SAITO Lab. BLOG

齋藤研究室

フンボルトのグラマトロジー

2009-06-26 23:54:33 | Information
村井則夫氏との共訳、ユルゲン・トラバント「フンボルトのグラマトロジー――言語の本性への斬新な洞察――」を『思想』2009年第7号(240-271頁)に寄稿しました。

http://www.iwanami.co.jp/shiso/1023/shiso.html

http://opac.ndl.go.jp/articleid/10255198/jpn

トラバントはヨーロッパ言語思想、とくにヴィルヘルム・フォン・フンボルトを中心とする言語論、言語哲学の研究者。広範な歴史的視野のもと、現代の哲学的・思想的文脈を踏まえた言語についての鮮やかな思考は、とても刺激的。
http://userpage.fu-berlin.de/~trabant/


今回の論文でも、ヘーゲルとフンボルトを対比させながら、現代のメディア論やデリダの音声中心主義・現前性中心主義をめぐる思考に対する批判を皮切りに、口承言語と文字言語をめぐる新たな洞察、それらの変遷を大局的に捉える歴史観が提示されている。随所で目の覚めるような指摘がなされていて、こちらの哲学的思考も大いに触発された次第です。

第1回法政ミュージアム企画展示のお知らせ

2009-06-25 22:59:27 | Information
【第1回法政ミュージアム企画展示】

「和辻哲郎の書き込みを見よ! 和辻倫理学の今日的意義」

―書き込みの豊富な和辻哲郎蔵書・解説パネル・断簡などの展示により「和辻倫
理学」に新たな光をあてる試み―

http://www.hosei.ac.jp/general/lib/3rd_news/watsuji_090611.html

 会期:2009年9月24日(木)~10月23日(金)(土曜・日曜・祝日を除く)
 会場:法政大学外濠校舎6階展示コーナー(市ヶ谷キャンパス)
 時間:10:00~16:30
 主催:法政大学図書館
 後援:岩波書店
 協賛:野上記念法政大学能楽研究所、法政大学国際日本学研究所


<企画展示の並行プログラム>

特別セミナー第1回(シンポジウム)

テーマ:「グローバル化時代の和辻哲郎の思想の射程」
司会:牧野英二(法政大学文学部教授)
  森村 修(法政大学国際文化学部教授)「国際文化のなかの和辻倫理学の意
義と制限」
  関口すみ子(法政大学法学部教授)「ジェンダー視角から見た和辻像」
  清水正之(聖学院大学人文学部教授)「日本思想史における和辻哲郎の功
績」
日時:2009年7月17日(金)17:00~19:00
会場:法政大学富士見坂校舎1F遠隔講義室(市ヶ谷キャンパス)
問合先(セミナー共通):E-Mail:museum@ml.hosei.ac.jp/TEL:03-5212-4108

特別セミナー第2回(講座)

テーマ:「和辻哲郎の書き込みを見よ!」
  牧野英二(法政大学文学部教授)「本企画の意図 ―歴史の記憶としての
<書き込み>の意義―」
  笠原賢介(法政大学文学部教授)「ヘルダーの著作の書き込みを見よ!」
日時:2009年9月25日(金)17:00~18:30
会場:法政大学ボアソナードタワー26Fスカイホール(市ヶ谷キャンパス)

特別セミナー第3回(講演会)

テーマ:「和辻倫理学とハイデガー哲学」
講師:ハンス・ペーター・リーダーバッハ(関西学院大学社会学部教授)
日時:2009年10月9日(金)17:00~18:30
会場:法政大学富士見坂校舎1F遠隔講義室(市ヶ谷キャンパス)


法政大学図書館所蔵「和辻哲郎文庫」特別入庫

日時:2009年9月25日、10月2日、10月9日、10月16日、10月23日の
 16:30~17:00
受付人数:先着順受付(各回5名まで)
集合時間:16:20
集合場所:法政大学市ヶ谷図書館入口奥側展示コーナー

実存思想協会第25回大会

2009-06-17 19:56:28 | Information
実存思想協会第25回大会プログラム

日時    2009年7月4日(土); 9:30~20:00
場所    学習院大学 : 学習院創立百周年記念会館3F

Ⅰ 研究発表(9:30~12:30)

A会場 学習院創立百周年記念会館3F第1会議室

   (1)   「ヘーゲルにおける感情と精神の問題」   鈴木亮三(東北大学大学院)

          司会: 杉田正樹(関東学院大学)
   (2)   「罪について―キルケゴール思想を基に―」   行武宏明(東洋大学大学院)

          司会: 工藤宜延(明海大学)
   (3)   「全体的な部分―メルロ=ポンティにおける言語と表現の問題を手がかりに―」
                             大森史博(東北大学大学院・専門研究員)

