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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

2024-11-28 22:00:47 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/27

・実業家の仕事人間エドワードが、娼婦のヴィヴィアンと一緒にいるうちに人間らしさを取り戻していく話。

・今まで見てきたどのリチャードギアよりも若い。

・ヴィヴィアン役はジュリア・ロバーツ。もともと娼婦にはあんまり見えないんだけど、素っ頓狂な衣装や動物みたいな行動で育ちの悪さを表現していた。

・たしかにあの衣裳はどんな人でも娼婦っぽくしてしまう。かっちりしたホテルの人々とのギャップが激しい。

・格差そのものという序盤の絵面が痛々しい。

・シンデレラのハリウッド版と言われがちな作品だし、実際、底辺女が資産家男に見出されて幸せになる。

・価値観の違う二人が交流してお互いに影響を受け合う話という言い方はできる。

・「仕事なら割り切れる」のような一言で娼婦と実業家をつないでいる。

・彼女は服装や仕草のような表面的な変化で、彼のほうは精神面の変化。

・とは言え、エドワードの財力が前提の話。冷静になって考えると夢の無いおとぎ話ではある。

・服屋を見返すところも金でねじ伏せているだけだし。

・魔法使いポジションの支配人、単にいい人なのか、何かの打算があったのかよくわからず、油断ならん人だった。

・むしろ、ヴィヴィアンと底辺仲間のキットとのほうが良い関係性に見える。

・思いもよらぬ幸運に遭遇した相方に妬むそぶりも見せない。クスリやっててもそこは譲らない。

・セックスよりもキスを上位に置くのは『月曜日のユカ』でも見た。類型は多そうだけど、元ネタあるのかな。

・コメディには欠かせない、人の良さそう(=頭の悪そう)な感じのエレベーターボーイ。

・ポロの土ならしの習慣おもしろい。

・「オペラは最初が肝心だ」という話、オペラ識者の意見を聞きたい。

・雇っているんだからちゃんとやれという正論にも、違う違うと思えるよう、うまく作られている。

・非常階段のシーンをうまく使いまわししている。

・リチャード・ギアが当たり前のようにピアノを弾いている。『シカゴ』ではタップダンスもしていた。芸達者。

・『裸足で散歩』を思わせるシーンもあった。靴をぬいで裸足になるって、西洋文化では特別な意味があるのかな。

・顧問弁護士の彼は気の毒なくらい悪人で俗物だった。

(Prime Video)

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ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

2024-11-18 01:04:28 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/19

・人気低迷中のモーニングショーのプロデューサーになったベッキーが、偏屈な老ジャーナリストをメインキャスターに据えて、立て直しを図る話。

・脚本家が「プラダ~」と同じというのは知っていたので、ちょっと身構えながら見始める。

・どちらもホーカーホリックな若い女性がクセの強い年寄りに振り回されながら自らの地位を確立していく話なんだけど、プラダの時のような嫌な感じがしない。

・たぶんファッションと報道の違い。同じ生き馬の目を抜くような業界でも、ニュースと言うくらいだし、報道は事件を追うリアルタイム性が本質にある。

・半面、ファッションの多忙さは業界内部の自家中毒感がある。

・もう荒み切った番組制作現場の雰囲気。

・「次は歌うのか」というセリフ好き。

・『王様のレストラン』と似た雰囲気を感じる。

・ヒロインが有能で決断力がある。そして、くじけない。うじうじしない。前進あるのみ。ちょっと怖いくらいだけど、これくらい振り切っていると、そういう業を背負ってしまった人なんだなと受け入れられる。

・ベッキー役は、レイチェル・マクアダムズ。顔をくしゃくしゃにしてサラダ食ってる。

・あんなに湿っぽくないセックスシーン初めて見た。コメディの雰囲気を残したままできるのがすごい。

・淡々とスイッチングしている人が指揮者みたいでかっこいい。話に関われるほどの尺がないのは惜しい。

・めんどくさい老キャスター役はハリソン・フォード。

・環境に馴染めない、馴染む気がない。本当にどうしようもない人なんだけど、たしかにこの人しかできない仕事を具体的にやって見せる。

・グッドバイの連呼は、もうああいうスタイルということでいいのではないか。

・不仲を隠さないほうが番組としておもしろいと思う。

・五人椅子に座っているシーンで五人とも足を組んでいた。アメリカにはそういうマナーでもあるのか。

・料理のところとか、細かい伏線が丁寧に回収されていてよくできたドラマだった。

・仕事がもうひと段落ついたら、ベッキーは一週間くらい休みを取って、思いっきり彼とセックスしたらいいと思う。

(U-NEXT)

