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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

東急プラザ銀座にデパ地下はできなかったけど

2016-04-11 22:30:27 | マーケティング

数寄屋橋に東急プラザができると聞き、最初に気になったのは、地下がどうなるのかということでした。

もはや、服や靴なんて決まった店以外ではあまり買わないし、雑貨は昔は銀座に店が少なかったのだけど、最近は東急ハンズもLOFTもでき、ステーショナリーなら伊東屋本店が新しくなったし、供給過多感が否めません。とはいえ、大型店ではない雑貨のショップがテナントとして結構入っていて、悪くはないとは思いましたが。

もっとも、オープン直前には観光客のための施設になるような話もあって、地下食品売り場はできないと思っていましたが、有楽町をよく乗り継ぎ駅として利用する者としては、やっぱり頻繁に利用できる食品の充実には一抹の期待はあったわけです。銀座・有楽町地域は、銀座に三越、松屋の地下食品売り場がある以外は、惣菜とスイーツ中心の充実した食品売り場はありません。有楽町となると、かろうじてルミネ地下の成城石井と1FのDEAN&DELUCAがあるくらいです。

新しいマンションが建ち並び、銀座に近いいわゆる有楽町線沿線湾岸地域にも、スーパーマーケットは数あれど、デパ地下的存在も成城石井や紀ノ国屋のような高級スーパーもありません。豊洲のアオキがそれに近いですが、生鮮とグロサリー(とくに調味料の類)は申し分ありませんが、惣菜がイマイチですから、需要はあると思っています。

実際にオープン後に行ってみると、デパ地下的位置づけのB2Fは、イートイン主体だけど、持ち帰りもできる店が多く出店していました。丸の内のKITTEの地下に近い感じです。

たとえば、こういうことです↓

持って帰っても美味しい、けど、店内で食べてしまった方が楽なメニューですよってことかと。

これなんかは、もっとそんな感じの料理です↓

考えてみれば、今後都心ではこのタイプの方が主流になるかもしれません。というのも、従来型の百貨店の地下食品売り場でも、まるで祭りの屋台のごとく、買った物をその場で食べている人が見受けられます。たいていは外国人観光客なのですが、持って帰っても一般的なホテルでは電子レンジもありませんし、気持ちはわからなくありません。伊勢丹新宿店などでは地下の催事コーナー(テナントが期間限定で入れ替わるエリア)に、仮設のイートインを作って対応しています。催事出店の場合は、作り立てを提供している店が多いので、理にかなっています。

外国人でなくても、一人暮らしや家族と違うものを食べたいという人、近隣の会社勤めの人も、わざわざ家やオフィスに持ち帰って、食卓を整えてから食べるより、外で済ませた方が楽という見方もできます。デパ地下で惣菜を組み合わせて複数買うと、下手な外食より高くもなりますし、弁当の場合はオフィスならまだしも家で食べるのも味気ないものです。

そう思って、私もデリを店でいただきました。遅めのランチ時間でしたが、2時以降なら超人気店あるいは席数が少ない店以外は空いています。そこそこ行列ができていたのは、アイスクリームショップくらいでした。

銀座松坂屋跡地もJ.フロント リテイリング(JV)の事業でありながら、いわゆる百貨店はできないそうで、東急プラザ同様、観光客を意識したものになりそうです。やっぱり百貨店は、デパ地下(食品売り場)も含めて、もはやダウントレンドで再浮上の芽はないのでしょうか。ちょっと寂しいですね。


これ明日食べてもいいですか

2016-04-01 23:49:04 | マーケティング

ケーキなどの生菓子系スイーツや惣菜を買うときに、多くの人は消費期限を気にします。

とくにロールケーキなどを1本家族の誰かが仕事帰りの夕方買って帰ったとして、その日中に食べきれるような大家族は、今の東京や都市部にはそれほどいないと思うのです。夜に甘いものを食べることに抵抗のある女子も多いでしょう。

しかし、生クリームを使った洋菓子の多くは、その日中を消費期限と設定しています。デパート等大手小売業では、出店テナントにそう客に伝えるよう指導もしているようです。

先日、青森に行った際に、力を入れて土産物店で販売していたスイーツ「朝の八甲田」というチーズケーキは、冷凍菓子で2カ月くらい持ちます。

土産品が今日中、明日中の消費期限では、よほどの商品力がなければ難しいということでしょう。

地元ではそういうことを考えて商品販売をしている地域でも、都市部に催事出店をした途端、生菓子で勝負したくなるようです。商業施設側がそういう個店を選んで呼んでいる側面もあります。確かにインパクトや味覚を追求すれば、冷凍より生が勝つんですけどね。

