舞城王太郎「ジョージ・ジョースター」読んだ

2012-11-25 21:13:17 | 未解明
ジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ。765ページもある分厚い本。
舞城王太郎については全然知らないのだが気になることがあったので読んでみた。なんじゃこりゃである。

面白いのかどうかで言うなら面白かったと思う。ジョージ・ジョースターというキャラクターを扱うだけあって第1部や第2部の雰囲気を持っているのかと思ったら7部のスタンドまで出てくるんである程度スティールボールランまで読んでいないと内容が理解できないという。
2巡目以降まで想定して内容に組み込んだ手腕は見事というほかなく、だから楽しめるかというと6部の途中から「もう、ついていけない」私のレベルでは正直つらかった。その「ついていけない」感じまで見事に再現しててジョジョの奇妙な冒険の小説だと思ったのである。
つまり、ついていけなかった。いや、内容だいたいは理解できた。面白い本だと思うしこれを書いた人はすごい人だと思うが、ちょっと世界が離れすぎている。

ジョージ・ジョースターという人物については原作で全く設定がないのでほぼこの小説のオリジナルである。原作でわかっているのは1920年にゾンビの上官と戦って死ぬことだけだ。
だからこの小説でもやはりそのシーンはあるわけだが、……リサリサがハリウッドの脚本家と再婚するっていう原作の設定覚えてたんでオチが読めてしまった。
最後のほうはいろんな能力がごちゃごちゃ発動しまくった結果ジョジョ本編の登場人物は少数のぞいて全体的にハッピーエンドになる。おそらくハッピーになるはずがなかった人まで。
そしてやっぱりこれは嫌だったんだがジョージの小説なのにディオの棺桶の謎を解決してしまっている。棺桶が二つあったってことじゃダメだったのか。説明をつけてしまうと奇妙さが損なわれるのではないか、と思う。あと3部のディオが途中からザ・ワールドしか使わなくなる理由の説明はアレなんだろうけどあの説明は喜ぶ人が少なそう。評判悪い西尾ジョジョと説明かぶって矛盾してるところとか。
リサリサやカーズの性格については原作でブレてるところをうまくやったんじゃないかと思う。ちょっと憶測混じるがリサリサは原作で期せずしてジョセフの母親になってしまったから、ジョージ絡みの話を組み込まざるを得なくなって、「なぜそこでゾンビ相手に暴走?!」という感じになっていたのを、小説でも性格面にうまく反映した感じ。
カーズは、まあぶっちゃけ漫画の途中で性格変わってるんだけど、性格変更前後両方なんとかなったかなって。

分厚いだけあって内容は詰まりすぎでジョジョ3部丸ごと読むより多いくらいじゃないかと思うしクオリティも高いしいろんな説明もつけたけど、別に説明しないでもいいと思うところまで説明してしまってるし、この本を全部肯定しないとそれらの説明も成立しなくなるし、手離しに気持ちの良い本だと言うこともできないという、奇妙な本であった。

471ページ
日本のジョージの曾祖父の「ジョナサン」について、「さらに身体は頑強で歳を取っても若者に混じってラグビーのような激しいスポーツができたらしい」と書いてあるのだが、473ページでは1889年に死んだふうなことが書いてある。1881年の時点で少年だと言ってるので、元のジョナサン・ジョースターとほぼ同じ年齢、若者だろう。これは深読みなしに単純にミスではないかと思うがどうだろう。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-01-29 04:15:11
はじめまして。感想を読まさせていただきました。
「(ジョナサンは)473ページでは1889年に死んだふうなことが書いてある。」とのことですが、
473ページに書いてある「1889年に死んでいる」という記述は、ジョナサンではなく、ディオに対してのものだと思われます。

突然ながら失礼しました。
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Unknown (ishikawa.z)
2013-02-01 18:51:42
コメントどうもです。でもそのページにDと相打ちになったようなことも書いてあるので、やっぱり死んでいるのではないかと読みましたがいかがなでしょう。
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