イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

人類よ!ジャミラの哀しみを、イデの怒りを知れ!!

2008年11月06日 21時26分32秒 | ドラマ

 ウルトラ・シリーズで、一心同体と呼ばれる地球人とウルトラ戦士の肉体の共有タイプとは異なり、同じく一心同体と呼ばれていても『ウルトラマン』でのハヤタ・シン(黒部進)にはウルトラマンと一体化していた間の記憶は皆無であり、一方的な寄生というべき珍しいタイプです。

 しかも、交通事故を起こして死なせた相手に対する罪滅ぼしで一体化し、地球を守るためではなくてハヤタの愛する地球を守りたいという想いのためにウルトラマンは闘ったのですから。最終回でウルトラマンを迎えに来たゾフィーに、自分の不注意から死なせてしまったハヤタに申し訳ないからとウルトラマンは応じられずにいましたが、ゾフィーがハヤタに代わりの命を与え、漸く安心したウルトラマンを伴ってM78星雲に帰還しました。

 そんな“初代マン”と呼ばれるウルトラマンの黒星ともいういうべきエピソードがあります。「第23話 故郷(こきょう)は地球」がそれです!事故によって漂着した或る星の異常な環境(その惑星にとっては普通でも地球人にとっては自分を見捨てた地球への怨嗟を抜きにしても怪獣に変貌するほどに異常だった)で怪獣化したジャミラが、どうして怪獣と化し地球を襲い破壊と殺戮を繰り返した真相を…その元凶が何かを公表してこそ、真の平和に繋がる道が開けるとわからないジャミラの祖国フランスの罪は重い!墓碑銘を見て“犠牲者はいつもこうだ!文句はいつも美しいけれど……!!”とイデ・ミツヒロ(二瓶正也)は静かに怒りの炎を燃やしていました。

 ハヤタの肉体に宿るウルトラマンを含めた科特隊日本支部の隊員たちはあっさりとジャミラを忘れました。しかし、一人だけ真にジャミラを想うイデの心にはジャミラの断末魔が響いていたのです!地球のジャミラに対する仕打ちと、怪獣に変わり果てるほどに苛酷な環境を耐えて怨念だけを抱くほどに心を踏み躙られたジャミラを邪魔者扱いして殺したくせに、その死後に腐った根性の偽善者らしく言葉だけは綺麗に飾り立てて何もなかったかのように振る舞う身勝手さに、イデだけは静かに深く怒っています。

 科特隊パリ本部からアラン隊員が伝えた命令は“ジャミラの正体を明かすことなく秘密裏に葬り去れ!宇宙から来た一匹の怪獣として葬り去れ!!それが国際平和会議を成功させる、ただ一つの道だ。”と…!おまけに、日本支部の隊長ムラマツ・トシオ(故・小林昭二)も“イデ。お前の気持ちはわかる!だが…ジャミラは今や人類の敵になってしまっているんだ。”などと!!だから、何だ。ジャミラを人類の敵にしたのは他ならぬ地球人類なのに、彼を闇に葬り去れなんて正義の味方の…いいえ、それ以前に人間の言葉ではない。

 ドラマの中では明言されていませんが、アラン隊員が“おお!ジャミラ、お前は…!!”と怪獣と化した現在のジャミラを一目見てジャミラだとわかったし、激しく動揺していることから、某国とぼかされているけれどジャミラを見殺しにした祖国とはフランスに他なりません。

 因みに、ジャミラの名の由来となったアルジェリアのジャミラ・ブーパシャさんは、ネットを中心に“元は地球人だったが苛酷な環境に耐えるうちに怪獣と化したジャミラの名は、アルジェリアで拷問の末に殺されたジャミラ・ブーパシャに由来する”と広まっていたそうですが、そのジャミラさんは拷問で死んでなんかいません。

 誰かしら?拷問で死んだなんてデマを広めたのは…今現在はどうか知りませんが、拷問された時にはちゃんと生きているのは明白だったのに。



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