映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(34)ミュージカル映画のこと「錨を上げて」「パリの恋人」

2005-09-15 00:08:42 | 映画
 初めて観たミュージカル映画はなんだったのかな?少し思い出してみました。
「ヴァレンチノ」もこのジャンルに含まれるのかも判りませんが、本格的な映画は「錨を上げて」からと思います。これはジーン・ケリー フランク・シナトラ キャサリン・グレイスンという顔ぶれで、休暇で軍務から解放された二人の水兵が、繰りひろげる歌と踊りのコメデイでした。
 これは従姉のお伴だったせいか印象が薄く、その後の「雨に唄えば」から面白味が少し判ってきた…という程度でした。それからデビー・レイノルズ マリリン・モンロー(ショウ程素敵な…)ジュディ・ガーランド(スター誕生)ミッチー・ゲイナー(ショウ程…と南太平洋)と続きますが、これすべて女優ばかり…不思議なことにミユージカルではトップスターの、フレッド・アステアを観ていない…
 今でもミユージカル・フアンと自分では(?)思っている私としては、これでは申し訳が立たないので遅ればせながら、彼がオードリー・ヘップバーンと共演した「パリの恋人」をビデオで観ました。
 カメラマンのアステアは女性雑誌編集長と相談して、古本屋勤めのヘップバーンを一流モデルにしようと画策します。今の仕事が気に入っていて消極的な彼女を、かねてから尊敬する哲学者に会わせるから…という約束でパリへ連れて行きます。
 印象的なのはオルリ空港への着陸前に、上空から見えるセーヌの流れ、エッフェル塔 凱旋門 シャンゼリゼ大通りなどの風景を,機上から眺める三人の歓びの表情です。
 パリに着いてからも「ボン・ジュール・パリ」を歌いながら踊る姿に、前回の「麗しのサブリナ」でも触れましたように、当時のアメリカ人って本気でパリに憧れていたのだな…ということが実感できました。
 彼女は雨の凱旋門で風船を持って走らされたり、パリの名所や街角などあちこちで「花の少女}「怒れる誇り高き女王」「アンナ・カレーニナ」「普通の娘」など、いろいろの題材で華麗なフアッションとややヤセ気味のプロポーションを披露します。
 中でも一番綺麗だったのは…鐘が鳴り天使が歌う教会や、緑に包まれた森、白鳥が泳ぐ池のほとりで、純白のウェデイング・ドレスをつけたヘップバーンとアステアが踊るシーンです。
池に浮んだ板切れにひょいと乗り移る時の、軽やかでエレガントな身のこなしなど、メルヘンみたいな感じでよかったですね。
 哲学者役のミシェル・オークレールは、「アンリエットの巴里祭」以来ですね。私とは五十年ぶりの再会…でも前作品よりも少し年を取ったようですが、年配の学者役だからそれでよいのかも…
 編集長役のケイ・トンプソンは初めてお目にかかりますが、歌も踊りも達者な女優でこの映画は良い脇役に恵まれて、愉しい作品になったように思います。
 原題「Funny Face」「フアニー・フエイス」は、その頃の流行語になったそうで、当時の感覚では個性的な顔立ちでしかも魅力的…彼女がちょうどその代表選手だった?とかでした。
 私が今までブログで扱った映画はメロドラマが多かったせいか、「切ない別れ」が多かったのですが、この作品はハッピー・エンドを思わせるようなラストだったのにホッとしました。