          司会: 本郷均(東京電気大学)
   (4)   「創造的決断と規則遵守のあいだ―ウィトゲンシュタインは実存主義者か―」
                                       荒畑靖宏(成城大学)

          司会: 戸島貴代志(東北大学)
B会場 学習院創立百周年記念会館3F第3会議室

   (1)   「<真理への意志>の争い―ヤスパースのニーチェ解釈と多元性の問題―」 
                                       山下真(法政大学大学院)

          司会: 平野明彦(日本大学)
   (2)   「実存と日常―ヤスパース哲学を手がかりに―」  高橋章仁(早稲田大学)

          司会:羽入佐和子(お茶ノ水女子大学)
   (3)   「美しいものが巨怪なものに対して勝利を収めるとき
         ―ニーチェ『人間的、あまりに人間的』第Ⅱ巻における「偉大な様式の考察―」 
                                       山本恵子(早稲田大学)

          司会:湯浅弘(川村学園女子大学)
   (4)   「アーレントからみたハイデッガーのDenken」  加藤篤子(学習院大学)

          司会:秋富克哉(京都工芸繊維大学)
Ⅱ 会員総会(13:30~14:00):学習院創立百周年記念会館3F小講堂

Ⅲ 講演会(14:00~17:00):学習院創立百周年記念会館3F小講堂

   理事長挨拶

   テーマ「実存の美学」

   1.「「実存の非・美学」―ハイデッガー、利休、そして…―」  龍谷大学教授  大橋良介

   2.「「華やぐ知恵」と肯定の思想―ニーチェにおける生の美学・感性論―」
                                       明星大学准教授  村井則夫

         司会   関口浩   (早稲田大学)

Ⅳ 懇親会(18:00~20:00):さくらラウンジ(学習院大学構内)

   会費:3,000円


2009-6-17

2009-06-17 19:52:58 | Diary
ヨーロッパ現代哲学への招待

梓出版社

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共編著『ヨーロッパ現代哲学への招待』を刊行。
新進気鋭の研究者の皆さんと一緒に執筆しました。


***

 
まえがき

第Ⅰ部「生と哲学」

 ショーペンハウアー――〈戦い〉としての哲学的生   (齋藤智志)
    はじ めに
    1.「私は一九世紀の哲学者になるだろう」――世間と戦う
     2.意志と表象としての世界――権威と戦う
    3.共同体と共同性――国家と戦う
    4.ショーペンハウアーはペシミストか?――キリスト教と戦う
    5.同情から意志の否定へ――自らと戦う
    最後に 真理のために戦う

  著作と翻訳

 ニーチェ――絶対の喪失という希望   (竹内綱史)
    は じ め に
    1.形而上学と歴史の狭間で
    2.自由精神三部作
    3.身体をめぐって――実験哲学から権力への意志説へ
    4.ディオニュソス再び
    お わ り に

  著作と翻訳

 ディルタイ――精神科学の哲学者   (伊藤直樹)
    1.ディルタイという人物、およびその生涯
    2.精神諸科学の基礎づけという企て
    3.精神諸科学の心理学的基礎づけ
    4.精神諸科学の解釈学的基礎づけ
    むすびにかえて

  著作と翻訳

 ベルクソン――継起・生命・問題   (村山達也)
    1.継起から自由へ
    2.創造と拘束としての生
    3.問  題

  著作と翻訳


第Ⅱ部「現象と解釈」


 フッサール――現象の相のもとに   (吉川 孝)
    は じ め に
    1.生の復権
    2.現象の相のもとに
    3.職業としての哲学
    お わ り に

  著作と翻訳

 ハイデガー――哲学と芸術をめぐって   (齋藤元紀)
    はじ めに
    1.哲学と芸術
    2.像と図式
    3.芸術の生起
    お わ り に――哲学と芸術をめぐって   

  著作と翻訳

 メルロ=ポンティ――意味の深層へ   (川瀬雅也)
    は じ め に
    1.意味の構造
    2.意味と身体
    3.意味と時間
    4.時間の深層への問い
    5.時間の深層の構造

  著作と翻訳

 ウィトゲンシュタインガダマー――有限な理性の不遜な夢   (荒畑靖宏)
    1.ウィトゲンシュタインとガダマー
    2.意味することの神話に抗して
    3.予断と蝶番命題――啓蒙主義とデカルトに抗して

  ウィトゲンシュタインとガダマーの著作


第Ⅲ部「差異、他者、身体」


 サルトル――自分に逆らって考える   (永野 潤)
    は じ め に
    1.《外部》の哲学
    2.存在と無
    3.ヒューマニズムと倫理
    4.植民地と暴力
    5.孤独と連帯
    お わ り に

