:
ハルカが留学と誤解が生じて、その誤解が8ページ以内で速攻で解けて終わる、という話が割と想像できたため。
カナがいなくなる83話とかそんな雰囲気だったし。
そういう終わり方をアイデアとして提案していた可能性ならあると、私的見解としては。

「おかわり」まとめ3

2011-12-22 22:36:10 | みなみけ おかわり
みなみけ おかわり
原作一覧
話数 原作
1杯目 72 73 74
2杯目 65
3杯目 44 45
4杯目 オリジナル
5杯目 オリジナル
6杯目 オリジナル
7杯目 27
8杯目 38 59 60
9杯目 75 62 63 79
10杯目 76 69 31?
11杯目 78 92 93 64
12杯目 77
13杯目 オリジナル

黒字:ある程度原作に則ってアニメ化された回
青字:原作との違いが目立つ回
赤字:話が明らかに原作から削られてる回

色の差は私的見解によるが、そんなに外れてもないでしょ。青字の回も言いたいことはあるが(黒字の回にもある)、赤字の回は許容しがたい。赤字回で原作からほとんどアレンジされてない回はタチが悪い。

こうして見ると、オリジナルだけで出来ている話は悪名高い4話、5話、6話の3部作と、最終話だけということになる。でも2話と12話は実質殆どオリジナルで、7話、10話も半分くらいはオリジナルだ。1話、3話、8話、9話、11話は原作使用率高い。実際客観的に見ても評判マシなのは原作率高い回だよなあ…

割合にすると半分を越える7話ぶんくらいが純粋なアニメオリジナルと言ったところか。
おかわり13話に対して使われた原作は約21~22話。まともにやればアニメ約5~7話ぶんくらいに相当するが、まともにやってない回があるので比率としてはもうちょっと少なくなるだろう。

原作の範囲は2巻27話から5巻93話までで、4巻(61~81話収録)の話が多い。5巻は11話の放送とほぼ同時刊行で、秋の話の92話と93話は雑誌掲載から見ても半年くらいという速さでアニメ化されてる。
ただでさえ少ない原作だけど、時期が冬だから使える話が余計に少ない。
4巻の話が多いのは前期と被らないように調整も行った可能性も考えられる。無印アニメは3巻までの話しか使ってないので。


「おかわり」まとめ2

2011-12-22 20:36:02 | みなみけ おかわり
*フユキの意味
これも憶測するしかない。「おかわり」がどうしてこうなったのか制作側は誰も語らない。

フユキの普通なキャラクター、リアルな鬱陶しさは非常に嫌な意味でリアルである。だから存在感がある。
どうしてこんなキャラが必用なのか。さすがに意味も無く投入するはずはない。

・おそらく最初から転校する予定だった
時間の経過をアニメの世界に持ち込むために、象徴として「いなくなる人間」を用意した可能性が考えられる。
直後にハルカ留学の話が出てくるので、あるいはその話に結びつけようとして、結局触れなかったという感じでは。

・千秋がフユキの行動を肯定していないことから、ウザさは狙ってやってる
こんなアニメだが、視聴者がイライラする部分と千秋がイライラする部分はシンクロしている。つまり演出の意図した通りになってるということだ。
だとするとしかし、フユキはイライラさせるのが目的のキャラで、フユキを妙に持ち上げる周囲の人物は単にバカ野郎ということになる。

フユキは出てすぐの4話と6話のキャラ立てがマズすぎた。
千秋相手だけ急に方言になるのがヤバい。なに急に馴れ馴れしくしてるんだ。
「みなみけ」は年上もちゃん付け・呼び捨てが基本なので、相手によって態度を変える必要なんかなく、どうしても方言キャラにする動機があるなら最初から方言でもよろしい。
相手を見て態度を変えるというリアルを狙っているのかもしれないが、それならそれで「千秋相手だけ急に方言」という単純なルール設定は止したほうがよかった。馴れ馴れしくなるのが急で、早すぎる。

