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「明日はきっとうまくいく」 ファイーザ・ゲンヌ

2007年07月30日 | 読書記録

「Kiffe Kiffe demain」 Faiza Guene 早川書房


主人公はモロッコ移住(2世)のフランス人の15歳の少女です。

父親は、男の子を生まない母親に見切りをつけ、モロッコに一人帰国し、別の女性と結婚してしまいます。

フランス語があまりうまくなく、職場の上司にいじめられ、泣いて帰ってくる母親。
そんな母親や、家に訪ねてくるソーシャルワーカーの女性、セラピーを受ける必要がある、と学校から言われ、半分いやいや通っているおばあさん心理士、あからさまに差別する学校の先生、同じパラダイス団地(低賃金住宅で、住んでいるのはほとんど北アフリカから移住してきた人たち)に住む人たちと交流し、いろいろなことを経験して成長していく主人公。

主人公の境遇は決して明るくはないが、時には怒りながら、時には考え込みながらも前向きに進む彼女に好感を覚えました。

著者はアルジェリア移民のフランス人、セーヌ=サン=ドニ県の低賃金住宅に住んでいる…と著者紹介にありますから、この本の内容も、まったくのフィクションという訳ではないのでしょう。

この書を書いた当時19歳(2004年)だったそうで、感情をあらわにした文章が幼さを感じさせますが、自分を冷静に見つめる目も持ち合わせていて、ただただフランス憎し、自分たちを捨てた父親憎し、と単純に思っているわけではない。
思慮深い著者の一面を感じさせてくれる本でした。

また、フランスに住む移民たちのことにも触れている後書きも良かったです。



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アンデルセン クラシック  9つの物語

2007年07月21日 | 読書記録
第一話 裸の王様

第二話 親指姫

第三話 ナイチンゲール

第四話 お姫様とエンドウ豆

第五話 いちずな錫の兵隊

第六話 人魚姫

第七話 火口箱

第八話 マッチ売りの少女

第9話 みにくいアヒルの子


誰もが知ってるアンデルセン童話。
…といっても私は、幼い頃読んだ覚えがありません。



この本では複数の画家が挿絵を描いていて、その挿絵がいろんなページに散りばめられています。
可愛らしいものあり、デフォルメされたものあり、色の無いもの(白黒の絵)ありでその画家独特の個性が見られ、見比べることも出来、本の内容とともに挿絵の世界をも楽しめました。

やはり「人魚姫」が感動的でした。

しかし、このアンデルセン童話。
「優しい母親」とか「賢い母親」とかが出てこない。

人間界に行ってしまった人魚姫を「白髪がすべて抜け落ちるほど心配」したのは、彼女の母親ではなくおばあさん。
海の泡になる前に、人魚姫を助ける方法を魔女に聞きに行き、自分たちの髪の毛すべてを魔女に差し出したのは彼女のきょうだいであるお姉さんたち。

「マッチ売りの少女」でさえ、「少女に唯一優しくしてくれた」のは、やっぱり母親じゃなくておばあさん。

アンデルセン。
何か母親コンプレックスでもお持ちですか?

・・・と、ちょっと疑問に思いました。
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失踪 ティム・クラベ

2007年07月09日 | 読書記録











恋人と二人でバカンスに向かう途中立ち寄ったガソリンスタンド(兼コンビニみたいな店)で、突然、跡形も無く消えてしまった彼女。

数年後、他の女性と付き合いつつも、彼女のことを忘れられず…。

後書きにありましたが、これはサイコ・スリラーのジャンルになるのだそうです。
スリラー…サスペンスなどはあまり読まないのですが、、、嫌いなわけではなくなんとなく読まなかっただけ、、、この本は文章が淡々としていて分かりやすく、犯人の異常な心理状態もさらっと当たり前のように書いてあり、読んでいて気持ちの悪くなるようなグロい表現も無かったし…

…でもラストは、そ、そんなぁ…。
それじゃ主人公がかわいそうだよ…と思いました。


後書きを読んで知ったことですが、この本、まずはオランダで映画化され、それがアメリカのプロデューサーの目に止まり、アメリカでも映画化されているんだそうです。
・・・が、私はこの映画、見ていません。
キーファーサザーランドは嫌いじゃないですが。。。



失踪 妄想は究極の凶器(1993) - goo 映画

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「口ひげを剃る男」  エマニュエル・カレール 

2007年07月04日 | 読書記録
一人の男が口ひげを剃ったことから始まる、奇妙な物語。

周りの人の感覚と、自分の記憶との違い。
はじめはみんなして自分をからかっているんだろうと思う男。

しかし、次第にからかいどころではない、と感じはじめ・・・。



そこまでしなくても…と思った。
(地球の反対側まで逃げるあたり)


最後のシーンは非常にグロテスクです。
思わず「うぇ・・・」と声に出したくなるほど。

でも、この小説の持つ全体の雰囲気から、このくらいインパクトのあるラストのほうが、良いのかな。



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とけい

ぽいんとぼきん