相撲にはあまり興味がないので、朝青龍がどうしたという話も最初はどうでもいいやと思っていた。かといって、私は女を土俵にあげろ、あげないような相撲は前時代的で朽ちゆくもの…などと、野暮なことは一切思っていない。そういう世界もあっていい。
朝青龍の話はいまや仮病かどうか、サイドビジネスがどうした、国に帰すか帰さないか、親方や協会のメンツがどうした、などとおおよそ伝統を重んじる国技を守る人たちのあるべき議論とはかけ離れてしまった感がある。それと心の病を軽く考える言動こそ、前時代的であって、国際的にも人間的にも恥ずかしい。
でもそもそも言われていた横綱の心技体を求める、巡業は社会貢献であるという根幹には共感する。横綱でなくとも心と技術と体を兼ね備えた人は魅力的。現代の日本人だと、イチローあたりが代表格ということになるのだろうか?
転じて相撲の世界で日本人の横綱はいないし、大関以下であっても心技体を兼ね備えた人材は枯渇しているように思う。国技なのに他国の人を受け入れて懐が深い、などと言われているが、今回のような異文化の中で育った人への理解のなさをみると、単に日本人の人材が不足しているから、外国人力士で補っているのではないかと皮肉りたくなる。現実にこういう陰湿なことが続くと、日本人の入門者はますます少なくなる。
ある新聞にはモンゴルとの関係のためにも早く収束すべきと書いてあったが、「早く収束」には賛成だけど、本来はこういう話を国家間の話に飛躍させるものではないと私は思う。でももし相手がアメリカ人や欧州の大国の力士だったら、もっと論調や対応が異なっていたような気がする。もっともアメリカだったら、国家が親書を送ってきたり、メッセージを発信したりしないと思うが…。
いずれにしても日本人が失った心技体を外国人に強制するのは何か違和感がある。1人くらい日本人の横綱が出て、手本を示さないと、ロールモデルなき継承者は当然困るだろう。