相台万朗Sodaiブログ

和歌山からきて今は千葉県人に、東京銀座でウエスタンバンジョーの店を36年間やらせていただき、もっかしたずみしてます。

乗車券の旅 (連載―480)

2023年06月25日 | 経験・体験
55年ほど前、憧れの東京に来た。
今度は、故郷に帰る旅を企画した。55年の歳月は国鉄からJRに変わった。
東京駅から新大阪駅まで、2.5時間、新大阪駅から故郷への最寄駅、紀伊御坊駅まで2.5時間かかる。
個人情報で明らかに公表出来ないそうだから、これが限界。
日々、頑張っていらっしゃる方々には申し訳ないが71歳の私は時間に余裕も出来、お金持ちではないがこんな旅を企画した。

 スピード化で新幹線を利用すれば、短時間であ!っという間に行けるのに困ったものだ。
 55年前からの変化を知るために大阪まで10時間、紀伊御坊まで13.5時間はかかるようだ。

 石炭を燃料で蒸気機関車だったので、白い蒸気と黒い煙が目と鼻を楽しませてくれた。

歌にも唄われるくもりガラスを見ると君の名を指でなぞっていた。床に新聞紙を敷き、床に横になってコールタールの油の臭いを嗅いだ。
 
  静岡まで来ると海岸線が別世界に来たようで、ホームには首に紐をかけて弁当とお茶を売りに来るおじさんの声がホームの雑踏にまじって民謡でも聞いているようでいい声がした。

 急いで、汽車の窓を両手でうえに開けた。おじさん、弁当とお茶ね。
 横浜、新橋、の車内放送が車窓から見えるホームの動きと会っていた。次は終点東京駅です。
新橋から東京駅間いろんな思いがスライドのように巡った。

  西の国の山奥から史上最低の学力をひっ提げて東京に来たが、振り返れば、死にかけた病気と交通事故にもあったが、幸運にも助けられた。

 こんな筈ではないと、他人の人生の終点は見せて頂いた。我が差し迫った人生の終点は100年後かもわからない。

 命、尽きるときは私が決めるものでもないし、自然に任せるしかない。寿命は人それぞれ、今来る人もいればわからない。

  人生で初めて、国から身体障碍者の称号を与えられ自信をもって乗車券の旅に出ようとスローな旅への冒険だ。

 大阪で一番に美味しいうどんを食べさせてあげると妻に豪語した。まさか、天王寺駅のホームの立ち食い屋台だったとは思わなかった感激で初めて屋台で食べるうどんは昆布出汁で、東の国の人には薄味だったろう。

 田舎の紀伊御坊駅から天王寺駅で乗り換え新大阪で新幹線に乗った。芸術は爆発だ!っと故岡本太郎の太陽の塔の大阪万国博覧会を横目で眺めながら新幹線に初めて乗った。
  
  薄味で思い出したが、初めて東の国でうどんを食べた時、醤油味で辛くてこんなものと思った。
 おぜんの有名店で醤油味で辛くてクレームをいって出入り禁止となった。

 店長、この豆、腐っているんですが。西の国では納豆も蕎麦もなかった。

 東の国で恋をした。モテると思ったが関西弁が面白かったようだ。なんだ?

 最初は、東の国、西の国の違いに面食らった。
  同窓会にも出たことがなかったが、友からの電話で田舎にも泊まれる宿があるからと紹介もあったので、考えてみた。

 新幹線を使えば簡単に行ける。ところが、金持ちではないわが君は乗車券だけで行けないかと考えた。よしこれならば行ける。

 この機に、私の行動半径も広がった。
 佐賀県にも行きたい。青森県にもと夢がひろがった。私の寿命もひろがった。


  今日からリハビリも倍に変えたが、急激な変化に身体と折り合いがつかないようだ。
 とにもかくにも、一つの夢も来年は実現出来そうだ。
乗車券の旅、私の冒険だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする