最近、コンビニエンスストアで「ワタリ」というタイトルのコンビニサイズのマンガを見つけた(笑)。
出版形態は異なるが、アマゾンのリンクはここ。http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091922732/503-7532927-3516739?v=glance&n=465392&s=gateway
作者は白土 三平。
時代は戦国時代後期という設定。ご存知伊賀と甲賀の対立がくりひろげられる。そのなかで、伊賀でも甲賀でもない流れの民としてワタリ一族のおじいさんと、子ども忍者ワタリは、保護とひきかえに伊賀の百地党(ももちとう)の下人(ある種の奴隷)になる。
この党というのは、司馬遼太郎が、江戸初期まで残った大名とは違う日本各地の組織的な支配体制で、奴隷制度の流れをくむと紹介していたものと思われる。
この世界での下忍の扱いは、要するに使い捨て労働力だ。危険な仕事を請け負わせ、失敗したり上のものの気に入らなければ「掟」によって処刑してしまう。下忍らは、残酷だとかかわいそうだと思いながらも、それを当然のように受け入れている。なるほど、こうして日々の「実践」が「構造化」される(ブルデュー)わけだ。
その同じ忍者同士を処刑する「掟」は、どんなものかわからない。現場のリーダーにもまったく分からないという。この点、どんな仕事があってどんなルールやシステムで動いているか、たずねても「分からない」という現代日本の派遣会社の営業と重なって見える。
あるいは、労働に関する法をほとんど知らされずに働く日本のフリーターとも構造的に類似している。
下忍たちが、どんなものかも分からない「掟」にしばられるのはイヤだと上層部に反乱を起こすのは、まるで忍者の労働組合運動みたいだ。それに対して上は弾圧する。19世紀おわりのイギリスの労働者団結禁止法のようなルールが「掟」には含まれているようだ。
タイトルがわたしのハンドルネームといっしょということで買ってみたのだが、とても興味深いマンガだ。読者が最寄のコンビニでこの本を見つけたときには、一読をおすすめしたい。日本の労働問題を考える際に、役に立つマンガだと思う。
出版形態は異なるが、アマゾンのリンクはここ。http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091922732/503-7532927-3516739?v=glance&n=465392&s=gateway
作者は白土 三平。
時代は戦国時代後期という設定。ご存知伊賀と甲賀の対立がくりひろげられる。そのなかで、伊賀でも甲賀でもない流れの民としてワタリ一族のおじいさんと、子ども忍者ワタリは、保護とひきかえに伊賀の百地党(ももちとう)の下人(ある種の奴隷)になる。
この党というのは、司馬遼太郎が、江戸初期まで残った大名とは違う日本各地の組織的な支配体制で、奴隷制度の流れをくむと紹介していたものと思われる。
この世界での下忍の扱いは、要するに使い捨て労働力だ。危険な仕事を請け負わせ、失敗したり上のものの気に入らなければ「掟」によって処刑してしまう。下忍らは、残酷だとかかわいそうだと思いながらも、それを当然のように受け入れている。なるほど、こうして日々の「実践」が「構造化」される(ブルデュー)わけだ。
その同じ忍者同士を処刑する「掟」は、どんなものかわからない。現場のリーダーにもまったく分からないという。この点、どんな仕事があってどんなルールやシステムで動いているか、たずねても「分からない」という現代日本の派遣会社の営業と重なって見える。
あるいは、労働に関する法をほとんど知らされずに働く日本のフリーターとも構造的に類似している。
下忍たちが、どんなものかも分からない「掟」にしばられるのはイヤだと上層部に反乱を起こすのは、まるで忍者の労働組合運動みたいだ。それに対して上は弾圧する。19世紀おわりのイギリスの労働者団結禁止法のようなルールが「掟」には含まれているようだ。
タイトルがわたしのハンドルネームといっしょということで買ってみたのだが、とても興味深いマンガだ。読者が最寄のコンビニでこの本を見つけたときには、一読をおすすめしたい。日本の労働問題を考える際に、役に立つマンガだと思う。
>映画「忍びの者」には、原作・村山知義(理論社版)とあるので、「赤旗」の日曜版に連載されていた、小説「忍びの者」を、最初に単行本として出版したのが、この理論社なのでしょう。
http://www.asukanet.gr.jp/ninja/cgi/1.html
村山知義と「忍びの者」についてはここ。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0929.html
市川雷蔵の映画については略。
白土三平なら、カムイ伝がお勧めです。
ワタリと映画=小説「忍びの者」はそっくりな話なので、原作が村山だろうというわけです。村山のアカハタ連載が1960年から、ワタリが1965年からですから、少なくとも大きな影響を受けたマンガであろうことは疑いないと思います。
http://homepage1.nifty.com/kumori-hibi/sirato01/sirato01.html
白土三平ファンページ参照
忍者の職業組合の話は「風魔」その他にも登場してきます。特殊技能を持つ忍者の命と報酬、権利を擁護する話です。昔の白土のマンガは時代背景もあり、いつも労働者や被抑圧者の権利擁護を(「サスケ」ですら)謳っていたのですが・・・、カムイ伝二部以降どうなったか読んでいません。
実は最近、コンビニのマンガ単行本コーナーで「ワタリ」のムック判を一冊立ち読みした段階でこちらの記事を書いたのです。ですので、わたしはまだ「ワタリ」のストーリー全体を見渡すタイミングではないんです。
もちろん、村山友義さんや小説「忍びの者」もはじめて知りました。もっとこまめにググれればいいんですが、今それができる条件にないので。
>白土三平なら、カムイ伝がお勧めです。
そのマンガ、まだ読んだことがないです。マンガ喫茶においてあるかな?
「ワタリ」について、今読んでいる範囲で言えることを書きたいと思います。
絵はけっこう好きです。主人公のワタリは、
忍法のからくりの説明は?ですが、なぞめいたムードをかもし出すためには役に立っているのでしょう。
ストーリー・世界観は記事中にもあるようにけっこう陰惨です。
このブログは、日本の伝統を尊重する立場からフリーターをはじめとする不安定雇用や社会的排除の問題を取り扱っています。
そのなかで、日本の伝統とのつながりを示す効果をねらって、わたしは「ワタリ」というハンドルネームを使うことにしました。
伝統の中にあるワタリの人々への承認を取り戻すために。また、現代的な権利を新たに作るために。その二つが重なるところをめざして、読者と情報を共有し、意見交換しています。
で、この作品のなかに描かれる忍者や下人が、まるでフリーターみたいに思えたのでとりあげたんです。
また、ワタリが仲良くなった伊賀の忍者といっしょに曲芸をやるシーンがありますよね。それが、ムラからムラへと渡り歩く芸人にも思えて、親しみをもてたのです。
そういうわけで、この記事につながったので、忍者とか、それに関する小説・映画のことなどはこれから学習することです。
右京さん、わたしを新しい学びに導いてくださって、感謝します。
ただ、その前に労働法やプライベートなこともあって親族・相続法のテキスト読まなきゃいけないんですよ。ですので、小説や映画は「あとのお楽しみ」になります。