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ローレン・ワイズバーガー監督『プラダを着た悪魔』(2003年)

2024-11-14 00:37:49 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/13

・最高峰のファッション誌で働くことになったアンドレアが、激務に適応していくにつれ、最後にある決断をする話。

・何かを得て何かを失う話の亜種。

・絶対的な権力者ミランダの存在が強力で、すべてのスタッフが彼女に合わせて行動しなければならない。

・抑揚のないポソポソした喋り方の威圧感。

・アンドレアも彼女の仕事のサポートはもちろん、飲み物の用意から娘の機嫌取りまで何でもやる。

・世界中に働きたい人がいる職場で、代わりがいくらでもいるのはわかるけど、雇っては潰すような新人の扱い方って本当に効率がいいんだろうか。

・アンドレアが、ファッション誌で働く以上、きちんとファッションに向き合う姿勢が大事なんだと気づいてから、一気に見た目がきらびやかになる。

・いろんな服装でさっそうと街中を歩く様子が、ただただかっこいい。

・それを見てしまうと、ダサいセーターを着ている時のほうが馴染んでいなかったように思える。

・職場に適応していく彼女に頼もしさを感じる一方で、環境も生活も一変してしまい、恋人と同じ空間にいることすら不自然に見えてくる。

・程度の差こそあれ、就職前後のカップルにはありがちな話なので、共感できる人は多そう。

・感じ方は人それぞれなんだろうけど、どうしても彼女のいる職場に歪さを感じてしまう。

・ミランダが望まないからやらないだけで、彼女が指示すれば人の一人や二人くらい殺しかねない雰囲気はある。

・接客業でたまに遭遇する、無茶なことを言ってくるような客って、こういうところで働く人たちなのかなと思ったりする。

・自分たちの職場のルールを職場の外の他人にも押し付けてくる感じ。

・ハリー・ポッターのくだりも、仕事ができる描写というより、ハラスメントの拡散に思える。描かれてないだけで迷惑を被った人はたくさんいそう。

・とはいえ、そこでしか得られないものがあるのも確かで、最終的には元の立ち位置に戻っているようで、確実にひとまわり成長している。

・ぱっとしないプロレスラーが一回ヒールを経験することで存在感を増す感覚に近い。

・成長って難しい。

(PrimeVideo)

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ロバート・ルケティック監督『キューティ・ブロンド』(2001年)

2024-11-13 01:54:25 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/12

・金持ちで容姿も派手なエルが、政治家志望の元カレとヨリを戻すため、彼と一緒のハーバード大学のロースクールに進学して大活躍する話。

・あらすじを書いてみるとスッカスカな話に思えるが、女性蔑視という裏テーマがあって油断ならない。

・エルがフラれたのは、金髪でスタイルもいいという見た目が代議士の妻にふさわしくないという理由。

・SNSで「容姿の良い女性は男からチヤホヤされて得だと言われがちだが、むしろハイリスクハイリターンの人生を強要されるから大変なんだ」という投稿を見た。

・自分には縁のない話だけど、好きでもない男に付きまとわれる煩わしさや危なさぐらいなら想像できる。

・本作では、「金持ちで容姿がいい女は頭が悪い」という身もふたもない偏見がベースになっている。

・エルの派手さは学問としてファッションを学んでいることが前提にあるし、実際優秀な成績をおさめている。

・加えてイベントの企画を積極的に行い、友人たちからの信頼も厚い。育ちも年齢も全然違うネイルのおばちゃんとは親友のように付き合っている。

・あそこに出てきた無駄にセクシーなおじさん、重要人物かと思ったら、ただのセクシーなおじさんだった。

・彼女が本気で勉強すればハーバード大学にも入れる。ちょっと頭がいいというレベルではない。

・そんな傑物が、金髪でスタイルがいいという理由で不要に貶められている。

・たしかにチワワ同伴でロースクールに現れる彼女は明らかに浮いている。

・そんな彼女と、見た目が地味なだけで基本優秀な教師や生徒たちとぶつかる。その瞬間がおもしろい。

・仮装パーティーに真正面から向き合っている姿に笑った。全力で腕が振れている感じに好感が持てる。

・やがて彼女はうまく自分のスタイルを微調整して環境に適応する。賢い。

・何でもかんでもとんとん拍子で進むというライトコメディらしい進行を逆手にとって、貶められていたエルが本来の能力を発揮していく様子と重ねる。

・ライバル女をすぐに許してしまうのは軽すぎると感じたけど、そのあたりも彼女の懐の深さと解釈できた。

・あと、元カレの浅はかさが不憫だった。

・中終盤のかつての敵が味方に変わっていく感じや、最終的に法律ではなく、美容の知識で問題を解決しているところがとてもきれいだった。

・自分も僻みっぽい性格なので、容姿の良い人は性格が悪いとか頭が悪いとか何かしらの欠点を持っていていほしいと願ってしまいがち。できるだけ惑わされずに生きていきたい。

