旅のウンチク

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身振り手振りのコミュニケーション術

2016年01月06日 | 旅のノウハウ
 海外を旅する時に必要となる事の一つにコミュニケーションがあります。旅と英語についての話は過去にも何度か書いてきましたが、今回は英語ではなくて自分が判らない言葉の国を旅する時のお話しです。

 英語が通じない国は思いのほか沢山あります。”スーパーカブで旅するタイ北部”や”タイ&ラオス路線バスの旅”で訪れるタイやラオスもあまり英語は通じませんし、新コース”山岳少数民族の村々を巡る旅”に至っては、相手によってはタイ語も通じない場合があります。私の記憶では、山岳少数民族間の共通語はラフー語だったと思います。

 その他、ヨーロッパの人達も意外に英語は苦手という人もいますし、中南米はスペイン社会、アフリカや中近東でも英語はそれほど頼りになりません。

 そうなってくると身振り手振りによるコミュニケーションが必須となります。

 身振り手振りは万国共通のコミュニケーション手段だという迷信もありますが、間違いなく迷信です。

 皆さんもジェスチャーゲームをやった事があるとおもいます。ジェスチャーゲームが面白いのは”伝わらない”からであって、万国共通どころか友達にすら伝わらないのが身振り手振りである事を覚悟しなければならないのです。

 国を越えてしまうと文化も違うので、例えば首を縦に振る、横に振るというジェスチャーも肯定、否定の使い方が逆になる国だってあります。お客様を観察していて結構皆さんが使っているけれど微妙なジェスチャーは親指と人差し指で丸をつくる"OK"サイン。これは相手によっては卑猥なジェスチャーに取られる可能性が大きいのです。かなり近い意味のジェスチャーは親指を立てる"サムアップ”サイン。こちらの方が多くの人達に伝わりやすいようです。

 つまり、身振り手振りでコミュニケーションするつもりでも、その国の文化についての下調べが必要かもしれないという事です。旅先の”お得”情報や”おすすめ”情報より重要な予備知識かもしれません。

 ただ、"国の文化"といっても国境を越えたらいきなり変化するわけではありません。国境周辺ではお互いの文化が入り混じっていたり、あるいは国境を越えて存在する文化というものもあります。だから、何か国もを旅していると各論としてのジェスチャー文化を頭に入れるのは外国語を何か国語もマスターするレベルでほとんど不可能になります。前言を否定することになりますが、私は身振り手振りに関する下調べはしていません。

 細かい身振り手振りのテクニックはその場で自分なりに工夫を凝らすしかありませんが、注意する事で誤解されにくくするテクニックは存在します。それは"否定で伝えない"という方式。

 たとえば、現地の人達と一緒に食事をすることになったとしましょう。勧められるままにどんどん食べてもう満腹。そこへ皿を差し出して”もっと食べれば”と勧められたら、たとえば首を横に振るとか、手を左右に振る、あるいは両手をクロスさせてXマークなど、何かと否定するサインを出してしまうと思います。

 ただ、考えてみてほしいのは、相手が本当に”もっと食べれば”と尋ねているのかどうか。”これおいしかったか?”と尋ねているのかもしれません。そうだとしたら”美味しくない”と答えたジェスチャーになっています。なんだか失礼な態度ですね。

 誤解を招きにくいジェスチャーは”お腹をさすってみせる”ジェスチャーです。”お腹が痛い”と勘違いされないように幸せそうな表情を加えておきましょう。

 別の例

 自分が座っている席の隣に人がやってきて、隣の空席を指さして何か尋ねています。”ここに誰か座っているのか?”と尋ねていると解釈して、やはり先ほどのような否定のジェスチャーをした場合、相手は”ここに座っていいですか”と尋ねているのかもしれないですし、”この席汚れてるから拭いていいですか”と言っているのかもしれません。無難なのは両手で空席を指示して”どうぞどうぞ”というジェスチャーです。

 いずれの場合もとても重要なのは必ず相手の反応をみて、自分の意図が伝わっているかどうかを慎重に見極めること。うまく伝わっていないと見えた場合は別の表現にしてみて伝わるまで工夫し続けてみる事です。

 実はこれは言葉でコミュニケーションする場合も同じことがいえると思うのです。自分の言いたい事を言うだけでは相手に伝わっていないことがあるのはたとえ日本語であっても発生する事です。外国語なら頻繁に発生します。相手にちゃんと伝わっているのかどうかを見きわめながら対話を進める。考えてみれば当たり前の事なのですが、伝えることや主張することに精一杯だとリアクションを観察する余裕を失ってしまう事が多々あります。

 考えてみれば私たちの日常のコミュニケーションにもこういう失敗が日々あるのかもしれませんね。旅はいろいろなことを教えてくれます。

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