9番目のムサシ
ミッション・ブルー
「MISSION5~試練の冬~ Episode14」
篠塚:この山の上には使われなくなった古い城や館が数多く点在する。この雪で道は埋もれスノーモービルも途中までしか使えない、あとは徒歩で行くしかなくなるわけだ。で、どの建物に佐倉と慎悟は捕らえられているんだ?
結城:それはまだ教えられないな。
篠塚:なぜだ、ここまで来て。
結城:教えたら君はさっさとひとりで行ってしまうだろう?やっとの思いで君を引っ張り出して、この状況まで持ってきたんだ。できれば少しでも長く続かせたい。
篠塚:…………何が目的だ?
結城:前も言ったろ、他意はないさ。私たちは確かに敵ではあるが今は同じ相手を追う者同士、しかも目的はそれぞれ違う、おたがいの足を引っ張り合うより協力し合ったほうが得策ということだ。しかし、組織のトップとしてはそんなことは許さないから今は立場を捨てて、こうして個人で動いているというわけだ。まあ、でも何より一番の理由は君に興味があるからかな、一目惚れってやつかも。
篠塚:…………まじめに答えないなら話は終わりだ。とりあえず、あのふたりがこの山のどこかに捕らえられているのはわかった、あとは城や館をしらみ潰しに捜すだけだ。
結城:この雪の中を?城や館がいくつあると思っているんだ?UBに頼んでも相当時間がかかるぞ。
篠塚:信用できない相手と行動をともにするよりいいと思うが?
結城:本気だと言ったら?
篠塚:……………あのふたりの居場所を教える条件のひとつか?これは。
結城:…………だとしたら、どうする?
篠塚:聞かなくてもわかることだ。
結城:確かに……そのつもりがなければ今頃、私の命はないかもしれないしな。悪かったな、取り引きなどするつもりはない、君がその気になるまで待つとしよう。
篠塚:…………変わったヤツだな。
結城:紳士だと言ってくれ。
篠塚:私を口説こうとしているところが変わってるんだ。私は女だが、そういうことの対象にはなり得ないからな。何もない所で退屈しているのだろうが、どうせ口説くなら、ちゃんとした女性にしとけ。2時間後にはここを出る。それまでに身体を休めておけ、それといいかげんに着替えろよ、風邪を引くぞ。
結城:…………くっくっくっくっく、くっくっくっく。(まいったな……命令させるのも初めてだが、ああまで鈍いヤツも初めてだ、これは橘も苦労したろうな。)………………。
2年の間に数え切れない夜、SEXしているくせに寝言を言うな!自身が“人妻”という自覚が稀薄なのと慎悟と愛し合いSEXしまくっているのとレイプされかけた現実を理解できない阿呆の篠塚。
レイプ未遂のロクデナシの分際で、その何処が紳士だ。待っても時間が無駄になるだけで、篠塚が心変わりすることはない。慎悟に勝てる人間はいないのだ。