ならばせめて翌日までOKにすれば、購入者が増えるような気がします。実際、売る側の設定より1日程度食べるのが遅れたからといって、急激に風味が落ちたり、ましてや腐っていたりする商品はそうありません。

スイーツに限らず、厳格な品質管理は良いことですが、その半面、大量の食品廃棄物を出しているのも現実です。そもそも賞味期限と消費期限は違いますが、一般に賞味期限切れの商品が流通することはありません。

折しも、福岡で貧困の子どもに消費期限1日前のコンビニのパンなどを譲り受け提供する取組に、賛否両論あるとの報道がありました。消費期限後でなければいいのではないかとも思います。3食それではあんまりですが、別に貧しくなくても、朝食で買い置きの消費期限ぎりぎりの食パンをトーストして食べている子どもは、いくらでもいるでしょう。とくに食パンの消費期限って、小世帯には短いですから。3食手作りの温かな食事を提供しなければならないというのは、いまどきどんな家庭でも理想論のように思います。尊厳の問題には配慮が必要ですが。

そもそも子どもに提供するか否かは別として、スーパーマーケットの惣菜同様、コンビニやデパートでも値引きをして消費期限前日でも売ればいいのです。それで期限を超えて食べる分には自己責任でいいと思うのですが、日本の小売・サービス業は、なかなかそうは割りきれないのでしょうか。

売っている人は翌日食べても問題ないことはわかっているんです。でもそうは言えないだけです。消費者行政の指導や供給側の管理が厳格になる一方、生活者が自分の目で見て、においを嗅ぎ、また自分の経験からくる認識や常識と照らし合わせて判断するという能力が落ちています。

今は自分が貧困ではないと思っている人も、あるいは日本全体にしても、いつまでも飽食の環境にあるとは限りません。むだに厳格なリスク管理より食品廃棄量削減と分配を優先したほうがいいと私は思います。


値引きかポイントか――エムアイカードの変化

2016-03-30 23:53:47 | マーケティング

複数のクレジットカードを使うと、管理が煩雑になるので、なるべく絞るようにしています。

昔から使っているメインカード1枚、クレジット機能がある交通カード1枚、これは交通費の経費精算に便利なので、オートチャージ用に使っています。そしてもう1枚はエムアイカード。三越伊勢丹カードです。

まだ業界再編前、アイカードの時代から使っていますが、メジャーな流通系クレジットカードには珍しく購入商品を値引き販売をしてくれることが特徴です。たいていはポイントで、あとからその分がお金として使えたり商品や商品券と引き換えたりできるものです。業態は違いますが、ビックカメラなどの大手家電系はポイント料率は高いですが、あとから現金として使えるタイプの方式です。総合スーパー系のイオンやセブン&アイもそうだと思います。イオンはときどき会員向け一律値引きセールをやっていますが、常時ではありません。

このエムアイカードも、この4月からポイント方式に変更になります。

これが値引きに慣れ親しんだ人には評判がよろしくないらしい。だからというだけではないと思いますが、伊勢丹新宿店などは今異常に混んでいます(花見目的で来日している観光客も多いのですが)。多少は駆け込み需要があるのではないでしょうか。ちなみに評判がよろしくないというのは、店員さんが漏らしていたのですが、実際にやはり業態が違いますが、イオンも「ポイントアップデー」より「5%OFF」の日の方が明らかに混んでいます。1日1回あたりの客単価は、三越伊勢丹よりイオンの方が少ないと思います。私自身、イオンで1回あたり使うのはせいぜい数千円。本当はたかが月2回程度の値引きより、来店頻度は多い業態なので、常にたまるポイントや株主なら使えるオーナーズカードのキックバックの方が冷静に考えれば、還元金額は上かもしれない。それでも、やっぱり消費者心理的には値引きなのです。

そう考えれば、1回に数万円(食品以外なら)普通に使われる三越や伊勢丹で、しかも常時(バーゲン品以外)値引きなら、迷うことなく値引きが支持されるのではないかと思うのです。

