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ロンドンの生卵  松浦健介  立風書房

2005年03月07日 | ’05年読書日記
前にも書きましたが、日本で長い事、やり手サラリーマンだった著者が、そのサラリーマン生活に見切りをつけ、妻とともにロンドンに移り住み、その生活をエッセイにした本です。

所々著者によるイラストがあり、なかなか面白い本でした。
(が、文句を言いたい箇所もあります…それは後のほうで…)

読んでいて、私が知らなかったロンドンの様子などが発見できました。
以下、箇条書きにいたします。

*ロンドンは、メキシコ湾流の恩恵に浴し、日本の札幌よりも、緯度で8~9度も北に位置しながら、札幌より暖かい。(山が少ないので、雪もあまり降らず、降っても積もるほどではない)

*ロンドンは、都会なのに公園があちらこちらにあり、よって緑が多く、日本でお目にかかれないような鳥たちを見ることも出来る。

*果物の種類が豊富にあり、中でもメロンは一個180~200円ほど。(うらやましい。食べたい。)



『著者紹介』の写真を見ると、「老後の生活」をするには、ちょっと早すぎるんじゃないですか、と言った印象のする著者です。
奥様などは著者より10~20歳は年下なんではないでしょうか。夫がたまに本を書くくらいで定職についていなくて、心配じゃないんですか?…などと、これは余計な心配ですね。

まあ、この本の趣旨は、「お金のある外国人がロンドンで暮らすと、こんなに快適だよー!」…といった感じなんでしょうか。
松浦さんにとっては、ロンドン暮らしは全くもって快適のようで、イギリスの「暗い部分」に関する話し、たとえば、(アジア人(人種)差別)の話しも、(イギリスのどうしようもない階級社会)の話しもこの本には出てきません。


ひねくれもののわたしは、「外国には、日本に比べると、こんなにいいところがある。日本と違ってこの国はほんとにすばらしい」みたいな話をテレビやその他のメディアで見聞きするのがすごく嫌いなんです。

日本人がそういってるのを聞くと、「何であんたは日本人なのに、わざわざ日本人を落ち込ませるような事を言うのよ」…と,多少腹が立ちます。

どんな国にも、いいところ、悪いところがあると思います。
いい所だけ取り上げて、「ほぅら、この国は日本に比べてこんなにすばらしい」と言ったところで、説得力はありません。


ロンドンの「いいところ」を探すには、もってこいの、この本です。
ほんとに、快適そうで、自然が多く、暮らしやすそうではあります。

でも、ひねくれ者のわたくしめは、イギリス階級社会(不平等社会?)なるものに、少々興味がありますので、いい所ばかりではなく、そういった点においても、(お金を持った外国人)からの視点でいいから、えがいて欲しかったです。

そうすれば、「ロンドンのいいところ」も、もっと際立って訴えかけてきたでしょうに。


以上、ひねくれものの感想でした。







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