フユキほとんど出ない回も多いし、OPにも映ってないので(ユウとヒロコも出てるのに)、実際そんなに大きな存在のつもりではなかったのかもしれないが、だとすると超メインで扱われてる6話は尚更何なんだということになる。世界に馴染まないなりに、もうちょっとゆっくり育てれば、ここまで拒否感の出るキャラにもならなかっただろう。

みなみけが何度アニメ化されようと、もう二度とオリジナルキャラは出まい。

「おかわり」まとめ

2011-12-22 19:51:59 | みなみけ おかわり
「おかわり」がやろうとしたことで、一つ言えそうなのが、原作がファンタジーで成立しているところに踏み込むことか?

大きな南家に姉妹だけで暮らしている三人。大人はほとんど出てこないで、近所との交流は全く描かれない。学校も試験もあるけど授業を受けているシーンは無い。友達以外の生徒は滅多に見ない。何年経っても年を取らない。生活費がどこから出てくるのかもわからない。
「みなみけ」からは面倒なことが排除されている。本当は面倒もあるのだろうと想像はできるが(これが重要。全くリアルが無いわけではない)、極力触れないようにしている。そういう点ではファンタジーに近い漫画だ。

「おかわり」の意味不明に見えるOPが示しているのは、見たまま機械仕掛けの学校、すなわちファンタジーな舞台そのものではないだろうか。
黒い顔のモブは、全て原作から排除された他人たちだ。
ハルカはクラス委員長になれと迫られるし、隣人は引っ越してきて引っ越すし、町内の清掃活動にも参加する。どれも漫画に出てこないシチュエーションだ。この原作は学校と家以外ほとんど出てこないからな。
この時間が永遠に続くものではないから、フユキは転校して、ハルカは留学する。いつかカナも年を取って今を振り返る時がくる。このアニメでは時間は経過してるから舞台もリアルタイムに近くて、その結果2月に温水プール、3月に運動会。

ぬるま湯につかったような原作から排除されてきた現実をここに持ち込んだのが「おかわり」であったとすれば。
……「みなみけ」読者が求めるものじゃないだろうな。
別に見たくないし。

仮にやるとしても、そういう聖域に踏み込む前に、原作自体に踏み込めていなかった。オリジナルへの理解が足りなければアレンジもできない。

*黒いモブは何のため?
原作にモブキャラが殆ど出てこないことと何かの関係はあると思うが、全ては推測するしかない。

原作にモブが出ない理由は、キャラクターが多いからモブと会話する必要が無いためであろう。他の無名生徒は真っ白い背景に溶けていると考えるべきである。ただ省略されてるだけで存在しているのだと。
彼らをキャラクターでなく背景として描くならば、あるいは顔が黒いこともあるのかもしれない。確かに1話のように遠距離なら黒くてもまだ違和感ない。
だがモブが近距離でメインキャラ相手にしゃべりだすと話は別で、何でお前ら黒いんだよとなる。これは、わざと違和感を出そうとしている?
真っ白けの原作を読んだ人の戸惑いをアニメなりの解釈で表現してみました、的な?白い原作に対する黒いアレという対比は確かにある気がする。
そんな違和感を出されても嬉しいことは何もない。
あるいは現実(=モブ)に目を向けろという主張ゆえに顔を黒くしてアピールしてるのか。
けどぼちぼち黒くない人が出てくる一貫性の無さを見ると実際何も考えてないだけなんじゃという疑念もある。