それにポイントなら、何もエムアイカードを使わなくても、ほかのカードを使っても同じと思う人もいるかもしれません。私もメインカードでフィットネスクラブの会費やNTT、WOWOW、新聞代などは落とすようにしています。銀行引き落としより得だといって、そうしている人は結構いるようです。こういう人が料率にこだわらず、1枚にまとめる選択を優先すれば、エムアイカードの利用は落ちる可能性があります。

エムアイカードの立場で考えれば、独自性を捨てて敢えて競合がひしめく街に引っ越していく感じです。

カードの利用はともかく、店の売り上げまで減らしては、小売業としては致命的ですが、その点はどうでしょうか。伊勢丹本店に限っていえば、ファッションの強さは揺るがないと思います。でも女性が頻繁に利用するのは、むしろ化粧品でしょう。化粧品に関してはどこで買っても商品は同じなので、今でもネットで買えるものはネットに流れている感がありますが、ほかの百貨店や他業態の店に流れる可能性があります。

内情は知りませんが、大手2社が一緒になったということは、乱暴な言い方をすれば繁盛店とはいえない支店も2倍になったといえます。三越日本橋、銀座と、伊勢丹新宿店だけが売り場なら、プロパー商品の値引きを何とか続けていけたかもしれませんが、全国を見渡せば、撤退も視野に入るほどの店もあるでしょうし、実際に大阪の三越伊勢丹はあっという間に撤退しています。値引きは厳しかったのかもしれません。

業界再編は小売業だけではないけれども、一般消費者に近い場所にいる業種ですから、小さなことでも影響はわかりやすく出てきます。カード特典の横並びは吉と出るか、凶と出るか。少なくとも吉とは出ないでしょう。カードにこだわることはありませんが、マイナス点を克服する施策、何よりも品ぞろえ力、サービス力の強化は必要だと思います。


入院生活とユニクロ

2016-03-10 23:26:34 | マーケティング

入院生活の3種の神器は、個人的に「モバイルツール(スマホ、タブレット等とそれに付随する充電機器)」「ユニクロ」「ふりかけ」だと思います。

個人的に、としたのは、その人の入院期間や生活背景によって異なるからです。仕事をしている現役世代でなく、見舞い可能な家族を通じて外部と連絡をとれる人なら、モバイルツールは不要かもしれません。でも、比較的誰にとっても共通して神ツールなのは、ユニクロ(ほかのブランドでも同じような機能性を持つものがあるかもしれませんが)のインナーではないでしょうか。

飾りっ気がなく、安価という基本的なデザインやプライスももちろんですが、一番は売り方、包装とタグが非常に機能的だという点が、入院や旅行など非日常の場でありがたいのです。

とくに女性でふだん、ワコールやトリンプのようなランジェリーブランドのショーツを身につけている人は実感されると思いますが、あれほど使い手のことを考えていないものはありません。デザインの話ではありません。タグの縫い付け方がひどい。しっかり仕付け糸で縫われています。仕付け糸と本縫いの糸の区別がつきにくく、裁縫用の先の細いハサミでなければ、うまく外すことができないのです。

今どき、ボタン付け以外の裁縫をしないという女性は珍しくないと思います。ソーイングセットを常に持ち歩き、ふいな入院や旅先にも必ず持参しているという人はどれほどいるでしょう。仮に持参していたとしても、普段よりからだの自由が利かないときに余計な作業はしたくないはずです。

その点、ユニクロのインナー商品は、袋に入り、その袋も手で簡単に破れます。なかの商品には一切何も付いていないので、買ってきてもらったものをそのまま使うことができます。購入を頼むときにも、サイズと形を指定すれば、まず間違いがないので、ほかの商品ほど互いに気を使わなくて済みます。

ユニバーサルデザインというワードはすっかり定着しましたが、あくまで商品や建築物のデザインそのものをさすことが多く、その売り方(ここでは包装やタグの付け方)にまで話がおよぶことは少ないと感じます。しかし、消費者向け商品は、選択・購入から使用までの一連のプロセスも含めて「商品価値」であり、そこにユニバーサルデザインの概念を巧みのとり入れているのが、ユニクロのインナーなのだと思います(アウターは買わないのでわかりませんが)。だからこそ、世界的にも通用しているのかもしれません。

