和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・6

2010-10-24 17:13:00 | ゲーム
ファミコン版のプログラムは大変高度なものだが、致命的なバグがあった。参照するパラメータを間違えていて味方のACが無意味な数値になっている。
TAS氏(ロックマン2TASの解析などで知られるTaoTao氏)による詳しい解析が公開されたのは2008年の末のことで、FC版の発売から21年が経過していた。それまでも計算式が不自然であることに気付いているものはいたようだが、正確なところまで知っているものはいなかった。
『II』以降は修正されているので、知っている人は知っていたのかもしれないが。
このことによって、最高傑作だと思われていたファミコン版『I』の評価が急激に揺らいでいるらしい。困ったことに、ACが機能していないにも関わらず何故かバランスは取れているのである。味方のACの代わりに敵のACで判定しているため、敵が強くなれば味方も強くなるというシンプルなロジックがあるからだ。
逆に言うと2Fや3Fの毒モンスターはどれだけ装備を固めても強い。
これは知らないほうが幸せだった。

この手のミスはNASIRの専売特許だと思い込んでいたが、そうではなかったようだ。かなり最近のゲームでも計算式のミスは見られる。

ゲーム進行に支障をきたすタイプとは違う、計算式関連のバグについて、知ってる例をいくつか。

FF1:ストライなど、いくつかの魔法に効果が無い。味方が使うデスペルには何の効果も無いが敵が使うデスペルは機能している。「知性」に何の効果も無い。敵の打撃属性に「敵本人の弱点属性」が参照されているため、炎に弱いゾンビ系のマヒ攻撃は炎属性になっており、アイスアーマーで防げる。他にも不可解な点が多数ある。

FF2:やはりバリアやデスペルの魔法などが機能していない。
あとABキャンセル。

FF3:戦闘中に装備変更などをすると強化系魔法の効果が消える「ウインドウイレース」と呼ばれる現象が知られている。3のプロテスとヘイストは非常に(異常なレベルで)強力なのだが、このバグのおかげで活用しにくい。

FF5:「ちからのくすり」はゴブリンパンチの攻撃力しか上がらない。

FF6:魔法回避率が物理攻撃の回避率を兼ねてしまっている。魔法回避の高い装備をそろえれば物理相手にも無敵になる。物理回避率のほうは一切機能していない。
有名なバニシュデスは実は仕様であるという解釈がある。バニシュ状態だと全ての魔法が効くのは「仕様」であり、ミスなのはボスにバニシュが効く設定のほうなんだと。

FF7:防具に設定されている魔法防御が機能していない。

WIZ外伝1:武器のダメージの設定にミスがあり、固定部分が参照されていない。たとえば7~13ダメージの設定(2~8+5)は実際には2~8になっている。このミスにより、事実上の最強武器は中盤で手に入るファウストハルバード。
また敵のヒーリングの効果が異常。HPが回復するはずが、ターンごとにレベルが上がる設定になっている。これは外伝3まで共通なんだと。

世界樹2:いくつかのスキルの効果がおかしい。レンジャーのフォーススキルがマイナス効果。あと敵にも耐性を付与してしまうダークハンターバグ。

TOD2:称号バグ。成長値のボーナスがオーバーフローしてレベルアップ時の成長がマイナスになる可能性がある。

TOD(PS2):術防バグ。相手の術防御が味方の術防御で決まるので、術防御を低く保ったほうが大ダメージを狙える。DC版で修正。
ところでPS版の空気王が初期レベルで加入するのはバグみたいなもんだと思う。

簡単なミスもあれば「うっかりじゃ済まんぞ」的なものもある。場合によっては余計な知識を手に入れたばかりにゲームの攻略方針そのものが揺らぐことになる。
RPGのダメージ計算式などは詳しく画面に表示されないので、デバッグ過程で発見しにくいのだと考えられる。
こう考えるとドラクエは安定してる。ヒャダインの習得レベルくらいだ。

ということで、ウィザードリィが悪いわけではない。RPGがみんな悪いんじゃ。
そのことを踏まえて次の記事に続く。

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