(U-NEXT)

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ブライアン・デ・パルマ監督『キャリー』(1976年)

2024-10-22 23:06:05 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/10/22

・日常的にいじめと虐待を受けている女子高校生キャリーが、参加したプロムで大変なことになる話(一応ネタバレは回避する方針)。

・北大の北図書館で視聴したので、冒頭のシャワーシーンがとても気まずい。

・後半の布石とはいえ、いじめが直接的で不快。「もう最後わかるよね?」という作り手の目配せを感じる。

・生理を知らず、半狂乱でクラスメイトに助けを求めるシーンが痛々しく、それに対する反応も酷い。

・自分の恋人にキャリーを誘わせて、プロムに連れ出そうとするスーの気持ちが全くわからない。

・特に彼女が心変わりするようなシーンもなかったし、嫌がらせチームの準備シーンと並べて見せられるので、当然共謀していると思っていた。

・先生が疑っていたのも理解できるし、一緒に「なにとぼけてるんだ」という感じ。

・なので、最後のところも彼女が一番重い罪を背負ったんだなと腑に落ちていたんだけど、あとでその解釈も間違っていたとわかって混乱する。

・少なくとも最初のうち全然乗り気ではなかったし、本当に本人が来るかどうかも微妙だったのに、あんなに手の込んだ準備をしていたんだろうか。

・たかがイジメのために生きた豚を殺してまで血を得るという発想はぶっ飛んでるし、実行する行動力にも驚く。

・アンケートのすり替えもわりとギリギリの感じだったし、ステージ上の一人だけに生き血をかける仕掛けも、ぶっつけ本番にしては難易度が高すぎる。

・ちゃんとリハーサルはしたんだろうか。

・たまたまキャリーが超能力者で母親をねじ伏せることができたからよかったものの、来なかったらどうするつもりだったんだろう。

・キャリー連れ出し班と、嫌がらせ準備班に分かれて行動していたと考える方が自然だと思うんだけど、たぶん何かを見落としている。

・それでも全世界のいじめられっ子が留飲を下げるクライマックスシーンは圧巻。

・特典映像のインタビューで「一瞬で鼓膜が破れた」という役者さんがいたり、ヒロインがスタントを使わずに火柱のすぐ横を歩いていたりで、冒頭からそうだったけど、全体的に演者が体を張りすぎだと思った。

(U-NEXT)

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阪本順治監督『北のカナリアたち』(2012年)

2024-10-05 01:13:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/10/4

・元教師が、かつての教え子が殺人事件を起こしたことを知り、他の教え子たちを訪ね歩く話。

・その元先生役が吉永小百合。

・実写映画で、定年退職したヒロインの役を演じられる人は貴重。

・船から先生が現れるとき、フェイクで出てくる怖そうな顔のおばさん。そのためだけに出てきたっぽくて、もっと出番あげてほしかった。

・話は教え子が殺人事件を起こした理由を探るような体で進行するが、実際には別の目的がある。

・教え子たちの思い出は、彼女が教師をやめるきっかけになった事故の話に集約していく。

・それぞれの視点で事故を振り返ることで、どんどん事故の解像度が上がっていくし、生徒たちの当時の思惑が明らかになっていく。

・子供たちの演技が様式的なのはご愛敬として、合唱が始まると普通にうまくてびっくりする。

・そういう設定はないだろうに、逃げようとする森山未來の身のこなしが軽い上に、その軽さを強調するような演出が入っていてちょっと笑ってしまった。

・企画的に吉永小百合を中心に据えるのが確定していたからこそ、脇の俳優に実力者を揃えたんだろうけど、みんな主役ができる人たちなので逆に話のバランスをとるのが難しそう。

・それでも、あくまで主人公は吉永小百合のまま、それぞれの俳優に見せ場を作り一本の話を作っている。脚本の構成と配役のセンスが好き。

・キスシーンを書くのは結構勇気いると思うけど、脚本家の方は、どんな気持ちで書いたんだろう。

・物語とロケ地どちらが先なのかわからないけど、利尻礼文の雄大な自然と、何かと間違いを犯しがちなちっぽけな人間たちを対比させる構図もよくできている。

・最後の合唱は感動的なんだけど、どうしても演者が豪華すぎるという感想になってしまう。これだけの人たちが集まって人前で合唱するなんて二度とないだろうし。

・エピローグ風に大御所二人で占めるのも配置の妙。セリフはよくわからなかったけど。

・礼文島のロケ地にも行ってみたくなった。

(U-NEXT)