私自身はふだんヒートテックとエアリズム以外は、ほとんど別のブランドの商品を買っています。カジュアルブランドのなかで、ユニクロ派かと言われると違います。デザインに共感できないからです。それでもユニクロの包装の便利さには気づいていましたが、自分が困ったときに改めてその恩恵を受けると、より好意的に受け止められるものです。

ユニクロというブランドや会社が嫌いでも、商品は持っているという人は多いのではないでしょうか。そのある種、特異な消費行動を生む背景には、隅々まで考えた優れた商品企画があるのではないかと思います。


エコと値段とブランドスイッチ

2016-02-11 22:41:37 | マーケティング

特段、環境に対して意識が高くなくても、ものを捨てるという行為には罪悪感を感じるものです。また、余計なものは邪魔でもあります。

今日、近所のスーパーで、水素水を6パック買うと、「半ダースの箱入りをお持ちしましょうか」と聞かれました。私が渋い顔をすると、察したという感じで「あっ、箱は要らないですね」と前言撤回。「どうせ捨てるし、面倒くさいから、そのままでいいです」と、袋に詰め込んでもらいました。

最近は、洗剤でもシャンプーでもボトルのそばに必ずパウチの詰め替え用が売られています。値段も正品より安いので、食器用洗剤のボトルなど、いったいいつのものやらという感じで使い回しています。したがって、ずっと同じ商品、同じ香りの種類のものを使い続けています。だからといって、そのブランドに愛着があるわけではなく、たまたま何かのはずみで買った商品のヘビーユーザーに図らずもなったというわけです。

ボトルを捨てるという罪悪感と、詰め替え用の方が安いという価格の魅力が、ブランドスイッチを妨げているのです。これがシャンプーなら、洗顔フォームなら、あるいは洗濯洗剤でも違うブランドを試してみたいという気持ちになるのですが、食器洗剤や掃除用の洗剤のように、商品選択の動機づけに乏しい日用品であるほど、半ば無意識のうちに同じものを買い続けるのです。簡単にいえば、ブランドにこだわりなし、劇的な技術革新でもない限り、何でもいいというわけです。

捨てる罪悪感というのは、意外とバカにできないもので、高額商品でも、たとえばクローゼットに、シュークロークに、服や靴があふれていたら、新しい商品に目が向きにくいものです。スーツケースなど、大小一つずつ持っていれば、もう一生ものです。要するに置き場所に困るのです。極めつけはパソコンで、簡単に処分もできず、古い物が収納のある部分を独占しています。パソコンのように、情報が詰まっている機器は、リサイクル法云々以前に気軽には捨てられません。

以前、このブログでアパレルのワールドが衣料品を引き取るキャンペーンを定期的に行っている話を書きました。ワールドに限らず、また衣料品に限らず、この手の取り組みは徐々に増えています。

「リサイクル」と「捨てる」を同義に語るのは間違っているかもしれません。また、「買う」という行為と、「捨てる」という行為は、本来はまったく異なるものです。でもどこかで捨てるという行為に、正当性を与え、心理的バリアを取り除き、その一方では物理的な困難さを企業側や行政側でサポートしていかなければ、物はもう容易には売れないと思うのです。

でも企業が売った物を引き取ることは、想像以上に大変なことです。リサイクルをするにしても、産廃処理をするにしても、多大なコストがかかります。

Windows10は無償アップグレードとなり、マイクロソフトは今後もOSを売らなくなるのでは、と言われています。そうなると、当然パソコン等端末の売れゆき(買い替え需要)にも多大な影響を与え、今以上にとくにある程度商品が普及しつくした先進国や新興国の現地法人や販売店は厳しくなるでしょう。それでも「捨てる」から、消費者もメーカーや小売店などの販売側も、ある程度の期間は解放されるのです。そのことの方が物を売ることより生産性を高め、買うことより価値がある、そんな時代になっているということです。

スマホもイノベーションがさらに進めば、そんな時代はすぐにやってきます。モノからコトへと言うは易しですが、日本はまだモノづくり中心の経済から十分には抜けきれてはいません。いまや、環境問題に取り組まないメーカーは、存在価値を疑われますが、同時にモノではなくコトで生き残る道を探らなければ、消耗品以外は今後は難しいように思います。