ええと、なんだっけ。何を言おうとしたんだ。そう・・・
こないだカブトムシ氏と某温泉に行ったときだ。
温泉は良かった。最高だった。強酸性硫黄泉、濃い。温泉までは良かったんだ。
ところが帰りの峠で濃い霧が出て、視界がほんの少ししかない。酷いときは、4mを切っただろうか。
きついカーブが連続する山道で、手前しか見れない。僕らは完全にノックアウトされたんだ。頭痛が酷いし、はっきり言って吐く寸前だ。
霧が晴れ、レストランにあかりが付いたホテルが目に入った。
「寄るしかないだろ?」
「そうすね」
すぐさま駐車場に車を差し込み、ホテルに入った。
「見ろ、カブトムシだ」
ホテルの入り口には2段に積み重ねられた虫かごが7つほどあり、中に昆虫のカブトムシが居た。
午後8時半を回った頃だ。
ホテルはやや薄暗いが、疲れない程度の照明だった。薪ストーブが赤く灯をともしている。
フロントの前の水槽には巨大なイソギンチャクとカクレクマノミ。あれだ。ファインディング・ニモだ。
その右にはオニグモが入った虫かごがあり、さらに右にはカエルが入った虫かご。
オニグモは死んでいる。
カエルのエサだろうか。
不釣り合いに若い学生の女子が5人ほど卓球の台を囲んで楽しんでいる。
ジュースを買って、酔いが落ち着くまでベンチに腰を下ろす。
先ほどの切羽詰まった状態からでは、なんだかあまり現実感がない。
時期は晩秋だったが、酔い覚ましということで夜風に当たった。
雨が降ってきた。霧が晴れたころは天の川が見えていたのに。
おっちゃんがニモの水槽に繋がった電源を抜き差しし、
「だめだな」
とぼやいた。
カブトムシ氏はカブトムシの虫かごをじっと見ている。
一呼吸付けた僕らは差し込んだ車を切り返し、帰路に戻った。
車内でカブトムシ氏が呟く。
「カブトムシ、全部死んでましたよ」
こないだカブトムシ氏と某温泉に行ったときだ。
温泉は良かった。最高だった。強酸性硫黄泉、濃い。温泉までは良かったんだ。
ところが帰りの峠で濃い霧が出て、視界がほんの少ししかない。酷いときは、4mを切っただろうか。
きついカーブが連続する山道で、手前しか見れない。僕らは完全にノックアウトされたんだ。頭痛が酷いし、はっきり言って吐く寸前だ。
霧が晴れ、レストランにあかりが付いたホテルが目に入った。
「寄るしかないだろ?」
「そうすね」
すぐさま駐車場に車を差し込み、ホテルに入った。
「見ろ、カブトムシだ」
ホテルの入り口には2段に積み重ねられた虫かごが7つほどあり、中に昆虫のカブトムシが居た。
午後8時半を回った頃だ。
ホテルはやや薄暗いが、疲れない程度の照明だった。薪ストーブが赤く灯をともしている。
フロントの前の水槽には巨大なイソギンチャクとカクレクマノミ。あれだ。ファインディング・ニモだ。
その右にはオニグモが入った虫かごがあり、さらに右にはカエルが入った虫かご。
オニグモは死んでいる。
カエルのエサだろうか。
不釣り合いに若い学生の女子が5人ほど卓球の台を囲んで楽しんでいる。
ジュースを買って、酔いが落ち着くまでベンチに腰を下ろす。
先ほどの切羽詰まった状態からでは、なんだかあまり現実感がない。
時期は晩秋だったが、酔い覚ましということで夜風に当たった。
雨が降ってきた。霧が晴れたころは天の川が見えていたのに。
おっちゃんがニモの水槽に繋がった電源を抜き差しし、
「だめだな」
とぼやいた。
カブトムシ氏はカブトムシの虫かごをじっと見ている。
一呼吸付けた僕らは差し込んだ車を切り返し、帰路に戻った。
車内でカブトムシ氏が呟く。
「カブトムシ、全部死んでましたよ」