青森県立美術館の第2回企画展。
縄文と現代に共通する美の根底を探る;というような試みだったと思われます。
展示自体がインスタレーションでは?と思われるような手法もありました。
(例・台上の現代美術作品を縄文式土器がぐるりと取り囲んでいる)
展示室の最初には,最近流行の「こういう方向で理解をしてみよう」という先導かしらん?と感じる瞬間もあったのですが縄文式土器の持つ底力はそんな含みを破壊しつくすのに充分でした。また,土器を歴史遺物ではなく美術品だと解釈して展示する方法には驚きました。通常なら年代別・出土地別で展示されている土器が,おそらくはデザイン重視で配置されている大胆さ。
大量の土器を前にして,文字を持たなかった縄文人が何かを記録するために伝えるためにこれをこさえたのだろうな,と新しい方向から眺めることができました。
常設の今和次郎が展示換えになっており,「バラック建築」に関する資料とスケッチがありました。和次郎のペン絵による関東大震災後のバラック家屋のスケッチは陰影のコントラストがすばらしくて見とれてしまいました。
さて,「東京のバラック建築」という冊子のために撮影されたハリボテ建築の写真を眺めていると妙な既視感。たった今,これを見た覚えがあります。
そう,それは美術館内に建てられた奈良美智+grafの小屋でした。建築の技術や耐久性ではなく,用途と外観を最優先した震災の仇花の系譜がこんなところに繋がっていたとは。偶然にもつい先頃ネットの青空文庫で読んだ夢野久作の「街頭から見た新東京の裏面」に震災後のバラック建築について詳しく言及されており,いろいろな面からのバラック建築を俯瞰することが出来て興味深かったです。