「おかわり」13話

2011-12-21 20:46:25 | みなみけ おかわり
13杯目「みんな揃って、ごちそうさま」

暗い南家。カナが聞いてきた話を、チアキはあるわけがないと否定する。ハルカに確かめに行こうとするチアキを止めるカナ。
そうすればハルカは考えを改めてしまう。ハルカが本気ならばカナも応援してあげて欲しいとマキとアツコに言われたのだ。
それで家事の練習をする話。ハルカはバレー部の応援に行ってもらい、その間に小学生たちを動員してチアキがハンバーグをこねてカナが焼く。
うまいハンバーグを焼けるようになったその晩、チアキとカナはハルカがいかにすごいかを語り合う(このアニメでは二人は同じ部屋で寝てる。ところでこの日の夕飯をどうしたかは説明が無いぞ)。
翌日は掃除や洗濯を分担してやって、夕飯に美味しいハンバーグを焼いた。これでハルカも安心して旅立てるという話を切り出すが、チアキは笑えず。
泣きながら抱きつくチアキに、カナもたまらず泣き出す。
留学はしないことを告げたハルカも抱き返して、無印アニメOPの「経験値上昇中」が流れ出しエピローグへ。
体育館でハルカを送り出そうとするバレー部女子に慌てるハルカ、マキにレシーブかます速水。カナのところに何かのチケットを持ってくる藤岡。掃除中にハムスターにエサやってるシュウイチ。
帰ってきた千秋のところには「冬木真澄」からの手紙も届く。フユキは苗字だった。
最後に留学の話を聞きつけた保坂、黒い人たちが乗るジャンボでどこかへ行く。保坂が笑って終了。

エンディング、カナが歩いている映像が最後に「過ぎ去りし日々の終着点」という絵に変化して、それを見ている大人のカナが映って終わる。

最終話、全部オリジナルだった。この番組は最初からこの最終話を目指して作られていたのだろう。
実に最終話らしい話だなあとは思うのだが。
このアニメでこういう話をやってしまってよかったのだろうかという疑問が消えない。

「みなみけ」がどうやって終わるのかは判らない…
アニメは続編があるかも不明だったろうし、何らかのオチはつけなければならない。それで、留学。それが勘違いでしたという、まあどこかで見た気がする話だが、そこまでの努力の過程は、いい話なのかもしれない。

でも原作のチアキってそんなに家事下手じゃないよねぇ?
『おかわり』としての終わりだからこういう話になるのであって、おかわりが最初からこの話に向かって動いていたが為に、キャラクターがおかわり型に変化してしまってこういう最終話に向かったんでないかと思えて、だから原作のある作品のアニメとしては、……やっぱり何だかなあと思う。

「おかわり」12話

2011-12-21 19:34:29 | みなみけ おかわり
十二杯目「もう一口が辛いのです」つらいのですと読む
この回はモブが多数登場するが、黒い人がひとりもいない。人数が多いから遠慮したのかな?
その影響で今まで黒かったハルカの担任もこの回だけ黒くない。演出をあっさり曲げたことで結局違和感を生む。

前話から話を引きずっているのか、熱っぽいチアキが保健室にやってきた。
保健の熊田に足止めを食らう。マコトにラムネを食わせるところまで、だいたい原作77話の通り。
で、最後に運動会の救護係をよろしくねって言われる。前話でそんなことを言ってたね。

なんでこの時期に運動会を?とツッコミを入れるカナ。本当にだ。番組の不具合にセルフツッコミをしないでほしい、つらいから。
ともかく何かの係になったチアキとトウマとフユキが、微妙な距離感でギスギスしながら準備を進めている。何度かチアキに何か言いかけるも何も言わないフユキ。チアキはフユキに冷たいが、協力するうちに多少は心を開くようになる。
そんな折、チアキが風呂に入っている間にハルカとカナがお隣また引っ越すって言ってる。え、そこでネタばらししちゃうの。

運動会当日、父親として呼ばれた藤岡や、ハルカの動きを聞きつけた保坂も来ている。
いろいろ種目をこなして午前終了。チアキ、一人で食べようとするフユキを誘っていっしょに弁当を食べる。
午後になるとフユキが親父と話してるのが見える。ランドセルをしょっている。
午後の父兄二人三脚をやっている間にフユキは去っていった。フユキは今日転校したとトウマから聞かされるチアキ。無理して午前中だけ出たんだと。
何か言いかけていたフユキを思い出すチアキ。「言いたいことがあるならちゃんと言えバカ野郎」と言い捨てる。

