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ニートクリスマス番外編<ワンダーブギ>

2018-04-08 20:46:04 | ニートクリスマス後編

前回
④ニートクリスマス番外編 日曜日はストレンジャー



 オンラインゲームをやっていると、そこには様々人達と遭遇する。

「あれ、なんか動きとまったね」

「宅配でも来たのかなー」

「ごめんなさい」
「今、幼稚園から電話があって、子供が熱あるみたいで」

「それは大変ですね」

「学校から迎えに来てくださいって言われました」

「それは行ったほうがいいですよ」

「ごめんなさい、せっかくパーティー組んだのに」

「だいじょぶです」「だいじょぶです」

「ごめんなさい。おちます」

「おつかれさまでした」「おつかれさまでした」

・・・・

「今の人、男性だと思ったら、女性だったのね」

「めっちゃ強面な方だったけど、幼稚園で子供が熱だしたって!」



「あ、電話だ」

「了解」「了解です」

「あの、今日休みだと思ってたら」
「パートの日で」

「え?」「?」

「会社から電話きちゃって」

「こっちはだじょうぶだよ」「だいじょうぶです」

「今日パート休みだと勘違いしてて」

「よくあること」「あるある」

「今からパート行きます」

「おつかれさまでした」「おつかれさまでした」



時には彼氏の愚痴を聞かされたり

「彼氏が富山の人でさー」

「へー」

「富山めんどいだよねー」

「富山の方じゃないんですか?」

「うん」
「すぐイライラしてさー」
「知らないうちにチップ入れられたんだよね頭に」

「!」「頭にチップ入れるような彼氏と付き合ってるんですか?」

「うん」

「頭にチップ入れるのは問題だと思うよ」

「今度また富山に来いって言ってるんだよねー」

「富山に行かないほうがいいですよ」

・・・・

「あの方大丈夫かな」

「富山より病院に行ったほうがいいかも」

オンラインでは様々な人と遭遇し、繋がっていた。
 
石野真子 ワンダーブギ

ワンダー・ブギ
クリエーター情報なし
Victor




 俺がオンラインゲームに夢中になっていた頃、カノが現れ、カノにお灸をすえられた。



「めっちゃ熱いんですけど」

「まーだ」

「熱いです」

「お灸だもの」



「熱いからな、知らないぞ!」

「どうぞ」

「火が付いた」
「熱いだろ?」

「すぐには熱くない」

・・・・

「腰痛はどの辺りだ?」

「あーいい、痛いから触らないで」

「はい」
(腰痛云々言ってたじゃ、ないか)



「煙が出ないタイプの方がよかったかな?」

「換気扇つけてるから、煙でてもいいけど」



「煙の出ないタイプのほうがいいよね」

「なんで?」

「寒い」



「帰るね」

「ああ、ほら、車の鍵」

「ありがと」
「おやすみ」

「おやすみ」

 カノは俺の前ではヘラヘラと喋らない。
(以前は調子よく喋っていたのになぜだ・・・)
カノが帰ったあと、少し不安になった。



不安を忘れさせてくれたのがオンラインゲームだった。

「今夜はここを攻略しようか」

「はい」



「ここの道具?」

「そうそう」

「了解です」



「ここにラインを引く」

「はい」

「そしてロープで縛る」

「なんで?」

!!

「冗談」

「ほい」



 彼女は「嫌い」という言葉を使わなかった。俺は先輩風をふかせ、常に上から目線の言葉を発し、時々頭ごなしでチャットを打つと

「その言い方嫌だな」

と、言葉を返し、俺を正気にさせた。



「嫌い」の一言で終わってしまいそうな態度も、彼女は「嫌い」という急所は打たなかった。そして俺は彼女に魅かれていったのだ。

<ニートクリスマス番外編>
続く

次回
⑥ニートクリスマス番外編 恋のハッピーデート

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