nursling,

読書 音楽 映画について

Ryu's倶楽部  村上 龍対談集  毎日新聞社

2005年04月29日 | ’05年読書日記
作家の、村上龍さんの対談集です。

対談のお相手は、山田詠美、坂本龍一、戸田奈津子、…淀川長治、蜷川幸雄、石原慎太郎…などジャンルに関係ないいろんな方々です。

私は、宮本輝(作家)、淀川長治(映画評論家)、泉谷しげる(歌手)、荒木経惟(写真家)…との話が、特に面白いな、と思いました。

以下は、抜粋です。


****************************************

淀川…青年の作家だと思ったら、谷崎(潤一郎)が好きだというでしょう。面白いな。谷崎さんの作品を、絶対、映画にしてもらいたい。谷崎さんの全部見たけど、どれも気に入らなくて。…

村上…そうですね。ただ、今の映画人は貧乏ですからね。…貧乏くさい感性じゃ、、谷崎さんの作品は絶対分からないですね。

淀川…そう。気持ちが貧乏だから「細雪」でもヘンなのよ。…

村上…着飾った四姉妹を並べて撮ったりしていますね。

淀川…あんなバカな事をしてもらったら困る。「細雪」というのは、娘さんが玄関で、風呂上りの指先でウサギの耳を触る。あれが「細雪」なのよ。あんな着物着て、桜の下に並んだりしないよ。そういうところが、いやらしいの。

************************************

私は、谷崎潤一郎、という作家を知らなかったのですが、この対談を読んでいて、読んでみようかな?という気がしてきました。
…そしたら、最近なんとはなしに買った「小説現代」という雑誌に、「細雪」に関する詳しい解説が…!!(少々おふざけ気味の解説でしたが、なかなか面白かった)

おぉ、これは私に「読め!」…という事ですか?!
何時になるか分かりませんが、読んでみたいと思っています。

ちなみに、「現代小説」のような、分厚い文芸雑誌は普段はほとんど手に取らない私です。
ホントは「クロスビート」(音楽雑誌)を買いに行ったのですが、お目当ての”R.E.M.日本公演の記事がたったの二分の一ページしかなく、心底がっかりし(もうちょっと載せてくれてもいいのに…)、買わずに立ち読みしてしまいました。
クロスビートの代わりに買ったのが「小説現代」です。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「カラダにいい」習慣でココロもすっきり!  海原純子  青春出版社

2005年04月21日 | ’05年読書日記
テレビでよく、コメンテーターなどしていらっしゃる、海原純子さんの書いた実用書です。

なんとなくアブナい雰囲気が漂う表紙ではありますが、”気持ちいい毎日を作る1日5分の魔法”…という副題につられて買いました。

著者は、女性のための心療内科”海原メンタルクリニック”の所長さんをされているそうです。
(何で女性オンリーなのか少し疑問に感じますが)

そのためか、内容的にはどちらかというと「独身の女性向き」?のような気がします。
それでも、中には私のような子持ちの主婦にも、男性にも向いているような事柄が沢山載っていましたので、私が特に興味を持ったものを少しご紹介…。


ハーブセラピー
ハーブ…ミント→消化機能の調整作用があるので、食べすぎにも効果的。鉢植えで育ててハーブティーにするとよいでしょう(ほお)
       バジル→疲れて精神的にめげている人、不眠改善などに用いられる。(よくスパゲッティにのせるやつですよね、バジルって)
        
深呼吸でいやな気分を吐き出そう
体が緊張している人は、呼吸が浅く、呼吸数も多い。「深く呼吸すると、緊張はほぐれる」のだそうです。

心地よい睡眠を呼ぶヒント
寝る前のアルコールはNG→深い眠りをカットして浅い眠りになってしまう。なのでカモミールティーやホットミルクがよい。ホットミルクは脳内ホルモンのセロトニンの分泌を促しリラックスさせてくれるといわれている。
(昨日さっそく飲んで寝ました。あったかい飲み物を手に持っているだけでなんとなく安心する私は暗示にかかりやすい性質なのか)