その後、寒い朝。高校で教師が交換留学のポスターをはがしていた。マキが尋ねると、「南さんにお願いしようと」まで聞いてマキ走りだして、アツコと喫茶店で相談する。送別会を盛大にやろうと。そこにカナが通りがかった。
さすがのカナもショックを隠せない。終わり。

保健の熊田がアニメに出たのは初。剣道部柔道部はモブにされたのに熊田は助かった。それもこの回がモブを黒く塗らなかったおかげかもしれぬ。
次の最終話では何事もなく黒いのだが、本当に何なんだろう。

そしてフユキ、ここで退場する。12話始まった時点でフユキとチアキの距離はまだ遠かったが、6話は何だったんだ?
それがこの回で急接近してから退場。けっきょく存在感ばかりが先行するキャラだった。たぶん最初から転校する予定だったのだろうが、さて何のためにこういうキャラクターが必要だったのか、それが見えてこない。
またこの回でフユキのクラスが1組だと判明しているわけだが、その割にはトウマとの距離が遠い。何しろそれまでは3組だと思われていた。
いや、はっきり言うと設定間違えてるんだと思うが…
(7話で「3組の担任」とクレジットされている人物と話していることが確認できる。11話でトウマの性別をスルーしてるし、この12話でのトウマとのやり取りも同じクラスのそれには見えない)

ところでこの話、トウマも体操着を着ているが(寒そうだ)原作と違ってこの学校、男子と女子で体操着のデザインがいっしょになってる。これならトウマの性別が藤岡にバレないわけだ。
なんでここの辻褄合わせには気が回ってるんだよ…

「おかわり」11話

2011-12-20 21:03:31 | みなみけ おかわり
11杯目「さすがにヤバくなってきました」

藤岡のどこが好きなのかとリコにたずねて、メガネをつかまれるケイコ。何か想い出を語ろうとするリコ。
ここまでは78話の通りだが、そこに掃除当番を忘れていたカナが来て、風邪を引いたと言ってどこかへ去る。リコの話はこれだけで終わり
南家ではトウマがエラシコの話をしている。見舞いに来た藤岡に、治ったとごまかしながら藤岡を上がらせてから気付くが、トウマが女子の制服だった。藤岡に見られて風呂場で落ち込むトウマを原作通り着替えさせて、藤岡は半裸にされる。ここは92話の一部改変抜粋版。

明日は町内清掃の日だと聞いて、再びカナが風邪モードになった。ここからは93話のアレンジ。
翌朝も寝込んでいたがチアキに仮病と見抜かれてふじおかを投げつけられる。

続く日曜日(町内清掃は隔週土曜日。その設定は覚えてた)。本当に風邪を引いたカナ、昼から春物の服を買いにでかけて、夜は焼肉のカルビ食べ放題の予定なのだが、宿題があるからと言って、ハルカとチアキだけ買い物に行かせる。
街を歩いているハルカたちの前からフユキが出てきて、自分もチアキと同じ運動会の実行委員であると、次の話のための伏線だけ張ってさっさと立ち去っていく。
その頃、南家に遊びに来た内田「コタツの中にクワガタがいる!」と原作のシーン。マコちゃんに薬を持ってこさせて、ハルカたちがいつ帰ってくるかわからないから普段どおりにしてないと、と無理してコタツに座っている。
風邪ひいたこと悟ったチアキによしよしされながら鼻水垂らして終わり。

ここでアイキャッチ。『おかわり』最後の短編パート。
急に千秋のもとにやってきたカナ、藤岡と決着をつけると言い出した。「いきさつはよくわからないけど」と言うチアキ、……本当によくわからないんだが。
だいたい原作64話と同じに、哀れに思われた藤岡に対して最終奥義のバックドロップを放って、「本当にやったのかよ」で終わる話。

11話も10話に続いて原作の使い方が不自然極まる。
冒頭からして、78話のリコや藤岡やカナの過去話をスルーしたが、このエピソードはスルーしていい話じゃない。というか、この程度の導入なら原作使う必要ないだろ。原作のおいしい部分だけをカットしてどうすんだ。
カナが風邪を引く話がメインなので、トウマと藤岡の出てくる92話を挟むのも無理がある。この話、カナの風邪と関係ないし、風邪を引いてるという設定のカナが藤岡を招き入れたうえ半裸にする、いくらなんでもカナが元気すぎて不自然じゃないか。
いやさどうしても挟むのであれば原作から変えなくてもいいじゃんか。制服のトウマが遠慮なく上がりこんでくる話から成立している話なのに、藤岡を間違って上げてしまう話じゃ状況が違いすぎて話も使えなくなるし、リコも出てこない。この1話だけでリコの出番を2本もカットして、何かリコに恨みでもあるのか?
最後の短編部分、やった部分に関してはほとんど原作通りなのだが、原作の前半部分が丸ごとなくなっている。「おかわり」に何故か出てこないアキラが絡むので豪快にカットしてしまったのだろうか。それにしてもいきなり「チアキ様!」と駆け込んでくるカナは唐突過ぎる。これではストーリーが成立してない。「いきさつはよくわからないけど」って言わせて本当にわからないなんて前代未聞じゃないか。

どうも後半の『おかわり』は「貴重な原作を消費した」というふうに受け止めるむきもあるというか、俺にもそうとしか思えぬ。
9話も10話もそうだが、合わない原作を無理に切り貼りして使ってる。どうしてこうも原作のツギハギで一本の話にしようとしたのか?
こうして時には豪快に原作を投げ捨てるぶった切り方にも関わらず、原作のあるパートでは原作がセリフ単位で残っている。このやり方に「ブロックビルド方式」という語が浮かんだ。
思えば8話で隣町まで2時間かかった件もそうであって、原作を切り取るのは平気なのに、ちょっとのアレンジができていない。
このあたりで中途半端にアニメ化された部分は続編『おかえり』でアニメ化することもできず、後から見直して「これアニメでやったっけ?」状態になってる。

アニメが原作の全ての話をアニメ化する必要は無い。アニメが原作を改変していけないわけもない。
だがこれは…半端にアニメ化して後のアニメ化を封じるのは悪手だ。ただでさえスローペースで常に枯渇している原作をこんなふうにアニメ化してしまっては後が続かない。

もしかしたらこの番組、急な路線変更などがあって、脚本の調整が間に合わないような状態になっていたのだろうか。具体的には短編パートの入る9話から。
この推測を裏付ける証拠は無いが、そういうことがあったとでも考えないと10話と11話は見てられない。

「おかわり」10話

2011-12-20 19:40:07 | みなみけ おかわり
10杯目「花より団子のお年頃」
ひどい回。
76話と69話をよけいなアレンジして混合して途中で分解する話。

最初76話の流れで、買い物帰りから南家に来て、雑談を始めるカナとマキとアツコ。
そこで窓の外から黒猫がやってきた。この猫をアツコと呼ぶチアキ。ここが69話。
で、76話のツッコミの練習に戻りつつ、「南さんちのチアキちゃんはどんな教育を~」と31話のセリフを入れる。
ハルカの買い物が焼き魚だったというマキと、焼肉が食べたいと騒ぐカナ、エア焼肉を始めると、ハラミを花見を聞き間違えたチアキがアツコにツッコミを入れられる。かなり原作通りだが、つぼみの状態だけど花見をしにいこうという話になる。
夕食は焼き魚ではなくカレーだった。その件には特にツッコミなく、フユキを呼ぼうと言ってる。

メンバー集まる。場所取りに向かう藤岡、マコちゃん、トウマ、フユキ。
買い物に向かうカナ、内田、吉野、チアキ。
そして南家で準備をしているハルカたち高校生。だが情報を聞きつけた速水が南家に怪しいジュース持ってきて全員酔っ払ってしまう。

様子を見に来て、すごい顔で驚くカナ。つぶれているハルカたちを見て、おみやげのジュースをもらって一人で逃げてきた。
遊んでいる小学生たちに「ハルカは手遅れだった」と説明して、チアキが確かめに行こうとするので止めないで行かせて、吉野にジュースを渡した。
で家に戻ったチアキが速水にジュース飲まされるのを、家に戻って見届けるカナ。カナの行動がおかしい。
全員飲んでおかしくなる。
どう収拾つけるんだと思ったらアイキャッチで強制終了して短編モードに。雨の日にカナとカップラーメンを取り合う話で『おかわり』完全オリジナル。