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中平康監督『月曜日のユカ』(1964年)

2024-09-27 00:03:53 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/9/25

・男を喜ばせることを生きがいにしているユカが、パトロンのパパを喜ばそうとして空回りする話。

・冒頭の灯台みたいな場所で男女二人がいちゃついているところに、巨大な船が通り過ぎていくシーン好き。

・ユカ役は加賀まりこ。不自然なほど時代感のない美人。ちょっとしたオーパーツだった。

・彼女にはパトロンと恋人がいる。

・特別、悪女でも計算高いというわけでもない。

・男を喜ばせようとする信仰に近い信念を持っている。

・純粋なぶん、危なっかしい。

・誰が見ても成功しそうにない人形作戦を楽しみに計画しているところも、不安をあおられる。

・誰とでも寝るが、キスだけは拒否する。それが現実的に有りうるのかはよくわからない。

・相手を喜ばせるという目的が、どこまでも相手次第になってしまうので、どう転んでも幸せになれない。

・母親の教育がおかしい。彼女の職業病のような不自然な笑顔も居心地が悪い。たぶん演技の工夫の一つだと思う。演者は北林谷栄。

・終盤、せっかく気合入れて身支度していたのに、厄介者扱いされているのが本当に悲しい。

・ユカは完全に相談相手を間違えているけど、それに気づいている様子もない。誰にでも「一番愛している」と言うのはたぶん母親の教え。

・加賀まりこの演技は基本様式的だけど、英語で会話するときのほうが自然な感じがする。

・単にかわいいだけではなく、純粋さ、危なっかしさ、頑固さ、図太さ、不憫さと、色々な要素で組み立てられている。

・キリスト教との関係が読み取れるともう少し深く楽しめそう。

・商売相手から「あの女がほしい」と求められるパトロン。セックスの接待。商売相手からも「パパさん」って言われてるの、どうなの。

・それまでは何とかパトロンとしての威厳を保っていたのに、完全に化けの皮がはがされていた。「びっくりしたんだ」の繰り返しも残念。

・その流れで、船長の相手をお願いするのも酷い。

・最後、笑いごとじゃないのに笑ってしまった。

・彼女のキャラクター、音楽、それまでにされてきたこと、奇跡的なバランスでまとめられていた。

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野村芳太郎監督『砂の器』(1974年)

2024-09-15 21:56:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/9/10

・刑事が殺人事件の捜査を続けていくうちに、ある音楽家の奇妙な半生が明らかになっていく話。

・脚本家橋本忍の代表作はたくさんあるが、その筆頭候補となる作品。

・映画史的な評価は高いが、地味で重そうという先入観もあったので、不安な気持ちで見始める。

・わざわざ東京から秋田に出張して捜査をしている様子から始まり、その前段となる殺人事件とその捜査の様子が描かれる。なぜか時系列を入れ替えている。

・そのあとは、その刑事が島根、大阪、伊勢、石川と事件に関係の在りそうなところをめぐっていき、じわりじわりと新しい事実が判明していく。

・刑事役の丹波哲郎が若い。自分の中では大霊界のイメージが強すぎて、普通にかっこいいことに戸惑う。

・部下と飯を食べるときの距離が妙に近い、個人情報の扱い方、食堂車、舗装されていない道、老朽化した駅の風情など、当時の日常描写がおもしろい。

・当時すでに大人だった人や、当時にかすりもしない若い世代が見たら、全く印象が変わりそう。

・愛人が気の毒すぎる。堕胎以外のやりようあっただろうに。

・本人は一人で育てるって言っているし、婚約者にも勘付かれている風だったし、お金で解決できる範囲だったと思うけど、やはり「父親不在の子供」に対する忌避感があったんだろうか。

・物語に引き込まれていくのは終盤40分くらい。ここから急に時間の流れが速くなったような気がする。

・オーケストラの演奏を背景に、丹波哲郎が事件の真相を犯人の半生とともに語る場面。

・音楽と語りと映像がきれいに調和していて心地よい。

・回想シーンの風景の美しさや、実の父親の鬼気迫る否認のシーンが見どころ。

・ただ、あの回想の子供と音楽家の彼がどうしても繋がっているように思えなくて、別の話が始まったような感じがしてしまう。

・極端な話、前半2/3がなくても面白さが目減りしないような気がする。

・曲で父親と向き合っていたというくだりはよくわからなかった。そんな描写あったっけ。

・後半一気に話を展開させる構成は真似したくなるし、実際真似している作品も多いと思う。

(U-NEXT)

