2025/4/1
・陸地が水に沈みゆく世界で、生物たちが生き延びようとする様子を、一匹の黒猫を中心に描いた話。
・水の表現にかなり力が入っているので、洪水に嫌な記憶のある人は気をつけたほうがいいかも。
・(たぶん)鯨類も出てくるし、あれは海水でいいんだろうか。透明度の高さがちょっと違和感。
・人間は一切出てこないのに、生活の痕跡は濃い。
・たくさん動物が出てくる。喋らない。行動と環境の変化だけで進行する。
・それがどれくらいの難易度になるかは、目的によって変わる。誰もが楽しめる長篇娯楽映画ならほぼ不可能。本作も基本アート映画として見る感じ。
・ラジオ番組のアトロク2で言及されていた「神話的」というのは同感。
・黒猫は、人が残した空き家を住処にしていたが、その家も沈み、たまたま流れてきた小舟に乗って漂流する。
・人類が一切出てこないのに、生活の痕跡が濃い。
・話が進むにつれ小舟の乗客が増えていく。カピバラ、キツネザル、犬(ゴールデンレトリーバー?)、ヘビクイワシ。
・成り行きでは一番仲間になりにくそうなカピバラをあらかじめ船に乗せている。
・猫や犬、サルまでならペットや介護で人と深く付き合うこともあるからまだわかるけど、カピバラが積極的に利他的な行動をとるのは作為的に感じる。
・おバカな犬、かわいいけど、イラっとはする。
・ヘビクイワシが同族から黒猫をかばおうとするのはさすがにありえないように感じたけどどうなんだろう。
・動物の動きの再現度が高いだけに、少しでも人間的なそぶりを感じるとノイズになってしまう。
・かといって、ナショナルジオグラフィックの再現をしてもしょうがないので、バランス取りは難しい。
・友達から、猫を助けたら家の玄関にお礼と思われる小動物の死体が置いてあったという話を聞いたことがあるので、黒猫が魚を配るシーンはあり得ると思う。
・最初は犬、次がげっ歯類、そして猿が行動を共にする。次がちょっと離れて鳥類。最後のほうで、ついに植物までも助力してきたように見えた。
・危機に直面し異なる属性の者たちが団結していく、熱い展開に見えなくもない。
・一方で、動物らしく、彼らはたまたまそこに居合わせただけで、それぞれが自身に都合よく動いたら、結果的にうまくいったと見るほうが自然ではある。
・アカデミー長編アニメーション賞受賞作と言われると身構えちゃうけど、前知識なしにいきなり出くわしたら強く印象に残りそうな作品だった。
(TOHOシネマズすすきの)
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