この10話は様子がおかしい。オチの不自然さというか、この話そのものがグラグラしている。
花見を実際にやる話にアレンジするのはいいが、それをチアキに昼間から盛る31話と混ぜた、のか?
あるいは登場人物を酔わせてみたかった?
この10話、おかしなことが他にもある。焼き魚だと言ってるのに直後にカレーが出てきた件もそうだし、後半藤岡がいきなり一人で歩いてて、保坂が急に出てくるのに前半に伏線が張られていないとか、話がつながってない。
カナが南家→会場→南家と二度にわたって移動するのも不可解。登場人物の行動に一貫性が無くて、酔っ払っているようだ。
ラーメン取り合うオリジナル話は一見いい話だが、うまく成立していない。チアキは家にストックがあるのに自分の小遣いでラーメンを買ってきたことになってしまう。……いろいろ仮説を立てればこの状況に説明はつくのかもしれないが、言葉で説明してほしいですな。この姉妹の夕食はハルカが用意してるわけだし、夕飯にカップラーメンを食べる機会も滅多に無いはずなのだ。

69話部分の内容だが、トウマを中心にやりとりがあった原作と全然違って「猫をアツコと呼ぶ」という部分だけが取り出されて使用されているが、何でそう呼ぶようになったのかが説明無い(このアニメでは最初からアツコと名づけてる? それならそれも説明すべきだろう)
原作のシチュエーションだけを利用して、おいしい部分だけを取り除いている。普通逆じゃね?
どうせこんなアニメ見る人は原作読んでるから大丈夫なのか?

この回は出番あったフユキだが、この回だけ、ごく普通な登場をしている。花見に呼ばれるくだりはどうしようかと思うが、6話みたいに不自然な出番があるわけでもなければ存在感が無いわけでもなくて、フユキが普通のキャラみたいに藤岡やマコトと話している唯一の回。
このように「特に活躍しないオリジナルキャラ」が何のためにいるのかなどわからないが、フユキの姿として、これが比較的幸せだったのではないだろうか。
なおフユキは12話でトウマと同じクラスであることが明らかになるが、藤岡がトウマを男と見なしていることに特にツッコミを入れない。
オリジナルも含めてキャラの設定を把握しきれてないんじゃないかなあという疑惑が深まる…

最後に。原作76話では南家は2階にあるのだが、このアニメでは4階だと明言される。演出か何かの都合で4階に設定したんだと思うが、2階にあるのを忘れてたんじゃなかろうか。4階のベランダまで上がってくる猫かー

「おかわり」9話

2011-12-19 21:14:40 | みなみけ おかわり
9杯目「そろそろ苦しい?ひみつのマコちゃん」
マコトの話?

カナ、予知能力に覚醒。原作75話がベースの話。その夢に女になったマコトが出てくる。
それでマコトの女装をどうしようかと62話の話になって、翌朝チアキから夢の内容を尋ねられて、内田にモチを食わせる話を返す。
高校ではハルカが予知夢の話をしていたら黒い教師に呼ばれて、交換留学にいかなイカという提案を受ける。成績優秀なハルカは代表にふさわしい、チャンスだと。
で小学校、62話どおりマコトも入れてチアキの家で宿題を、という話になる。ただし、アニメオリジナルでシュウイチが自分から来たがる。
カナに許可されていないマコトは突き飛ばされて原作通り追い出されて、女装に戻されて復帰。
続きの63話のパートになって、吉野から質問攻めにあうマコト。「女の子なのにオレって言うんだね」という原作でスルーされてる問題が追加されていて、「夏の太陽がオレを攻め立てるからです」という答えには「いま冬だけど」というやりとりが追加されている。原作と同じように後からトウマが来て、最終的に逃げ出すマコト。

