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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

エルンスト・ルビッチ監督『生きるべきか死ぬべきか』(1942年)

2024-05-18 00:39:50 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/5/17

1939年ナチス占領下のポーランドで、舞台役者の夫婦とファンの空軍兵士が、劇団員の力を借りながら、ゲシュタボのスパイを退けようとする話。

序盤、ウェルメイドなコメディが始まりそうなお膳立てをしておいて、ナチスの侵攻でぶち壊してくる。ほんと戦争は趣味が悪い。

『ガザの美容室』はクライマックスがその感じだったけど、この作品では前振りに使っている。

作中劇はタイトル通りの『ハムレット』。

オフィーリアのセリフが少ないことを逆手にとって舞台裏の重要人物にしている。上手い。

「TO BE~」でプロンプをもらっているのはホントどうかと思う。みっともない。

逢引するための途中退席なのに、めちゃめちゃ目立ってしまうのおもしろい。

中盤以降の何がどうなってそうなっているのかがよくわからないところがあった。

元からそうなのか、印刷物に対して訳がなかったり、字幕がわかりにくいせいなのか。

ものすごい人が殺されているなかで、このくらいポジティブな終わり方でいいのかはちょっと気になった。

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ジョン・フォード監督『幌馬車』

2024-05-09 01:29:51 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/5/8

馬の売人をしていた男二人が、西部開拓をめざすモルモン教徒の一行の道案内を引き受け、一行の乗っ取りを企てる悪漢たちを退ける話。

シンプルな構成。時間も86分しかない。

砂漠ばかりの厳しい行程でも、彼らの案内と、踊り子の一行も合流し、結構楽しそうに見える。

情熱のあるリーダーがすぐに声を荒げて仲間に注意されている。危うさもふくめて人間らしいかも。

物腰が柔らかく怪我人なのに殺すときは殺す悪漢のリーダー。仲間たちも含めて、一目でならず者だとわかるのがおもしろい。

馬の扱いがすさまじい。

人を乗せたまま荒ぶっていたり、横転したり、下り坂を駆けおりたり、水に飛び込んだりする。

自転車くらいの気軽さで馬に乗りこなしている。

ここまでの馬描写は、もう現代ではできなくなってそう。

馬映画として映画史に残りそうな作品だった。

(Prime Video)

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アキ・カウリスマキ監督『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』(1986年)

2024-04-30 22:43:57 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/4/30

造船会社の社長が殺され、息子ハムレットと伯父が対立する話。

シェイクスピアの『ハムレット』を現代企業の権力闘争に置き換えた話だと言えば聞こえはいいけど、全体的にすごくざっくりしている。

ハムレットの有名イベントは一通りこなしているものの、本作品における展開上の必然性はあまり感じられず、原作がそうだから入れておいたという感じ。事務的。

ネットでは「コメディ」と紹介されているけど、シリアスとコミカルの境界線がわからず、疑心暗鬼になりながら見続ける。

ハムレットがまるっこいおじさん。

この違和感は覚えがあるなと記憶をさかのぼっていくと、昔テレビでやっていた新春かくし芸大会の長編ドラマだった。

伯父の毒殺も雑で回りくどい。真相が輪をかけて雑で回りくどい。

そういう入れ子式の構造を狙っていたのかもしれないけど、たぶん違う。

(U-NEXT)

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関根光才監督『太陽の塔』(2018年)

2024-04-17 13:43:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

 

 

2024/4/16

・岡本太郎の作品や人柄を、10個のキーワードをもとに、様々な立場の人が証言していくドキュメンタリー。

・自分にとっての岡本太郎は、幼いころ、テレビで「芸術は爆発だ!」と言っているギョロ目のおじいさん。

・後になってたいへん優れた芸術家であり、ただの変わったおじさんではないことに気づかされた感じ。

・亡くなったのは1996年だが本作の公開は2018年。東日本大震災後。わりと最近。

・最初は万博というテーマで当時の様子を解説していく。

・当時も色々あったんだろうけど、カジノの前座として公費を浪費している今の大阪万博と比較すると、盛り上がり方にかなり差があるように見える。

・1970年から少しでも進歩しているのか、退化しているのか。

・当時の万博のテーマ、科学の発展による「人類の進歩と調和」に岡本自身は批判的だったのに、当時の責任者は彼を起用して、あんなに巨大なモニュメントを作らせたのは度量が広い。今なら無理そう。

