<画家とモデル>
「衣装これなんかどうを?」
「リハ撮りしてみようか」
「うん」
「もうちょっと、こっちによって…」
「この辺?」
「写実主義のフェルメールっぽいね」
「フェルメール?」
「ボナールは本質的にはアンティームな作家なのさ。写実主義とは異なる印象派のボナールは室内の明るく静かな雰囲気のすわる女」
「すわる女?わたし立ってるけど…」
「ああ、作品のことさ、すわる女っていう」
「で?」
「そこでの光の親密さでは、17世紀オランダのフェルメール以来のものなんだって」
「へえー」
「フェルメールの光は一見、現実の光のようであるけど、実はまったく別のものであったように、ボナールの明るさも、普通考えられるような光によるものでもなく、印象派の外光でもないんだってさ」
「写実的印象派ってこと?」
「さぁね、フェルメール以来のことってあるけど、アンティームは親密派っていう意味でもあるんだってさ」
「すわってみる?」
「う、うん」
「こんな感じ?」
「ちょっとカメリハしてみる」
「そもそも、すわる女ってどんな絵なの?」
「ちょっと待って…」
「帽子かぶってるじゃん。帽子も用意しないと」
「リハだから。ただ、ボナールが描いてる姿を撮りたいんだよねー」
「メール来てたっけかな。ちょっとまって」
「妹から返信があった。コロモちゃんから、こっちのアカウント付きメールが送られてきたんだって」
「だれから?」
「あの哲学者さん。コロモちゃんにコンタクトしようとしたみたいで」
「あははは、どこまでも追っかけるんだね」
「わたしたちも知らない人じゃないから、まずは、テストで撮ってもらいましょうか」
「そうだね、ボクらも稽古しないといけないし」
「浴衣に着てくるわ」
「その間に連絡入れてチャットしてみるよ」
「やあー」
「わこつです」
「見えてますか?横からしか見えてないんだけど」
「こちらからは大丈夫です。キーボードが邪魔でカメラが前に置けなくて…」
「ボクらのカメラの位置はどう?」
「ふたりとも映ってます」
「描いてるシーンを撮ってくれます?」
「はい」
「ガンガン指図しちゃってくださいね」
「はい」
「じゃ、用意スタートみたいなこと、言ってください」
「はい」
「ようい、スタッ!」
「カットッ!」
≪マティス・画家とモデル≫
「おつかれさま。ご飯にしましょ」
「稽古しつつ、衣装も揃えつつだね」
「知識も入れつつだし、カメラワークも大変だろうな…」
「ツイッターでなにかある?」
夏休み特別企画として、過去のライブ映像からファンの皆様が選んだ人気曲をまとめたYouTube番組“HIKARU UTADA Live TOP FAN PICKS”の公開が決定!
— 宇多田ヒカルSTAFF (@hikki_staff) August 24, 2020
8/31(月)21時よりYouTubeプレミア公開!https://t.co/wPDzJboagX#宇多田ヒカル #TOPFANPICKS kb pic.twitter.com/pkELtmSeaE
「8月31日、21時からYouTubeプレミアム公開というのがあるよ。のんびりとみようか」
『リモート・ボナール』風景