イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

クリセニアン(7) 心に壁を作りフェランを排除したジーク

2007年10月05日 12時09分07秒 | 小説
 クリセニアン《夢語り》編の第1巻『エル・デオの眠れる王に』&第2巻『眠れる神々の道へ』の“眠れるシリーズ”を読み返してみると、ジークは心に壁を作りフェランから遠く離れていて、2人の心と心は通わなくなってしまったのです。兄弟愛に満ちた麗しい兄弟に見えますが、フェランが一方的に愛情を注いでいるだけで、弟からの愛を注がれるジークは上辺だけの慈愛を装い、フェランを拒絶しています。

 ゼルミナ女王と結託してエルミネール王国の先の国王の側妃ミルデラーテの想い出を独占しフェランを蚊帳の外に蔑ろにしていた頃からジークの願いを叶えるために闘っていたフェランとは既に心がすれ違っていたけれど祖国を復興させて共に宮殿に暮すようになってから更に心が離れていってしまったジークは救いようのないロクデナシです。

 蛇族であることは確かだけれどフェランの側近ゼラードの親族らしいという類友のデュカールだけがジークの欺瞞を見破り彼の心に寄り添っているのです。


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