ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

美をめぐる~備忘録③5月

2010-06-10 13:05:14 | 美を巡る
●5月21日(金)
「国宝 杜燕子花図屏風」(根津美術館)



待ってました~!
最後にこの屏風を見たのは3年前の5月。
ようやく新生根津美術館のこの季節の目玉として帰ってきてくれました。
会期も終盤のこの日、平日だと言うのになんですか、この人ごみは・・・という感じ。
根津が誇る仏像や古代中国の青銅器、茶器などを差し置いて
尾形光琳の「杜若図屏風」は堂々と異彩を放っていた。

一見べったりと塗られた緑、紫、金箔も、
眺めているうちに濃淡のリズミカルな動きが心地よく
花の配置の完璧さにただただ見惚れることになる。

鈴木其一筆 「夏秋渓流図屏風」は見事だった。
へばりつくような苔に粘着質な水の流れがかえって画面に静謐さを与えているようで。
基一さん、大好き。

展示室6の<燕子花図屏風の茶>と題した部屋には
この季節にふさわしい茶道具をずらりと展示。
小堀遠州作の銘五月雨・茶杓や
螺鈿花文香合、涼しげな井戸茶碗など
若葉風の吹く季節の茶会など想像すると、いい気持ち。

庭園もまた見事。
深い色をした水面に浮く白い花、
苔むした仏像にほっと心を奪われながら
時折りスッと通り過ぎる風を感じて歩くのが心地よい。
杜若がちょうど盛りで、新緑の中に淡い紫の花を咲かせていた。





それにしても、山種も根津も、都心にあってこじんまりと名品鑑賞ができる
オアシスみたいないい美術館になって復活してくれて、うれしい限りです。

美をめぐる~備忘録②5月

2010-06-10 12:01:53 | 美を巡る
●5月11日(火)
「茶~喫茶のたのしみ」(出光美術館)

いまの私たちにとって、お茶を飲む習慣は欠かせない。
かつて中国から渡ってきて、時の文化交流に欠かせなかった茶道具。
それにかかわる書画などを合わせて展示。

15世紀始めには今日の社寺門前で野外喫茶が出ていたのだとか。
一服一銭の移動喫茶店。
いつの時代も考えることは皆同じだ。

朽葉色の釉薬がつややかな「珠光青磁茶碗」、
銘を獅子という小ぶりながらしゃんとした存在感の「黄天目茶碗」、
本阿弥光悦の「楽焼兎文香合」、
尾形光琳が布袋・馬・鹿などを描いた「深省茶碗絵手本」など眺めては溜息。

喫茶を彩るものとして、食籠、茶箱、硯、水滴なども展示されている。
中国の「龍虎硯 端渓石」は墨をすると硯の海が闇と化し、
龍と虎が浮かび上がるというすばらしいもの。
同様に江戸時代の陶工・青木木米作の「白磁登龍筆洗」は
筆を洗うと水面を墨が流れ、それを雲龍と見なすという。
どちらにも共通する壮大な見立てにうなる。

中国の古い茶器、日本の蒔絵の茶道具などのほかに
イギリスのウースター、ドイツのマイセンなど
東洋の絵付けの可愛らしいティーセットもあった。
こういったものも古くから愛用されていたのかと思うと、
政治、陰謀の影がちらつく時代はあったものの
古来より、くつろぎつつ、美を愛で、美を作り出してきた
お茶の時間がゆったり流れているのを感じる。


●5月13日(木)
「エル・グレコ~聖母戴冠」(長崎美術館) ~10月24日まで






これを見ることができたのが、長崎帰省の最高の喜びだったんじゃないかと思う。
(龍馬探訪、軍艦島、小浜温泉、姪の結婚式・・・もありましたが)
プラド美術館から長期貸与されている1枚だという。

イエス・キリストと父なる神から冠をいただかんとするマリア。
その周りには、無数の天使たち。(でもなぜが描かれ方が雑?)
エル・グレコ独特の細長い人体、伸びやかな筆致、鮮やかな色使い、
不安定でありながらなぜか惹きこまれる幻想的な彼の絵に、
やはりこれぞマニエリスムと思う。

22年前に新婚旅行でスペインに行ったとき、なんとプラド美術館がストライキ中!
以来、「プラド美術館展」があるたびに、リベンジのように見に行っている私。(笑)
ああ、また日本で名品を見ることができてよかったわ~。

帰京後まもなく、美術史家の高階先生が朝日新聞で
「鮮烈な色彩の天上世界」として、この絵の評論を書かれていた。
絵の解説はもちろんだが、1940年から終戦時までスペイン公使を務めた
須磨弥吉郎が蒐集したスペイン美術コレクションが長崎美術館似多く収蔵されており、
今回の特別展示もその学術交流の賜物で意義深いものと結んでいたのが
印象に残っている。

同時に見た「軍艦島写真展」はいずれ改めて。

6月9日(水)のつぶやき・シチリアのお菓子

2010-06-10 01:19:15 | 美味いただく
23:49 from モバツイッター
青山のシチリア料理店、トラットリア・ドンチッチョにて。デザートはカンノーリ(日本でいう瓦煎餅にリコッタチーズを詰めたお菓子)とセミフレッド(アイスクリームにヘーゼルナッツとアーモンドを砕いて、キャラメルソースで固めたもの)。美味~。

http://f.hatena.ne.jp/twitter3/20100609234933
by quu75 on Twitter