KAWAGANI DQX 紙芝居magNET【TOP】

旧える天まるのブログ
株式会社スクウェア・エニックスを代表とする共同著作者が権利を所有する画像を利用しております。

タイムマシンラジオ

2017-10-10 05:24:24 | 雑記の宿


カラコロン~

(バーのママ)
「いらっしゃい」
「お好きな席にどうぞ~」

(バーのママ)
「珍しくあんたが居る時に客が来たわ」

(先客)
「客が入ったんで、俺はこれでっと」

(バーのママ)
「ちょっと、もう少しお客が入るまで居ておくれよー」
「今夜は、あんたとそこのお客さんで閉店じゃ、寂しすぎるじゃない」

(バーのママ)
「お客さん見ない顔だね、どちらからいらしたの?」

(過去から来た男)
「過去から」

(バーのママ)
「加古川 加古川ってどこだっけ?」

(過去から来た男)
「36年前からここに」

(バーのママ)
「あははは、わたしも過去からここにやって来て今50歳」
「そこのお客も40数年前の過去からやって来たのよ」

(先客)
「みんな過去からやってきたんだよ あははは」

(過去から来た男)
「36年前は14歳だった。深夜放送のタイマーを2020年にしたら、そこに移動してしまって」
「そこから3年戻して、今ここにいるんです」

(バーのママ)
「えっと、お客さん見たところ50の顔してるよね」

(過去から来た男)
「2020年に移動したら老けてしまって」

(先客)
「そりゃー36年以上もしたら老けるよ、そこのママも50の顔でしょ?若く見ても40代、40も50も変わらねーけどよ」

(バーのママ)
「お客さん、なにか大変なことでもあった?」

(過去から来た男)
「ラジオの深夜放送を聴くために、タイマー付きラジオを作ったんです」
「僕、部活やってるから朝練とかあって、ラジオの深夜放送とか聴けなくて」
「それでラジオにタイマーを付けたんです」
「鶴光のオールナイトニッポン」 
「土曜深夜 1時」
「水曜日に、土曜深夜1時にタイマーを設定すると、水曜から土曜の深夜に移動してしまうんです」
「僕の作ったタイマー付きラジオは、イヤホンを付けてタイマーを設定すると身体ごと土曜深夜1時に移動しちゃうんです」

(バーのママ)
「月曜日の星野源が火曜日に移動したみたいに?」

(先客)
「おいおいどういうことだよ?ラジオでタイムマシン作ったのか?」

(過去から来た男)
「それで2020年にタイマーを設定したら、2020年に移動してしまって」
「移動したら老けちゃって、そこから3年戻して今ここにいるんです」

(バーのママ)
「えっと 2020年の未来に行って、3年戻って今2017年のここにいるんだ」

(先客)
「14歳から39年移動して53歳、そこから3年戻ってきて、53も50も老け顔はかわんねーな」

(過去から来た男)
「変わらなそうなので3年戻してきました」

(バーのママ)
「なんで3年戻ってきたの?2020年に何かあったの?」

(過去から来た男)
「2020年に僕の作ったタイマー付きラジオを改良したんです」

(先客)
「タイムマシンラジオをか?」

(バーのママ)
「タイムマシン作るだけでも凄いよ どうやって作ったの?」

(過去から来た男)
「どうしても 深夜放送が聴きたくて でも深夜だから聴くのが難しくて」
「タイマーを付ければ、その時間になったら聴き逃すことなく聴けると思って」
「タイマーを設定してれば、早い時間に寝てても起きて聴くことが出来ると思って」

(バーのママ)
「それでラジオにタイマーを付けたんだ」

(先客)
「そういえば 昔はラジオにタイマーとか付いてなかったな」
「タイマーはあったとしても ラジオに時計すらなかったなー」

(過去から来た男)
「自作でラジオにタイマーを付けたら、タイムマシンになってしまって」
「そして2020年に移動したときに、ラジオタイマーで、過去をやり直せるように改良したのです」

(バーのママ)
「過去をやり直せるって、どういうこと?過去をやり直せるの?」

(過去から来た男)
「自分の過去は、自分ではやり直せません」
「しかし自分の過去は、他人によってやり直せることを発見したのです」

(バーのママ)
「え、なになにどういうこと?」
「自分の過去は、自分ではやり直せないけど、自分の過去は他人でやり直せるってこと?」

(過去から来た男)
「他人の働きによって、自分の過去をやり直せるのです」

(バーのママ)
「さっぱりわかんないだけど」

(過去から来た男)
「実は、この身体はそちらにいる方の身体なのです」
「2020年にいる、そちらの方の身体なのです」
「僕は2020年そちら方の身体に憑依して、2017年に戻ってきたのです」

(先客)
「え!これって俺の身体? 顔とか違うじゃん」

(過去から来た男)
「顔は、今ここに存在してるので、僕の顔が2020年からやってきてますが」
「服は、あなたの着ている服です」

(先客)
「え、2020年に俺が着てる服、なんか今より年寄り臭いの着てるなー」

(バーのママ)
「あなたも2020年には50代だから、50代の服装してるんでしょ」

(先客)
「つまり、俺がお前になって2020年からやってきたってことか?」
「でもなんで、そんなことができたんだ?」

(過去から来た男)
「2020年には、ラジコプレミアムというものがありまして」
「ラジコプレミアムには、あなた様の情報が会員登録されてまして」
「ラジコに僕が持って来たラジオタイマーを取り付けまして」
「タイムフリーで移動できたのです」
「ただし、ラジコは2020年からだと過去3年までしかなく、とくにタイムフリー機能は2017年から」
「あなた様のラジコプレミアム会員も2017年からでしたので」
「3年ほど、戻ることができました」

(バーのママ)
「ということは、あなたは過去から39年移動しちゃって、戻ってやり直せるのは3年ってこと?」

(過去から来た男)
「僕が見つけた限りでは、ラジコプレミアムが誕生した範囲だけです」
「鶴光のオールナイトニッポンの周波数が絶対確率で一致しているのはラジコしかないでしょう」
「僕が39年移動したあと、すぐにラジオタイマーを巻き戻しても戻りませんでした」
「しかし、ラジコに取り付けたら、1時間、1日でも、過去に戻ることができたのです」
「でも、僕の情報はラジコプレミアムに登録した2020年だけしかありません」
「そこで、2017年からラジコプレミアムに登録している」
「こちらのお客様の身体をお借りしたのです」
「そして、3年ほど戻ることができました」

(先客)
「2020年の俺の身体はここにあるってことは」
「俺は2020年はどうなるんだ?」

(過去から来た男)
「このままだと、僕は2020年までこの身体で過ごすことになります」
「そして、あなたと2020年に、ここのバーで出会います」
「僕は、あなたにしつこくラジオタイマーを聴いてくれることをお願いします」
「バーのママからも、変な客だと思われ追い出されそうにもなりました」
「しかし、揉みくちゃになりながらも、あなたの耳にイヤホンを差し込み」
「僕は2017年に移動しました」
「3年後の未来は変わっているでしょう」
「今日から僕の人生は、やり直せるのですから」

(バーのママ)
「お客さん 50代の老け顔だけど、これから先はやり直せるんだね」
「ということは、わたしもやり直せるってこと?」

(過去から来た男)
「これから先は やり直せます」
「ラジコプレミアムがある範囲なら」


タイムマシンラジオ




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブログトップ

える天まるのブログ