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バースデイ・ストーリーズ 村上春樹 編訳 中央公論新社

2005年02月24日 | ’05年読書日記
誕生日をモチーフにした欧米の短編小説のオムニバスです。

この中にわたしのお気に入りのイーサン・ケイニンの短編が入っているので、図書館で予約して、やっと借りることが出来ました。


さてさて、そのイーサンの小説ですが、タイトルが「慈悲の天使、怒りの天使」といいまして。

あらすじ…71歳の誕生日を迎えた朝、その老女の部屋に大群の鳥が飛び込んで来ます。困った老女は、医者をしている息子に電話をするのですが…。


この老女は、痴呆なのかな?それともただのひねくれもの?

息子が「警察に電話しちゃ駄目だよ、動物保護局に電話するんだ」と言えば、警察に電話するし、その後電話して現れた動物保護局の女性には本当は71歳なのに「今日は81歳の誕生日なの」なんて言いますし。

鳥に向かって「うちの夫はフランクリン・ルーズベルトのお友達だったんだよ」なんて言ったところで一体、何をしたかったのですか???^^;

わたくし、イーサン・ケイニン大好きなんですけれど、この短編では何を言いたかったのかよく分かりませんでした。

あっ、それとも、読者を混乱させるのが狙いだったのかしら?(そんなバカな)


この、「慈悲の天使、怒りの天使」以外にも、沢山の、誕生日関連の小説が載っておりますが、「誕生日」と言う言葉から連想される、おめでたい、楽しい,或いは家族(もしくは恋人?)とともに過ごす幸せな雰囲気とは程遠い、どろどろした感じのお話が多かったです。

最後に、村上春樹さんの書いた、短編が載っていますが、(これも誕生日モチーフです)なんだかおしゃれなイタリアンレストランにも、週2回(3回だったかしら)のテニスにも縁遠いわたくしには、、、、な、何と言うんでしょう。。。あまりピンと来ない小説でした。

ハイソな人向け小説なんでしょうか。
残念ながらわたくしは堂々たる庶民なんですよ、村上さん。





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ある女  アニー・エルノー  堀 茂樹訳  早川書房

2005年02月22日 | ’05年読書日記
前に書きました、「場所」は、作者の父親を語ったものですが、こちらは母親についての本です。

このおかあさん、最後には老人性痴呆症になってしまい、養老院のようなところで余生を送る事になってしまいます。
若い時は、商店の女あるじとしてきびきびと働き、一人娘を立派な学校へと送り、お客さんたちの信頼を得、いろんなこと(自分の階級以外の、つまりはブルジョワの暮らしについても)を必要に応じて柔軟に学んで行った、気性の激しい、賢い女性。

そんな彼女が、自分の持ち物について、自分の仕舞ったものの場所について忘れ、孫の顔すらも忘れ、ついには何もかもを思い出せなくなります。

人間って、何なんだろう…なんて思いました。
私は自分の父親の死を、体験していますが、こんなに、本人も回りも辛い思いをして人生を閉じていくのって、あまりにもむごすぎるんじゃなかろうか。

そんなことを思いました。

「ある女」も、「場所」と同じく堀 茂樹さんの訳なのですが、とても読みやすいですよ。
あとがきももちろん読みましたが、アニー・エルノーのほかの作品「シンプルな情熱」について、ある日本の女性作家が、ぼろくそにけなしているのに対して、上品に、静かに、しかしはっきりと反論していらっしゃいます。
堀さんの、アニー・エルノー作品に対する愛情を感じます。
とても読み応えのあるあとがきです。



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フランス  もうひとつのパリを愉しむ  トラベルジャーナル

2005年02月21日 | ’05年読書日記
パリの、旅行本です。

前に書きました、「フランスのエスプリと、イギリスのユーモアの違い」。…が気になったので、また借りてきました。
(前に間違えて、イギリスのアイロニーと書きましたが、ユーモアの間違いでした、すみません)

…ユーモアの本質は、人間の馬鹿さ加減を、自分自身を材料にして笑い飛ばす事。
  (自分を客観視する余裕が必要だそうな)

 例:「高貴なるイギリス人諸君、あなた方は私がフランス人だということで縛り首にしようとなさる。イギリス人に生まれなかったと言う事で私はもう十分に罰を受けているのだと思いませんか」

    (哲学者のヴォルテールがロンドン滞在中に彼を襲撃したイギリス人対して言った言葉)


…エスプリは、相手の武器を逆手にとって、相手をギャフンといわせる機知のことだ。
  (頭の鋭さが必要だそうな)

 例:「金曜日に結婚すると、不幸になると言うのは本当でしょうか?」
   「もちろんですとも。どうして金曜日だけが例外と言う事があるでしょうか」


引き合いに出された例が、難しいですね。

ん~~~~~~。

自分で、ユーモアとエスプリの「使用例」なるものを考えようといたしましたが…

う~~~ン。残念ながら浮かんできませんでした




今日はきのうと違って、なかなか冷え込んでおります。
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「場所」 アニー・エルノー  堀 茂樹訳  早川書房

