京都府高等学校演劇連盟

☆京都府の高校演劇のページです☆

京都府内の高校演劇部の公演や活動についてお知らせしています。

創作脚本紹介⑩「橋910」(『創作脚本集第2号』所収)

2009年11月07日 | 創作脚本
2004年度、第15回創作脚本コンクールで、創作脚本賞を受賞した作品です。


*************************************


「橋910」 生徒創作〔京都府立鴨沂高等学校〕


《登場人物》  男1人 / 女4人 
                   
女  …5階で南を見つめ、数える女
男(兄・ドド) …2階の住人
母(モア)  …2階の住人
妹(トキ) …2階の住人
クイナ …ドドたちの隣の家の女の子


《物語》

男「現場は、市中心にある幹線道路。サマワを南北に横断するユーフラテス川の橋の上だった」

南へ向かって吹く風。
やまない雨。
黒い、雨。

カチャカチャカチャ。
数を数える機械が、女の手によって、カウントを重ねてゆく。

肩からショルダーバックをかけ、きれいなオレンジのワンピースを着た、双眼鏡を
片手にした女。
そして、女と同じ方を見ようとする男。

女 「…一人で家にいたの。突然、黒い雨が降ってきて、真っ黒になったお父さんが帰ってきた」

女 「だけどみんな『生きよ』と言いはしなかった」

新しい校則で、全身真っ黒の制服が決められた男。
男の制服に並んだ、51個の星。

カチャカチャカチャ。
かさんでいく、数。

男 「…いくつになった?」
女 「…9896…今日で4000増えた」
男 「…」
女 「どうなるの?9999までいったら」
男 「えっと確か、0に戻るんです」
女 「0?」
男 「はい」
女 「…また1から始めるの?」

橋を渡らなかった女。
橋を渡っていく、男。

カチャカチャカチャ。
機械の文字盤が示す「9999」。そして、「0000」。

今日も、雨はやまない。


*************************************


『創作脚本集第2号』(2008年5月刊行)は、京都府高等学校演劇連盟が行っている「創作脚本コンクール」において、1998年度~2007年度に、創作脚本賞を受賞した14作品をおさめたものです。

この脚本集を読んでみたいとお考えの方には、実費(1000円+送料)にてお分けすることが可能です。

京都府高等学校演劇連盟事務局(久御山高校〈TEL 0774-43-9611〉演劇部顧問)
もしくは
京都府立東宇治高校〈TEL 0774-32-6390〉演劇部顧問

までご連絡ください。

また近畿大会(2009年11月21~23日)でも、呉竹文化センターのロビーに置いております。
ご希望の方は、受付等のスタッフにお声かけくださいませ。


にほんブログ村 演劇ブログ 高校演劇へにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする