原題は「Dirt:The Erosion of Civillization」土というよりも泥。いつも疑問に思っていた「4大文明の発祥地が本当に緑に覆われていたのか?」について,「古代文明がいかにして滅んでいったのか」という形で回答してくれています。豊かに見える熱帯の土壌は実に薄く脆弱であり,表土は僅か数年で流れさってしまうために恐ろしい早さで荒廃していくそうです。金肥の伝統がある日本に育ったので,著者が熱く語る畜肥の効用の素晴らしさについては「それって世界の常識ではなかったんだ」と驚きました。何年か前に雨期のミャンマーを訪れたとき,国内線の飛行機から見たミャンマーの国土はまさに水浸しでした。これこそがメコンデルタ有数の米処,ミャンマーの豊饒の大地の秘密だったのですね。有名なナイルの氾濫はああいうものだったのかと認識を新たにしました。
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