  著作と翻訳

 デリダ――脱構築とヨーロッパ近代の臨界   (宮裕助)
    は じ め に
    1.脱構築と構造主義
    2.脱構築と「アウシュヴィッツ」の問い
    おわ りに

  著作と翻訳

 ドゥルーズ――イメージの/と思考   (増田靖彦)
    はじ めに
    1.ドゥルーズ哲学のスケッチ
    2.システムとしての差異と反復の哲学
    3.哲学における思考の発生
    おわ りに

  著作と翻訳


事項・人名索引


日本ディルタイ協会 2009年関西研究大会

2009-06-09 11:57:51 | Information
日本ディルタイ協会2009年関西研究大会

[日時]2009年7月4日(土)
[場所]関西大学(千里山キャンパス)尚文館202教室

[プログラム]

テーマ 「ジェンドリン - 心理学と哲学のコラボレーション」
司会・廳茂氏(神戸大学教授)

①心理学からの基調講演(14:00-15:30)
池見陽氏(関西大学教授・心理学)「ジェンドリンの心理療法論」

②哲学からの応答(15:35-16:35))
三村尚彦氏(関西大学教授)「フッサールからの応答」
森本司氏(桜花学園大学教授)「ディルタイからの応答」

③討論(16:40-17:40))

④懇親会(18:00-20:00)
場所:レストラン・チルコロ(正門右手・新関大会館南棟内)
会費:5000円

ハイデガー・フォーラム

2009-06-09 11:55:02 | Information
『Heidegger-Forum』 第三号も刊行。次回第四回大会も楽しみです。

http://www.shujitsu.ac.jp/shigaku/hf/index.htm

ハイデガー・フォーラム 第四回大会

・プログラム
日時:2009年9月20日(日)、21日(月・祝)
場所:京都工芸繊維大学

初日 9月20日(日)
10:30-11:50 発表1:西山達也「アジールとしての翻訳――ヘルダーリン「ピンダロス断片」とハイデガー」
12:00-13:00 昼食
13:00-14:20 発表2:関口浩「詩作に対して思惟とはなんであるのか?」
14:30-15:50 発表3:仲正昌樹「哲学にとっての母語の問題――ハイデガーのヘリダリン解釈をめぐる政治哲学的考察」
16:00-17:20 発表4:高橋輝暁「ヘルダーリンにおける詩と哲学あるいは詩作と思索」
17:45-    懇親会

二日目 9月21日(月・祝)
10:00-11:20 発表1:茂牧人「存在と神を結ぶもの――ハイデガーの無底の神学」
11:30-12:50 発表2:長町裕司「〈形而上学に入り来った神〉もしくは〈形而上学から退去する神〉?――ハイデガーの「存在の思惟」とエックハルトの根本テーゼ「存在は神である」」
13:00-14:00 昼食
14:00-14:30 総会
14:30-15:50 発表3:大貫隆「認識から体験へ――グノーシス主義の変容?」
16:00-17:20 発表4:片柳榮一「終わりなき終わりの此方と彼方――有限性をめぐる人間と神に関する一考察」
・統一テーマ 「いま、神はどこに」
 キリスト教神学を「由来」とするハイデガーの思索を考えるうえで、神の問題は避けて通れない。若き日におけるパウロ、アウグスティヌス、ルター、ドイツ神秘主義等への関心。ニーチェやヘルダーリンに触発されて「神の死」や「神々の逃亡」について熟考した1930年代。とりわけ、『哲学への寄与』で語られた「最後の神」の謎。古代以来の形而上学が「存在論-神学」という二重の体制をとってきたことにまつわる、独自の存在史的ヴィジョン。そして、「かろうじて神のようなもののみがわれわれを救うことができる」と述べた晩年の境地。――ハイデガーの事例を手がかりとしつつ、哲学において神を積極的に問題にすることは今日どこまで可能か、さらに、われわれ現代人に神はどのように現われうるのか、改めて考えてみたい。

・特集 「ヘルダーリン――ハイデガーと詩人たち I 」
 ハイデガーの思索に決定的な影響をおよぼした詩人として、ヘルダーリンを取り上げる。1934/35年にヘルダーリン講義を開始して以後、ハイデガーにとってヘルダーリンは、出来事についての思索を鼓舞してやまない「最も将来的な者」であり続けた。近代ドイツの運命を凝視しつつわが身に引き受け、没落していった気宇宏大な精神。シェリングやヘーゲルらに伍して磨きあげた古代ギリシア観と、独自のキリスト理解。硬質の表現世界を切りひらいた妥協なきスタイルと、ギリシア語からの愚直なまでの翻訳実験。――統一テーマの「神」の問題と連動することも予想されるし、思索と詩作との連関を範例にそくして追跡することも期待できよう。また、ヘルダーリンの位置からして、独文学や政治思想、精神病理学等への脱領域的冒険も楽しみである。