旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

自己顕示欲が邪魔をする

2007年12月16日 | 旅行一般
バイクの場合も旅の場合もその本当の楽しみに至るまでに多くの人が向き合わなければならないのが自分の自己顕示欲との戦いであると思います。これは意識していない人もいるでしょうし、何年バイクに乗っていても、何年旅をしていても結局自己顕示欲の段階から抜け出せない泥沼にはまってしまっている人も見受けられます。

例えば、他の人が乗っていないバイクに乗っている事を密かに自慢にしていたり、旅した国を指折り数えてみたり、あまり人が訪れない国を訪れた事が自慢であったり、あるいは、最近の流行は、インターネットなどの情報網を駆使して、いかに安く旅行したかを自慢にしたり、そういう事は、結局バイクについても旅についても、楽しみの本質とは全く関係ない事柄でありながら、同時に人にとって魅力的な事であって、なかなか抜け出すのが難しいものです。

私自身もこういう事には長年はまり込んでいました。旅した国は数えるのが面倒になるまでは私の自慢の一つでしたし、バイクにも妙なアフターパーツをくっつけては"他人と違う"という自己主張と言う名の自己顕示欲を満たそうと懸命であった時代もありましたし、新しいバイクが発売されると誰より早く乗りたいと思った頃もありました。

私はバイクで通勤しているのですが、道路上にはそういう幼ない自己顕示欲を必死に満たそうとするバイクや車があふれていて、"ああ、あんな時代もあったなぁ"と微笑ましくも感じますが、"バイクなんかに負けるもんか!"と赤信号に向けて全開でダッシュする車や、大きな音をたてて周囲に迷惑なバイクは勘弁してほしいものでもあります。

楽しみの本質とは離れた、人に目立ちたいとか、評価されたいという領域でウロウロしているうちは本当の楽しみ方はなかなか見えてこないのですが、この領域からなかなか抜け出す事ができないのは、自己顕示欲というのは人間が社会生活を営む動物である事から来る本能に根差すものなのかもしれませんね。

自己顕示欲を満足させる段階に居る場合、そこから抜け出すにはより多くの経験を積む以外、方法はありません。ですが、時々、自分が今やろうとしている事、語ろうとしている事が、ただ単に自己顕示欲の成せる業かもしれないという事を意識してみる事も必要なのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