目をいたわって、肩こりよさようなら
目の疲労をためると、肩こり、頭痛、眼瞼けいれんのもと。
眼を暖める→ぬらした小さいタオルをレンジに2分ほど入れて蒸しタオルを作る。
やけどに注意しながらまぶたにのせて8分ほど暖めます。
タオルがぬるくなったら暖めなおしてまたのせる。
ブルーベリーを食べる→ヨーグルトなどに入れて。(私はあの味が苦手なのでやりたくても出来ません)
眼周囲筋のストレッチをする→眼を閉じて両方の眼球を円を描くように回す。


その他、足浴の方法ですとか、「顔色のよくなる簡単レシピ」とか、健康の為に、割合と誰でも簡単に出来るような方法が沢山載っていて、なかなかいい本ですねぇ、と思いました。

買った直後は、「1冊の本に1200円も使っちゃったよ」と、ちょっとだけ後悔してしまいましたが、(いつも図書館から借りてただで読んでいるから)ちょっと疲れたなー…と思ったときにパッと開いてみて、書いてあることをやってみるとわりあいいいかも…。
手元においておきたい本だな、と思いました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この人ゴミを押しわけて、はやく来やがれ、王子さま。  イチハラヒロコ  アリアドネ企画

2005年04月18日 | ’05年読書日記
この、なんともいえないタイトルに惹かれて借りてきました。
 


********************************
  江戸時代から好きでした。
  
  
  いつ
  選ばれてもいいように。
  いつ
  捨てられてもいいように。


  きみは
  しつこ
  かった。


************************************

…と、このように、おもに恋愛〈失恋?〉の中で自分や相手がつぶやいた言葉、或いはこの作者が胸の中にふと沸いたであろう言葉の数々が、1ページにひとつかふたつ、綴ってあります。

読む文字の量としてはホントに少しなので、5分以内で全部読めちゃうかと思います。

この、イチハラヒロコさんと言う方は、どうも詩人ではなく、「ランゲージアーチスト」(?)という職業の方なんだそうです。
もともと、こういう言葉の数々は、本ではなく、キャンバスや立方体の側面に描かれ、美術館に展示されていたもののようです。

「文字の数々を、アートとして見ろ!」…という事なんでしょうが。
私はそこまでアートな人間じゃないので、「あはは、この言葉、面白いな~」って言う感想しか、まぁ、もてませんでした。
言葉を見ると、「意味」をどうしても考えて追求してしまう私には不向き??な表現形態??かな??(そうでもないかな??面白いとは思えたんだし・・)
(??ばかりですみません)


この中で笑ってしまったのが、写真付きのあるページです。

”ノーリッジ〈イギリス〉の、あるショッピングセンターで、オーナーにだけ許可をもらって紙袋2000枚を無料で配りました。底に英訳を書いたので、持っている人には意味が分かりますが、店員さんやガードマンは何も知らないのです”〈1998〉

お写真を見ますと、紙袋にはでかでかと、


     万引き
     するで。


…と、書いてありました。
〈実際には、縦書きです〉

図書館では、”美術関係”の棚にありました。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

[車輪の下」 ヘルマン・ヘッセ  岩波文庫

2005年04月15日 | ’05年読書日記
猛勉強の末、入学した神学校で、主人公ハンスは、ひとりの友人に出会います。
彼が放校処分を受け、自分の目の前から去ってしまうと、首席候補だったハンスは、次第に学業に身が入らなくなり…。

…というのがあらすじです。

1957年頃に翻訳されたらしいのですが、そのためか、文章が少々古臭い〈ごめんなさい〉です。
言い回しが回りくどかったり、書かれてある単語から、意味を汲み取れない箇所などもありました。

(例:しばらくのあいだ、ハイルナアは,平静な、毒舌的な、優越した調子をたもっていたが、やがてついにのぼせあがって、相手の横つらをひとつなぐってしまった。…〈略〉…同室の者たちは、批評するような顔つきで観察しながら、そばにつっ立ったまま、もつれ合っている二人をよけたり、自分たちの脚や机やランプを避難させたりして、たのしい緊張のうちに、結末を待ち受けていた)

