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齋藤研究室

日本公民教育学会講演報告

2015-06-14 15:29:34 | Information
昨日2015年6月13日、高千穂大学で開催された日本公民教育学会にて、「哲学対話の可能性――社会と教育を結ぶひとつの実践として」と題してお話させていただきました。公民教育をご専門とする先生方に哲学対話がどのように受け止めていただけるか、当初はいささか不安ではありましたが、皆さんたいへん熱心に耳を傾けて下さり、ほんとうに嬉しいかぎりでした。講演後も多くの先生方からご質問やお問い合わせをいただき、教育現場での哲学対話への関心の高さもひしひしと伝わってきました。司会を務めていただいた本学の鈴木隆弘先生、そしてご清聴いただいた日本公民教育学会のみなさまにこの場を借りて御礼申し上げます。

今回は、哲学対話の歴史や方法を紹介するだけでなく、ガダマーの「哲学的解釈学」をとおして「哲学対話」を考察してみることにも挑戦しました。『真理と方法』冒頭に掲げられたリルケの詩を最後に引用して講演の締めくくりとしたのですが、これは哲学的解釈学のみならず、哲学対話の精神を表現しているものに思えてなりません。

おまえが自分で投げたものを捕らえているあいだは、すべては
手なれた技量に尽き、うるところは乏しい――
おまえが思いもかけず、永遠の競技相手、運命の女神が、かつて
おまえに、おまえ目がけて、まさに
熟練の弾みをつけ、神が作り上げた大きな橋の
あのアーチのひとつの形をとって投げてよこした
ボールの受け手になるときに初めて、
そのときにこそ初めて、捕球の技がひとつの能力となる――
おまえの能力ではなく、ひとつの世界の能力に。


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