外でうなだれてるマコトに対して、カナは嫌いなモチもそのうち好きになるという話と、「その格好じゃないとうちの敷居またがせないけど」と冷たい言葉を投げかける。
いっぽう、部屋ではシュウイチも変わりたいという話をしている。プレーンヨーグルトというあだ名を嫌がってキャラづけをしようとしている。あだ名ごときで人が変わるとは思えん、と冷たいチアキ。

その後にんじんスティックを食わせようとしたりカニを食べたりする。沈んでいたハルカがカニを買ってきたのは気分転換か、特に説明なし。
風呂入る前にハルカに「私は変わったでしょうか」と問うチアキ。カニは黙々と食べるカナ。…なぜか食べる前に風呂入ってる。
この回はここで終わらないで、翌朝、チアキの頭部のホイップが二つに増えるというしょうもないオリジナルに続いて、63話の残りの小学校パートを少し入れる。

それでまだ終わらず、突然保坂の声で「みなみけ おかわり」のアイキャッチが入る。ここで唐突に、原作79話の速水と弁当を取り合う話が挿入されて終わる。
何故?

この回は原作がそれなりに使われているのだが、混ぜ方が混沌としている。75話で始まって、62話、オリジナル、62話、63話、オリジナル、75話、オリジナル、63話、最後に79話、といった順番で進行している。
だが予知夢とマコトの話は何も関係ない。夢の中にマコトを出すことで無理やりつなげているが話の軸がどっちにあるのかわからん。原作でも62話の始まり方は唐突なので、きっかけとして予知夢の話を選んだのかもしれないが。
そして最後の79話部分だけ全くつながってない。急に無印アニメの短編スタイルに戻ったかのようだ。アイキャッチも明らかに無印を意識している。
このパートが無印と違うのはアレンジがほとんど無いことで、ただ速水が逃げるセリフがカットされてるので流れがおかしく感じる。
尺が余ったから入れたのか?ここらへんで短編も入れろという路線変更の指示でもあったのだろうか?
知る由も無い。

涼宮ハルヒのアニメで見たようなゲームをカナがやってるが、やっぱりどうも「みなみけ」の作風と目指すものが違ってる気がする。ネコネコ動画とかも出てきたし、動画サイトでコメントが増える的な、一過性の話題にはなるね…(当時のニコニコ動画はまだアニメが違法配信されてたりしてアレな感じだったようだ)
女装していないマコトが南家から追い出されるのは原作通りなんだが、このアニメでは3話でカナとチアキの両方に許されておるんじゃよ。というか、カナによって女装を解除させられた。
1話ではカナに女装させられて、3話では女装解除させられた。こんなふうに「おかわり」のカナは横暴であるが、3話と全く同じ状況で来たマコトを9話では女装させてて、カナもマコトも3話の後であるように見えない。アニメで入れたオリジナルをアニメ自身が忘れているんじゃないか。
原作エピソードを使うために整合性を捨てたのだろうか。
そこまで考えてないだけのように思う。
原作8巻ではマコトは自然に許されてる。何年も引きずるほどの問題でもなかったのだ。だから「おかわり」3話で許されるのも特におかしなことではなかった。でも9話で戻る。これは調整不足だろう。

シュウイチいじりは完全にアニメオリジナル。シュウイチ、原作2巻の時点で既に存在が消えかけており(数えたら2巻でも一回しか出てなかった)、3巻でも1回、4巻に至っては一度も出てこない。キャラを立てる以前の問題で『おかわり』の原作に使われた話にシュウイチは1コマも出てこない
それをこの9話では妙なキャラ立てをしている。どうせ原作で出ないだろうからいじっても問題ないと思っていたのかもしれないし実際出てこないんだが、こういう方向で原作キャラをいじってしまうのはどうなんだろう。「いじっても面白くない」とチアキに言わせている通りの結果になってるように見える。

この9話では『おかわり』の終局に向かい、ハルカの交換留学の話が初めて出てくる。
そういえばフユキが2話連続で出てきていない。