2005年02月18日 | ’05年読書日記
これは、フランスの労働者階級の家に生まれた筆者が、その父親の生と死を、淡々とした文章で語った本です。

筆者は、学校で優秀な成績を収める事によって父親の階層から脱出し、物質的にも文化的にも優位な階級の仲間入りをします。

本書の翻訳者、堀茂樹さんのあとがきが素晴らしく分かりやすいです。
なぜ、彼女がこの本(父親の思い出、と言うよりは記録、と言った方がいいほど淡々としている文章です)を書いておこうと思ったのか、堀さんなりのお考えを示しておられ、それに納得できる部分が数多くありました。


私が驚いたのは、あとがきにありました、次の文章です。

『JPサルトルの(文学とは何か)、の中に、
「われわれ(フランスの作家)は世界の中でも最もブルジョワ的な作家なのである」
と言う有名な言葉がある。
ルイ=フェルディナン・セリーヌや、J・ジュネのような巨大な例外の存在にもかかわらず、フランス文学は知的に洗練された都会の裕福な階層による、その階級のための、その階級の文学と言う色彩が伝統的に際立っている。』

フランスは、英国よりははるかに平等社会に近いのだそうです。
にもかかわらず、文学の類は、金持ちにしか関係ないってのはちょっと…。
いかがなものかと思います。
だってそういうものなんだと言われてしまえばそれまでですけれど、
労働者階級の人が楽しめる文学があってもいいんでないの??
本を好きになる、ならないに階級なんて関係あるんでしょうか??

「読書は金持ちのインテリのもの」だなんて考え(或いは事実)、
わたしは嫌いです。



この、「場所」ですが、文章が余りに簡潔で感情をはさまない為、(散文的って言うそうですね、こういうの)
作者が父親を愛していたのか、憎んでいたのか、軽蔑していたのか、或いは尊敬していたのか、文章をさらりと読んだだけでは伝わってきません。
しかし、そういう文章で書いたからこそ、事実だけが(作者の感情、想いとは関係なく)しっかりと伝わってきます。

アニー・エルノーの小説を、他にも2、3読んでみたいと思いました。







や、やったー…。
久しぶりに感想が書けたぁ~~~~。

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いいわけ劇場  群ようこ

2005年02月04日 | ’05年読書日記
短編集です。
120分かけて化粧する45歳のOLのお話しとか、同級生をストーキングする48歳の妻子と別居中の男性とかが出てきます。

中には「別にいいんじゃないの?このくらいやっても」(化粧の話しとか、ラーメン屋で働くシングルマザーとか)って言う人も出てきます。


何か気分が下降気味で、体もあまりテキパキ動きません。
風邪かな…。寒気がして、何だか知らないけど、落ち込んでます。
皆さんもお気をつけくださいね。
それでは…。


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自分の夢を叶えるセルフ・ノートのつくり方  伊藤順康

2005年02月01日 | ’05年読書日記
16,7歳の頃からなぜか心理関係の本が好きでよく読みます。
…今まで読んできた本の中に、ああ、こういうこと書いてあったな、これはあの本ではこういう風に書いてあったな、と言う箇所が沢山あり、特に目新しい感じはしませんでした。
大学の先生をしていらっしゃる方のようなので、学生さんが進路に迷ったりしている事例を出されたりしていますので、若い大学生さん向けかなと…思います。


でも読みやすいように細かく章に分かれていますし、夜寝る前にちょっとだけ読みたい…という時にはいいんではないでしょうか。




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悪魔が来たりて笛を吹く  横溝正史

2005年02月01日 | ’05年読書日記
昨日の夜、読み終わりました。
読み終わって、最後の最後にやっと犯人が分かった・・・ふぅ~ん…なるほどねぇ…。
…ですが!
登場人物多い、時代も行ったり来たり、犯罪のトリックも複雑で…と来ると、私の頭ではなかなか正確には把握できない箇所があっちにもこっちにも…。
(金田一耕助が事情を聞いた船頭さんにも名前があって、容姿に関する記述まであり、それを読んでいるうちに、重要人物同士の関係が頭から抜けていき…あ、あれ。おこま(←すごく重要な人です、ほとんど出てこないけど)って誰だっけ??と、頭の中がぐちゃぐちゃになる始末)

こういう話を考える横溝さんって、私とは比べ物にならないほど頭の構造が細かいのねぇ~…と、変な感心の仕方をしてしまいました。

でも、出てくる人がなかなかの魅力を持っている人ばかりで。
すばらしかったです。

昔の、横溝正史さん原作の映画も、まとめて見てみたいのですが、見終わった後、風呂に入れなくなりそうなので、(物音がしたら、びくっとしたりして)ん~~。どうしようかしら??


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とけい

ぽいんとぼきん