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エリザベス・バンクス監督『コカイン・ベア』(2023年)

2024-07-20 00:50:40 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/7/19

・密売人の事故でバラまかれたコカインで、アメリカクロクマがラリってしまい、様々な事情で森に入ってきた人たちを次々と襲う話。

・こういうジャンルの90分ちょっとの作品にしては、登場人物が多い。

・滝の絵を描きに来た子供たち、その子供たちを探す母親、コカインを回収しようとするマフィアたち、ただのチンピラ、森林レンジャー、刑事、医者。

・いかにもB級っぽい話なのに、それぞれがそれなりのエピソードを抱えていて、群像劇の雰囲気がある。

・普通、死ぬ役割の人は死んでも悲しくならないようにステレオタイプの人物設定にする。

・死に方は、コミカルだったり、ゴアだったり、うっかりだったり、多岐に富む。もはやクマに襲われて酷い目に遭う大喜利大会みたいになっている。

・早々に人が死ぬし、そのあともどんどん死んでいく。

・事情を抱えた人々がゴミのように死んでいっても、相手がクマ、言い換えれば大自然なので、思いのほか後味が悪くならない。そのへんのバランス感覚が絶妙。

・当たり前だけど、現実に襲われた経験のある人は観てはいけない。実際観る人がいるとも思えない。

・観る前からどんな内容か分かりやすい話なので、遠慮なく不謹慎のほうに振り切っている感じ。

・クマの習性に対する最低限の知識「逃げる者を追う」「奪われたものを取り返してはいけない」に忠実。

・そのうえで、「コカインを持っているものを優先的に襲う」というルールが加わっている。コカインベアはコカイン大好き。

・様々な事情を抱える人間たちを、上のルールに沿って、きれいに捌き切っている。

・特に最後。この事態の元凶は誰か。見ている人が、ちゃんとコカインベアを応援したくなるような構成になっている。これはすごい。

・一見、タイトルでオチがついているような安っぽい話なのに、脚本の人の技術が相当高い。ジミー・ウォーデン。

・頼りになるのかならないのかよくわからないおばちゃん森林レンジャーと、すぐ死にそうで意外と粘る医者の兄ちゃんが好き。

・たぶんあの距離だとライフルよりも徒手のほうが強い。

・なぜかカップルの名前がエルサとオラフ。アナ雪好きなのかな。

(PrimeVideo)

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『バベル 7.16』

2024-05-20 08:57:53 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/5/19

・2016年のアヴィニョン演劇祭で上演された、15国籍23人のダンサーとミュージシャンによるパフォーマンス。

・女性の一人語りから始まる。AIのような無機質な語り口で言語としての身振りについて語る。手話のようにも見えるがだんだん複雑化していって、人間として見るには不自然な機械的な動きになっていく。

・次に登場人物が集まってきて同じように動くんだけど、見た目も服装もバラバラで、同調性は強調せずに、同じ振り付けで動くことで違う部分をわかりやすく見せている感じ。

・多国籍の演者たちが言葉、踊り、歌、それぞれの異なる見せ方で小さなシーンを作って、それらを組み合わせて構成している。

・こういう作品だと、全体に対して今がどれくらいなのかわかりにくいので、どんなに高度なことをやっていても長く感じてしまいがち。

・5大陸を表現しているという巨大な直方体の枠を組み合わせて様々な場面を作っている。何か具体的なものの置き換えることもあれば、抽象絵画っぽくもなる。

・あんなに大きくて細い枠なのに、演者が乗ってもゆがんだりしない。何で作ったらそうなるんだろう。

・ダンス批評のシーンに対して笑いが起きていた。観客のダンスリテラシーがかなり高い。

・移動するとだんだん人間から類人猿に変化していくところがおもしろい。

・日本人もいる。知らない言語に交じって日本語が聞こえてくるのが不思議な感じ。

・最後のほうに、バベルらしく、各演者がそれぞれの国籍の言語のよさをアピールしながらケンカになっていく。

・日本語がまあまあ良い扱いされていた。関西弁だった。

・いて当然の中国人がいたかどうかはわからなかった。少なくともあんまり目立つ感じではなかった。

・終盤になって登場人物が再び横一列になって二人三脚のような動きをする。たどたどしくても慎重に。まるで今の雑で単純化してしまいしがちな世の中全体に求められている態度のようだった。

・バベルの塔の話は神様に言語をバラバラにされたことによる人類の不幸だったけど、彼らの様子を見ていると、言語も含めて全然違う人間がいるからこそ楽しいんだという主張に思えて、勝手に感動した。

(U-NEXT)

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