12月28日(金)午前中に事務所に1本のセールス電話がかかってきた。業務用コピー機の販売代行会社のようで、リースでも買い取りでもいいというが、年末に勢いで決められるほど安いものではないし、そもそもうちには分不相応な製品なのだが…。年末ギリギリに数字をあげたいという営業マンの必死さが電話の向こうから伝わってきて、気の毒になった。もちろん断ったが、仮に相手が私でなくても、年明けて落ち着いてからアプローチしたほうが明らかに相手は聞く耳を持つだろう。しかしおそらくその会社では年内に数字を挙げることに大きな意味を持たせ、セールスマンにプレッシャーをかけている。
まったく話は違うが、年賀状に4億枚もの売れ残りを出したらしい。民営化最初の年始を迎え、年賀状の広告にも力が入っていたが、e-mailやケータイなどの代替手段や、そもそも出す枚数を減らしている企業や、出さなくなった若い人などの増加傾向は変わらず、総数ダウンに歯止めがかからなかった。4億枚をどうするつもりか知らないが、さらに日本製紙の古紙配合偽装疑惑まで出てきて、環境面でのイメージダウンというオチまでついてしまった。
大晦日の紅白歌合戦の視聴率低下も毎年のように話題になる。
個人的には年賀状にも紅白歌合戦にもアンチの立場ではない。年賀状をe-mailに変えるつもりもないし、紅白はまあどうでもいいけれど、それでも民放のバラエティや格闘技と比べれば悪くない(特に今年は良かったと思う。全部観ていないけど)。儀礼的や陳腐化との批判があっても、脈々と続くものには新しいものに簡単に真似できない価値もある。
一方で年賀状を面倒と思う人が増えたことも、大晦日に家庭でテレビを観る以外のことをする人が増えたことや、多チャンネル化の波も止めようがないトレンドだと思う。もちろん提案の仕方や番組づくりで多少の底上げは可能だろう。しかし時代は逆流しない。数字だけを闇雲に追いかけても、空虚感が残る。目標値は一歩間違えば無計画につながる。冒頭のセールスの人も、仕事納めの日にコピー機を導入する検討をしそうな企業を(仕事納めに関係なく普段どおり働いている職種はあるだろう)ターゲティングして攻めるか、あきらめて年明けに2倍売ることを考える方が建設的。売上にしろ、視聴率にしろ、数値目標を持つことは重要だけど、それだけではかなわない現実もある。