・あれだけ色々あったのに太陽の塔だけ残っているのは不思議。

・科学の発展からこぼれ落ちるものを大切にしているという話。

・科学的に理解するために分類することはとても重要だと思うけど、手段と目的が逆転して分類さえすれば理解した気になっている人は多い。自分も気を付けたい。

・東北や沖縄など、各地の伝統文化に触れ、民俗学から考古学まで取り入れ作品に活かしている。

・「日本という泥にまみれるしかない」。

・アイヌのマレウマウや岩手の鹿踊もちょっと出てくる。

・「世界を支えているのは無名の人々」というキーワードはちゃんと咀嚼して血肉にしたい。

・話者の言葉にあわせて画面上に表示される線画演出がかわいい。

・「芸術は決意だ。決意した瞬間に芸術は始まる」。

・南方熊楠と比較されていた。「粘菌の中に大宇宙が見える」。

・生命として、人間としての根源的な力を引き出そうとしている感じなのかな。

・映像内でダンサーの菅原小春さんが『明日の神話』の前で踊っている映像がかっこいい。

・駅に作品があるので、ストリートピアノを置いたり、ごく簡単でも踊れるステージを作ったりすれば、岡本太郎とコラボできていいのに。やりたい人いるんじゃないかな。

・大阪に行きたくなった。

(PrimeVideo)

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黒澤明監督『生きものの記録』(1955年)

2024-04-09 00:50:34 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/4/8

・終戦から復興しつつある日本で、ある老人が水爆や原爆の恐怖から逃れるため家族を連れて南米に逃げようとする話。

・今の感覚で見ると、年を取ってから陰謀論に染まってしまい、せっかく築いてきた財産を切り崩していく感じに近いのでわりと共感できる人は多いかもしれない。

・ただ、よく見ると結構違う部分もあるので、そのまま入れ替えられるような話でもない。

・例えば、戦争からの時間が浅い。終戦から10年。戦争(特に原爆)で人が死ぬということが、今とは比較にならないくらい身近なことだったりする。

・彼の恐怖には根拠がある。

・未来人である自分は南米に逃げることが正解か不正解か知っているけど、これだって後出しに過ぎない。

・家族にジュースをふるまったり、必ずしも悪人というわけではないのが厄介。フード理論的に重要な行動。

・実際、中立の立場で観客の立場に一番近い調停役の藤田が、おじいちゃんに共感している。

・でも、やっぱり共感できないのは、このおじいちゃんが人の人生に口を出し過ぎること。自分の言うことを聞いていれば全部うまくいくんだという過信。

・当時の価値観をきちんと表現しているということでもあるんだけど、男女の力関係とか、日常生活の描写も見ていてきつい。

・おばあちゃんが完全に個を失っている。

・唯々諾々としていて、本来なら問題解決の最重要人物であるはずなのに、まったく機能していない。どちらかと言うと、火に油を注ぐ役なのが生々しい。

・縁側にいたおじさんが裏MVPだった。お化け屋敷じゃあるまいし、本気で怖がっている人を煽るな。

・おじいちゃんの役は三船敏郎。35歳なのに70歳の役を演じているそうだ。

・適齢の俳優がいないわけではないだろうけど、猛々しいおじいちゃんと弱々しい他の家族を対照的に見せるために必要な配役だったのかもしれない。

・あと、話のフックが少なめなので他の役者さんだったら退屈度が増していたと思う。

・タイトルがよくわからない。決めるのに苦労したという話を聞いたので、何だったら納得できるのか自分なりに考えてみたい。

(U-NEXT)

※▼タイトル決めに難航したという話。単なるブレストの可能性もあり。
徹底検証!『オッペンハイマー』と映画は原爆をどう描いてきたのか(高橋ヨシキ+柳下毅一郎+てらさわホーク)