この、主人公の友人である、ハイルナアという少年の描きかたがすばらしいです。
今までに出会った事のない個性を持ったこの少年に惹かれていく主人公ハンスの心情にも、共感する事が出来ました。
その他、級友たち、或いはハンスのふるさとの住人たちの様子など、生き生きと伝わってきます。

…が!なぜか、主人公ハンスの性格が、私にはあまり魅力的には映りませんでいた。

優等生で、神学校受験の為に、楽しみ〈釣りなど〉を何もかも諦めるハンスには、合格を一緒に喜んでくれる友人がいません。
合格が決まってから、ずっと我慢していた釣りにも一人で出掛けるのですが、どうもそれも、愉しんでいる様子が伝わってきません。

最後に、ハンスが辿り着いた先は…これは、なんと言いますか、いくらなんでも救いがなさ過ぎるように思います。

最後のシーンで作者は、靴屋のフライクに、「あの連中〈学校の先生がたの事〉も、この子をこんな目に合わせるのに、手をかしたわけですよ。」…と言わせています。
これはこれで真実かもしれませんが、あまりにもむごい一言なので、驚いてしまいました。

勉強以外のことをしてこなかった〈或いはさせてもらえなかった〉ハンス。自分で自分を救い出す方法も、見つけえなかったのでしょうか。

著者のヘッセも、神学校を途中でドロップアウトしています。そのときのことをモチーフにして、この小説を書いたのでしょう。
ヘッセ自身も、このときの挫折のつらさを、この本を書いた当時〈28歳〉は、まだちゃんと昇華しきれていなかったのだろうな、などと思いました。



(4月16日追記)
ヘッセは、主人公にではなく、その友人の少年に、自分自身を投影させたのではないかな、と思いました。







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘルマン・ヘッセ

2005年04月07日 | ’05年読書日記
昨日借りてきた本

「車輪の下」  ヘルマン・ヘッセ 岩波文庫
「はだかの太陽」 アイザック・アシモフ ハヤカワ書房

…です。

「車輪の下」は、7.8年ほど前に読んで、とてもよかった記憶があります。
最初にあります、『読むものは新聞だけだったし、芸術を味わいたいきもちは、市民クラブが毎年上演するしろうと芝居を見るのと、その合間に、サーカスを見に行くのとで、十分満たされていた』…という箇所が、なぜかとても引っかかって記憶に残っていました。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビューティフル・ファミリー(man and wife) トニー・パーソンズ 河出書房新社

2005年04月07日 | ’05年読書日記
ブレンド・ファミリー(離婚した子連れの女性と結婚した時に出来る家族などをこういうようです)の苦悩、心の揺れが、丁寧に書いてあります。

前作(ビューティフル・ボーイ)では、浮気して妻に出て行かれ、最初のうちは子供の世話もしっかり出来ない、自分の事もはっきりとよく見えていない男性が主人公でしたが、色んな出来事の積み重ねでまた、自分がはっきりと見えてくる過程が書かれてあります。

最後の方、乳癌を患った主人公の母親に語らせている台詞の部分がよかったです。


ブレンド・ファミリー…身近にも沢山いますが、その成員の心中(しんちゅう)は、他人には推し量れないものですね。
童話では、「継母が、継子をいじめる」と言う単純なものですが。…ヘンゼルとグレーテル、白雪姫、あれでは、「いじめる」どころではありませんね、殺そうとしていますから!
自分の夫も、ブレンドファミリーの出身(?)なので、わたしも(間接的に?)関係者、と言う事になりますでしょうか。

わたしは、主人公の母親が「選んだ道」を、とりあえず(!)目指していこうかと思っております。

(主人公の母が選んだ道…ひとりの人と生涯添い遂げる…であります。)





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こころの傷を読み解くための800冊の本  赤木かん子  自由国民社

2005年04月07日 | ’05年読書日記
タイトルを見た時「なんのこっちゃ??」と思いましたが、とりあえず借りてきました。
(なんのこっちゃとおもいながら借りるわたしもわたしですが)

