旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

連鎖

2007年12月17日 | その他
こういう話はどうでしょうか。あくまで私が頭の中で組み立てた話なので、現実にあてはめて妙な事を考えないように。また、冷笑的に捉えてもなりません。

ある所に非常に賢明で心優しい人がいたとします。その人は町の夜景を眺めながらふと思います。"確かに美しいけれど、この明るさを実現するために、どれだけのエネルギーが消費され、どれだけの化石燃料が使用されているのだろうか。"そして、その思いは日々その人が心を痛めている地球温暖化の問題と結びついて形を成していきます。"そうだ。いつもいつも、これだけの明るさが必要なわけじゃない。1日位は電気を灯さずに過ごす日があっても良いのではないか。"

そしてその人は月に一度、電気を使わずに蝋燭を灯す日を設ける事にしました。やってみると、これはこれで、ロマンチック。そしてある日思いました。"これは他の人にもすすめてみよう。多くの人が賛同すれば、それだけエネルギー消費も減るはず。"

その人物の考えには多くの人が賛同して、ある日、皆で揃って蝋燭を灯して過ごす夜を設定する事になりました。

時代は電気エネルギーと化石燃料全盛の時代。一昔前なら各家庭に停電に備えて蝋燭は常備されていましたが、今は蝋燭などありません。新たに蝋燭を購入する人で蝋燭製造業界は大忙し。生産が追いつかないので毎夜徹夜に近い残業が続きます。工場はもちろんフル回転。生産業者の敷地では今までになく多くの発送用車輌が出入りし、卸売業者から小売業者への配送も増加。蝋燭業界は久し振りの好景気に湧き、新たな小売業者も参入。日頃忙しい人々のために深夜まで店を開ける所もあらわれます。

現代社会は複雑に絡み合って成り立っていて、一箇所の鎖を断ち切ったとしても、その連鎖から逃れる事は非常に難しいのではないでしょうか。その連鎖そのものを見直す必要があるという事に気がつかなければ、美しい心も、ただのブームとなり、そのブームを利用した商売の対象に過ぎなくなってしまいます。


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