 

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ヨハン・ヨハンソン監督『最後にして最初の人類』

2024-04-04 22:46:37 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/4/4

作曲家のヨハン・ヨハンソンの音楽と、古典SF小説をもとにした20億年後の人類からのメッセージ、旧ユーゴスラビアの戦争記念碑「スポメニック」の映像を組み合わせた作品。

公式HPにもあったけど、物語ではなく、言葉に映像と音楽を組み合わせた詩でいいんだと思う。

スポメニックのことは知らなかったけど、説明がなくても、その奇妙さと大きさに魅了される。

たしかにSFっぽい見た目だし、異世界のそういう兵器なんだと言われたら納得してしまうくらい。

ネットで画像は見られるけど、大きさあってのものだと思うので、実物を見てみたい。

逆によく知っていたら、なんで戦争記念碑と20億年後の未来が融合しているんだろうとノイズになりそう。

映っている物体の数々が未来の人類の成れの果てなのかなと考えたりしたけど、そこまで言葉と絵は一致していない。

どこに力点を置いて楽しめばいいのか最後までわからなかった。

(PrimeVideo)

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ケン・クワピス監督『ロング・トレイル!』(2015年)

2024-03-24 22:08:58 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/3/24

老年の作家が思い立って全長3500㎞のアパラチアントレイルに臨む話。

もともとコミュニケーションの苦手な人が、よき理解者と出会って長年一緒に暮らしているうちに、ますます他者との距離感がとりにくくなっている感じが生々しい。

相棒は彼よりもヨボヨボのおじいさん。

老年だからというより、完全に山歩きをナメていて、踏破できそうな要素が全くない。

熊との遭遇や滑落のような絶体絶命のトラブルもどこか呑気。かなり薄められている。

熊と対峙して逃げずにちゃんと威嚇したのはよかったけど、人の食い物を奪って去っていくのは餌付けと変わらないので怖い。アパラチアの熊はそういうものなのか。

トレイルと関係の無いトラブルが多い。途中で泊まったホテルはちゃんと料金を払ったんだろうか。

諦めさせようとする妻のまわりくどい説得や、途中から同行するうっとうしい女性ハイカーが楽しい。

引き際があっさりしているのも良いところだった。

(U-NEXT)

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ロブ・コーエン監督『ワイルド・スピード』(2001年)

2024-02-20 21:52:32 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/2/19

潜入捜査中の警察官ブライアンが、潜入先のターゲットであるドミニクと仲良くなり、彼にゼロヨンレースので負けた借りを返す話。

最初からノリのいい音楽と光沢のあるタイトルロゴ、次々と出てくるきれいな自動車。

自動車の話になると、当たり前のように日本企業名が出てくるところに時代を感じる。

シーンとシーンのつながりがよくわからないところはあるけど、レースのスピード感は気持ちいいし、お酒でも飲みながら細かいことを気にせずに観るタイプの作品なんだと思う。

武装したトレーラーの運転手、どちらかというと被害者側なのに、作品内では悪役になるという変なバランス。

不自然なほど顔も映さないのは、観客に感情移入させないためか。

反面、ドミニクの仲間たちは、メカニック風の食前のお祈りはおもしろかったし、電子レンジにキレ散らかす彼もそれはそれで楽しい。

とはいえ、わりとキツめの犯罪者集団ではあるので、頭の中でうまく整理がつけられなかった。

(U-NEXT)

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ヨナス・ポヘール・ラスムセン監督『FLEE フリー』(2021年)