第1章 ACとは何か  ・  第2章アイデンティティー…  と、6章までありまして、それぞれのテーマに沿った内容の小説、児童書、漫画などを、短い解説付きで紹介している本です。

あとがきにありましたが、著者は、「子供の本を中心に本を紹介してご飯を食べている」方なのだそうで、さすがに、紹介されているのは児童書が多いです…が、もちろん大人向けの本も多々あります。

この方は、紹介している以上、この800冊ぜんぶを読んでいるわけで…すごいなーと思いました。(何だか小学生みたいな感想ですが…)

1章から6章までで、わたしが一番興味深かったのは、第4章の『共依存』です。

共依存…自分を必要としてくれる人を必要とする依存。(129ページより)

心理学用語のようで、家にある国語辞典には載っていませんでした。なんか、自分が当てはまるとするならばこれに近いようなそうでもないような…。

第1章 ACとは何か    紹介されている本(一部)* アダルト・チルドレン
第2章 アイデンティティー            * ポーの一族(漫画)24人のビリー・ミリガン
第3章 依存                   *アルコール依存症を知る!                    
第4章 共依存                  *春にして君を離れ
第5章 虐待                   *スタンド・バイ・ミー
第6章 癒し                   *トーマの心臓(漫画)パーカー・パインの事件簿


わたしが読みたいと思った本の一部は…

 はだかの太陽…アイザック・アシモフ
 春にして君を離れ…アガサ・クリスティー
 …そのほかです。

解説もなかなか面白く、興味を持った本が何冊もありました。

私はいつも、図書館に行って、タイトルをパパッと見て、あとがきを読んで適当に借りる本を決めたりするんですが、こういう、紹介されているのを読むのもいいかも、と思いました。

ご興味のある方は、どうぞ…。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マッカイ家のおばあちゃん  マーガレット・フォースター  筑摩書房  翻訳工房・りぶろ訳

2005年04月04日 | ’05年読書日記
後書きを入れて353ページという、私から見るととても分厚い本なので、最後までしっかり飽きずに読めるかな、と心配になりましたが、結果、とてもすらすらとしかも興味深く読めました。

テーマは…

『痴呆性老人の介護に苦闘する家族』

…です!!

とても重苦しいテーマですが、後書きにもありましたが、読み終わったあと(または読んでいる最中も)不思議に重苦しい気分にはならない本です。

お話しは、マッカイ家の次男の嫁さんジェニーと,その娘である17歳のハンナが、日記のような形で交互に綴られていきます。

長男のスチュアートは、ある事情から母親の介護から一切手を引いていて、お金も手も、口すらも出しません。
一番下の妹、ブリジットは独身の看護婦で、おばあちゃん(彼女から見たら母親)の地方が、かなりひどい状態でも、老人施設に入れずに、自分の隣のフラットで、みんなで介護したいと激しく主張します。

…こういう状況を知ると、うんざりしますよね、普通。
みんな勝手なこと言ってるな、と頭に来るところですが、著者の文章からは、登場人物の誰をも、非難したり否定するような一方的な感情の押し付けのようなものを感じません。

みんなそれぞれが、色んな事情や感情や、状況の中で一生懸命に考えたり行動している結果が、これなんだろうな、と納得できます。

訳がいいのも、この本が読みやすかった理由のひとつかもしれません。

物語の最後の、ハンナの言葉が、とても共感を呼ぶものだったのでご紹介…。

  私の時がきたら きっとそのままにはしないわ
  私の時がきたら きっと奇跡には頼らないわ 
  私の時がきたら もうたくさんと言って消えるわ

  おばあちゃんのような時が来たら まさに同じ種類の時がきたら
  でも もしその時がきたら わたしは自分の思うままにはならないのよね

*******************************************

著者は、イギリスでは中堅作家として活躍中、これまでに16の小説と5つのノンフィクション(主に伝記)を発表。
日本では初期の作品(Georgy Girl,1965 …翌年映画化)が紹介されているだけだそうです


 


マッカイ家のおばあちゃん…原題は「Have the Men Have Enough?」1989…です。おばあちゃんの台詞からとられています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とけい

ぽいんとぼきん