2024-02-06 00:39:50 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

本年度アカデミー賞3部門ノミネート!映画『FLEE フリー』本予告|6.10(金)公開

2024/2/5

・アフガニスタンで育ったアミンが亡命したときの様子を振り返る話。

・アニメなのは個人が特定されると危険だから。

・なので、本作のジャンルはドキュメンタリー。

・一昔前のストップモーションアニメみたいに動きがカクカクしているけど、この不穏な題材にはあっている感じ。

・政権に対して批判的な言動を示したという理由で彼の父親が逮捕されている。その後、どうなったかは描かれていない。

・前に見た『生きのびるために』もアフガニスタンだった。あそこ、もう少し何とかならんのか。

・とはいえ、これは本当にヨソの国だけの話なのかな。例えば、戦時中の日本はどうだったのか。

・特高、五人組、非国民なんて言葉を連想すると、あんまり違わないような気がする。

・歴史は繰り返すと言うし、日本人には亡命先も無さそうだから、なすがままになりそう。

・アミンは、若いころから自覚があるタイプのゲイ。

・しかしアフガニスタンにはゲイを表す言葉はないそうだ。存在しないことになっている。

・この性的指向の話がまさか後半ああいう感じでつながるとは。

・亡命のタイミングはギリギリだったようで、同じような境遇の人がたくさん殺されている。

・観光ビザを使ってロシアへ逃げる。生活はすでにスウェーデンに亡命していた長兄のおかげで何とかしているものの、滞在自体が違法というギリギリの生活。

・さんざん悪口を言われていたロシアの警察。

・たしかに「クソったれ」だったが、賄賂さえ渡せば見逃してくれる。日本だと逆に大変そう。

・狭いコンテナに詰め込まれて船旅はイヤすぎる。トイレや食べ物はどうしていたんだろう。聞き手も驚いていたけど、生きていたのが不思議。

・生き延びるためとはいえ、離れ離れになった家族を全員死んだことにしなければいけないのはつらい。

・なんとか亡命し、大人になって大切なパートナーを見つけたあとも、気持ちが安らぐことはない。辛い。

・幸いにも自分はわかりやすい差別を受けたり、治安の悪いところ、きわめて衛生環境の悪いところで生活せずに済んでいるけど、近い将来の日本がそうなっていないとは限らない。

・他山の石という言葉もあるし、こういう話への関心は失わないようにしたい。

(U-NEXT)

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ディーン・フライシャー・キャンプ監督『マルセル 靴をはいた小さな貝』(2023年)

2024-01-27 22:33:53 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/1/26

・ある映像作家が、ドキュメンタリー映画を作るため、巻貝のような不思議な生物マルセルと祖母のコニーの生活を撮影し続ける話。

・実写とストップモーションアニメの組み合わせ。

・本作の監督が、そのまま映像作家役を演じている。

・マルセルは、ある事件で離れ離れになってしまったコミュニティとの再会を望んでいる。

・マルセルの見た目。巻貝に足がついている。リアルめの目玉が一つ。たぶん軟体動物。実際に見るとなぜかかわいい。不思議。

・最初に字幕で見る。あまりにも話が頭に入ってこなかったので吹き替えで見返したら面白かった。

・こちらの体調の問題か、初見と二回目の違いなのか、話のテンポや字幕の問題かもしれない。

・ただ、字幕版はマルセルのかわいらしい声色が少しあざとく感じてしまった。

・吹替は良くも悪くもフィクション感が増すので、自分にはそちらのバランスが好みだったみたい。

・マルセルはとにかく喋る。一般的な知識はなくても頭の回転は速い。やさしくて、ユーモアがあって、わりと頑固。

・こういう喋り続ける子供はアメリカのホームドラマなどでよく見かけるけど、日本だとほとんどいないような気がする。やっぱり不自然になっちゃうのかな。

・現実の映画監督がマルセルを題材にこの映画を作るのと、作中の映像作家がドキュメンタリー作品を作ろうとするのが、微妙に重なったり、ズレたりして楽しい。

・たぶん作っているほうも、だんだんよくわからなくなってくるんじゃないだろうか。

・その境界線がぼんやりすればするほど、マルセルは現実の世界に近づいてくることになので、おもしろい手法だと思う。

・犬がウロウロしているの、食わえてどっかに行ってしまいそうでホントに怖い。

・おばあちゃんのコニーが、当初は結構元気で精力的に動き回っていたのに、あるきっかけで弱っていく。生々しくて見ているのがつらい。貝なのに。

・それでも、最後までちゃんと導ける孫を素敵な大人だった。あやかりたい。

(U-NEXT)

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